2024/06/28 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」に龍宮 鋼さんが現れました。
龍宮 鋼 >  
放課後、屋上のベンチ。
周りに誰もいないのをいいことに、ベンチに深く腰掛けて煙草を吸っている。
このご時世に未だ紙煙草である。
深く吸い込み、煙を吐き出す。

「ぁー……」

明らかに疲れた顔。
母校に教師として赴任し、三ヵ月が経った。
学生をしていた頃は知らなかったが、教師と言うのはやらなければいけないことが多すぎる。
授業は勿論のこと、会議もあれば書類仕事だってある。
休み時間でも生徒がからの質問に答えなければならないし、口うるさい上司のオバサンの説教も聞き流さないといけない。

「センセー達ァ偉かったんだなァ……」

今更ながらに思い知る新人教師であった。

ご案内:「第一教室棟 屋上」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > とある戦いで右腕と右足を失っており、右肩や右太腿、顔の右半分には包帯が巻かれて機械仕掛けの車椅子に乗る不良少女、イーリスが屋上にやってくる。

「先程、図書館で借りた本をここで読みましょうか」

車椅子に座るイーリスの膝には数冊の本が乗っていた。
屋上のベンチには、教師と思しき人物が座っていた。なんと学園で煙草を吸っているという、中々大胆な教師のようだ。

もしや……。

と、イーリスはその教師に覚えがあった。
その人物なら、学園の屋上で煙草を吸っていてもおかしくないだろう。

「あなたはもしや、かつて“伝説の不良”と畏怖されていた龍宮鋼さんですね」

かつて落第街でチームを作り、その一部をナワバリとしていた、現在でも落第街の一部で語り継がれる伝説の不良がそこにいた。

龍宮 鋼 >  
「あ?」

上を向いてぷかぷか煙を輪っかにして遊んでいたら、自身の名前を呼ばれた。
そちらを見れば、包帯グルグル巻きの車椅子の少女。

「――あー、そのタツミヤハガネかどうかは知らんけど、確かに俺ァ龍宮鋼だなァ」

伝説の不良とか呼ばれてたんか。
そんな大仰な呼び名に一瞬ぽかんとした表情を浮かべるが、とりあえず名前はあっている。
ベンチに座り直し、ポケットから取り出した携帯灰皿に煙草を放り込んだ。

「んで、オマエさんは何年生の某さんよ?」

でっかく開いた膝の上に肘を乗せ、ずいと上半身を乗り出して。
教師とは思えない威圧感。

Dr.イーリス > 不良の武勇伝は尾鰭がついちゃうもの。
伝説のように語っていくのも敬意の表れという部分もあるだろう。
鋼さんから放たれる威圧感はさすが、かつて落第街の一部をシマにしていただけはある。

「私は一年、Dr.イーリスとお呼びください。かつてのあなたと同じですね。まともに授業に出ておらず、迫りくる試験をどう乗り切ろうと悩むしがない不良生徒です。鋼さん程の伝説もありません、多分」

しかし、その威圧感には動じなかった。不良生徒は、よく威圧されるものなので慣れている。

「試験を目の前に、現実逃避して本を読もうと思いまして」

駄目なパターンの人。
膝に積まれている本自体は科学本だったり、異能や魔術の研究に関する本ではあるが。

龍宮 鋼 >  
「オイオイオイオイ。
 さっきから伝説伝説ってオマエ、んな大したことしてねーだろうがよ。
 ただチンピラ集めてイキリ散らかしてただけだろうが」

落第街の一部をシマとか言って我が物顔でのし歩いていただけだ。
そんなチームぐらいいくらでもある。

「オマエなぁ、一応俺ァセンセーだぞ。
 センセーの前でぐらい、真面目なフリしとけよ」

なるほど自分で不良少女と言うわけだ。
ハァー、と盛大に溜息。

Dr.イーリス > 「そう謙遜する事もないでしょう。不良の界隈、言うほど大した事がなくても伝説だとか慕われる事もあります。伝説を自称する人もいるぐらいですからね」

その手のチームはいっぱいあるけど、それ等も大袈裟に武勇伝と語られる事も多いので、伝説というのは本当にある種の敬意。

「あるいは、謙遜というよりかはかつての武勇伝が今となっては黒歴史となってしまいましたか?」

きょとんと小首を傾げる。
中には、かつてイキリ散らかしていた事が年月を経て大人になり、黒歴史と感じてしまう人も多いらしい。

「真面目なフリをして筆記試験の点数が上がるわけでもありませんからね……。優等生は今頃、試験勉強で青春の一ページを綴っている最中でしょうか」

少し遠い目をしている。

龍宮 鋼 >  
「そういうこっちゃねェよ。
 そんな下らねェことを伝説とか言ってることが問題だっつってんだ」

自分の態度を謙遜と取られること自体が危うい。
組織の目的の方ではなく、行動自体を過度に武勇伝として扱うのは不良によくあることではあるのだが。

「バカを何とかしてえっつー態度を見せろっつってんだよバカ。
 ――数学なら教えてやれるぞ」

隠すことなく自分はバカですと宣言しているようなものだ。
テストの点数が悪いことが悪いのではなく、それを隠そうともしないのが悪い。
額を右手で抑え、自分の担当教科ならば教えると。

Dr.イーリス > 「そのくだらない事もまた青春……というのは、鋼先生の望むものでもなさそうですね。あまり調子に乗って武勇伝とか言って羽目を外しすぎると、風紀委員が般若の形相で駆けつけてくるのも確かです」

くだらない事を武勇伝と言い出すのもまた不良の青春、という考えもそれはそれでいいけど風紀委員の厄介になればそのまま牢獄に入れられる事もある。
イーリスの場合は、既に風紀委員に目をつけられる事もある立場だが。

「む……。試験で点数が悪くなりそうなのは確かですが、バカ呼ばわりですか……」

バカ呼ばわりに、むっ、としてしまう。

「う……。試験勉強……。その……また……今度お願いします。数学はあれです……えっと、やばめですけど、えんぴつを転がせばなんとかなるかもしれません」

目を逸らす。物凄く試験勉強を嫌がっていた。
えんぴつを転がすというのは、六角えんぴつの格面に数字を書いて答えを運命に任せる解答方法である。

龍宮 鋼 >  
「青春つっときゃ聞こえはいいが。
 やってる事ァ他人様に迷惑掛けてるだけだかんな。
 止めやしねェが、そこんとこは忘れんなよ」

あとから思い返せば楽しかった、と言うのは否定はしない。
しないが、結局それで迷惑を掛けているのは事実だ。
正当化はするな、と釘を差しておく。

「ッハ、実際バカだろうがよ。
 エンピツ転がして今回乗り切ったって次どうすんだ。
 今やってることがわかんねェと一生わかんねェんだよ」

特に数学は積み重ねが大事な教科だ。
順番に理解していかないとわからないように出来ている。
むしろ今をその場しのぎでどうにかなってしまう方がまずい。