2024/05/27 のログ
伊都波 凛霞 >
形勢逆転。
否、死なば諸共。
我ながらなかなかの牽制球である。
ただし死球も兼ねる。
遠巻きに見ている男子生徒達からすれば、
学園の中でも群を抜いた美少女二人が何を話しているのか興味が湧くところだろう。
内容はきっと聞かないほうが良いことだけど。
そして制服のサイズに言及すれば、それは極めていつもの答え。
長い付き合いなのだ、当然こんな問答は過去にもしている。
そういう時は決まってこう答えるのだ
「私着ぶくれするタイプだから、そう見えるだけだよ」
有無を言わさぬ、笑顔で。
霜月 雫 > 「うーん、やっぱり言い合いじゃあ勝てないなぁ」
はぁ、と溜息。
一応一門の次期当主候補であるのにも関わらず、口下手と言うか、腹芸がとことん苦手なのだ。
軽い言い合いで、凛霞に勝ったことなんて記憶にないくらいだ。
だから。
「……それで納得したげる」
どうせ、踏み込んでああだこうだ聞いても、上手い事はぐらかされるに決まっている。
なので、肩を竦めて降参するのだ。
「剣腕なら負けないのになぁ」
ちょっとした挑発込みでそうこぼす。
伊都波 凛霞 >
納得、と締めくくりつつも最後に零すのはほんの少しの自尊心。
こういうところが可愛いよね、と内心思いつつもそれは折角おさまった火に油。
口には出さずにうーん、と口元に指を当てて一つ思案、二つ思案。
「そりゃあ、雫に私が剣の腕で勝てるわけないよー。
私の家の道場はあくまで武術、だし?」
苦笑しながらそう返し、それから──。
「そゆとこ、相変わらず男の子みたいだよね」
腕っぷしでは負けないぞというアピールが、どこか可愛らしい男勝りに感じて。
霜月 雫 > 「よく言うよ。負ける気はないんでしょ?」
自分で言いつつ、ともすれば矛盾する言葉を口にする。
そのくらいに、目の前の友人の実力を認めているのだ。
「ま、武門の娘だしね……ってのは、凛霞にも言えるか。
多分、ああだこうだ言う奴らを剣で黙らせる、なんてこと子供のころ繰り返してたからかな。
ここは譲れなくなっちゃった、って言うか」
子供っぽいんだけどね、と苦笑。
伊都波 凛霞 >
振り返る。
もう随分長い付き合いの美少女を前にして、まっすぐ見よう。
小さい頃は言葉通り、男勝りのところもあったのだろうけれど。
風に靡く綺麗な髪、すらりとした手足、メリハリのついた健康的なスタイル。
誰がどう見たって美少女。
言ってることやってることが脳筋なのも、ここまでくれば可愛げだろう。
「剣術で勝てないっていうのはほんとに思ってるよ。
そういう比武の場に立つ、って決めて立ったとしてもね」
──搦手の是非。
それを問うには、眼の前の相手は友人"すぎる"。
だから勝てないと、はっきり明言をするのだ。
「いいと思うよ。そういうところが雫の魅力だと思うし。
彼氏とかいないの?作る気ないとか?それっぽい男の子もいない?」
霜月 雫 > 「……そっか。なるほどね」
目の前の友人の本領が、所謂『決闘』ではないのは分かっている。
そして、その本気は、単純な比武では発揮できないのも。
……自分にその本気を、向ける気が無いのも。
「あーあ。兵法も出来るようになんなきゃ、とは思うんだけどねー」
自分は、どうにも『武人』なのだ、と痛感する。
良くも、悪くも。
「む……そ、そういうのはなんだか、イメージ湧かないって言うか。言い寄られたり、ってのもないしね。
それこそ凛霞の方が引く手あまたでしょ?って、許婚がいたんだっけか」
じーっとその姿を見る。
快活な笑顔、豊満なボディ、圧倒的な包容力。
長い付き合いで良く知っているが、人当りもよく、それでいていい意味で隙がない。
まさに、完璧美少女。
この子に許婚がいる、なんて聞けば、多くの男子が卒倒するだろう。
伊都波 凛霞 >
内心は兎も角、納得はしてもらえたのかな、と。
でもこの旧友の性格からすればいずれは…ということもあるのかもしれない。
「必要なら、でいいと思うよ。
私達はあくまで学生。学生の本分は勉強、でしょ?」
剣も魔法も恋もいいけど、まずは学生として邁進すべきである、と説く。
幼馴染の許嫁の話が出ればくすりとはにかむ。
「言った通り、本分は勉強!
雫にそういう浮いた話がないのはちょっと意外だけど、ね」
良い意味で、彼女も隙がないのかもしれない。男子諸君にとっては。
そんな他愛もない話をしていると、時計塔のほうから響くのは予鈴。
こちらを見ていた生徒達や、各々のんびりと過ごしていた面々も、一人、また一人と屋上から校内へと戻ってゆく。
「と…もう時間。雫は次はなんの抗議?異能研修なら同じ教室だろうし一緒に行こう?」
霜月 雫 > 「ん、確かにそうだね。
物騒な話は、ここでは横に置いてもいっか」
くす、と笑って。
ここは学園、自分らは学生。
ならば、やるべきことは勉強だ。
「ま、中々いい相手もいないだろうしね、っと。
うん、異能研修だね。それじゃ、一緒に行こうか」
もう一回ぐーっと伸びをして、気持ちを切り替える。
勉強は嫌いじゃない。友人と一緒なら、なおのこと。
連れだって、屋上を後にするだろう。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から霜月 雫さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から伊都波 凛霞さんが去りました。