2021/03/20 のログ
ご案内:「◆ラブホテル(R18 過激描写注意)3」に藤白 真夜さんが現れました。
藤白 真夜 >  
陰気。
魔の物や、悪魔が宿すもの。
時として人の身にも宿り、あるいは溜め込むと、良くないことが起こる――。
呪いや怨念とも言いかえられる、なにか。
シスターや祓魔師、巫女なら簡単に払えるであろう、それ。

けれど、祭祀局の深奥にある私たちにとって、それは"資源"でもありました。
とりわけ、男性に宿るそれを抽出したもの……。
祓うのでも、落とすのでも、カタチにならず。
カタチにして外に出せるという点において、それは私たちの目的とも合致していて。
取り憑かれた、あるいは呪われた人間を救い、かつ資源も手に入るという一石二鳥。

ただひとつ問題なのは、その難易度にありました。
本来、とても高度なことであり、聖娼と呼ばれるような方々の為す御業。
そして、精神的な問題。
誰も、そんな汚れ仕事をやりたがらなかったのです。

ところが。
私の、あらゆる呪いと祓魔を跳ね除ける体質が、幸いしたのです。
私に注がれるものは、どのような呪いも私に混ざらず。どのような祝福も、意味を為しません。
それは、陰気を注がれてもそのまま残ることを意味していて。
素質は十分、となれば。

汚れ役を、最も汚れている私が引き受けるのは、当然のことでした。
何より、誰もやりたがらない仕事を、私がこなせる。
これ以上の『良いこと』が、どこにあるというのでしょう。
私は、一も二もなく、その仕事を始めました。

……つまるところ、呪われてしまった男性と一夜を共にする、ことです。

藤白 真夜 >  
どう話がつけられているのかは、わかりませんでした。
決められた日付、場所に赴けば、"お相手"の方が居るだけ。
決まって、私のことを嬉しそうに見つめるあたり、元から話は付いているのかもしれません。

私の方はというと、何を話せばいいのかもわからず。
行為自体は幾度となく経験はあっても、こういう時にどういう顔をすればいいのかもわからず。
申し訳無さそうに慌て、何も喋れずとも、それでいいとお相手の方が言ってくださる、ばかり。
……そういうモノだと、思われているのかもしれませんでした、けれど。
ただ、肩を抱かれそういう場所に連れ込まれる、だけ。


――――――――――――――――。


いざ、始まっても。
私の身体は、何も感じませんでした。
本当の意味で、物理的に感じていないのです。
以前の経験から、そういうことが起こると身体が勝手に、脳内物質を過剰に合成して、あとはそのまま。
何をされても、霞がかかったかのように、ぼんやり。
こんなのでいいのかと不安になっても、やはり、お相手の方は悦ぶだけ。
元より、陰気の影響を受けている以上、それも仕方ないのかもしれなくて。
触れられる感触も、交わる感触も、一切無いのに。
ただ、熱い吐息と汗のぬめりだけは、感じられて。

藤白 真夜 >  
いつものことなのですが、結局、始まってから最後まで、私はじっとしているだけ。
汗は流れて、髪は乱れて、体は濡れても、じっと、相手を見つめている、だけ。
それだけでも、なぜか皆さんは悦びました。
"毎回"流れる破瓜のせいか、それなのに男に媚びる秘所のせいかは、わかりません。

そして。
ずっと、申し訳無さそうに揺さぶられるだけの私も。
最後の時だけは、違いました。

身体中の感覚が消え入る中で、その瞬間だけは、解ります。
血液に親しんだ私にとって、精液はそう違いの無いものでした。
罪深い私に、愛を授かる資格の無い私に。
注ぎ込まれる、ソレを。
ああ……。
誰が、ソレを神の愛だなどと言ったのでしょうか。
それは、私への至上の罰であり。
つまり、私への最上の快楽であったのです。

「ふ、……っ、ぁ、あッ……、ぁ、あッ、あ、あぁ~~~~~~~~~ッ♡」

何一つ抗うことが出来ず、男の人の下で身体を跳ねさせます。
感ずるモノは何もないのに、快感だけを、貪欲に、罪深く、染み入らせる私のからだ。
それを見て、興奮したお相手の方に、跳ねる身体を、男の膂力で捻じ伏せられて。
気をよくして、また腰を振り出して。けれど、私はやはり何も感じていなくて。

