2024/09/12 のログ
ご案内:「学院応接間」にイクトミスさんが現れました。
ご案内:「学院応接間」にフィスティアさんが現れました。
イクトミス > 「今日はこの世界に来てから三日目。
ワタシはこれから通うことになる常世島の学校、常世学園に訪れました。」

「不安も勿論ありました…、ですがしかしこの島でこの島に暮らす人達の優しさに触れたワタシの精神テンションは今まさに絶好調時代!」

くわっ!!
そして前を見て、にこり微笑んで胸を張る。

「今回はこちらの学校に通うにあたって色々とまたお話をする事になるのですが、また昨日のギルドみたいな場所でしたようなやり取りをしなければならないのかと思うともう気持ちが重いでした。…でも!今日から学園の寮で他の多くの人達との暮らしが待っているとの事で嫌が応にも期待が高まります。そして今日までの2日間、お世話をしてくれた人達からも元気にいってらっしゃい、と温かいエールを頂きましたし、元気にやってみようと思います!!大丈夫です!!何も心配ありません!!」


「学校では明るくしてたほうがいい、とも言われましたのでそれについては出し惜しむことなく皆さんと仲良くできるように頑張っていきたいと考えております!そして助けてくれた人達のお薬にもこちらもなれるようにッ!!このイクトミス=アルカスは身も心も粉々にしていきたいショゾンです…!!!」



…、イクトミスは語る。
学園の応接間で熱く熱く、イクトミスとの対応を受け持つことになった教員二名を前に情熱的に。

二人の教員は
「まァた、なんとも濃ゆいのが来たな…ホント…」
…と、若干戸惑っていた。

教員A > 「ははは、元気いっぱいだし、まるでイントロでありがちな心の声みたいだねぇ…。一人でいても退屈しなさそうというか、うん…。明るいのは良いことですよ、えぇ…。」


届いた資料を見ながらなるほどなるほど、と。

『じゃあ検査は他の生徒たちと一緒に受けていただくという事で、えぇ、仲良く過ごせると思いますから…えぇ、その調子でね、学校にも通って貰えれば良いと思います…。』


異世界の人はまた一癖強いが、なんとも、なんともな子が着たもんだ…、と苦笑いをなんとか悟られまいと顎と頬に力を入れている教員A。

フィスティア > いつもという訳ではありませんが、学園内にいると時々罪悪感を感じる事があります。
こんなことをしていてもいいのでしょうか、と…。
それほど重たいものでもないですし、理由も様々です。
そして、その理由の中の一つが…

「皆様はどうされているのでしょうか……」

別れの挨拶すらなしに二度と会えなくなってしまった故郷の皆様を放ったままでいいのか、という事です。
お父様、お母様そしてトミィ。
心配していないでしょうか、悲しんでいないでしょうか。
せめて無事でいることぐらいは伝えたいのですが、それも難しそうです。

「………」

漏れそうになるため息を堪えながら、魔術の教科書を抱えて廊下を歩きます。
そして、応接間付近に寄った時でした。

「……?」

聞き覚えのある声が聞こえたような気がして、足が止まります。

「いえ、そんな……!」

これまでに感じた事のない焦りのような、期待のような感情に鼓動が早くなるのを感じます。
これは何でしょうか。心拍はどんどん加速してて、苦しくなるぐらいなのに。
それに伴って、心の内が晴れていくんです。ずっと抱えていた不安や後ろめたさといった仄暗い感情が一気に…

また歩きだした私の歩みはさっきより速くて、もはや走っていると注意を受けてもおかしくない程で。
ですが、そんなこと気にならないぐらい、この予感を確かめたくて。

応接間の扉まで辿り着けば、傍で張り付きます。
いけない事だとわかっていますし、周りにいる方々からは変な目で見られています。
ですが、やめられません。
中から聞こえる先生の説明がとてもゆっくりに聞こえます。
もっと聞きたいものがあるんです。早く、早く!

