2021/04/11 のログ
ご案内:「違反組織拠点」に『虚無』さんが現れました。
『虚無』 >  
 もうもうと立ち込める煙、周囲を小銃とグレネードランチャーで武装した男たち。その煙を見てしばらくしてから高笑いを始める。
 侵入者は無様に砕け散った。狼仮面のコスプレ野郎は死んだ。そんな笑い声だ。

「……新入生だろう。声も動きもまだ未熟だ……お山の大将。気分がよかっただろ」

 その煙が吹き飛ばされる。煙の中からは汚れ一つない男が現れる。
 恐れた男が小銃を放つが……刹那、甲高い金属音と共に放った男の顔の一部が砕け崩れ落ちた。

「この時期はいつもこうだ……外でやんちゃをしていた奴らが武器と異能を得て暴れる……そこまでは別にいい。だがお前たちはやりすぎた」

 周囲の男たちに目線を向ける。
 そう、やりすぎた……新入生の一グループが軍団を形成。小規模のスラムを占拠。ただ暴れるだけならば良い。だがここまで暴れるのはやりすぎだ。

『虚無』 >  
「だが、都合がいい……早々にやりすぎたやつらが出るのはこちらとしても好都合だ。喜べお前たちは名前を残せる」

 砕け散った仲間を見て周囲の男たちは能力やナイフを展開する。遠距離系の能力だと思ったのだろう。
 数だけ見れば10数対1。あきらかに無茶苦茶な戦力差に見える。1人が明らかな劣勢に見える。
 だが違う、戦力の優勢を握るのは1人の男のほうだ。

「ほかの新入生共に伝えてやるといい……この町でやりすぎればどうなるか。秩序を乱せばどうなるか」

 話など聞く気がない。返事もせずに知るかボケガァ!!などと叫びながらナイフ部隊が殺到。しかし……

「死をもってだがな」

 ナイフ部隊は一瞬に吹き飛ばされる。周りの男達は理解すらできていない。何が起きたといいながら吹き飛んだナイフ集団を見やる。
 吹き飛ばされ、壁に、柱にたたきつけられたそれは確実に絶命している。
 中にはひしゃげたり柱に体を貫かれた者もいるだろう。

「さて、これで戦力差は5体1だな……どうする。せめて男らしく散るか。無様に背中から殺されるか。そのくらいの自由はやるが」

 能力を展開し炎をまとった5人にそう声をかける。おそらくそいつらがこのチームのボス格だろう。向こうはもう戦闘意欲はなくしているみたいだが……もう遅いのだ。

『虚無』 >  
 一人の男が悲鳴と共に炎をジェットのように使い空へと逃げる。しかし

「遅い」

 もうその先には回り込んでいた。地面へと叩きつけられる。
 残り4人。
 3人が一斉にかかってくる。

「勢いは良い。だが弱い……もっと大きな組織に匿われるべきだったな。そうすれば希望もあっただろうに」

 パァンと風船の破裂するような音が3度響く。
 拒絶の力というのは言ってしまえば吹き飛ばす力。拳の先に込めたそれは拳の強化と同じ効果を持つ。
 拳によって吹き飛ばされたその3人は胸部が膨れ上がっている。内部破裂、そして血が内部で噴出した結果だ。

「さて……これで後一人」

 ゆっくりと歩み寄る。
 今回の目的はいわば宣伝のような物。だからこそ恐怖を煽る。リーダーであるこいつの死体は恐怖に歪んでいなければならない。

「安心しろ、痛みはない」

 腰を抜かした男の眼前に立つとデコピンの形を作る。
 トンと触れた瞬間。それは果実のように上をえぐり取った。



 落第街。そこで暴れていた新星のようなギャング集団が壊滅した。恐怖にゆがんだその顔は、そして圧倒的な力で壊滅したそれは様々な憶測が飛び交った。
 曰く、風紀委員が制圧に乗り出した。
 曰く、別の違反組織が攻撃をした。
 曰く、内部抗争で滅んだ。

 そんな数多く憶測の中でほんの僅か語られる憶測がある。
 
 

 曰く、違反組織を狩る奴らがいる。それはこの町の秩序を乱した者を許しはしない。

  

 そう語る者は笑われた事だろう。そんな奴らがいるわけがないと。
 しかし、ひとついえる事があった。
 この1件以降。新入生を中心として組まれた即席の小さなギャング集団は一気に減り。普通の学生へと帰っていった。
 偶然なのかその”眉唾の噂”を信じたのか。それは彼らも口にしないだろう。
 そしてやりすぎた集団は。今後は表に名前すら出ることはない。闇の奥底。光すら届かぬ深淵の中……消えていくのだから。

ご案内:「違反組織拠点」から『虚無』さんが去りました。