2024/08/20 のログ
ご案内:「第一教室棟」に学生さんが現れました。
■学生 >
時は太陽が頂点を少しばかり過ぎた頃。
校内ではようやっと訪れた昼休憩、その解放感に生徒らは沸き、食堂が賑わい始める中――“親切な学徒殿”より拝借した今風の服装を身に纏って、いざ出陣。
ご案内:「第一教室棟」にシアさんが現れました。
■学生 >
ということで、パンフレット片手にロビーを抜けて廊下を進む。
平時よりも数が少ないとはいえど、希望者には夏期講習も授業も行われているとのことで、思ったよりも人は多そうだ。否、それでも大半の学生は自由を謳歌しているのだろうけれど――と、賑やかな落第街方面を思い浮かべて瞬き程の間、眼差しが鋭くなるが――直ぐにけろりと平凡ぶった顔つきになっては、頻りと周囲を見回している。
時折足をとめて手にした案内を確認する姿は時期外れの新入生そのものの姿である……筈だ。
廊下から教室を軽く覗いてみたりしながら、不自然でない程度に視線を巡らせる。ひっそりとセキュリティ面ばかり気にしてしまうのは職業病というやつなのだろう、ニン。……では、ないのだが。今は自身はただの新入生っぽいさむしんぐである。うむ。
■シア > 学生服には縁が無いが、少女も学生である。
学生である以上、学校には通うものである。
ということで、教室棟にいるのだが
「……ん」
微妙に合ってない学生服を着た男が一人、視界に入る。
しかも、微妙に胡散臭くきょろきょろしてる。
不自然すぎないのが逆に不自然に映る。あくまで少女にとって、だが。
「……いのはち?」
首を傾げる
■学生 >
さもモブですよ~みたいな面して廊下を歩いている最中――少女の声が独り言めいた声量だとて、忍びの耳は容易に其れを拾い上げてしまうんだなぁ。
足を留めて、目を瞑って、口を閉じて、己が取るべき行動を吟味しようとして……やめた。なんとかなるだろう、タブン!
そんなわけで、ニッコリ笑顔を模り手を振ったなら、少女の方へと歩み寄らん。
「やぁやぁ、シア殿。奇遇でござるな。」
流石に声量は調整する。少女のみに届くよう。忍ばぬ忍びの忍び技。
■シア > 「いのはち、やっぱり。生きてたんだ」
すっぱり
少女は悪気なく言った。事実確認をしているだけの口調である。
「変だね、その学生服」
似合ってないとかそういう話ではなくて、体型や体格的に別の人に誂えたような。
「……なったんだ、学生。」
自分で言いだしたようなところはあるが、実際どうするかは彼次第。
どちらだろう、とは思っていた。なんだかんだで様子見するかと思っていたのだが。
■学生 >
「生きているでござるよ~超生きているでござるよ~。」
超生きているし、超元気。若干ぎこちないピースで現代の若者ぶって見せる。
溶け込んでる風を装ってみたが、ござる口調が浮きに浮いてる。尚、自覚はあった。
「ぬな、変でござるか? もしや何処か間違えて?」
指摘されて自身を見下ろす。頭巾を剥いだら年相応の顔つきの男だ。合わせて多少着崩している状態。
然し一発で見破られたとなれば、何処かに違和感があったのだろう。さもありなん、現代服に身を包んだのはこれが初めて故に。
くるりとまわって見てみるが、男には理解出来ずに「どこが可笑しいのでござる?」と首を傾げた上で、少女に直してもらわんとする心算。
「ん?嗚呼、あー……否否、まだでござるよ。今日は少々見学に参った次第。
然し、意外そうでござるなぁ?」
案内を畳んで胸ポケットへ仕舞いつつ。
■シア > 「人のこと言えないけど、ボクも。
変だよね、喋り方が。合ってない?」
少女も当然、自覚はある。あるけど、人のことは言う。
ただ、考えようによってはこの古風っぽい男が今風のことを喋る、というのはだいぶ学習速度が高いのかも知れない。
仮にそうだとしても、浮いているという事実は変わることはないが。
「ん。変な感じがする、少し。着崩してるから……?」
何がどう、と言われるとこちらもちょっと困る。
上手く言語化できない。古風な人間が現代服を着る違和感なのだろうか。
それとも……?
