2024/06/03 のログ
神代理央 >  
「…まあ、人材の確保はどの委員会も急務であるしな」

ふう、と一息。
自分に説明・案内役が回ってくると言う事は、より適した人間は他に出払っていると言う事。4月に入会した者達の研修は、そろそろ大詰めだろうし。

「……違反部活の連中が大人しくしてくれていれば、私もこうして毎日のびのびと羽を伸ばせる、と言うものだが…」

…とはいえ、仕事が無いのはそれはそれで暇だ。
ワーカホリックを自認する訳では無いが、仕事が趣味と言うのは否定しきれないので、いざ休日の過ごし方をと考えると小一時間必要とする。
平日がこうであればさもありなん。一度部隊編成でも見直してみるべきか。

「中間考査にさしたる問題がある訳でも無いしな…」

別に成績が素晴らしい、と言う訳でも無いが、恥ずかしい、と言う訳でも無い。得意科目と苦手科目で平均を出せば、総合点数はまあまあ上の下、と言う所。
仕事に追われているから、とは言い訳しない。同じ条件の人間は幾らでもいるのだ。

カップを手に取って傾ける。
残った液体は、あと4分の1くらい。

神代理央 >  
予鈴の音。
そろそろ、午後の授業の時間だ。

「…さて、午後一は……家庭科か…」

苦手な分野だ。金を払えば食事にも衣服にも困らないと言うのに。
小さく溜息を吐き出して、少年は立ち上がる。

食器は自分で返すタイプ。
砂糖の塊が底に僅かに残ったカップが、返却口にぽつり、と置かれていた。

ご案内:「第一教室棟 食堂」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「教室:生活相談コーナー」に都姫うずめさんが現れました。
都姫うずめ > 『生活相談コーナー
 生活安全に関するよろず相談受け付けます
         風紀委員会 生活安全課』

流麗な書体で書かれた立て看板を教室の入口に立てかけ、小さく頷く。

「よし、今日も頑張るぞ」
小さくつぶやいてから、看板に一礼する。
教室に入って、手頃なイスに腰掛ける。
手に持っていた教本…生活安全に関する事例集を開き、
もう片方には白紙のノートを開いた。

うずめが所属する生活安全課は、人々の安全な暮らしを守ることが主任務である。
その任務の一環として、このように不定期に相談コーナーを開き、
生徒たちの不安を受け止めるのも役割なのだ。
風紀委員会というものの都合上、警備などが主任務であり、こういった活動を
地味で目立たないとする人もいるが、うずめはこの任務が大好きだ。
人が何を思って不安で、どういった安全・安心を求めているかを聞き、話すことができる。
そこには、紛れもない”生”の思いがありそれに触れられるからだ。

都姫うずめ > しばらく待っていると生徒が現れる。
風貌からして異邦人のようだった。

「そちらへどうぞ。 学年とお名前をお願いします」
腰掛けるように相談者を促す。
相談者が名乗った名前を端末に入力した。

「それで、どういったご相談でしょうか?」
生活相談は、寄せられる内容がピンキリである。
今回は『友人と映画を見に行く予定だがどれがよいか』という話だった。

渡された映画のチラシ数種類を交互に眺めながら、ゆっくりと口を開く。
「フーム、候補はこれら、と…。 その日の予定に応じてとは思いますが、
 これなんかおすすめじゃないですか? 内容は鉄板っぽいですよ。
 鉄板ってことは、概ねどんなときでも楽しめるってことです。」
指し示したのは、わかりやすいアクション映画だった。
ヒーローがおり、ヒロインがおり、ピンチがあり…ヒーローとヒロインは
ピンチを切り抜けてめでたしめでたし。そんな映画である。

『異邦人だから、地球の人も楽しめる映画がわからなくてね』
相談者は去り際のお礼と一緒に一言残していった。
再び一人になった教室で、その言葉を考える。

「友達と一緒に見れば、なんだって楽しいのにな」
窓のほうを眺めながら小さくつぶやく。
異邦人だろうがそうじゃなかろうが、そんなことを気にしないぐらい
仲良くなれればいいのに。

ご案内:「教室:生活相談コーナー」から都姫うずめさんが去りました。
ご案内:「教室:生活相談コーナー」に都姫うずめさんが現れました。
ご案内:「教室:生活相談コーナー」に夜合 音夢さんが現れました。
夜合 音夢 >  
「……生活相談コーナー?」

