2024/07/02 のログ
■先生 手紙 >
「まァおれはおれで自力だったけども」瑣事である。
「試験なァ。テストって言うけど、アレは学園側が生徒の習熟具合を確かめる一面があるからね。で、この島は特別だ。特定の分野で突出した――たとえば君の機械に対するアプローチとかさ。そういうのの『可能性』を見出したいンだよ」
誰に何ができて、できないのか。補えるか。伸ばせるか。単純に勉強のできない生徒を苦しめる拷問めいた行事ではない、と。三年を三回やってる留年生はそんなことを言ったのだ。
「それこそ頭を回せよ不良ども。手伝いにも色々あるだろ?囲んで棒で叩くのも手だが、タイマンの場を整えることだって立派な手伝いだ。インテリ目指せっつったのはツッパるにしたって柔軟性を忘れンなよってことよ」
……ああ、やっぱり説教くさくなる。だが自分より年下の、未来ある子どもたちの芽は摘みたくないのだ。より良い未来、というのを提示してやりたいが。そこまで先生手紙はニンゲンが出来ていない。
「だろー?実際あの煽りは覿面だったからね。言葉というよりも意思が伝わる感じかな。……まあ、厄介なのはあんな低能よりもニンゲンがベースになった個体と出くわすことなんだが……」
不良少女を見上げる。自分にあるように、この子にも譲れないモノがあるのだろう。
「ま。どうしようもなくなったらじゃ遅いからさ。先に知っておくといい」
――男は、落伍者を切り捨てるのか。否。
「……『単独捜査本部』はイーリスちゃんを助けるよ。ナイトは好みの役じゃあ、ないけどね。一緒のポストに乗った仲だし」
■Dr.イーリス > 「手紙さんもやはり、感染しかかった事はございましたか。しかし、そこはさすが手紙さんでございますね」
尊敬の眼差しを手紙さんに向けた。
「学園の試験もやはり意味があるものなのですね。ま、まずい事になりますね……。このままでは、私は何の取柄も可能性もないという烙印を学園に押される事になります。わ、私はメカニックではありますけど、その『可能性』を学園に示せていません……」
やや顔が青ざめる。
何の取柄も可能性もない、という結果が答案用紙を返された時に現実として叩きつけられてくる。
ベテランの言葉には重みを感じられた。
不良A「無理っすよ。俺等に頭使えって、無茶っす」
不良B「それはそれとして、タイマンの場を整えるってのはやらせていただきたいっす」
不良C「作戦を考えるのは姐さん頼りっすけど、その分、男見せやす!」
不良達はそれぞれ、マッスルポーズを取った。なんかばかっぽいけど、どこか爽やか。
「意思の理解だけにとどまりません。厄介な事に、紅い鮫には優れた知恵がありました。それでいて獰猛でもあります。人間ベースの個体となると、より厄介ですね……。さらに知恵が研ぎ澄まされたりもするかもしれませんし……」
イーリスが紅い屍骸で厄介と思った部分の一つは、その知恵だ。パンデミックなゾンビなようで、思考し、戦略を立てて、悪意を振りまく。
「手紙さん、ありがとうございます。幾度も紅い屍骸と戦った手紙さんの助言、私の心に刻んでおきます」
イーリスは目を細めて、微笑んでみせる。
「手紙さん……。嬉しい、です。私のような不良であっても、助けると、そう仰っていただいて」
綻ばせる笑み。
手紙さんの事がとても心強いと、イーリスはそう思えた。
紅い屍骸への恐怖はない事もない。だけど、手紙さんが助けてくれる、その言葉で恐怖はだいぶ和らいだ。
