2024/11/07 のログ
ご案内:「第一教室棟 ロビー」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
「……よし」

意を決して、メールを送信。
そして、端末をテーブルに立てかけて、片耳にイヤホンをして眺める。

とんとんっと指でリズムを取りながら。

「とんとん、とんとんととんとん」

口ずさみながら、時間を過ごす。

放課後。今日はオフの、時間だ。

伊都波 悠薇 >  
見ている端末のダンスは、難しいものではなく。
ほんとに簡単な、流行った曲のワンフレーズだけ切り取ったやつ。

これなら多分、知ってるだろうし。
やりやすい、と思う。そんなガッツリ、でもない、し。

「いち、に、いち、に」

呟いて、感覚を掴むように。
誰に見せるわけでもない。でも。

できたら多分嬉しいだろうな。

そんな風に思いながら、端末を眺めて。
とんとん、とんとん。指で、リズム。

ご案内:「第一教室棟 ロビー」に八坂 命さんが現れました。
八坂 命 >  
なんとなしに通りがかった教室棟のロビー。
音楽を聴いているとか、それでリズムを取っているとか、そう言うのは割と日常茶飯事。
けれど今日見かけたそれは、ちょっと気になっている曲だった。
タイトルは知らないけれど、なんとなく耳に良い感じで残る曲。
だから、つい気になって足を止めてしまった。
悪いとは思いつつ、彼女のちょっと後ろから覗き込む様に。
彼女の刻むリズムに釣られるように、トントンと足でリズムを取りながら。
そのうち調子に乗って、裏拍を刻む様にリズムを変えたり、左右の足で違うリズムにしてみたり。

伊都波 悠薇 >  
「ふんふふん、ふん……」

口ずさむ。リズムがいい感じになってきた。
曲の話じゃなくて、自分の中の話、だ。
何度も何度も、そのフレーズだけを耳にして。
ふと、陰りが、できた。

「はにゃ?」

振り返ると。

‐‐ひとが、いた。

「……………………」

長い沈黙。

ぼんっと、湯気が頭から出た。

「すすすすす、すみましぇん!?」

顔を真赤にして、理由もなく。

つい、謝ってしまった。

八坂 命 >  
「ふえ」

ばちこり。
目が合った。
いやこちらの目は前髪に隠れているから、彼女からは見えないだろうけど、とにかく目があった。
暫くの沈黙のあと、先に反応したのは彼女で。

「はぁぁああわわわわわここここちこちらこそごめんなさい!?!?!?」

人の見ている動画を後ろから見ているなど、あまり行儀のいい行いではない。
彼女の慌てっぷりに釣られてこちらもあわあわしながら頭を下げた。
それはもう深々と。

伊都波 悠薇 >  
「いやいやいやいや、なんか、その……その……すみません。すみません……」

何度もぺこぺこ謝る。
きれいな、肌。

上で眼から上が見えないから、見える、肌が透き通って見える。
それに、スタイルも。服がラインが、くっきりする。でも着物……?

