2024/06/06 のログ
ご案内:「第一教室棟 ロビー」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
授業と授業の合間。履修している科目によってはまるっと一つ分、空いたりする。
まぁ、大体予習とかをしていると時間が過ぎたりもするものなのだけど、調子の良い日はそれすらさっくり終わって、時間を持て余すこともある。

ロビーの椅子に腰掛けて、自販機で買ったアイスレモンティーのストローを咥えてののんびりひととき。

学生、女生徒は特に色々と忙しい。
そう例えばこう手持ち無沙汰になったとしても。スクールバッグから手鏡を取り出して、ちょっと前髪を整えてみたりだとか。
すみっこだし、邪魔にはならないかな、なんて薄化粧ながらそれを直したり。

時間を使う手段に満ち溢れているのもまた若さ、かもしれない。

伊都波 凛霞 >  
まだ結構時間があるな、と時計を眺めて思えば、再びバッグをごそごそ…。
取り出したるはエメリーボード。

あまり派手好きではないから、色びやかなマニキュアやネイルアートなんかはしないけれど。
なるべく綺麗に長くなりすぎないよう切りそろえて、透明感のある爪に整えるのは大事。

ふん、ふん…と小さく鼻歌混じりに手の爪のお手入れ。
妙に絵になるその様子を遠巻きに見る男子生徒なんかもいたりはするが、それに気づくと視線を送ってはにっこり、手をひらりひらりと振る。
それを愛想といってしまえば愛想だけど、知らんぷりするよりは…もしかしたら友達が増えるかもしれないし。

伊都波 凛霞 >  
そんなこんなのうちに爪のお手入れも終了。

「──よしっ、ぴかぴか♪」

両手をパーの形にして眼の前に広げる。
つやつやで透明感のある綺麗な感じに仕上がった。
絶妙に時間が空いたと時はこれ。それなりに没頭できるし、意外と楽しい。

さてさて、と愛用のエメリーボードと色々の入ったポーチをスクールバッグに戻そうと横を向いた問に、ふとテーブル脇に置き去りにされた小冊子が目に入る。

伊都波 凛霞 >  
忘れ物かなと思いつつ手にとってみると、今月行われているとこコレ!のパンフレットだ。
いわゆる制服のデザコン、それとミスコンやミスターコンテストを混ぜたようなイベント…だった筈。
確か学内外で無料配布されてるものだったはず、とぱらぱらそれに目を通してみる。

「えー、これ制服…?こんな独創的なのもあるんだ…すご……」

新進気鋭のデザイナーなんかも参加しているのか、そこには色とりどりの趣向を凝らし制服が並ぶ。
勿論セーラー服やブレザーのような定番のものもありつつ、ワンポイントやチェックの柄などで彩っているものも。

「…そういえば雫が私のこと推すとか言ってたっけ…。
 いやいや…風紀委員だしイベントとかあると忙しい…筈」

ぷつりぷつりと独り言。
しかし凛霞が配属されているのは刑事課である。
サイコメトリーの異能を飼われての人選であるが、人出が足りない時は普通にお手伝いにいうこともある。
こういうイベントなんかは、そういうことが起こりがち。
なのでさすがに自分が出ることは考えていななかった、が…。

伊都波 凛霞 >  
本当に他薦を受けた場合、断る理由を探すのは大変難しい。
勿論名誉なことだとは思うし、興味がないわけでもないが…。

制服のデザインと着こなしを競う以上、採寸という行為(現実の数値)からは逃げられない。
夏季のプール授業からすらも理由をつけて逃げていたのに…。

「…あの子が本気とは思えないけど、何か対策を講じなきゃ」

ぱたん、小冊子を閉じる。

伊都波 凛霞 >  
丁度、予鈴が鳴る。

さて移動移動、と立ち上がる。…ために、前かがみになった時にシャツのフロントがみぢっと音を立てた。
───、一瞬硬直、いや大丈夫。余裕はある。

真実(数値)と向き合うには覚悟が要る。
ここまで逃げ続けてきたのだから、逃げ切る心算だ。

『そんなことないよ、きゅーじゅーくらい』
『あはは私って着膨れするタイプだから』

無理も通せば道理になる。
大丈夫世の中は自分が想像する以上に優しさに満ちている。
自分を尊厳を守るための小さな嘘には、騙されてくれる人が沢山いてくれる──。
それでも。

「…なんとしてもとこコレ!だけは回避しないと…」

決意を改め、歩きはじめる。
学生の本分は勉強である。イベントなどに現を抜かしている暇はない──。

ご案内:「第一教室棟 ロビー」から伊都波 凛霞さんが去りました。