2024/12/27 のログ
ご案内:「【常世島の現在】」に「全世界大変容追悼式」/「第三次世界大戦戦没者追悼式」さんが現れました。
「全世界大変容追悼式」/「第三次世界大戦戦没者追悼式」 >  
 

Deine Zauber binden wieder,
(あなたの魔法の力は再び結びつける)
Was die Mode streng geteilt,
(世の中の時流が厳しく分け隔てていたものを)
Alle Menschen werden Brüder,
(全てのひとは兄弟になるのだ)
Wo dein sanfter Flügel weilt.
(あなたのその柔らかな翼が憩うところで)
――ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン『交響曲第九番』終楽章「歓喜の歌」より


 西暦2000年12月31日。それは《大変容》の始まりの日であった。
 《大変容》に伴う未曾有の災害、そして《第三次世界大戦》によって――一説によれば――当時の「地球」人口は約5割減少したとも言われる。《大変容》初期に「地球」に転移した《異邦人》については記録が不十分であることが殆どで、彼らの具体的な死傷者数は不明であるが、《大変容》の混乱と《第三次世界大戦》による戦乱の中で、「地球」の人類と共に多くが死傷したことに違いはない。
 畢竟、《大変容》が齎したものは、前世紀にはあり得なかった奇跡の如き力や術、霊的・異世界の存在の数々であったが、代償――このように表現するのは極めて大きな問題があるかもしれないが――として、非常に多くの生命が喪われたのだ。
 「全世界大変容追悼式」「第三次世界大戦戦没者追悼式」は、そうして死した者たちを悼み、平和を祈念する式典である。

 《大変容》を指す語は極めて多く――《大崩壊》/《終末》/《大洪水》/《新生》/《黎明》/《夜明け》/《大復活》/《大帰還》/《流出》/《世界大火》/《ヤルダバオートの失墜》/《霊知(グノーシス)の目覚め》/《新天新地の創造》/《星辰が上古のものに戻りし時》/《銀の鍵の門の開門》/《ア・バオ・ア・クゥーの登頂》/《大変成(アルス・マグナ)》/《黒化(ニグレド)》/《赤化(ルベド)》/《世界のノンセンス化》/《革命》/《アブラクサスへの飛翔》/《幻想の復活》/《幻想の死》/《新たなる創世(ネオンジェネシス)》など――、《大変容》をどう理解するかということの複雑性を表している。
 《大変容》への評価は、その人物の置かれた立場などによって異なり、当然ながら一様ではない。《大変容》がなければ、自身の存在はあり得なかったという者も存在するのだ。
 上述の通り《大変容》と、それを発端とした《第三次世界大戦》での死者数は、人類史上類を見ない規模である。世界は死んだとも、新生したとも言われるのはこのためである。そのような《大変容》を肯定するかどうかということは、人々にとってあまりに重すぎる問題だと言える。
 故に、《大変容》で「復活」を遂げ、《異能》を得、《魔術》を知り、福音を得た者たちであっても、12月31日には、多くの者達が数多の死者への哀悼の意を捧げる。《大変容》後の世界の縮図とも言えるこの常世学園でもそれは変わらない。
 《大変容》後の世界に批判的な者たち、《大変容》以前の「地球」の死を悼む者たち、《大変容》が起こらなかった21世紀が本来あるべき「史実」であるという思想を持つ《史実回帰派》と呼ばれる者たちの間でも同様の追悼式が世界各地で開催される。そこでは死者への追悼というよりは、《大変容》以前の「地球」そのものへの追悼、「幻想」が正しく「幻想」であった時代への懐古が行われる。

 《大変容》は現代より数十年前に発生した出来事である。無論、若者は皆《大変容》、《第三次世界大戦》も、特別の事情などがなければ直接は経験していないということになる。そんな彼らが《大変容》についてどう捉え、どう考えるかは個々人で大きく違いがある。
 《大変容》以後に出現したあらゆるものが――その規模や濃淡は、周囲の環境等によって異なるが――生まれながらにして彼らの生きる世界には存在している。《大変容》以前を生きた者たちとの間の見えない隔たりは極めて大きい。
 しかしながら、《大変容》後に生まれた者たちもまた、《大変容》の影響を受け続けている。《大変容》は一般的には既に収束したと見なされているが、今なお《大変容》は続いているという説も存在する。故に、《大変容》の犠牲者の追悼は、若年者たちにも決して無関係のものではないのだ。

 「全世界大変容追悼式」、「第三次世界大戦戦没者追悼式」は、文字通り《大変容》と《第三次世界大戦》による犠牲者への追悼を目的とした式典である。
 常世島だけでなく、世界の各地で同様の追悼式が原則同時刻(便宜上学園公式の追悼式は、夜間・年越しにかけて)に行われる。常世学園で行われる式典は特に大規模なものであり、《大変容》後の世界のモデルとしての常世島に自然多くの者が集まるようになった結果である。
 常世島での開催場所は「常世大ホール」のほか、宗教施設群の礼拝施設・墓地・慰霊塔などであり、それぞれの会場には「大変容犠牲者之霊」の柱や碑が立てられる。《式典委員会》主催の学園公式のもののほか、各委員会や部活、組織、個人などでも追悼式が各々行われることとなる。学生街であろうとも、異邦人街であろうとも、落第街であろうとも、それは変わらない。
 常世学園に外部からの来訪客が多く訪れる。常世島外からの校賓への対応も職務としている《式典委員会》の委員は特に忙しくなる(外務的業務に携わっていない委員であれば、無論忙しくなるわけではない。外務的業務に携わっている委員であっても、年末年始故に休みを取る者はいるはずであり、責められることはない)。

