2024/06/14 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」に如月 槐徒さんが現れました。
■如月 槐徒 > 「さて…」
扉を開けて屋上に姿を表す細身の男。
そのままフェンスに両腕を置き、学生通りの方を眺める。
夕日にオレンジ色に照らされた景色を眺め、落ち着いた表情でしばし黙り込む。
男は日々の授業を終え、諸々のタスクに手を付ける前にここに来ることを日課としている。
来れない日もあるが、余程の理由がない限りここに来るのを優先する。
何故なら
「この景色を見ると…明日も頑張る気になれるな」
屋上から見える帰宅途中の生徒たち。この景色を見る事が男にとって何物にも代えがたい幸福だからに他ならない。
これが一番かと言われると少々悩ましい所だが、人生において外す事の出来ないものではある。
だから毎日ここに来る。雨が降ろうと雪が降ろうと、台風が来た日は…流石に来ないけれど。
穏やかな表情で微笑みながら、鼻歌でも歌い始めるだろう。
選曲は…古い。40年ほど前の曲だ。
■如月 槐徒 > 「そうそう…誰も居ない事だし確認しておくか」
両目を閉じ、丁寧に両手で眼鏡をはずしてたたみ、胸ポケットに仕舞う。
そして、ゆっくりと瞼を上げ再び学生街の方を注視する。
これは、誰かいる時にはそうそうできるものではない。
異能社会の昨今では昔と違って”見えない物”が見える者は少なくないし、”見えない物”が見えている事は意外と看破されてしまうものだ。
だから、軽率に人前でこの眼鏡をはずす事は出来ない。バレないようにする方法もあるらしいが、その手の事は得意ではない。
「……」
この目は、邪気を見る事が出来る。
あまり遠いと見えないが、大きな邪気は良く見えるものだ。
だからこうして、時折何か大きな邪気がないか見ているのだが…
「あれが生徒たちが噂していた…」
学生街の一部に、大きな邪気が見える。
修繕が進んでいる破壊痕の中に渦巻く恐怖と破壊、そして悪意。複数の邪気が同居する空間。何かあった事は明白だ。
それが何かまでを知る術は持ち合わせていないが、今日に限っては心当たりがあった。
「『機界魔人テンタクロウ』か…」
今日に限らず、ここ最近時折耳にする話題だ。
常世島の各所に出没する触腕を多く持つ謎の人物。
風紀委員の顧問でもない私は噂程度の事しか知らないが、随分と目立った行動をとっているようだ。
生徒たちにも被害が出ているようだし、昨日も学生街に出没し、風紀委員と交戦したと聞く。
恐らく、あれがソレだろう。
「死人が出ないといいが」
なんてぼそりと呟く。
心配そうに目を細め、軽く俯く。生徒に限った話ではないが、人が死ぬのは悲しい事だ。その華々しい人生が道半ばで潰えるような事はあってはならない。
■如月 槐徒 > 「さて」
先ほど外した眼鏡を装着しなおし、数度瞬きをする。
この目との付き合いも短くないのだが、あまり慣れない。眼鏡で抑制するようになってからその傾向が強い気がする。
やはり、普段から慣らしておく方がいいのかもしれないが、見えなくていいものまで見てしまう生活というものはどうにも辛い。
今のままの方が、心情としては楽なのだ。
「手を出さないようにするというのは…どうにももどかしいな」
”生徒”たちは子供であり学生であると同時に、この島においては主役である。
そして教師とはそれを支える黒子…俺はそう思っている。
船頭に立つべきは生徒たちで、オールを漕ぐのも生徒たち。教師はそれを支える…そんなイメージ。
だから、この島で起きている問題に俺が手を出す事は極力控える。それが、生徒たちで解決できないものでもない限り背後からそっと見守るのみだ。
とはいえ…
「誰か死んだりしたら…どうせ後悔するんだけどな…」
なんて、ハァとため息をつく。この島では人死には珍しくない。
知った顔が死んだことだってある。そういう時、決まって後悔するのだ。手助けをすればよかったと。
「仕方ない事と、割り切るしかないのか」
なんて、オレンジ色の空を見上げた。
■如月 槐徒 > 「さて…この後の予定は…」
ズボンのポケットから薄い板状の端末を取り出してリマインドを確認。
端末自体は最新に近いものだが…どうにもアプリは古いものだ。最近の端末でも使える事が奇跡と言ってもいい。
画面をスクロールし、一つ一つ確認していく。
「明日の授業の準備、買い出しと生徒からの相談が一件。それと…」