イクトミス > 「はい!元気だけが長所ですから!」

デカいなあ声、と苦笑う教員たち。

「この学園には沢山の人が来てて活気があって、まるで学園の中が1つの都のようです!」


「あちこちにいろんな場所がありますし、気になる場所も沢山あります…!学園の人とも早く会ってみてお話とかもしてみたいですし!」

質の良さそうなソファから身を乗り出しながら、今後についての意欲を高らかに語るイクトミス。

ある程度のお話はしたが、どうやらこちらではもう堅苦しそうなやりとりはこれで終わりらしい。

帰る前に少し学園の中を見学してみるのがいい、と伝えられたイクトミスはその教員らとお別れをすれば早速広大な校舎の廊下へと応接間から出る。

今は授業が行われているらしく、今朝ほど校舎の中は喧騒に満ちていない。あれだけ居た生徒も今は授業に集中しているのだろうか。

イクトミス > 学園資料を見ながら部屋から出てきたイクトミスはするり、とフィスティアと交差しながらすれ違うと、そのまま軽やかステッキプで廊下を駆ける!


おそらくこのまま他の教室を見て回るのだろうが…!


おっと!早速一階の部屋に突入だぁ!そこではなにかの実習をしているのかもしれない!!



ガラガラーー!


「どうも!はじめましてこんにちはごきげんよう御座います!イクトミスです!オォー!沢山居ますね!よろしくお願いいたします!今日からこちらにワタシも通うことになりましたイクトミスです!ぜひお見知りおきを!!」


突然の来訪者に生徒も教員も驚いて扉の前に立ちふさがるような姿勢で腕を組んだイクトミスを見る。


「それでは!ゴアイサツでした!」


ピシャリ!戸を閉めるイクトミス。
すぐに次の場所へダッシュ!!

フィスティア > いざ扉に張り付いても、思っている程中の声は聞き取れませんでした。
ですが、いざ期待していた声が聞こえると、先ほど感じた期待とも焦りとも言えない感覚がより強くなっていきます。
似てるんです。私が知っている声にとても。
壁越しでも聞こえるこの声量、話し方、癖。何れも覚えがあるものです。
ですが、まさか。本人がここに居るなんてありえないですよね。

「……!」

1人で勝手に期待して、がっかりして、出て行けば一発で分かるのにそれも出来ずにいる間に、室内の足音が近づいてきます。
見つかってはいけないと思い、隠れる場所を探しますが見つからず。
いっそのことご対面してしまえば確実です。そう覚悟を決めたのですが。

「……???」

普通に横をすり抜けて行かれました。
見つかるとばかり思っていたので、この反応にはびっくりです。
そして、すぐに走り出しました。

「………
!!追いましょう……!」

呆気に取られていました。ハッとして、すぐに走りだします。
廊下だとか関係ありません。あの人は絶対に

「トミィ…!」

トミィなら、やります。こういうことも。
というか足速いですねトミィ!私よりも速い!

『それでは!ゴアイサツでした!』なんて言いながら教室の扉を閉める姿が見えます。
何をしてるんですか。相変わらず平然ととんでもないことをします。

「待って!トミィ!」

走りながら叫びますが、ざわめく学生や教師の皆さんの声でかき消されてしまうかもしれません。
引き続き走って追います。

チチチーズ君 > 教師から名指しされて席を立つチチチーズ君。背筋を伸ばして何かの物語の文章を音読し始める。


『その時である、私はこの麺類をパスタと呼ぶことはもうしない、と…そのデュラムセモリナのよく湯通しされたコシのある食感を味わってからそう決めることにした。』

青年のすこしざらついた声が丁寧に物語の一文を読んでいく。

『もしも異世界から…百年前こちら側の世界に来ることがなければ、そもそもこの味を知り得なかったというジレンマは今も……』

教員B > うんうん、と教師はその音読に耳を澄ませて静かに頷く。まるで物語に引き込まれている様子だ。とても感受性が高いのだろう。

(素晴らしい…彼ならば音読コンクールできっと上位を、いや…世界すら狙える…)

イクトミス > 「  こ ん ち は 〜〜〜〜〜ッ !!!」


これがこの世界風のフランクで気さくなアイサツなのだとか。強くフルパワーで戸を開けると生徒が一人だけその場で立ち上がっている。



「ちょっとそこのアナタさん!」

ビシッ、とチチチーズ君を指さしてまるで責めるように怒鳴る!



