2024/10/12 のログ
ご案内:「第一教室棟 廊下」に武知一実さんが現れました。
■武知一実 >
休日夜の第一教室棟、その廊下。
電気も消え、しん、と静まり返ったそこは今にも何処からか何か出て来そうな雰囲気を醸している。
……というか、出て来てくれないとちょっと困る。
今日は久々の怪異討伐のアルバイトだ。
なんでも、夜の校舎内に怪異が出現するとかしないとか、そういった情報が多発しているらしい。
そう言や、いつかダチの一人がそんな噂を口にしてたような気がする。 夏頃だったのでよくある怪談だと聞き流してたが。
「……まあ、学校なんだからそういう噂の一つや二つ、出て来るわな」
今回は不確定な要素が多いので討伐に限らず、調査も依頼に含まれている。
要は、夜の学校を見て回って、怪異が居たら討伐。居なかったらその旨報告、以上。
徒に夜の校舎内歩き回るくらいなら、怪異の一体でも倒す方が良い。 出てくれないと困る、ってのはそういう事。
ご案内:「第一教室棟 廊下」に蚕比古 玉繭さんが現れました。
■蚕比古 玉繭 > 廊下を歩いていれば、廊下の端でぽつん、と白い影。
頭髪は白く、衣も白く。
華奢な柔肌も白いそれは、妖精かと見まがうやも。
廊下の隅、しゃがみこんで…消火器の手前で何か、編んでいるような手つき。
「あら」
ゆっくり、と。
貴方の方に気が付けば、そちらの方を向くかも。
その白い肌は、月明かりに照らされて…艶やかで。
「ごきげんよう」
くすり、とほほ笑む。
■武知一実 >
調査だけで終わるよりは、討伐まで持ち込めた方がバイト代も色が付くし、ストレス発散にもなる。
だから出来れば怪異にご登場願いたくはあったが、まあ出て来いと言われて出て来るような聞き分けの良い怪異が居る筈もなく。
既に校舎内を歩き出してから30分が経とうとしていた。 無駄に広ェんだよこの学校!
「―――と、何か居る」
窓から差し込む月明かりに照らされた白い影が、廊下の端に居た。
歩き回った甲斐があった、と静かに右拳を握り締めたオレだったが、期待は空振る。
その白い影はこっちに気付くと顔を向けて、笑いながら挨拶を投げて来やがったのだ。
「なんだ、人かよ。
……よぉ、こんな時間に校舎で何してんだ?」
そういや祭祀局とかの人間が居るかもしれないと依頼分には添えてあったな。
一応非合法なバイトではない(はず)なので、縦しんば風紀とかち合っても怒られないとは思うんだが……。
その辺の理解がある相手だと良いんだけど、と思いながらオレはその白い人影へと問い掛ける。
■蚕比古 玉繭 > 「魔が、差し込んでいましたので」
指先、つぅ…っと滑らせて。
窓の錠に、一つ。
真っ白なリボンを結び付けた。
「そちらの方」
くすり、笑って。
「こんな夜更けの学び舎は」
かつ、かつ、と近くへ歩んで。
白いまつ毛の奥の紫の瞳、君の顔覗き込んで。
「危険、ですわよ」
ゆっくり、語る。
■武知一実 >
「おうよ、危険は百も承知だ。
その危険を排除するために、わざわざこうして歩き回ってんだからな」
大丈夫だ、危険予知トレーニングも一応ちゃんとして来た。
怪異討伐のKYTって何だよ、と思わなくも無いけど依頼書に添えられて動画が届いたんだから見とくしか無いだろ。
「ところで、魔が……差し込んでたとか何とかって言ってたよな?
この辺に怪異とか居たか? あいや、別に怪しい人影とかそんなんでも良いんだが」
こちらを覗き込む瞳を見返しながら続けて問う。
紫……か?月明かりの下だからはっきりとは識別出来ねえけど、変わった瞳の色してんなコイツ。
■蚕比古 玉繭 > 「退魔士様でしたか。
お会いできて、光栄です」
軽く会釈。
「見てはいませぬよ」
クスッと笑って。
でも、…って、指をさっきかけたリボンの方むけて。
「来ます」
まるで示し合わせたように。
月明かりがすぅ…っと引いていき。
黒い蝶、ふわふわと二人の間横切る。
「黒死蝶です」
危険はないですよ、なんて言いながら。
じっと、暗くなった先を眺めて……
それは、出る。
ガタ、ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!!!