「手紙……さん。スラムや落第街が紅い屍骸によるパンデミック状態で、私も……これからも紅い怪異には立ち向かおうと思います。しかし、そんな中でも、手紙さんと連絡を取り合えたら心強く思います。私と連絡先の交換をしていただけませんか?」
そう口にして、スマホを取り出した。
■先生 手紙 >
「まァ毎度無傷で事を成せるようなつよつよじゃないからねェ」
場数だけが取り柄です。やぁね。荒事に慣れるというのは。
「だろう?だからまず、追試で芽があることを証明するンだ。他ならない君が、君自身のために。見せつけてやればいい」
「君らもだ。無茶っつーけど最初に自分が自分を見放してどーすンのさ。君らの最大の味方は君ら自身なンだぜ?」
二本目の煙草を銜えて、シニカルな目線を向けた。
「……悪意の定公進化、ってヤツだなあ。どれだけ悪辣になれるか……だからニンゲンベースが一番タチが悪い」
なんだかんだと、悪魔よりも悪辣なのはこの我々と言う種族であると、先生手紙は自覚している。
「あー。いーよいーよ。利害の一致なだけだし、君の才能の開花が『害』になった時は、またそれを諫める側に回るだけだし。フツーだろ。おれも不良みたいなもンだし」
紫煙を吐く。
「……いいよ。こっちとしても動向が掴めてた方が都合がいい」
学生手帳――オモイカネ8を取り出す。先生手紙仕様のソレから、一般にあたる番号とアドレスを提示して見せた。
■Dr.イーリス > 「あの紅い化物相手に毎回無傷、というのは端っから難しい話だと思いますが、手紙さんはつよつよなように思いますよ」
……それはそれとして、関わっていく内に、感染のリスクがどんどん上がっていく危険はあるのだろう。一度は耐えられても、二度目、三度目が感染に耐えられるかなんて分からない。
「……追試は、重要なのですね。しかし、追試で芽があることを証明するには勉強が必要です……。う……」
お勉強しなければいけない事を露骨に嫌な表情をする不良少女。
不良A「俺等の最大の味方は俺等自身……。深いっすね」
不良B「俺達には理解の及ばない、尊い考えなんっすよ」
不良C「さすが、パイセンは言う事が違うっすね」
手紙さんを尊敬していながらも、肝心の手紙さんが伝えたい事がうまく伝わっていないような反応をしてしまう不良達。
「……まさしく悪知恵ですね」
紅いゾンビは、とても悪魔的な頭脳を持っている……。手紙さんの言う通りだ……。そのような悪辣な知恵を持つ存在が人間ベースとなったならば……。
「そうでしたね。一度、あなたに手錠をはめられた事を思い出しましたよ」
笑みが一転して、やや不敵なものになる。
立場としては、手紙さんは島の平和を守る公安委員で、イーリスは島を乱す事もある不良。紅い屍骸の件で利害が一致してはいるものの、今後手紙さんがイーリスの手に手錠をはめる事もないとはならない。
お互い連絡先を交換し合い。タオルを手紙さんに返した。
「ありがとうございました。私達はそろそろ行きますね。手紙さん、それでは」
イーリスは右手を振り、屋上の階段を降りていく。イーリスに不良達とメカニカル・サイキッカーが続いた。
ご案内:「第一教室棟 屋上」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」に先生 手紙さんが現れました。
■先生 手紙 >
「それは買いかぶりすぎだよ。おれはまぁ、その辺に居る不良の独りってことで」
お茶を濁す。――追試を受ける気にはなってくれただろうか。
そして不良たちから謎のリスペクトを受けてしまっている。正体を明かした時に、彼らはどんな反応をするのか――まァ、いま考えても詮無きことだろう。
「……ン。風邪には気を付けるンだぜ、不良諸君」