……準備は、整いました。

藤白 真夜 >  
「……、ぁ、……」

「……、なんじ」

「……汝、罪を愛せし、忌まわしき女よ」

「この者の、精と、愛と、処女の血を捧ぐ」

「我が声、聞き届けたまえ」

「……願う」

「我が身に、呪わしき性愛を、注ぎ込みたまえ……」

「……たっぷり、注ぎ込んで……♡」


お相手の方を見つめて。
はじめて、心底の笑顔を浮かべれば。

お相手の方が、狂ったかのように私にしがみつき。
その身の内の、呪いと、欲望を、私に注ぎ込むのです。
先程までの心地よさそうな表情は消えて。
強すぎる快楽に狂ったかのように。
あるいは。
恐ろしい苦痛から逃れるように。

だから、私はいつも。

「……大丈夫。……いっしょに、居ますから、ね」

できるだけ優しく、お相手の方を、抱き寄せて。

藤白 真夜 >  
数分もすれば、お相手の方の呪いは、全て吐き出されます。
ぐったりと、私にもたれかかり、そのまま気絶して。
……お疲れ様でしたと、お相手さまの汗を拭えば。

「……ぐッ、……う、……ッ!」

……呪術の行使の、代償でした。
血と、性交と、絶頂を織り交ぜた、呪術儀式。
先程の性交よりも、遥かにおぞましい感覚が、私を襲います。
呪術のあとは、いつも、こう。
まるで全身を悪意が駆け抜け、見えぬ悪魔があらゆる卑猥な行為を為し、邪神の前で跪くような。
……自らの穢れを思い知る、最低の感覚。

(■■■■■■)

(ぁ、……)

ふつり、と。
私の意識は闇に堕ちて。

藤白 真夜 >  
「……はぁ。な~んでオヤジとヤるのは大丈夫で、悪魔に魂を売るのはダメなのかしらね」

邪魔とばかりに男をベッドの上に蹴飛ばす。
肝心の、呪いと邪気とその他諸々混じった精液を、破瓜の血と共に操作して、試験管に詰めれば。

「はぁーい。終わったわー。ザー……いや、なんだったかしら?
 えー、霊的残渣と、対象資源と、遺伝情報の回収、完了。
 後処理お願いするわ」

赤く輝く瞳で、男を見下しながら、スマホで回収版に連絡をすれば。
すぐさまラブホテルのドアが開き、どこかで見た特殊部隊とでも言うような格好の連中がなだれ込む。
マシンガンやら、警棒やら、玉串やら、妙ちくりんな御札やらを装備した男たち――ヘルメットで顔もわかんないけど――が、そそくさと試験管を受け取り男を担架に載せて連れていく。
その間中、ずっと私を警戒したまま。

(……銃も札も効かないって、さんざん試したでしょうにねえ)

その様を、ベッドに腰掛けたまま眺める女が、一人、残されて。

藤白 真夜 >  
(……まあ、いいわ。食事とこの時くらいしか、出てこれないものね。
 あのとんでもない匂いの憑坐の娘のおかげで、大分楽になったけど)

ぽふん、と一人でベッドに横になる。

……実際のところ、気分は最悪であった。
体中、ヤッた痕で溢れかえっている。
重いモノを何度も叩きつけられたおかげで全身ギシギシする。
そこら中体液塗れで、肚にもまだ何かが張り付いている気分がした。

けれど。

「……ふふ。コレでイケるの、"あいつ"ホント、最高に最低だわ。ふふふ……♪」

脳内麻薬で、身体の感覚はなかったはず。
なのに、肚の奥に、全身に爪先まで、脳髄のド真ん中まで――絶頂の余韻が残っている。
"あの女"は、感覚に頼らず、その事実だけで絶頂したのだ。
ただ、罪深き己が、最大限の貞操と愛と共に罰されるという事実だけで。

これだけで、薄れゆく自我が戻ってくる気さえする。
実際は、あの娘のおかげもあるのだろうけど。
絶頂と、嫌悪と、満たされる肚の感覚を、想起し反芻しながら、ひとり微睡む。

(これなら、もう少しくらい、出てこれるかも、……ね
 ……ふふふふ♡誰から味見しようかしら……楽し、み……ね……)

眠りに落ちる直前、ふ、と瞳から輝きが消えれば。
そこには、寝息を立てる少女が、ひとり……。

ご案内:「◆ラブホテル(R18 過激描写注意)3」から藤白 真夜さんが去りました。