画面をスクロールする指を止め、顔を顰める。
画面の真ん中に表示される『土産』の2文字。
出来ることなら見なかったことにして忘れてしまいたいが、そうもいかない。
この島で教師を続ける為には欠かせない用事だ。
「要望の方はしっかりと確認しておいてくれてるんだな」
ため息をつく気力もない。頭をカリカリと掻き、心底いやそうな表情で俯く。
しばしその姿勢のまま、気の抜けた様子でふらふらと揺れる。
「仕方ない…明日の夜か…開けておこう」
幸い緊急の用事もない。いや、あった方が個人的にはうれしいけども。
「他は…」
そのまま今日と明日のこの時間までのスケジュールの確認を続けるだろう。
ご案内:「第一教室棟 屋上」にDr.イーリスさんが現れました。
■Dr.イーリス > もし悪意を感じられるなどの異能を有する者がいるなら、四人程の悪意が屋上へと上がってくるのを感じられるだろう。
その悪意は巨悪という程ではなく、単なる不良学生レベルの悪意だ。
やがて四名の不良と、それ等に無理やり連れてこられた哀れな一般生徒がやってくる。
不良A『おらぁ、こっちだ! かつあげはやっぱ屋上だよな!』
不良B『金だせ、おらぁ!』
一般生徒は不良達により、フェンスまでおいやられる。その一般生徒は能力を持たないのか、不良達に脅えていた。
イーリスが不良達の後に続き、黒いアンドロイドを連れて現れる。そのイーリスからは悪意を感じられず、穏やかな精神状態だ。
不良と被害者生徒を見ていたイーリスだったが、ふともう一人、屋上にいた人物へと視線を移した。
「あ……」
気まずい雰囲気。
不良が誰もいないと思っていた屋上でかつあげしようとしたら、そこに人がいた。とても気まずい。
■如月 槐徒 > 「…」
誰かがやってくる気配と共に、足音と声が徐々に大きくなってくる。
端末をポケットに戻し、ゆっくりと振り返れば5人の生徒。だが、どうにも様子がおかしい。
ああ、これはカツアゲという奴だ。おそらく怯えている一人を他4人で囲む形か。
にしても、少し油断しすぎではないだろうか。時間が時間とはいえ、まだまだ学舎には教師たちが残っている。
そんな時間にカツアゲとは、随分と蛮勇だ。
黙ってみていたが、そのうち後から現れた一人がこちらに気づいた。
何やら気まずそうにしているが、とりあえずは直接の問題の方をどうにかしなければならない。
「君たち。何をしているのかな」
こういう時、どう話しかけるかは人によるが、俺は優し目でいく方だ。
あまり直接的な選択肢を提示したくないというのもあるが、押さえつけてしまうと反発するものだ。
だからまずは遠まわしに制止し、その後じっくりと話す。
少女を気にしつつ、ドアと不良生徒らの間に立って話しかけた。
■Dr.イーリス > その問いかけに、不良達はびくりと反応した。
不良A「お、おい……先公らしい奴がいるぞ……」
不良B「ど、どうする……?」
不良C「どうするって……先公の目の前にでかつあげするわけにもいかないだろ……」
コソコソ話をする不良共。
「えっと、私達六人で友達同士でして、仲良く屋上でお菓子食べようとしていました」
そう言って、イーリスはクッキーの入った袋を取り出す。
不良A「姐さんの言う通りっす!」
不良B「俺等、超仲良し!」
不良達はイーリスに合わせて首をこくこく縦に振っているが、被害者生徒だけは「それは違う!」と首をぶんぶん横に振っている。
■如月 槐徒 > 「君らの声は良く聞こえてるし良く聞こえていた。流石に少し無理があると思わないかな?」
不良生徒らと少女の言い分を一通り聞いたあとそれぞれの目をじっと見つめてから、一拍置いて切り返す。
呆れている訳でもなく、高圧的という訳でもなく、淡々という訳でもなく。諭すように、確認するように告げる。
最初に屋上に来た時に彼らが話していた内容は良く通る声だったし、彼らが聞こえていないと思っているこそこそ話もまあまあ聞こえていた。
そうでなくても、むざむざ見過ごす程放任主義ではない。本当にクッキーを食べに来たとしても介入していただろう。
それに…被害者らしき彼も、心配になるぐらい首を振っている。
「とりあえず、君。ほら、こっちにおいで」
被害者の子に声をかけ、手を差し出しながら歩み寄っていく。
特に邪魔がなければそのまま手を取り、不良生徒らから引き離そうとするだろう。
■Dr.イーリス > 「……うっ」
無理があると突っ込まれると、イーリスは表情の変化が乏しいながらも若干バツが悪そうに眼を逸らした。