そんなことを思いながら、ぺこぺこ。

「えと、その。座ったりするの邪魔でした?」

もしかして特等席とかだっただろうか。
それなら知らなかったとはいえ、悪いことをしたな、と。


八坂 命 >  
「いやいやいやいやいやいや、ボクが勝手に覗き見してたんが悪いから、ほんまもう、あーはしたない……」

二人して赤べこみたいにぺこぺこぺこぺこ。
通りがかる人がいたらさぞかし滑稽に見えただろう。

「いやもう、通りがかっただけやから。あ、でもせっかくやし、少しお話ししてってもええ?」

腕を身体の後ろで組み、首――と言うか上半身ごと傾けて尋ねてみる。
ちょっとバツの悪そうな笑顔を浮かべながら。
彼女が聞いていた曲のことも聞きたいし。

伊都波 悠薇 >  
「……ほ、ほんま?」

あんまり、聞かない。
方言、かな。

「ぇ、ァ……その、ど、どうぞ……こんなでもよければ」

席を指し示しつつ、すとんと、腰掛ける。

「ぁ、ぇと……」

コミュ障。話題が思いつかない。

八坂 命 >  
「ええの?
 ありがとぉ」

人懐っこい笑顔に変わり、とてとて椅子を回り込んで隣に座る。
ナチュラルボーン人懐っこいガールなので距離が近い。

「さっき聞いてた曲、あれなんて曲なん?
 曲自体は知ってるんやけどタイトルわからんくて。
 街中で流れたりするから頭には残ってるんやけど、いっつもタイトル聞き逃してしまうんよ」

そして口から流れ出る言葉の洪水。
コロコロ表情を変えながらドバドバと蛇口全開のマシンガントークである。

「コンビニとかでボケーっと買い物しとると曲聞こえて来たりしてな。
 あーこれタイトル知りたかってん、って思ってたらタイトルコールが曲の前にするタイプの放送やったりして。
 曲の後にする時でもちょーどお会計の時やったりして聞き逃したりして、ずーっと気になっとったんよ」

伊都波 悠薇 >  
ち、ちか!?

距離が近い。しかも隣。
椅子だから、離れるわけにも行かず。
縮こまることでなんとか……

「あ、えっと。タイトルは、ですね。これ、です」

動画のタイトルを見せる。題名を見せて。
め、めちゃめちゃ、話量が多い!?

方言もあるし、話が得意な人、なのだろうか。
方言の人は話が活発なイメージがあるし。

「で、ですね。結構色んなところで、流れてるので、印象づきます、よね」

こくこく。あかべこはまだ継続中だ。

「」

八坂 命 >  
「あー、ある、聞いたことある!
 はー、この曲やったんかぁ」

タイトルを見れば、確かにこのタイトルも聞いたことがある言葉の並びだった。
この曲がこのタイトルだったのか、と喉に引っかかった小骨が取れた様な気分。

「あぁ、ボクばっかり喋ってごめんな。
 ボク、八坂命、占星術部の一年生」

君は?と名前を尋ねてみる。

伊都波 悠薇 >  
スッキリしたような言葉を聞けば、よかったと一安心。
喜んでいる様子に、こちらも釣られて頬が緩んだ。

「ぁ、ぃぇ。その、喋ってくれるのありがたいです」

得意じゃないので、率先してくれるのはありがたい。

「伊都波悠薇、です。風紀委員の二年、です」

尋ねられれば、少しうつむきつつ。
なにせ、近い。きれいで、スタイルの良い人が近ければ。
萎縮、というか、こうドギマギ、する。

八坂 命 >  
「やーもうあんま喋ってばっかではしたない、ってお母さんからは怒られたりするんやけど」

にへら、と笑う。
そして彼女が二年生だと知れば、

「わぁ、先輩や。
 よろしく悠薇ちゃん」

先輩をちゃん付けで呼びながらナチュラルに彼女の手を取り、握手握手。
その手袋の下は明らかに生身のそれではない感触が伝わるだろう。

「そー言えばさっき見てた動画、ダンスの動画やったけど、どっかでお披露目するん?」

ハロウィンナイト、は終わったし。
文化祭、はいつだったっけ?
近い日程でそう言うのを披露する場があったっけ、と首を傾げる。

伊都波 悠薇 >  
「……ぇ? かわいいと、思います、けど」

笑顔。話をする女性は素敵だと思う。
シンプル。素直な気持ちだ。
はしたない、のかな。おとなしい女性が、という観点かもしれない。
そういうのも、あるかもしれない。

「こ、こちら……はぇ?」

手を握られる。手と、顔を視線がいったりキたり。
‐‐こ、コミュ力、高い!?

恥ずかしがる、前に。ふと、不思議な感触。硬い。

「……手?」

ギプス、でもしているのだろうか。怪我しているのかな?