彼女らを見送る――煙草は、今少しの猶予を、その紙巻に残していた。
雨は、上がっていた。
――残されている人間性。こういう時、空に探してしまうのだ。
虹が。かすかな幸せが出ていやしないかと。
ご案内:「第一教室棟 屋上」から先生 手紙さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 食堂」に落花彩晴さんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 食堂」に黒羽 瑠音さんが現れました。
■落花彩晴 > 午前の講義が終わり、待ちに待った昼休み。
生徒も教職員もごった返す食堂だが、かなり広いスペースのお陰か空いた場所もそれなりにある。
…そして、割と隅っこの方にちょこん、と一人腰掛けて食事を摂る少女が一人。
「……。」
時々、ちらりと周囲に視線を送る。友達同士、カップル、大人同士、みんな雑談をしながら食事している。
…正直ちょっと、いや、かなり羨ましい。実は割と人見知りの気がある少女は見ての通りぼっちだ。
(…別になりたくてぼっち飯してる訳ではないんですけどね…。)
未だにクラスメートとも微妙に距離がある。
ハブられてはいないし、軽い会話くらいなら普通にする。
ただ、友達と呼べるほど打ち解けた相手はまだ一人も居ない。
ちなみに、少女の食事はシンプルな『かけうどん』である。
具材はネギ、かまぼこ、天かすくらいのシンプルなヤツ。
■黒羽 瑠音 >
「うーん、うーん」
唸りながら食堂を歩く私、何を隠そう
「さっきの授業、結構難しかったなぁ」
そう、一応得意なつもりだった数学の授業の内容が難しかったのである
いやまぁ当然といえば当然かもしれない、今まで同じ年齢、で習っていた学校と違って……
「小中高とか、そういう区切りないんだもんねぇ」
そういった区切りが無いが、それに応じた『学習』は出来る、とっても自主性が求められる学校である
「宿題どうしよっかな、早めに終わらせときたいけど……」
そういいながら今日のお昼のごはんが乗ったお盆をもって歩く、今日は友達もいないし、一人で……
食べようと思った時、ふと同じように一人でご飯を食べようとしている人を見かけた、あれは確か
「さっきの授業でもいた……」
何さんだろ、自己紹介とかがあるわけでも無いから当然名前も知らない人である
「こんにちはー、此処、座っていい?」
なので、話しかけてみる事にした
なお今日の私のお昼ご飯はコロッケうどんである、甘味のあるコロッケが汁にひたひたするさくじゅわがたまらないのだ
■落花彩晴 > (まぁ、私に勇気が無いだけなんですよね、多分)
はぁ、と溜息を零す、ついでにさっきの数学の授業でもちょっと理解力が足りなくてこのままだと小テストが危険域だ。
二重の嘆きを抱えていた少女だが、声を掛けられて一瞬びくっとする。
「へ!?あ、はいどうぞどうぞお座りくだひゃい!」
……噛んだーーー!?もの凄い恥ずかしい!恐る恐る声を掛けてきた少女を見上げ。
「…あれ?…あの、私の記憶違いでなければ…。
さっき数学の授業にも居られた方…ですよね?」
顔に覚えがある。ただ、残念ながら少女も彼女の名前を知らなかったのである。
むしろ、授業に付いていくのに必死で、顔は覚えていても他の生徒の名前まで気が回らなかったと思われる。
あと、『コロッケうどんとはこの人やりますね…!』と、謎の感心をする少女であった。
■黒羽 瑠音 >
「ありがとう♪」
おおぅ、何だか吃驚してる、急に声かけたからかな?