不良達も冷や汗を流している。
槐徒さんに呼ばれた被害者の子は、表情を明るくして差し伸べられた手を掴んだ。不良達は特に抵抗しない。
不良A「お、おい……先公に余計な事を言ったら分かってるよな?」
不良B「何も言うんじゃねぇぞ……?」
この期に及んで被害者の子を脅す不良。あまり知性を感じられない不良っぷり。
■如月 槐徒 > 「大丈夫かな?」
不良生徒らに囲まれていた被害者生徒の手を取り、優しく不良生徒たちから引き離す。
冷や汗を流す不良生徒らに背を向け、身体で守るように立ち、被害者生徒に優しく話しかけた。
「職員室の場所は分かるかい?…よし、それじゃあ職員室で待っていておくれ」
必死に頷く被害者生徒の背中を押し、屋上から出る様に促す。
そちらには少女もいるが…目をそらしている辺り、流石にこの場で露骨な妨害行動はとらないだろう。
背後の黒いロボット?が一番の不安要素だが、まあ暴走するようなロボットなら学内には入れないだろうし恐らく大丈夫だ。
いざというときは、力づくになってしまうが…
■Dr.イーリス > 被害者の少年は涙目でこくこく頷き、先生のお陰で大丈夫だった事を示した。
そして被害者は槐徒さんに言われた通り屋上を立ち去った。
せっかくの金づるを逃し、四人の不良は露骨に機嫌が悪そうな表情になる。
「……このクッキー、最近話題になっていてとても美味しいのだそうですよ。私も気になって学生街で万引……いえ買いまして。先生にも差し上げますね」
説教に入る事を警戒して、先手を打って話題を作った。
袋のクッキーを摘まみつつ槐徒さんに歩み寄り、そして微笑しながら身長差を背伸びで埋めつつクッキーを先生の口元に持っていく。
ちょっと高級めなクッキーで、甘さは控えめ。
■如月 槐徒 > 「気持ちはうれしいけど遠慮しておくよ」
苦笑いでクッキーを差し出す手を制止し、優しく押し戻す。
万引きしたものを食べる訳にもいかないし、生徒から軽率に物を貰うのは控えるべきだ。
それにしても、この少女は比較的頭の回転が速い。
不良生徒4人が後手に回ったり混乱している中で最初に動いている。
リーダー格なのだろうか?直接手を下さないで居た辺りもそれらしい行動と言える。
そんな事を考えながら屋上の入口ドアに近づき、扉を閉める。
そして、そのドアを抑える形でもたれかかる。
(さて…どうしたものか。)
この手のトラブルは決して珍しいものでもないのだが、あまり遭遇したくないトラブルだ。
生徒には多感な子が多い。そういった子は理屈よりも感情で動くことが多いし、優先度を度外視している事も多い。
そして、何より自分を大切にしない傾向にある。
カツアゲやいじめといった行為は、他人を苦しめると同時に回りまわって自分の首を絞める。
情けは人の為ならずと言うが、悪事にも似たような事が言えると思っている。
そんな理由で生徒たちに苦しんでほしくはないのだ。
「ひとまず…今回は風紀委員会には通達しない。他の先生方にも君たちがやっていたとは言わないでおこう。約束する」
先ほどより、少し神妙な顔つきでゆっくりと話し始める。
「だから、素直に何をしていたのか、話してくれないか?」
少女の方を見て、問いかけた。
■Dr.イーリス > 「それは残念です」
押し戻されたクッキーを自分の口に持っていき、小さく齧る。噂通りに美味しい。
ドアを閉めるために移動した教師の横をイーリスは並んで歩く。
続く槐徒さんの言葉に、四人の不良達はどこか安堵していた。
「それはとても寛大な対処、ありがとうございます。私達としても、風紀委員に通達されるのは大変困りますからね」
常習犯なので風紀委員への通達は今更という感覚もあるイーリスだが、やはり通報はしてほしくないものだ。
「少しだけお金を借りようとしていただけですよ。彼(被害者)とは友達ですからね。その際にあの方達が少々乱暴に振る舞ってしまっていた事は後で私から謝罪しておきますね」
被害者とは友達でも何でもなく、さらに後で謝罪はするというのはむしろ後ほど被害者の子と接触して再びかつあげするための口実である。
とても裏のある発言を先生にした。
■如月 槐徒 > 「いや、その必要はないよ。謝りたいのなら、俺の方から伝えておく」
他の部分は兎も角、その部分は看過できない。少女の発言がひと段落してから切り返す。
あれほど怯えていた彼と、少女らを再度接触させるのは明らかに良くないだろう。
