2024/06/18 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」に武知 一実さんが現れました。
■武知 一実 >
「っ……く、ぁぁぁあ~」
今にも降り出しそうな雲の下、オレは校舎の屋上のベンチに転がって欠伸をしていた。
結局昨日は浜辺から歓楽街まで風紀と鬼ごっこを繰り広げ、部屋に帰る頃にはすっかり夜も更けたりしていやがって。
そっから飯だ何だとしてたら見事に睡眠不足である。 いや、5時間くらいは寝たけど。
「成長期なんだし8時間は寝とかねえとなぁ~……ふぁ」
授業中にでも寝れば良かったのだろうが、ただでさえ喧嘩が内申に響いてるかもしれないってのに、悪目立ちするわけにいかない。
別に不良じゃねえんだオレは。 人に言うと疑われっけど。
■武知 一実 >
「この調子で寝る時間削られたら学業に響くわな……
はあ……巷が落ち着くまで喧嘩控えた方が良いんかねぇ?」
別にオレから喧嘩売って回ってるわけでは無いので、立ち行かないとなれば休業も已む無しだ。
少なくとも風紀の警邏が減るまでは、……することがねえ……。
「まったくよ、どこの誰だか知らねえが幼気な1年生の生活を脅かすんじゃねえよ……」
こっちはただでさえ背水ってんだぞ。
同じ様な愚痴をクラスメイトに溢したら、10:0で自業自得、って言われたけど。
■武知 一実 >
「せめて騒ぎのある場所から逆算して警邏が手薄になってそうな場所なら……」
オレは制服のポケットからスマホを取り出すと、ゆるゆると最近のニュースについて調べ始める。
対象は昨日浜辺で会った……えーと、イーリスっつったっけか、との話でも出た怪人について。
「……学生通り、歓楽街、常渋、落第――オイオイオイ、あっちこっちでホント好き勝手してんなぁ。
て―――……あ゛?」
目に留まったのは最新の動向。
常夜街にて件の怪人が女子生徒と交戦した、というもの。 オレの見間違いじゃなければ、知った名前が挙がっていた。
とりあえず一度スマホから視線を外して意味も無く空を見てからもう一度スマホを見た。 ……見間違いじゃねえな。
「……や、戦りそう~~」
一通り記事に目を通したオレの感想は、それだった。
■武知 一実 >
「つか……『風紀委員の制服も腕章も無いが』ってアイツ風紀じゃなくて一個人として戦りに行ってるよなこれ。
胴着に袴姿って、確実にオフの私闘だよな」
スマホをポケットに放り込み、オレは今にも崩れ落ちそうな暗雲を見上げた。
………
■武知 一実 >
「オレには何やかんや言っといて自分は喧嘩しに行ってんのズルい!!」
■武知 一実 >
しかも怪我までしてやんの。
ズルい。ムカつく。職権乱用だろ。大人ってズルい。
「はぁ~……今度顔合わせた時に文句言っちゃろ……」
道場やってる時に乗り込んで文句言ってやろ。
よし、そうだそうしよう。 さすがにこればかりは腹に据えかねますよオレは。
……楽しかったんだろうなあ、クソっ
■武知 一実 >
「オレも喧嘩しに行ったろかな……けどまあ、これまで以上に風紀が出回りそうだし
やっぱしばらく休業かねえ……ホント、自分だけ楽しみやがって……」
ムカつきがちょっと納まらない。 身勝手が過ぎるだろ。
でも、不思議と怪我の程度の心配とかそういう気持ちは沸いてこない。
実感が無い……んだろうか。 本人を前にすりゃまた変わるかな。
「とりあえずまあ……今このムカつきをスッキリさせとこ」
オレはどんよりとした空へと腕を伸ばし、狙いを定める様に雲の塊を指差す。
パチパチと大気の爆ぜる音がして、肩から指先に向けて火花放電が昇る様に現れては弾けて消える。
火花の量は次第に増え、パチパチと微かな破裂音は次第にバチバチと大きくなり、掲げた腕全体が青白く発光して―――
■武知 一実 >
バン!!!
――と巨大な発砲音にも似た音を立てて、オレの指先から雷が放たれる。
オレの苛立ちを乗せた雷は弾丸のようにまっすぐに、自然現象とは真逆に天へ向かって昇って行き――黒雲に吸い込まれるように消えた。
「ふぅー、ちょっとスッキリ。
……晴れはしねえけど、これくらいは本人にぶつけたろ」
微かに苛立ちと呼ぶほどでもない、何だかモヤッとした気持ちが残ったのは正直予想外だったけれど。
ま、気にする程でもねえから気にしない。
「さて、それよか今ので誰か来るかもしれんし、変に疑われる前にトンズラするかねえ」
雲も何だか活性化した気がする。 ホントにいつ降り出すか分からなくなった。
オレは寝そべっていたベンチから起き上がると、長くなった袖を捲りつつ立ち上がる。
……あ、ズボンの裾も折らねえと。
■武知 一実 >
ざわざわと階下で生徒たちがざわめくのが聞こえる。
ちょっとばかし騒ぎになりそうな気配を感じて、オレは早々に屋上から退散したのだった。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から武知 一実さんが去りました。