廊下の窓が、突風でも吹いたように鳴り響く。
窓が開け放たれそうになるのを、リボンが抑える。
キィン…とした音。鈴の音が、魔が差すのを少しの間、抑えてるようで。
そして…蠢きながら現れたのは。
廊下いっぱいに広がる、ヘドロでできたかのような不定形の、怪物。
迫るそれを、乙女はただ見据えていた。
■武知一実 >
「退魔士……ああ、まあそういう事になるのか。
まあどっかに属してるとかじゃねえんで、光栄に思われる程でもねえけど」
フリーの退魔士とか、居るんだろうか。
……居るんだろうな、この島、色んな種族が居るだけあって職種幅広いから。
きっとまだ聞いた事もない様な仕事をしてる奴も居るんだろう。
そんな事を考えながら、会釈に会釈を返す。
「そっか、見てはいねえか。 じゃあもうちょっと探して――」
言いかけたところで、白い人影――もとい、女子がリボンを指差した。
え?来る?……マジで?
オレが訝しむ間に月明かりは陰り、廊下に暗闇が広がる。
何処から這入って来たのか、一匹の蝶が通り過ぎて行った直後、オレでも感じられるほどの嫌な空気が漂い始めて……
「おいおい、マジかよ……アタリだな、こりゃ」
突如、窓が震え始めて大きな音が辺りに響く。
さすがに狼狽えはしないものの、驚きを隠せないオレの横で、白い女子は涼しい貌で一点を見つめていた。
その視線の先に目を向けると。
「……うわぁ、あんなのが居るのかよ」
どろどろとした流動体の身体を持つ、バケモノ。
それが廊下を塞ぐように現れ、うぞうぞとこちらへと向かってくる。
転移荒野で出て来る動物を模した怪異じゃない、もっと気味の悪いそれを見ても、白女子は顔色一つ変えていなかった。
■蚕比古 玉繭 > 「…」
迫りくる不定形に向け、指を一本、空を撫でるように。
瞬間、自分たちと迫る不定形の間に糸の壁が生じて、侵攻を押しとめる。
「お名前は何、と申すのですか?」
まるで、公園で犬が駆け回ってるのを眺めながらティータイムに耽るように、軽い口調で貴女の名を訪ねる。
あの”壁”を超えられはしないだろう、という。確信。当たり前、とのように。
「わたくしは、玉繭と申します」
ふわり、貴女の方に微笑み一つ。
「まゆ、とお呼びください」
そんな、街角での挨拶のような振る舞いをしながら。
「祓うは得意ではありませんので」
糸、不定形に絡めさせて。
縛られれば不定形も、定型のように固められて。
「介錯を」
お願いします、と
■武知一実 >
「肝が据わってんな……や、場慣れしてんのか」
気味の悪いバケモノを見ても顔色一つ変えないどころか、何でもないかのような動作で女子の指が宙を滑る。
すると突然、糸……だよな?が壁の様に連なり現れ、バケモノの接近を押し留めた。
「えっ?……ああ、武知。 武知、一実だ
玉繭……まゆ、っつーのか。んじゃ、オレの事もかずみんって呼んでくれ」
今の状況に場違いなほど穏やかに。
焦りの一つも顔に浮かべずに名前を問われ、さすがにオレも面食らう。
それだけあのバケモノを脅威と感じていないのか、あるいは今もバケモノを食い止めてる糸の壁に自信があんのか。
……多分、後者なんだろう。
「あ?ああ……おう、なるほどな。
オッケ分かった、んじゃあイイの一発ぶちかましてやるかねェ!」
糸が不定形のバケモノに絡み、その動きをさらに制限する。
防御や搦手といった事には確かに糸は有用だが、なるほど攻撃には不向きなんだろう。
であれば、それはオレの役割となるのも必然か。
オレは改めて右手をグッと握り締めると、異能を発動させる。
右肘から先、月明かりよりも眩く蒼白く発光する雷を纏わせ、廊下を蹴って駆け出すとバケモノ目掛けて右拳を振り被り―――
「……オラァッ!!」
拳をヘドロの様な身体にぶつけると同時に、零距離で雷撃を叩き込んだ。
久々に放電した所為か、余波が窓ガラスをビリビリと震えさせ、辺りに火花の様に雷が散る。
万一ヘドロが飛び散っても、細かい触手の様に延びる雷が欠片すら逃さねえだろう。