 追悼式の次第は、一般的な追悼式のそれと大きく変わるわけではない。常世島の《式典委員会》などによる学園公式の追悼式においては、委員会の委員長を始めとして、各部署の委員がスピーチなどを行う。また、黙祷や献花なども行われる。
 なお、委員会や個人で行われるような追悼式の場合、式次第は独自なものになることも多い。もとより全ての犠牲者の名前を挙げることができるわけではないが、一部の式典では犠牲者の名前が読み上げられることもある。異邦人街では、異世界の慣習に則った追悼式・慰霊祭なども併せて行われる。
 また、「全世界」というのは「地球」上の諸国家を指すのみならず、《異邦人》の存在により、実在がほぼ断定されている様々な多元的世界をも含む。なぜならば、《大変容》によって「地球」上に多くの「門」が出現したが、それは異世界にも大きな影響を与えたことに他ならないからだ。追悼の対象の「大変容犠牲者之霊」には、当然《異邦人》も含まれている。
 追悼式の目的は「追悼」と「慰霊」、そして「平和」の祈念。《大変容》によって齎された様々な分断の解消と統合、様々な「世界」との融和である。

 学園として特筆すべきは、「常世大ホール」にて行われる《式典委員会》を中心とした学園公式の「全世界大変容追悼式」である。その理由は、《常世財団》の幹部と目される人物が出席することにある。
 現在の《常世財団》は、学園の運営の表舞台からほとんど姿を消しており、学園の主要な行事にも出席することはない。例外は国連の総会であるが、それを除けば表舞台にほとんど姿を現さない。そんな《常世財団》の一員が表舞台に姿を表す稀有な例が、「全世界大変容追悼式」である。《常世財団》は、《大変容》関連の追悼式などには必ず出席者を派遣することで知られている。
 今年の追悼式には、《常世財団》の田道間(たじま)橘花(きっか)が出席する。常世国と関係が深く、常世神社の祭神の一柱でもある「田道間守」の末裔と目されており、《常世財団》の広報活動を担当していることから、比較的外部に姿を表すことの多い女性である。《異能》の有無や《魔術》の使用については不明であり、外部からの計測も不可能である。公称20代後半ながら10代中頃ほどの、黒髪の少女のような容姿を保っている。
 追悼式にて、常世学園の建学の理念と、《大変容》以後の世界の融和と平和、異世界の存在も同胞、友とすべきことなどを田道間橘花はスピーチする予定である。

 追悼式の式次第は様々であるが、全世界に同時に行われる追悼式、学園公式の追悼式の最終盤では、平和への祈りと、全世界が「同胞」となることを願い、ベートーヴェンの交響曲第九番の終楽章、いわゆる「歓喜の歌」が参加者により合唱される。国連本部、各国の都市、そして常世島にて同時刻に一斉に合唱を行いながら、常世島では新年が迎えられることとなる。

【PL向け】
※後日追記、文言の修正、チャットロケーションの追加など行う可能性もあります。

 概要に記載した通りの追悼式イベントとなります。概要に沿って自由に、独自に、演出していただいて構いません。
 イベント内時間は12月31日といたしますが、12月31日より前でも後でも。サイト内の12月31日として演出していただくことが可能です。現実の日時と合わせて頂く必要は特にありません。年末年始にサイト利用を行うことが困難な利用者の方も多いかと思われます。
 他の季節のイベントも同様ですが、各イベントを現実の日時と合わせるというのは現実問題として難しいことが予想されます。また、常世学園というサイト内年代も、現実のそれとは異なっています(21世紀後半)。
 このため、本イベントは現実の時間において年が明けようとも、常世学園の年末としてロールプレイすることが可能です。具体的にどこまでということは言えませんが、1ヶ月、2ヶ月先であろうと構いません。要は、それとわかるようにロールプレイ中に何かしらの記述をいただければ大丈夫です。
 ロールプレイの時系列的な問題等がある場合は、ご自身でご解決いただくようお願いします。
 違和感を覚えるという場合は、12月31日以降、年始にかけても追悼式が行われているということにしていただいても構いません。

 常世島の外から追悼式に参加する来訪者などが多くやってくることとなります。あくまで追悼式メインのイベントですので、そういった来訪者を襲うような行為や、追悼式での乱闘・妨害・破壊行為はご遠慮ください。
 《式典委員会》などが中心となるイベントになりますが、当然ながら参加は任意であり、委員会所属だからといって本イベントに必ずしも参加・言及する必要はありません。

※交響曲第九番の歌詞・訳詞についてはThe Web KANZAKI~ベートーベン第九の歌詞と音楽より引用(2024/12/27 閲覧)

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