「なんですかこのヘッチョロな声は!覇気がありません!覇気が!!パワーが足りないんです!!そんなことじゃ世界の荒波に揉まれてカケラも残りませんよ!もっと自分の心を乗せて!込めて!貯めて!そして放つんです!!誰かに届かない言葉じゃどこにも響きませんよ!!!いいですね!!!」



ピシャん!!
好き勝手言うと戸を閉める。



と、思ったらまた開いた。


「イクトミスです!以後お見知りおきを!!よろしくお願いいたしますね!!ではっ!!」

フィスティア > 何をしているんですかトミィ。
人の音読をそんな風に言ってはいけません。
必死な中、そんなことを考えながら走り続けます。

『イクトミスです!以後お見知りおきを!!よろしくお願いいたしますね!!ではっ!!』

ああもう確定しました。そんなに名前を言いふらしたらもう明日には学校中で噂ですよ。
分っていましたがトミィです。やっぱりあれはトミィです。
トミィ、変わりませんね。一年以上経っているのに。

「トミィ…!」

でも、走るのは私とそんなに変わらなかったですよね。
私が居なくなってから何かあったのですか?
聞かせてほしいです。

「トミィっ!」

だから、止まってください。
私の方を見てください。あなたに会いたかったんです。

「トミーーーィ!!」

肺の中を空っぽにして叫びます。こっちをふり向いてください、トミィ!

ご案内:「学院応接間」にイクトミスさんが現れました。
その他生徒A > 「な、なんださっきの孤独なSilhouetteは…!?」

どよめきが広がる教室内。
教員も戸惑いながら顔を真赤にして憤っている!そして先ほど叱責されたチチチーズ君は自分の音読の方向性について悩み始めていた。

イクトミス > 「天下布武!天地鳴動!
ワタシはどこまでも駆け抜けます…ッ!」


この学園の方全員とお知り合いになってそして盛大に宴です!それにはやはり最初が肝心要!!


爆裂猛進していたイクトミスの足が急停止する。それでも数メートル程は踏みとどまるまでに移動してしまうが、訝しげながらも【声】の聞こえた方をキョロキョロして耳を澄ませた。


今、確かに聞こえたのだ。
自分の名を呼ぶ声が。

しかもそれはとても懐かしくて、大事だった声だ。というかオジョーこと【スティッチ】の声だ。間違えるはずがない。しかし………ここは別の世界だというのに…一体どうしてスティッチの声が……?



「スティ〜ッチ? オジョー?」


振り返った廊下の向こうへ身を乗り出すように覗き込む。そしてまだまださらにもーっと片足を大きく伸ばし、姿勢を低くしながら手を添えて耳を傾けるようにする。

フィスティア > 「トミィ!」

やっと足を止めてくれました。
私はこんなに必死なのに、トミィはなんだか呑気というか…いえ、それがトミィのいい所です。
いつの間にか教科書は落していたようです。おかげで両手が空です。

トミィが足を止めてくれたおかげでようやく追いつけました。
こんなに走ったのはいつぶりでしょうか。
叫びながらだったこともあって、息も絶え絶えです。

「トミィ…!やっと…追いついた…」

「イクトミス…ですよね…私です…フィスティアです…!」

トミィの前で両ひざに手をついて、息を整えながら、その顔を見つめます。
ああ、やっぱり。やっぱりトミィです。
少し大きくなりましたか?でも変わりませんね。トミィです。

「元気に…してましたか…?
何でここにいるんですか…?」

呼吸を整えて身体を起こしながら、ゆっくりと投げかけていきます。
頭が回りません。呼吸も足りてませんが、それよりももっといろいろ。
ああ、久しぶりに再会できたばかりなのに情報量が多いです。

イクトミス > …ん

ンンン?!



「オ、っっジョー!?!?!?」



今日1でイクトミスのデカボ炸裂。
やはりそうだ、間違えるはずがない。


というか、目の前に走ってきている!
本物です!!!