それにしても……片眼鏡なんて初めて見たなぁ、何だか知的な感じ
「そうだよ、やっぱり会ってたよね?」
「黒羽瑠音、ちょっと前に転入してきたんだ、よろしくね」
ともあれOKを貰えたのでいそいそと座りつつ、笑顔で挨拶
そのままぱきっ、と割り箸を割って……
むむ、かけうどん…シンプルイズベストって奴だろうか
私にはまだ魅力が分からないけれど
あ、でもうどん屋さんで天かす入れ放題だとついつい沢山いれちゃうよね
「折角だから一緒にご飯食べたいなって、さっきの授業も難しかったからおさらいとかしたいし……」
「先生は丁寧に教えてくれてたけど、三平方の定理……って私の学校だと(中学)三年生の教科書に載ってるやつだよー!」
■落花彩晴 > 「いえ、どういたしまして…?」
いけない、今の私はコミュ障の陰の者になっている気がする。
ちなみに、片眼鏡は学園内でもあまり見かけないので、少し珍しい…?かもしれない。
単純に、少女が同じ片眼鏡の人と遭遇した事が無いから、というだけの根拠だが。
「あ、私は落花彩晴といいます。最近転入されてきたんですね…よろしくお願いします、黒羽さん。」
少し落ち着いたので、椅子に座ったまま綺麗な一礼を。右手に箸を持ったままなのでシュールだが。
ちなみに、少女がかけうどんなのは単純にシンプルな食事が好みだから、である。
とはいえ、そればかりではなく…今回はたまたまドストレートにシンプルな昼食、というだけだ。
あと、天かすはどっさり入れる派です。地味に好きなんですよね天かす。
「あ~…私も、数学は苦手分野なのでお浚いとかはしたいかもですね…。」
うんうんと相槌を。こう、同じ科目が苦手というだけでシンパシーを感じる。
三平方の定理――a2+b2=c2の数式で表されるものだ。
「…直角三角形の二つの辺の値が分かれば、残る一つの辺の値も計算できる…というやつですね。」
一応、そこは理解できた。同じく先生が丁寧に教えてくれましたので。
■黒羽 瑠音 >
「イロハさん?綺麗な名前だな~」
しかもイロハさん、オッドアイって奴?絵でしか見たことないや
何というか雰囲気も落ち着いた感じだし、ちょっと憧れちゃうかも
「あ、そうなんだ、うんうん、2乗……って奴」
「一応中1の時の授業からおさらいはさせて貰えたけど、やっぱり一気に詰め込むと頭がパンクしそう」
「因数分解を習う前に来てたら危なかったかも」
うどんをずず~~っとすすってまだサクサクのコロッケをひとくち、うん、あま~い♪
「実家の方だったら結構いい点数取れてたんだけどなぁ、いや、それをいってもしょうがないんだけど」
「あ、そうなんだ、えへへ、一緒なのはちょっと嬉しいかも、なら見返したりしよっか」
そういいながら数学の教科書を持ち出して、軽くぺらぺらと
「この先も…… おおぅ、知らないのが一杯」
この一冊で中学の数学を全部習うだけあって、教科書のサイズも内容もかなりがっつりしてるっぽい
今後を考えて少し唸ってしまう私である、うぅ
「異能の研究、学校の授業、部活と委員会探し… その他諸々」
「やる事一杯で大変だぁ」
と思わず零しつつ、お茶をごくりと飲み干すのである
■落花彩晴 > 「…ふぇっ!?…あ、ありがとうございます…。」
いけない、完全に挙動不審ではないだろうか私。
名前を褒められた事なんてあまり無いので、ちょっと驚いてしまった。
ちなみに、落ち着いている…ように見えるだけで、実際はこんな感じです。
「…私も島の外からこちらに来た側ですけど、色々家庭の事情もあってあまり勉強してなかったんですよね…。
だから、中学生の勉強も結構厳しくて…。」