■蚕比古 玉繭 > 「かずみん様、ですか?」
こてん、としながら、しかし貴方が飛び出したのを見れば、まぁ、と少し驚いたように目を開く。
見えたのは雷電。どこから生じているのもわからぬ…まさしく異能の力。
自分以外のものは、見るのは数度もないほどのもの。
「ふふ」
雷電が不定形の飛沫一つも残さず、衝撃を伝えてゆく。
怪異に細胞があるかは定かではないが…それでも末端まで及ぶ雷撃が、そのすべてを焼き切るに足りえた。
バチンッ…!という爆ぜた音が響き渡れば。
「素敵」
窓硝子を守るように糸が絡み、破損は抑えていく。
それを眺めた彼女も、さして疲労も感じさせない。
怪異に出会ったとは思えぬ、浮世離れした様相のまま、立っていて。
「とても素敵な、”異業”でございます」
貴女の方に歩み寄って。
「お怪我はありませぬか?」
なんて、様子を眺めて。
■武知一実 >
「っし、一丁上がりっと」
少し電圧上げ過ぎた気もするが、久々だからという事で済ませちまおう。
まだ淡く電気の残る右腕を軽く振って鎮静化させながら、糸を操っていた まゆ へと振り返る。
その際に窓ガラスにも糸が絡んで、衝撃で割れるのを防いでいるのが見えた。使い勝手良さそうだな……。
「素敵……かどうかはオレにゃ分からねえが、まあ、ありがとな?
それより、まゆのサポートのお陰でこっちは一発ぶち込むだけで良かったんだ、礼を言わせてくれ」
これでバイト代アップだってんだから至れり尽くせりだ。
……あ、その前にどうやって怪異と遭遇した事を証明すりゃいいんだ……?
「怪我? ハッ、あの程度のヤツで怪我なんて負うかよ。
見た目は気持ち悪かったけど、案外他愛のねえ怪異だったな」
■蚕比古 玉繭 > 「ふふ」
そんな言葉に、微笑んで。
「勇ましいお方。
一実様はお強いのですね」
たくましいお方は、とても好ましいので。
その強さは、とても眩しく映ったそう。
それこそ、素敵な殿方のように。
「何か、お探しですの?」
何か困ってる様子で見ながら。
ふや、ふや、ふや…
「怪異を倒すのが早すぎたでしょうか…?」
■武知一実 >
「勇ましい? んな事はねーよ、喧嘩慣れしてるってだけだ。
ま、喧嘩じゃ負け知らずだし、強いってのは否定しねえけどな」
異性からこうも真正面に讃えられるとなんだか気恥ずかしい。
日頃怯えられたりする事が多い所為か、新鮮と言うか……うん、こっぱずかしい。
逃げ出すほどではないにせよ、どことなく居心地の悪さを覚えてしまい、つい半歩ほど まゆから距離を取ってしまう。
「ああいや、怪異と遭遇した証明をどうしたもんかと思ってな?
出るか出ねえか半々ぐれえの依頼だったもんで、討伐――祓う、って言った方が正確か? 祓った時は追加で報酬なんだけどよ……」
ぶん殴る前に、一枚写真でも撮っとけば良かった。
日頃スマホを使う事の少ない生活送ってると、こういう時に足元を掬われんだな、肝に銘じとこ。
■蚕比古 玉繭 > 「?」
少し困惑している姿を見て、顔を覗き込んでみたりしながら。
証明、と言われればあぁ、成程と。
「それでしたら」
指先から糸を伸ばして、先ほど飛んでいた黒い蝶を、ひゅん、と捕らえて。
「この黒死蝶を、持ち帰られるとよいかと」
怪異が出る場所に稀に表れる、害のない怪異の一つのようなものらしい。
■武知一実 >
「お、何か良い手があんのか?」
オレの言葉に納得したらしいまゆを見れば、ひらひらと未だに飛び回っていた黒い蝶――黒死蝶、だっけか。
それを器用に糸で捕まえていた。
そして事も無げに捕まえた蝶を示し、
「……へえ、そんな方法があんのか。
悪いな、恩に着る。 学校ン中で怪異と出くわすのは、実のところ初めてでな。
何から何まで手伝って貰っちまって、何か礼が出来りゃ良いんだが……」
生憎、いつも愛用してるバッグは用務員室に預けてある。
だから手元には礼代わりに差し出せる物もなーんもねえ。