もし何かしら正当な理由があるにしろ、その関係性のあり方は第三者を介入させるべきだろう。
「そもそもの話になるけどね…生徒間に限らず、金銭の貸し借りっていうのはかなり慎重になるべきことだ。
証人を立てたり、書面を交わしたり…そういった形をとったとしても、安心とは言えないよ。」
そういう話ではないのだが、ここで少女の言い訳をしっかりと潰しておくことが大切だろう。
良くない事は良くないと教えるべきというのもそうだが…抜け道を残しておくことは、彼女たちの為にもならない。
「友人であるならば、その関係を壊さない為にもやめた方がいい。
何か事情があって金銭に困っているのなら、生活委員会に相談するといい。なんなら、俺が話を聞いてもいい。」
逃げられないようにはしている。じっくりと話そうじゃないか。
■Dr.イーリス > 先生の侮りがたしな対応に、イーリスは目を丸くした。
さすがは大人、さすがは教師と言うべきか、思うように話を進めてくれない。
「……正論。ぐうの音も出ないですね……」
正しい生き方なんて全くしない不良少女だが、先生が述べる正論に屁理屈を捏ねる気にはならなかった。
イーリスはそのような正しい生き方はしないし、今後も先生の言葉を厳守する気はないのだが、先生の言う事が倫理的観点で言えばどこまでも正しいというのは理解する。
「…………うっ」
バツが悪そうに目を逸らしてしまう。
先生の言い回しがどんどん逃げ道を塞がれているという感覚。生活委員会に頼ろうものなら、これまでの悪い行いもあるので風紀委員が飛んできかねない。そもそも生徒証自体が偽造……。
というか、仮に健全な身だったならば生活委員会を頼ればなんとかなるものなのか、と今気づいたかのように思案している。
「いえ、お気持ちだけで十分です。ありがとうございます。それでは私達はそろそろ失礼したいと思います。通してください」
まるで早々にこの場から立ち去りたいかのようにそう述べる。
■如月 槐徒 > 「通すのは構わないよ。」
ニコリと笑って
「だけど、その前にいくつか伝えておかなければならないことがあるから、よく聞くように」
すぐに、先ほどの真面目な表情で少女を見る。
そして、続けて不良生徒4人も見つめるだろう。
「まず一つ目。今回は見逃すけど、次はない。」
一本指を立てる。
見つからないようにするだけかもしれないが、そうはさせない
「二つ目。誰がやったかは秘密にする、誰がどんな目にあったかは共有させてもらう。」
二本目の指を立てる。
これで、人目につくような所ではやらないようになるだろう。
それだけで、随分と守れるはずだ。
「三つ目。あの子には近づかない事。あの子っていうのは、さっき職員室に行かせた子のこと。
不定期に聞き取りするし、それで何かあれば風紀委員会に連絡する」
三本目の指を立てる。
これで最低限、あの子からは手を引くのではないだろうか。
次の被害者が生まれるかもしれないが、今守るべき生徒は守れるだろう。
「この三つを承諾してくれるなら、通っていいよ。」
そういえば、先ほどまでの様子はどこへやら。
再びニコリと笑いかけ、道を空ける。
通ったとしても、何か妨害したりすることは無い。
■Dr.イーリス > 槐徒さんに見つめられた不良四人は、びくっ、と僅かに体を震わせた。
しかし、槐徒さんから提示された条件を聞けば、不良達の表情はだんだん怒りのものへと変わっていく。
いや、彼は教師として当たり前とも言える提案をしているだけだ。何なら今回は見逃すという事で、穏便に済ませようとすらしているだろう。
不良A「ふざけるなっ! 先公風情が、下手に出ればいい気になりやがって!」
不良B「俺達が先公の言う事を素直に聞く事はねぇよなぁ?」
不良C「俺達に逆らえなくなるぐらいに、ぼこぼこにしてやればいいぜ!」
不良四人がしびれを切らし、扉にもたれかかる先生を囲んだ。だが彼等は所詮、一般人では喧嘩が強いってだけの不良という程度でしかない。
■如月 槐徒 > 「好きにすればいいけども。
俺も黙ってやられはしないから覚悟だけはしておけ」
語尾に少し威圧を込めて4人をにらみつける。
こちらからは手を出さないが、先に攻撃されればその限りではない。
とはいえ、出来る事なら避けたいものだが。
「言い方を変えてもう一度だけ言うけど
今後カツアゲみたいなことは一切しないでくれるなら、今回は黙って見逃すよ
それじゃ不満だったかな」
囲まれても何ともない様子でいるだろう。