「ああ、見学……うん。
しばらく様子見するかと思った、いのはちなら。
じゃあハズレもいないのかな、ボクの予想は。」
まだ見学、というのであれば学生になったわけでもない。
そういうことなら、理解が……あれ
「ん? じゃあ、いのはち。
どこから手に入れたの、その学生服は。
学生じゃないよね、まだ」
なにかに気づく
■学生 >
「一目で看破されねばとぼける心算でござったよ。
試しに普通に喋ってみるか。」
しれっと学習能力を見せつけていく……意図があるわけではなし。
だが、しかし、そう。極々普通の流れでもって、極々普通に喋ってみせる。
元の口調が口調故、抑揚の付け方に変化はあれど、声色が変わったわけではないが――唯それだけで、何処か別人の如く印象を受ける、やもしれない。少女の感性次第。
「手本にしたのがこういう風に着てたんだ。直してくれ。」
軽く腕を広げてお任せするポーズ。
「いやぁ、様子見してたらいつまで経っても動かねぇだろうからさ。ほら、兵は拙速を尊ぶっていうだろ?」
お任せするポーズの侭軽く肩を竦める動作。
して、少女の指摘には「あ。」となったし、実際口にも出した。忍びとして有るまじき失態!
取り敢えず……にっっっっこり!!と全力で笑ってみるが如何だろう。
■シア > 「……」
今までのござる言葉がわざとなのか、それともそう見せかけているだけなのか。
少女の知識や感覚、経験では、そこまでは図りきれない。
ただ、声色が変わっていない、というその一点だけは捉えていた。
「あってるからね、ボクは一度。
普通の人っぽいかもね、知らない人が聞いたら」
ごくごく自然に、ごくごく普通に話す言葉は、何も知らなければ普通に受け入れられるだろう。
それはなんとなく想像がつく。
「そうだね。まずだけど、直す前に。どう見せたい、いのはちは?
見られ方が変わるよ、着こなしで。ちょっと荒くれっぽい感じか女好きっぽい感じ、今だと。
普通っぽいか真面目っぽいになる、直すと」
見せ方にもよるけれど、今の状態でもヤンキーっぽくもチャラ男っぽくもできる。
と、そんなふうに偉そうにはいったが少女も実はそこまで詳しくはない。
他所の人に見せたら、そうでもない、と言われるかもしれない。
「積極的になると思わなくてね、いのはちが。
徹底するタイプかな、足を踏み出せば」
それは任務や仕事なら、迷うこと無く突っ走る、そういう傾向の現れなのか。
それとも全く違う話なのか。少々気になるところではある。
「……わかったかな、大体」
自分の指摘に良くも悪しくもいい笑顔をしてみせる、いのはち。
十中八九、誰かから盗み取ったものだろう。
おそらくは、手本なる某殿が、その盗まれた相手と見てよいだろう。
「大丈夫だろうけど、いのはちなら。
捕物されたら大変だよ、変なことして。」
なんとなく、ドジは踏まないだろうと思っている。
それはそれとして、うっかり風紀やらの警戒対象になるとめんどくさいぞと伝える。
「……使える人それなりにいるよ、妖術を。」
■学生 >
然り。変声は欠片とて。
少女の言葉にふむと一つ息をしたなら、
「つまり、既に中身を知っているシアにとってはこの喋り方は不自然極まりないと。」
言葉の裏を読み取っては、からりと笑った。
「であらば普通に喋ることに致そう。拙者も此方の方が慣れているでござる故。」
普通とは?というツッコミは可。
しかし少なくとも此の男にとってはござる口調が普通らしい。
「そうでござるな、没するが此度の目当て。“普通っぽい”でお願い致す。」
特段悩む素振りもなく、ニコニコ笑顔でお任せポーズを維持している。
口では一応の要望を伝えているが、なんぞ悪戯されよとも普通に直してもらおとも気にしないに違いない。
こうして廊下でだべってる内は、少女以外に部外者だとは知られまい。恐らく。多分。
「ははは、動くとならばそれなりには動くでござるよ。
とはいえ、幸いにして縁に恵まれてな、それがなくばもう少しのんびりしておったやもしれぬ。」
此方に来て早々、交わした会話を思えば少女の抱く所感も分かろうというもの。
但し、表に出さぬ少女の疑問は覚っているのか否か。男は矢張りお任せポーズのままニコニコしていた。
「ややや、誤解でござる。誤解でござるよ。此れは借り物、きちんとお返し致す故。」