廊下を歩いている最中、目に入った立て看板に足を止める。
こんなのあったんだ……なんて思っていると、ちょうど相談を終えたらしい生徒が出てくるのと鉢合わせた。
相談は上手くいったのだろう。晴れやかな顔で、こちらにも会釈をして去っていく。
どんな人かな、と中を覗き込んでみれば、そこには知った顔がいて。

「……都姫さん?」

思わず中の人物に向かって声をかけてしまった。
相手から見れば、教室の入り口からひょっこり顔を出すルームメイトという構図。

都姫うずめ > その後数人の相談を受け付けて、しばらくの時が立った。
比較的穏やかな質問が多かったのもあって、心情的にはだいぶ楽…とはいえ、流石に少し疲れる。
ぐっと背を伸ばして大きくため息をついたところで、かけられた声の方を見やった。

「夜合さん、いらっしゃい。 生活相談コーナーだよ。
 生活安全課に相談したいことを何でも言っていいやつ。
 時間は……。」
時計を見る。ちょうど彼女が最後の相談者になりそうだった。
「時間はいっぱいあるから大丈夫。 せっかくだから入って入って。
 もし相談がなかったら、片付け見ててくれるだけでいいから。」
いたずらっぽい笑顔を浮かべて、両手で手招き。

夜合 音夢 >  
「制服姿、はじめて見たかも」

寮を出るまでは普段着(バニー)だった気がする。
もはや見慣れた光景で、逆に制服姿の方が珍しいと感じてしまうほどだ。
制服も十分に似合っていて可愛いと思うけれど、なんとなく窮屈そうに感じられた。

「ん……相談、相談か」

手招きに応じて教室の中へと足を踏み入れつつ、顎に指を添えて逡巡。
なくても構わないと言ってくれているが、折角だし話がしたい。
こういう時の話題というか、接し方には不慣れなものだから―――

「……あ、そうだ。
 ルームメイトの子達と仲良くなりたいんだけど、どんな風にすればいいか分からなくて」

なので、それを相談してみることにした。
誕生日プレゼントのリクエストを贈る相手に直接訊ねるような行為である。

都姫うずめ > 「うん、風紀の仕事するときは制服着るの。
 仕事終わったら”いつもの”服に着替えるけどね。
 ある意味制服ってわかりやすくて良いしね。 遊びはあんまりないけど…。
 いらっしゃーい。 座って座ってー。」
のんびりした調子で相手に答えながら、相談内容を端末に入力する。

「ふむふむ、ルームメイトと仲良くね…。 うーん……。」
少し考える。これって自分とかのことも入るということに気づいた瞬間、
思わず唸った。下手なことをいうとちょっと恥ずかしい。
気恥ずかしさと風紀の責務が頭の中で天秤にかけられる。

「…一番いいのは、その人を褒めることだと思う。服でも所作でも趣味でもいい。
 ”あなたに興味があるよ”っていうアプローチって、すごく嬉しいと思うよ。
 あとは…その人の気に入ったところを『好き』って言ってあげるとかさ。」
 風紀としての精神が勝った。 ちょっと恥ずかしい言葉かもしれないけれど、
 きちんと彼女に伝える。 言い終わった後、思わず自分の胸元をつまみ、
 ぱたぱたと仰ぐようにして空気を取り入れようとした。

「…今日暑いねー!」
気づけば頬が赤かった。ちょっと照れくさかったのである。

夜合 音夢 >  
「そういえば、風紀委員だって言ってたっけ。
 公私はちゃんと区別してるんだね」

規律を司る側が制服未着用では他の生徒に示しがつかないというもの。
音夢は大して気にしないが、うるさい層もいるだろう。
決められたルールに従うのも集団の中で暮らすには必要なことだ。
なんて、心の中で感心しながら対面の席に座って。

「褒めることと、好きって言うこと……なるほど。
 都姫さんのそういう真面目なところ、私は好きだよ」

いささか直球すぎる相談にも茶化さず真摯に応じてくれるところとか。
相変わらず表情の変化に乏しい少女だが、好意を告げた際には柔和な微笑を湛えている。

「あと前にも言ったけど、いつもの服……よく似合ってる。
 ウサギが可愛いのもそうだし、こうして見ると都姫さんも可愛い。
 むしろ都姫さんが可愛いから似合ってるのかも……」

アドバイスを受けての実践ではあるが、紛れもない本心からの言葉。
それを臆面なく言い放つあたり距離感の加減が下手くそすぎる。
おまけに照れ臭そうな様子のうずめを見て、

「ん……そう? 窓開けてこようか?」

全く気付いていない鈍感っぷりを発揮していた。