少女は16歳。外で言うなら高校1年生くらいだ。けれど、中学の3年間は殆ど登校できなかったりしたので、授業内容は追いかけるだけでも大変だ。
そういう意味では、もしかしたら黒羽さんの方がきちんと理解出来ているかもしれないなぁ、と思う。
掛けうどんを啜りつつ、このシンプルな出汁が効いたお汁が美味しいのです…ズズズ。
「…黒羽さん、話を聞く限り普通に私なんかより全然頭が良いのでは?」
と、首を傾げつつも、見返すという言葉には小さく笑って頷いた。
こう見えてそこそこ反骨心はある。と、いうか根っこがそんな感じなのだ。
「…憂鬱になりますよね、それ見ると。…気持ちは分かりますよ。」
私もそうですし。小テストとか毎回綱渡りをしているみたいで怖い。頑張ってはいるのだけど。
「異能の研究……あ、部活や委員会に興味がおありなんですね。まぁ、私たち学生ですものね。」
自分も、まぁ式典委員会に所属しているし…部活はまだ無所属だけれども。
「…でも、大変なのは言い換えれば”充実している”とも取れますから。
きっと、黒羽さんもこれからもっと”大変”になったりしますよ?」
と、少し砕けてきたのか小さく笑ってそんな言葉を述べる。
■黒羽 瑠音 >
「そうなんだ、なら私も協力できることありそうかも、地理以外ならいちおー人並みにはできるつもりだし」
「ふふ、お世辞はいいよ~~それに、勉強だけが頭の良さじゃないって父さんも言ってたし?」
「あ、でも学校の勉強は考えるために必要な基礎造りみたいなものだからちゃんと習いなさいともいってたけど……」
ごくごくと衣の浮いた汁を軽く啜る、これもおいしいんだよね~油っぽいのがまた背徳感
「憂鬱だ~この前もルームメイトの友達に教えてもらったし……覚える事自体は嫌いじゃないんだけど」
「これを乗り越えたら世の14歳の中ではインテリの部類になれると信じて頑張ってます、うん」
最後の方まで一度開いてから、ぱたんと閉じてずるるる、と残ったうどんを啜っていく
「そうそう、私の転入理由は自分の異能の研究だから……それに折角の学生生活、部活も委員会も参加してみたいよね」
「この前委員会街にはいってみたんだけど、まだこれ!って所が無くって……」
結局まだ何処に入るのか、委員会も部活も決めていないんだよね、切欠が無いともいうけれど
「大変、かぁ……そうだね、充実してるって意味での大変なら寧ろ歓迎かも」
「トラブルって意味ならちょっとごめんだけど、まぁ、その時はその時だよね」
■落花彩晴 > 「地理は…まぁ、私はそこそこですかね。あと国語方面も多分。英語と数学はもう…えぇ…。」
数学もだけど特に英語は厳しい。ちょっと遠い目になるが直ぐに我に返り。
「…勉強は大事ではありますけど、それがすべてではありませんものね。
ただ、黒羽さんのお父様が仰る通り、基礎がしっかり身に付いていないとそこから積み上げようとしても崩れてしまいますから。」
基礎は基本にして奥義である。…これは武芸方面のアレでしたか。
ただ、何事も基礎というものはその分野の根幹を成すものである。基礎があるから応用があるように。
「ルームメイト…(いいなぁ…。)…うん、黒羽さんのその真っ直ぐさは素敵だと思います。」
年齢がどうこうでは決してないけど、2歳年下とは思えないなぁ、としみじみしながらうどんを頂く。
「…確かに、異能研究もこの島は最先端でしょうし…そういう方は結構居てもおかしくは無いでしょうしね。」
委員会…成程、黒羽さんはまだ決めあぐねている段階らしい。
ここで式典委員会をアピール!…出来る程陽キャではないのが少女の駄目な所だ。
「どちらかというと、慎重に決めた方がいいのは委員会の方でしょうか?
