2024/11/08 のログ
伊都波 悠薇 >  
「……ぁぇ?」

前髪に手をかけられると、覗く左目。泣き黒子が、印象的な‐‐

「っ」

にゅっと、首を引いて、手から逃げてみる。
そこまで慌てて、ではないから嫌がるというよりも、びっくりして、の感じ。

「元の……もどる、可能性も、あるん、でしょうか」

この島ならありそうだなと思いながらも、期待させすぎても良くないから。
戻ると良いですねと、遠回しに。

「え」

これまた、びっくり。
ひとりで、と思ったら、こう、よくよく、一緒にという人が見つかるのはびっくりである。

「こ、こんど、ですか?」

八坂 命 >  
逃げられた。
けれど、ちょっとだけ前髪に隠れた目元が見えた。

「ほら、やっぱかわいい
 驚かせてごめんね」

にしし、と笑って見せる。
顔を引っ込めたことについては、むしろこちらが無遠慮に距離を詰め過ぎたと言うところはあるだろう。
それについては謝っておいて。

「ウーン、色々調べて貰ってんけど、今んとこどうにもならんかなぁ。
 異能の核みたいなのが手にあったみたいで、それを封印してるから落ち着いてるみたいなんよ。
 だから調べようにも調べられんみたいで」

詳しく調べるためにはその核が出てこないといけないのだけれど、それは封印されてしまっているから調べられない、と言ったところ。
全く困ったものである。

「勿論嫌ってなら無理には言わんけど。
 ボクのは日本舞踊、なんて上等なもんでもないけど、とにかくダンスって感じではないから」

それでも一緒に踊れたら楽しそうやし、なんて笑顔を向けて見せて。

伊都波 悠薇 >  
「ぁ、はい。びっくり、しました」

抗議も、怒鳴りもしはしないが。
ほっと、胸に手を当てて息を吐く。

「その。進捗、あるといいですね」

調べてもらっている、と聞くと、同じ身だから。
気休め程度にも、そう告げて。

「ぇ、ぁ、いや……」

嫌というわけではない、が。
…………。

「‐‐あ、遊ぶ的な、意味なら、その、喜んで?」

見せ合うとかそういうのではなく、遊びに行く、みたいな感覚ならと。
そう、あくまでガチというわけではなく。趣味、なので。

「そ、それでどうでしょう?」

伺うように。

八坂 命 >  
「ごめんね」

もう一度手を合わせて改めて謝って。
ぐいぐい行き過ぎてしまうのは良くないところだ。
反省。

「うん、ありがと」

半ば諦めてはいるけれど、そう言って貰えるのは嬉しい。
にっこりと笑って見せて。

「ん?
 ――ん、じゃあ今度一緒にあそぼ。
 部室、占星術部の部室ならそこそこ広いし、他に人も、まぁ襲ちゃんにはちょっと出てもろとけばええか。
 うん、たまにはちゃんと家帰って貰わんと」

常に部室には部長がいるが、まぁ部屋に帰る口実にもなるだろう。
鍵も掛けられるし、そもそも尋ねてくる人も多くない。

「じゃあ連絡先交換しよ」

そう言って(あちこち弄り倒しまくったお陰で手に入れた当初とは全く別物になってしまった)オモイカネ8を取り出す。

伊都波 悠薇 >  
「いえ。その、一声いただけたら、大丈夫、なので。い、いやだったら嫌っていいます、し」

気にしないでと。嫌ではないと、やんわり伝えてみる。

「え!?」

すんなり、連絡先交換となった。
これは‐‐これは……せい、ちょう!?

「お、おねがいします!」

自分も端末を取り出して、食い気味に連絡交換へと乗り出した。

八坂 命 >  
「じゃー今度部室で髪型弄らせて♡」

きゃるんと可愛くおねだり。
この女、結構厚かましい。

「お、おぉう……。
 意外と食いついてくるなぁ……」

今日一ぐらいの食いつきっぷりにちょっと怯む。
とにかく無事に連絡先を交換。

「悠薇ちゃんの連絡先ゲットー。
 部室デート、楽しみやわぁ♡」

伊都波 悠薇 >  
「……カンガエテオキマス」

嫌だとは言わなかった。
もう少し、仲良くなってからなら、と思いつつ。

「で!?」

交換が終わった後のデート発言に、驚愕しながら。
こほんと咳払い。

結構、時間が経っていたから。

「ではまた、八坂さん。その、日程は、また今度端末で決めましょう」

そう告げて、意識する前にいそいそと撤退することにしたのだった。

ご案内:「第一教室棟 ロビー」から伊都波 悠薇さんが去りました。
八坂 命 >  
「はーい、またねぇ悠薇ちゃん」

手をひらひら振ってお見送り。
そうして自分も立ち上がり、

「~♪」

さっきタイトルを教えてもらった曲を口ずさみながら上機嫌で立ち去った――

ご案内:「第一教室棟 ロビー」から八坂 命さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 食堂」に八坂 命さんが現れました。
八坂 命 >
放課後の食堂。
昼時ならばいざ知らず、夕方ともなればここを利用している生徒は少ない。
食堂そのものもやっていないし、自分以外にいるのはジュース片手にだべっている生徒が数人ぐらい。
そんなところで何をやっているかと言うと、