「おおおおオオオ〜〜〜〜!!!」



「おおぅおうううォ゙おおーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


気持ちをカタチに出すことが難しくて思い切り2つの震える足を伸ばして天井の向こうまで突き抜けそうな声で吼える。


「オジョーこそなんでこんな場所で、ふらっと出てくるんですかァ?!ニセモノじゃないですよね!?本物!ホモンノォォー!!!」

こちらもバタバタと近づいてはその顔を覗き込んで肩を抱いて喜びと落ち着かなくて小さく何度も飛び跳ねる。

「スティッチオジョー!」

「旦那様も奥方様もすごくすごく心配してたんですよ!!もうワタシ達みんな懸命にオジョーの事探したり調べたりしてて、でも見つからなくて、探しに旅立ったりして…あー…、…あァー…」


「ワタシもずっと心配、ふはっ…!ユメみたいですよォォー…!」


でも、無事で良かった…、と思わず全身から力が抜けてしまいそうになったので思い切りオジョーを抱きしめてしまう。

「よがっ、だぁぁぁぁぁぁあ〰️〰️〰️〰️ッッッ!!!!!」

フィスティア > 「はい…本物…ですっ」

呼吸を整えながら身体を起こします。
もっとじっくりトミィを見たいので…。
ああ…トミィですね…これは…どういう感情なのでしょうか。
何かがこみあげてきます。

「大変ご迷惑を…おかけしました…
……本当にっ」

まだ荒い呼吸で、言葉にならない感情をなんとか整理しようとして、それでもうまく整理出来なくて。
トミィの話を聞いて、申し訳ない感情と…嬉しいと思ってしまっている私がいて。
こみあげてきている物が、限界まで来て。

それで、トミィに抱きしめてもらったらもう、限界なんて軽く超えて。

「私も……会いたがっだ…ですよ……!!
トミィ…!会いだがったんです……!
会えてよがっだ…!!」

涙がぼろぼろ出てきます。心の中の仄暗いものは全部晴れて、もう幸せでいっぱいで…
空いた両手はこの為なんでしょう。
トミィに負けないぐらい力いっぱい抱きしめます。

「突然いなぐなってごめんなさい"…!
探してくれでありがとう、トミィ!」

さっきまで言語化出来なかった感情が、涙と嗚咽と一緒にぼろぼろと零れてきます。

イクトミス > これまでの事を思えば、無事で居てくれただけでも満点だと思える。


ずっと辛い思いをしてきたのだから、この優しい世界であれば少なくとも今はスティッチは報われる筈だと思える。
しかしなぜ1年も連絡も送ってこずに居たのだろう。彼女の両親である旦那様も奥方様もそれはもう本当に食事も喉を通らない程に心配していた。
 それとも、こちらから元の世界に帰る手段が確立されていないのか、難しいことなのか…。


「いいんです!
……いいんですよ。だいじょうぶです。」


「ずっとワタシ達一同も勿論心配してましたよ…、スティッチが居なくなってから一年もの間ずっとです。でも諦めたりはしませんでした。」


もしかしたら、スティッチもワタシの時と同じように突然こっちの世界に流されてきたのだろうか。初めは誰か…オジョーを貶めようとした誰かが何かしたのではないか、とも思っていたが…。


「もぅ〰️、めちゃくちゃ泣くじゃないですか…あはは…、あぁ…良かった……良かったですよー………アハハ……あー…良かった本当にー……」


何度もよかった、と繰り返しながらただ彼女の背をポンポンしたり撫でたりを続ける。これまで本当にずっと大変だった彼女に今は少しでも優しくありたい。
そうでなくては、オジョーも仕えてきた仲間も報われない。彼女の笑顔がなければ皆の気持ちも浮かばれない。


「ちゃんとごはんは食べてますか?ちゃんと寝れる場所はありますか?また誰かにイジワルされてませんか?ここで仲良くしてくれるトモダチは出来ましたか?」


あーもー…泣き止んでくださいよーと言おうとしてやはり、それをやめる。それを受け止めるのも従者としても努めだろうし。友達としてもそうしてあげたいと思ったのだ。


「沢山泣いてぜーんぶ流しちゃいましょ。旅先の悲しみは掛け捨てとも言いますし。
あ、でもでもですね!あんまり騒ぐとですね、お叱りを受けてしまうんですよー!なのでしっかりと、でも控えめに泣きましょう!」