部活動は、もっと気楽に選べるというかそんなイメージがありますね。」
同好会も含めて、部活動は学生活動の華の一つ。運動系、文科系、よく分からん系など色々あるだろう。
■黒羽 瑠音 >
「英語も文法とか色々覚える事多いよねー」
「あいきゃんすぴーくいんぐりっしゅ、SUKOSHI!」
いぇーい、と手を上げつつ
「そうそうそんな感じ、初心忘れるべからず、だっけ?」
「うん、今も研究員さんと色々調べて貰ってるよ、まぁ何というか……」
「今のところは何も分からないのが分かってきてる、って感じなんだけど」
最近研究員さんと一緒に調べた内容も、いってしまえば"そんな感じ"の内容で、流石にちょっと眉間にしわをうーん、とよせてしまう
「委員会かぁ、ちなみにイロハさんは何処かに入ってたりするの?」
「部活動は確かに、うん、向こうじゃ聞いたことの無いような部活も沢山あるよね」
「名前を聞くだけでも目移りしちゃって困るくらいには多いし」
うんうん、と頷きながら同意する、色々多いけど、その分気楽に入れそうではある、とはいえ
「楽しそうで……そこにいる人と仲良くできそうな場所がやっぱりいいよね」
■落花彩晴 > 何となく「い、いぇ~い…」と、ぎこちなく少女も手を挙げてみる。…あ、周囲の視線が。すいませんすいません。
「そうですね。初心を忘れた積み重ねは、多分望んだものや目標と違った方向に行き着いてしまいそうですし。」
うどんのお汁を飲みながら。初心…今の私には自分自身に刺さる言葉だけど。
「……差し支えなければ、でよろしいのですが黒羽さんの異能はどんなものなのですか?」
あくまで、話せればで構わないというのは前提として、少し興味を惹かれたのか質問をしてみる。
…そう尋ねる少女は異能情報が未申請なのだけど。
ともあれ、眉間に皺を寄せる黒羽さんの顔を眺めつつ…かなり難解な異能なのだろうか?と。
「私、ですか?えぇと…式典委員会という所に末席ながら所属しています。
一言で言えば、島のイベントの運営管理や、後は交渉とかがメインでしょうか。
…私はド新人なので、そちらには殆ど携わっていませんが。」
主に裏方雑務ばかりですねぇ、と微苦笑を浮かべて肩を竦めてみせる。
この少女にしてはそれなりに砕けた態度だ。黒羽さんの明るい空気に感化されたのかもしれない。
「――自分も、その部活の人もみんなが笑って楽しく過ごせるのが一番でしょうしね。」
微笑んで頷く。私も部活動…探してみようかなぁ、とふと思う。何があっただろう?
■黒羽 瑠音 >
「そう、初心を忘れ、曲がっていってしまう……」
「漫画とか小説でいう『悪堕ち展開』みたいなやつですねっ」
悲しい過去回想とかがあるやつだ、それからまた戻ってくるのも熱い訳だけど
「えっとね… 登録名は『下位互換』で、今の所研究は公開情報にしてるから……」
「何だろ、一言でいうと……"絶対私が損する能力"?」
ぽちち、とスマホを弄って私の学生番号から異能情報を呼び出してイロハさんに見せてみる
『触れたものを任意で"同ジャンルで黒羽瑠音がより下位と判断するもの"に変化させる』
『食べ物であれば嫌いな味、貨幣であればより価値の低いもの等が変化例となる』
『但し例外的に下位の方が役に立つと黒羽瑠音が判断するものには決して変化せず』
『更に本人がそれによって危機に晒されている場合、より危険なものへと変化する可能性が高い』
……要約するとこんな感じだ、最新の研究結果はまだ反映されていないみたいだけど概ね纏まっている
「おぉ、じゃあこの前までやってたとこトレとかも?」
「あれ、結局参加まではいかなかったけど楽しそうだったなー、綺麗な人もいっぱいいたし」
「お疲れ様イロハさん、ああいったイベントってやっぱり華があるよねえ」
ぱぁ、と思わず笑顔になりながら尊敬のまなざしを向ける、イベント、お祭りっていうのはやっぱり生活の華だもんね
「うんうん、楽しく学園生活を過ごすための部活だもん、やっぱり……気心の知れた相手?ってやつを作りたいよね」
一応1月半くらいはたったのだ、そろそろ本腰いれて部活、考えてみるべきかもしれない
■落花彩晴 > 「…悪堕ち展開…い、いえ…まぁ、間違いではない……のかなぁ?」
ちょっと敬語が外れてしまった。いけない。でも悪堕ちしたまま落ちる所まで落ちるのもそれはそれで。
「…下位互換……絶対に黒羽さんが損をする能力…?」
はて?と、うどんの器から一度手を放して、彼女が示してくれた異能情報に目を通す。
(…本人の主観認識を前提にした、一種の概念歪曲でしょうか?…それにしても。)
かなり癖が強い、というより本人へのデメリットの割合が大きいイメージがある。
…ただ、異能は成長や進化も珍しくない。研究もだがこれが更に成長した場合、どうなるのだろう?