「あー――むっ」

スシを食っている。
プラスチックの容器に入ったスシを食っている。
学生通りまで言って回る寿司屋でテイクアウトして来たバイオスシーーもとい、養殖のお持ち帰りスシを食っている。
スシロボットが握ったシャリに、プロの技とまでは言えないそれなりの技術で切られた刺し身を乗せただけのようなスシ。

「んー、サーモンうまー」

それでも学生にとっては十分ご馳走。
ひと家族で食べるような量のスシを前に、マグロを食べアナゴを食べサーモンを食べエビを食べ、一人スシパーティだ。

ご案内:「第一教室棟 食堂」に緋月さんが現れました。
緋月 >  
そんな放課後の、人気の多くない食堂。
そこにふらりと現れる生徒が一人。

頬と右目の少し下に絆創膏を貼っている、外套(マント)に書生服姿の少女だ。
手にはペットボトル入りのスポーツドリンクを持っている。
何か、身体を動かした戻りだろうか。少しだけ疲労の色も見える。

軽く視線を動かして、さて何処に座ろうかと考えているようだが。
 

八坂 命 >  
「ん
 んんー、もがもごもぐ」

そんな知り合いの姿を見付け、大きく手を振る。
口の中にはまだスシが残っているので彼女の名を呼ぶことは叶わなかったが。
イクラの軍艦を追加で口に放り込み、ぶんぶんぶんと。

「むー、ほがほご。
 もっぐもぐもごむしゃむしゃ」

最早何を言っているのか訳が分からないだろうが、とりあえず彼女を呼んでいると言うことだけは伝わるだろう。

緋月 >  
「――――む。」

手を振られれば、流石に気が付く。
何を言われているのかよく分からず、ちょっとだけ首を傾げる。
とりあえず、こっちに来いと言っているように思えるので、少し考える様子を見せてから足を進める。

「……喉に詰めてしまう…ので、良くないですよ。
――八坂、さん。」

ちょっと詰まるような調子で、そんな事を。

……勘がよければ、少し、書生服姿の少女の様子が
おかしい事に気が付くかも知れないが、さて。

八坂 命 >  
こちらに寄ってきて話し出した彼女の顔をじいと見る。
見ている間も口はもぐもぐ咀嚼をしていて。
もぐもぐもぐもぐ。
ごくん。

「どしたの?
 なんかあった?」

なんか妙に歯切れが悪いと言うかなんと言うか。
こてん、と首をかしげて尋ねてから、今度はタコを口に放り込んだ。
もっきゅもっきゅ。

緋月 >  
じ、と見られると、思わずこちらも見返してしまう。
どことなく、よく食べるなあ的な雰囲気を醸し出しつつ。
――よく食べるのはお互い様だろうと突っ込まれそうな感じ。

「大した事ではない…ので、大丈夫です。
身体を、動かしていて…軽く、擦り傷を。」

そう返しながら、ぷし、と音を立ててスポーツドリンクの蓋を開け、軽く唇を湿らせるような飲み方。
脱水症状が厳しい者が水分を摂る為の飲み方のようだが…其処まで酷く汗をかいているようには思えない。
というか、既に秋を飛び越してしまいそうな気温だ。
室内は空調が効いてるとは言え、脱水とは縁遠い時期になるだろう。

……何と言うか、振る舞いが、普段と異なる。
そもそも、あの歓迎会以来、書生服姿の少女は部員の面々を名前で呼ぶし、
意外と食が旺盛な彼女が豪快にスシを食べてる相手を見て羨むような視線を向けたり、
自分も何か食べ物を頼もうとしないのが既に妙だ。

八坂 命 >  
もきゅもきゅもきゅ。
タコを咀嚼し飲み込む。
その間も彼女のことをじーっと見て。

「――緋月ちゃん、やんな?」

何か違和感。
見た目は間違いなく彼女。
そこまで長い付き合いではないとは言え、それでもそれまでに抱いた印象とは全然違う。
確かめる様に尋ね、今度はカンパチをもぐむしゃぁ。