よーしよしよし、と嬉しさを一心に感じながら。ずっと会いたかったフィスティアに会えたその実感を確かに今はこの胸に感じられる。

フィスティア > 「ありがどうトミィ…!お父様、お母様…!」

トミィの話を聞いて、これまで抑え込んでいた感情があふれ出てきます。
すみません、連絡の一つも出来ずにいて。

背中を優しくさすってぽんぽんしてくれるその手つきは本当に懐かしいもので、この感触は二度と私の元には来ないと思っていて。
だから、こうやってさすって貰えるのは…本当に、本当に本当に、もう何物にも代えがたい幸福で…!
嬉しくて、嬉しくてうれしくて。涙は止まらないのに、心はとっても温かいんです。

「なんとか…料理も”覚えましたし、寮で寝れてます…
皆さんいい人で…よくしてもらっでます」

風紀委員会で少し気まずい関係性の相手が多い事は、今は黙っておきましょう。
トミィはとんでもないことをしそうです。落ち着いてから説明します。

「そうですね…せめて…場所を…」

そうでした。ここは昼の学園内です。
人目も…いえ、今はそんなものより再会を喜びたいです。
ですが迷惑ではありますし、場所は変えないといけませんね。

後から控えめなアピールで教科書を差し出してくれる女子生徒さんに「ありがとうございます。」と伝え、落とした教科書を受け取ります。
拾っていただいた様です。ありがとうございます。

「屋上か…私の部屋にでも来ますか?
夕方からは委員会の仕事があるので、それまでになりますが」

涙を拭きながら尋ねます。
ああ、また目が腫れてしまいました。

イクトミス > でもあの頃よりもずっと生きている表情をしてる様に見える気がする。そしてそれはきっと間違ってはいないと思う。


「いいんですよ、いいんです。
 ちゃんと生きててくれたならそれが一番です。生きてるから話もできますしまたこうやって会うことも出来ました。」



同じスティッチを見てるはずなのに、今のスティッチはなんだか少し違って見えるのが嬉しいような寂しいような。
これ以上はワガママになっちゃいそう。でもとても安心した。

この嬉しい知らせをなんとかしてあちらに残ったみんなに伝えられたら…。


「えっ、スティッチが料理を!?
そいつぁー楽しみですね…!お料理なんて剣ばっかりでやってこなかったスティッチがどれほどのウデマエになったのかワタシが味わってみましょうか!!」


しかしスティッチがお料理だなんて、まずい…このままでは料理の腕まで抜かれてしまうのではないだろうか…。これは給仕係としてのキケンに関わる…!

屋上?聞き慣れない言葉だが意味がなんとなく分かるというのも不思議な感覚である。これも世界に影響してるなんらかのチカラが原因なのだろうか。


「どうせなら屋上がいいですけど、お部屋もいいですね〜!あーいやでもお部屋にその人のアレコレって出るものですからお部屋で!そこで根掘り葉掘りさせてもらいましょーかッ!」



まったく驚いた…。
世界を流れてくるのも、悪いことばかりじゃないんだなぁ、としみじみしてしまう。

もう、と思ってハンカチの1つでも取り出そうといつもの様に荷物を漁ろうとして、そういえば…。


「あー…あっちから持ってきた荷物は全部検査するとかなんとかで預けてるんでしたー…うーん」

一同抱きしめた腕を解くと、そのまま折った人差し指の関節で優しくまだ目頭に残る涙を拭ってやる。

「目が真っ赤になりそうですね、今はお拭きするものがないのでこれで失礼しちゃいますよーぉ?ふふん」

フィスティア > 「多少は出来た方がいいと思ったので頑張りました。
ちゃんと覚えてますよ、トミィは料理が苦手だということ」

泣いた後でもこうして笑えるのはトミィのお陰です。
こんな異世界まで私を探しに来てくれるだなんて、本当に思ってもいませんでした。
沢山話したいことがあります。聞きたいこともたくさんあります。
そして、二人で帰る方法も……出来れば考えたいですね。やはり、お父様とお母様に会いたいです。