(…もし、概念歪曲の一種ならば私の異能と少し似てますけど…。)
ともあれ、研究者でも何でもないいち学生の少女に、彼女の異能の真価や先が分かる訳も無く。
ただ、妙に引っ掛かるものがある…何かあるような気がしてならない、彼女の異能には。
「え?あ、えーと…た、多分式典の先輩方は何人か関わっていらっしゃったかな、と。
私は…まぁ、ド新人ですし頭も悪いし発想力も機転も利かないので、関われてませんねぇ…。」
割と自己評価が低いのか、苦笑い気味にそう答えて。とこコレ、盛り上がってたなぁ。
まぁ、だからこそ黒羽さんは折角言ってくれたけれど私に「お疲れ様」は多分違うのだ。
「気心の知れた…でも、黒羽さん割と友達多そうなイメージがありますよ。ちゃんと話すの初めてでアレですけど。」
授業で見かけたのが最初だが、きちんと話すのはこれが初めて。それでも、友達が多そうというか交友が広そうな気がして。
■黒羽 瑠音 >
「うん、まぁ、本当にたまーに……私が損をする事で誰かが得をする、って事はあったんだけど」
「基本的にはねー、でも、之をうまい事制御、というか役立てられないかなって」
それこそ私が此処に来ると決めた時の出来事もそれにあたるものだ、とはいえ……
やる気はあれど、今の所制御も有効活用も目星が経ってないんだけど
「異能で作ったものを変えるとか、私自身の素質を見てみるとか色々試してるんだけどね」
「でも、折角私に宿ってくれたんだし、何時か役に立ててあげれたらいいな」
「イロハさん新人なんだ、そっかぁ、でも誰かが他の仕事をしてたから、とこトレに関わる人もそっちに専念できたんだよね?」
「ならきっと、何処かでイロハさんも役立ってたんだと思うな、私はそう思う」
一見関わっていなくとも、意外と人の関わりって言うのは遠くで繋がってたりするものだもの
「ふふ、友達は何人増えてもいいものなんです、というわけで」
「今日新しく一人増えても大丈夫かな、イロハさん?」
といって、スマホを軽く振って見せる、連絡先交換しない?のサインです
■落花彩晴 > 「……制御といっても、色々ありますからね。異能によっては、むしろ制御しない方が安定する能力もあると聞きますし。」
ともあれ、現段階では彼女の異能は未知数というか不確定要素が多過ぎる。
正確には、幾つか分かっている結果はあれど、その詳細なロジックや意味はまだ解き明かせていない、という感じだろうか。
――自分の力を役に立ててあげれたら。貴女のその言葉に、ほんの僅かに自分の胸に棘が食い込む気がした。
…そう、素直に思えるこの人は自分なんかより全然強く真っすぐな人なんだ。
「…どうでしょう?まぁ、裏方や雑務も立派な仕事ですからね。別に嫌ではありませんから。」
式典委員会とはいえ、華やかなイベントに携わるばかりでは無いから。むしろ”それ以外”のあれこれの方が多い。
「―――はぇ?わ、私と?…それはまぁ嬉しいけ…あ、嬉しいですけど。」
驚いた拍子にまた一部敬語が外れた。素の口調は本来砕けた感じなのである。
ただ、地が荒っぽいのを気にして普段は敬語と穏やかな態度で猫被り全開なのだが。
で、動揺しつつも少女も携帯端末を取り出してみせる。
(…え、どういう展開ですかこれ。まさか私に初めての友達が…!?)