緋月 >  
「―――――――。」

その問いに暫く黙っていた書生服姿の少女。
ひとつため息を吐き、

「……やはり、知己の者の目は誤魔化せぬ、か。」

小さくため息を吐いて、そう声を出す。
声こそ同じだが、その雰囲気がまるで違う。

――こちらに目立った視線などが向いていない事を確認すると、ふ、と軽く力を抜くような動作。
 

緋月 >  
同時に、その目と瞳が有様を変える。
グレーの髪は、より白に近い灰色へ。赤色の瞳は、緑を帯びた青色へと。
表情も、普段の少女のそれとはまるで雰囲気が違う。

「――誤魔化すような真似をした事は謝罪する。
我が盟友は、訓練の疲れが強いのでな……我が少し無理を言って、意識だけでも眠っておかせる事にした。

…確か、盟友が所属する活動…部活動、だったか、の、部員(同胞)であったな。
日頃、我が友が世話になっている。」

ちょい、と、軽く頭を下げる仕草。
 

八坂 命 >  
「ほえ」

髪と目の色が変わった。
長い前髪の下で、二度三度と瞬き。
もぐもぐごくん。

「――これはどうもご丁寧に。
 緋月ちゃんの、中の人?」

中の人と言うのも何か違う様な気がする。
もう一人のボクと言うやつだろうか。

「緋月ちゃん、ではないんよね?
 なんて呼べばええんかな」

とりあえず、どうぞ座ってもろて、と席を示してタマゴをもぐもぐ。

緋月 >  
「中の人、か。言い得て妙ではある。」

席を勧められれば改めて座り直し、またスポーツドリンクを一口。
一息つき直してから、改めて義手の少女に向き直る。

「――我は、黒き神の13の神器のひとつ…で、あったもの。
埋葬の仮面と呼ばれていた神器、其処に生まれた意志。

今は神器としての資格を失い、出来る事と言えばこうしてこの身の主たる我が盟友に代わり、
表に出て来る事と…他には生ける者と死せる者の区別や霊視位だ。」

――以前に、彼女には話したであろう事。
「やってはいけない事」をした為に、預けられた、と語られた、かつて持っていた神器の話。

「今は、朔、と名乗っている。そう呼んで貰いたい。」

全体的に堅苦しい口調でそう返答。
性別というものが判別し辛い、と言えばいいかも知れない。
 

八坂 命 >  
「ほぇん」

なんだかよくわからないが、つまりは、

「朔、ちゃん?が緋月ちゃんが言うてた大事な人、人?ってことでええのかな?」

そう言う話は聞いていた。
つまりそう言うことだろうか。
何にしてもせっかくこうしてお近づきになれたのだから、

「よかったら朔ちゃん?もお寿司食べて行かへん?
 おいしいよ」

割り箸と皿、小袋の醤油を差し出してみる。

緋月 >  
「――そう、だな。そう、言えるのだろう。
我が盟友も、最初は純粋に我の力を求めていたのだ。
それが…いつの頃からか、我との意思疎通を通じて、我を一個の「存在」と見ていた。
結果、我にもこうして意識と言えるものが目覚めていた。

……最初の別離の折には、随分と泣かせてしまったものだ。」

少し、苦いものを感じさせる言葉。
この「神器であったモノの意志」を名乗る者が、書生服姿の少女を大事に思っている事は、
言葉の端から感じる事が出来るだろう。

「スシ。」

どうやら文明圏にはなかった物らしく、少し興味深そうに眺める。
遅れて、思い出すような仕草。

「――生の魚や、様々な具材を、味を付けた米の上に載せる料理、か。
食の文化は広いものだな。盟友の知識があって助かった。」

どうもお寿司のない地方がルーツっぽい。
割り箸を割り、少し苦労しながらマグロの赤身の寿司を掴むと、醤油につけて口に運ぶ。
ちょっと危なっかしい掴み方だが、何とか口元まで運び、もしゃもしゃ、ごくり。

「――独特な味わいだ。調味料も、塩に近いが、違う味がする。」

気に入った模様である。
油断したせいか、頭の上に少し尖った形の、狼の耳が何時の間にやらこんにちは。
 

八坂 命 >  
「へえ。
 やっぱ緋月ちゃんええ子やな」

にへら、とふにゃけた笑顔を見せる。
なんとなく、自分の友人が褒められると嬉しい。

「うん、スシ。
 たくさんあるから食べて食べて」

そうして彼女――彼?――が食べている様子をにこにこと眺めて。
自分もサーモンを口に運ぶ。

「醤油やね。
 大豆を発酵させてなんかあれやこれやして作る――」

日本が誇るめちゃうま調味料である。
そして頭の上の耳に視線が吸い込まれる。