「ぁ、ぃぇ。その、趣味、というか。練習、といいますか。誰かに見せるものでもないといいますか……」

八坂 命 >  
「やーもー可愛いなんてぇ。
 悠薇ちゃんも十分可愛いやない、もー」

嬉しそうに――ちょっと恥ずかしそうに――頬に手を当てながらもう片方の手をぶんぶん。
きゃーきゃー言ってくねくねしている。
新手の怪異かな?

「あー、うん、ちょっとやんごとなき理由で、こっから先が無くて。
 でも孫とか猫とかよりよっぽどいい「腕」もらえたからむしろ得かなー、なんつって
 孫も居らんし猫も飼ってへんけど!」

渾身の欠損ギャグ。
笑えよ。

「趣味?
 へー、ダンス趣味なん?
 カッコいいなぁ。
 て言うか敬語やなくてええよ、ボクの方が後輩やし」

むしろこっちが敬語を使わなければいけない立場である。

伊都波 悠薇 >  
「そ、そんなこと、ないでひゅよ……っ」

かわいいと反撃されると、噛んでしまった。
うつむき加減が増した。前髪を整えつつ。視線を隠し。

「え。あ。そ、そーなんですねー。アハハ」

‐‐あまり上手に笑えなかった。
そう、なのか。でも気にしていないように見える。
ならいいのかな。

「最近初めたばかり、なんですけどね。運動、なにか初めたくて。でも、部活はちょっと、気が引けたので試しに……

ぁ、いえ。そのクセのようなものなので。気に、せず。
敬語、使う必要もないですよ」

お互い、気兼ねなくと。

八坂 命 >  
前髪で視線を遮る彼女。
その様子をじーっと見て。

「悠薇ちゃんも前髪長いんやね。
 お揃いお揃い」

へへ、と笑いつつ自分の前髪を上げて見せる。
すっと横に流れる切れ長の目。

「自分の異能で肩から先が封印されてもてるんやけど、さっき言った通り常世に来てから元の腕より便利な腕もらえたから。
 うん、これはこれで良いかな、って」

全く気にしていないと言ったら嘘になるけれど。
それほど悲観的ではないと言うのも本当だ。

「へぇー。
 ね、よかったら今度見して欲しいな、悠薇ちゃんが踊ってるとこ。
 動画とかSNSに上げたりせーへんの?」

伊都波 悠薇 >  
「ぁ、ぇと……その、あんまり、自信ない、のと。恥ずかしいので」

前髪長いことを言われると、そう告げて。
ふぅと一息。

対して前髪を上げたのを見ると。ひゅっと息を呑んだ。
‐‐やっぱり、美人だった。

「……そう、ですか。前向き、でいいですね」

その姿勢いいね、くらいの気持ちでぽつり。

「え゛!?」

見せないのと言われると、どこから出したかわからないダミ声が出た。

「おおおおお、畏れ多い。その、ひとりでもくもくとやるスポーツとして、その、初めた、ので……」

八坂 命 >  
「そぉ?
 美人さんやと思うけどなぁ」

とは言え自信の過多は人による。
コンプレックスがあったりもするから迂闊に「前髪あげたら?」とは流石に言えない。
とりあえず顔をよく見ようと前髪に手を伸ばす。
逃げられたりしなければ、彼女の前髪をちょっと上げて、覗き込む様に顔を近付けるだろう。

「ほんとのこと言えば生身の腕戻って来んかなーとは思うけど。
 でも今んとこどうにもならなさそうやし、いいとこはいいって思った方が得やから」

ちょっと困った様な笑顔。
未練はないとは言えないけれど、それはそれとして便利は便利なのだ。

「そっかぁ。
 でもダンスって人から見られることとかも意識した方が良いスポーツ?やと思うし。
 ボクもちょこっと踊りやってるから――あ、じゃあ今度二人でなんか踊ろ?」