やたらと爽やかでやたらと朗らかでやたらと胡散臭い顔で訂正しつも、少女の言葉にはたりと瞬く。
「よもや、拙者の身を案じてくださっているのでござるかな?」
軽く首を傾げて少女の顔を覗き込まんとす。
じ、と真直ぐ注ぐ墨色の視線と、仄かに滲む笑みと。
■シア > 「そうだね、そうといえば。不自然な感じ。」
あくまで自分の所感でしかない。しかも、だいぶ偏った部類である。
だからこそ、はっきりと言わなかったところを読み取って来る辺り、ちゃんと裏が読める相手あるようだ。
「変人に見られるかもだけどね、それだと」
流石に、こんな人の多い場で一々人の喋り方をあげつらう者もそうはいないだろう。
ただ、この場を離れた以降については保証できない。
そんな保証をする理由もないが。
「なら……ボタン閉じる、前塞ぐ……こう、こう」
自分と比べて頭一つ以上大きい相手なので、少々手こずるがなんとかボタンをはめたり形を整えたりする。
生真面目さをアピールするなら、ノリでも効かせたほうがいいのだろうが、今回は不要そうだ。
そんなことを考えながら、割と真面目に分かる範囲の普通っぽさを演出した。
あくまで少女の分かる範囲で、であるが、一応常識の範囲内には収まる。
「お節介でも居たかな、どうやら。
結構見るものはあるよ、この島は。捗るんじゃないかな。
便利なものもあるよ、学生で貰えるやつに」
自分も割とおせっかいしたのではないか、とほんの僅かにツッコミが脳裏に走る、
別に困ることもないので、忘れることにする。
「それ知ってるよ、ボクは。借りたんでしょ、無理やり。
いいけどね、どうだろうと」
胡散臭くごまかす相手に、どうせ強奪したのだろう、と真顔で返す。
といっても、いのはちの問題であるので、それ以上はあえていうこともない。
「……」
ふと、いのはちが首を傾げる。
その言葉は問いかけであり、僅かな笑みとともに投げかけられた。
「いのはちを? ボクが?」
身を案じたのか、という問い。
しばし考えてみるが……
「違うと思う。忠告とか、警告とかだね、どちらかというと。
先輩だし、ボクのほうが」
首を傾げて出た答えはそれ。
先輩として、後輩に教えを与えるべきではないか、と思い立った。
「……身を案じたように、聞こえた?」
首を傾げたまま、今度はこちらからじっと見つめ返した
■学生 >
「わはは。一度で斯様にしかと覚えて頂けるのは、幸か不幸か悩ましきところにござるなぁ。」
笑いながらに後ろ頭を掻く動作。黒髪がさわと音を立てる。
「なぁに、然程過敏になっているわけではござらんが、多少なり用心はしている故に。
初見に対しては先程のように喋れば問題はなかろう?」
こうして日常会話をするのに苦労しない程度の距離感であらば男の声は明瞭に届こう。
しかし、其処から少しでも離れてしまえば途端周囲の賑わいに溶け込むに違いなく。それは、技術でもって隙なく制御されたものだ。
コッテコテだろうとも忍び故!ニンニン。
さてさてそんなことを語る内、少女が手を伸ばすならばやたらと滑らかに動く口は閉ざして大人しく。
なんとなし、少女の旋毛を見下ろしていたか。
程なくしてきちんと着込ませて頂いたなら、少し下がってまたくるりとまわってみせる。
「如何でござる? “普通っぽい”?」
なんて小首を傾ぎ笑うのだった。満足気。
「ふっふふ、親切と受け取っておくでござるよ。シア殿も含めて、な。」
その証拠、ではないが。「便利なもの?」と疑問を唇にのせてみせたら、少女は答えてくれるだろうか。
「否、誓って無理矢理なぞ。拙者これでも行儀は良い方でござる。
ちぃと知らぬ間に消え、知らぬ間に元通りになっているだけでござるとも。」
ね?何の問題もない。そう言いたげな、人畜無害を装ったニッコニコの笑顔である。ニン。
そのままの状態で少女が考えに耽る間を待つこと暫し。
「おや、それはそれは痛み入るでござる。
てっきりその忠告警告が我が身を案じるが故かと。いやはやお恥ずかしい、自意識過剰でござったか。」
でなければ、ヘマをした際に少なからず関わりのある少女自身に面倒が波及することを案じてだろうか。
ならば心配するなと告げるのだろうが。ヘマをしない、ではなく、ヘマをしても迷惑はかけないという意図。
真直ぐ見返す瞳へ向けて墨色を細く引き絞る。繊月か、猫科を思わす微笑みは変わらずに。