■黒羽 瑠音 >
「制御しない方が?こう、押さえつけると逆に反発しちゃう的感じなのかなぁ」
「ちなみにイロハさんは異能とか、あ、後は魔術とか……どんな感じ?」
「ちなみに私は魔術は……こう、浅く広くって感じの素質みたい」
やっぱりこういうのは私自身が無知なのもあって、いろんな人と話している方が考えがまとまる気がする
制御しない方が安定する……響きだけならちょっとかっこいいかも
「……話やすい話し方で大丈夫だよ?私も年下だけど敬語解いちゃってるし」
「最初は皆年上だから結構敬語で頑張ってたけど、皆気にしないでくれるみたいだから」
「最近は大体、先生とか以外には口調砕けまくってるな~~」
「勿論、数学のクラスではイロハさ……イロハちゃんが初めてのお友達って事で、よろしくしてもらってもいい?えへへ」
さっきから所々敬語が抜けかけている喋り方は、ちょっとだけ私にも覚えがあった、こういう時は
先にこっちが目いっぱい砕けてやりやすくしてあげるといい……かもしれない
何て考えでさん付けから更にちゃん、何てちょっとだけ距離を詰めてみる
言っても年上だから嫌がられるかもだけど、その時はその時だよね!
■落花彩晴 > 「”型に嵌められない”やんちゃな異能もありますからね…。」
なんて、冗談めかして小さく笑うが、異能について尋ねられれば、僅かに息を詰めて。
だが、直ぐに何事も無かったかのように肩を竦めてみせる。
「私に異能はありませんよ。幾つかの魔術と特殊な目があるくらいです。
ちなみに、魔術は結界、硬化、再生の三種類くらいですね。あんまり才能がある訳でもないので。」
特殊な目、については片眼鏡をした紫水色の左目を指で軽く示して。
魔術については、ぶっちゃけどれも戦闘方面に比重が傾いている。
なので、彩晴としては黒羽さんのような広く浅く、が少し羨ましかったりする。
「…いえ、でも一応は乙女の端くれですし頑張って誤魔化してたんですよ?確かに素の喋り方の方が楽ですけど。」
もう自分から普段は猫被りしているのを半ばバラしているようなものだが。
彼女の言葉は実は有難いのだが、矢張り普段から敬語で誤魔化しているので踏ん切りが付かない。
「…イロハちゃん!?…あ、失礼しました。あ、えぇと私なんかでよければハイ、是非…!」
ぶんぶんと勢いよく頷く。まだ敬語は抜けていないが…ともあれ、少し考えてから。
「…じゃあ、私も瑠音さんと下の名前で呼んだ方がいいかな?……ぁ。」
そう口にしたのはいいが、動揺が抜けきってないせいで完全に外れた。しまった。
しかも、声が先ほどより”低い”。素の口調は少しハスキー寄りらしい。見た目はまんまだが。
■黒羽 瑠音 >
「やんちゃかー、それを言ったら私の異能も大分そんな気がする」
くすくす、と思わず笑ってしまいながら残っている汁をずずー、と啜る
ちょっと温くなっているけれど、うどんのお出汁がとっても染みるのだ
「ふむふむ、特殊な目……綺麗な目だなぁって思ってたけど、そんな力みたいなのもあったりするんだ?」
「そしてなんか魔術もかっこいい感じだ~~結界!とか陰陽師とかが使いそうな……」
自分の中のイメージを言葉にしつつ、特殊な目と言われるとおぉ、と思わず瞳を覗き込んでしまう
「ふふ、いっつも肩肘張るのって疲れるよねえ、私も家だと結構服とかだらしなくなっちゃうし」
「本を片付け忘れて戻した時に順番ぐちゃぐちゃにしちゃったりー」
「ベッドの上でお菓子食べてたら、うっかり零しちゃったり……気を付けないといけないのは分かるんだけど」
だが、部屋でごろ寝しながらお菓子に本、或いはゲームは圧倒的幸福感を産むのである、二律背反である!
「やったっ、じゃあ之から友達だね、勿論私も瑠音でいいよ、イロハちゃん♪」
「あはは、といっても無理にって事は無いしね、イロハちゃんが好きなようにお話しすれば大丈夫だよ~♪」
何だかんだ友達勧誘はうまく行ったようなので、そのまま連絡先交換を進める
此処に来てからの友達欄も結構増えてきた気がして、思わず口がにやけてしまうのだ