「ふふふ、いつもこうしてくれましたっけ。
ありがとうございます、トミィ」

人目がある場所なので少し恥ずかしいですが、これもまた懐かしくて…暖かいです。
体温も上がった気がします。もう温まってばかりですね。

「私の部屋は女子寮にあるので、案内しますよ。
少し散らかっているかもしれませんが…」

物が少ないので大丈夫だとは思いますが…
自分しか掃除する人がいない部屋というのは此方に来てからが初めてなので、使用人の目線で見て綺麗かはわかりません。
トミィならきっと私が気づけない場所にも気づいていつの間にか綺麗にしてくれていそうです。

イクトミス > 「苦手なんかじゃありません!ただ少し…腕を磨く必要があるだけのこと…!この1年でどれだけお互いが料理の腕を磨いているのかを確かめてみるのも楽しいかもしれませんねッ!!」


イクトミスからすれば1年の時。
だがフィスティアにしてみればそれはまた異なる時間の流れになるのだろう。イクトミスは以前よりも半年で少しは背も伸びただろうし僅かに女性らしくなった。

「そうですねー…話したいこともありますけど、今は少しでも多くスティッチの話も声も聞いてたくなります…。それくらい遠くなってしまってましたからね…。」


おっといけないいけない、しんみりしてしまう。嬉しくはあるが少しでも彼女と居る時には目一杯の明るさでありたい。

「そりゃあもうそうですよ!スティッチは正義感が強いくせに泣き虫さんでしたからねー!ワタシとは違う意味でその分問題も起こして起こして起こしまくってましたしィー!」


でもそんな人の良いところに大勢救われた。勿論ワタシもだ。


「へぇえ!じゃあ今日はゆっくりスティッチとお話出来そうですかねッ!」

さあさあ行きましょう、と彼女の腕を引っ張り先を急かすのだ。

フィスティア > 「そうですね。私はトミィの料理好きですからね」

一年半ぶりともなれば、猶更楽しみになります。

「私もトミィの声をもっと聞いてたいです。一年半ぶりですから」

本当に嬉しいです。またトミィの声が聞けるなんて。

「と、トミィ。人がいるんですからそんな恥ずかしいこと言わないで…!」

ああ、私が泣き虫だって…大勢に…トミィはこういうことたまにします。困ったものです。ふふ。

「はい、さっき走って疲れたのでゆっくりでお願いしますね」

トミィが元気なのはいつものことです。
半ば引っ張られる形で寮へと向かいます。

その後は、委員会の警邏の時間までお話しました。
沢山お話した気がしますが、時間はあっという間で…もっと話したくなってしまいました。
ですが、またこうして再会できたのです。これからまた沢山話せるだけの時間はあるでしょうから。
焦らずに行きましょう。

ご案内:「学院応接間」からフィスティアさんが去りました。
イクトミス > この世界に来てから良いことばかりで良い人ばかりだ。どこか以前より生き生きとしたそんなスティッチの様子にワタシはホッと内心で胸を撫で下ろした。


どうかあの二人や皆にも届いてくれたら良いのに、と願うばかり。

彼女は遠く離れてしまったんだけども、ちゃんと元気そうにしています、って。そう考えるだけで皆も旦那様も奥方様も笑顔で喜ぶカオが目を閉じなくても浮かんでくる。

「いーえいえ!もうなんなりとお話も公言もさせていただきますともーっ!どんなことでも少しでもスティッチの笑う顔がみたいし声も聞かせてもらわなくてはですからね!」



「せめて1年分は笑ったり喋ったりさせてもらわないと採算が取れませんのでッ!お覚悟ですよ、オジョー…!」


自然と込み上げてくる。
こんな風に大切な人とまた会えて嬉しい。

居るかどうかで悩んで落ち込む日はもう終わり。そしてこの素晴らしいニュースを、皆にも報せたい。

ここでの彼女の暮らしやこの世界の人とどう過ごせているか、どんな楽しみや喜びがあるのか。

えぇ、そりゃあもう
ネホヒハホリ、と!

ご案内:「学院応接間」からイクトミスさんが去りました。