2024/07/18 のログ
ご案内:「第二教室棟 第四保健室」に焔城鳴火さんが現れました。
■焔城鳴火 >
【nemo potest venire in!!】
普段は怪我人病人、悩める子供や大人なら誰でも受け入れる、第四保健室だったが。
この日は物々しい大きなステッカーが扉に貼られていた。
なぜか、ラテン語と日本語である。
防音性の高さから、中の音はうかがい知れないが――。
なぜか、鍵は掛けられていないようであるのが、ほんの少しだけ出来た扉の隙間からうかがい知れるだろう。
恐らく、相当、八つ当たり気味に勢いよく閉めた反動だろう。
ご案内:「第二教室棟 第四保健室」に黒羽 瑠音さんが現れました。
■黒羽 瑠音 >
「……」
手元の端末を見る
そこには焔城先生からの――
『たすけて』と書かれたメール
「いや本文も無しにこれって、大丈夫かな先生……」
「はいっていい……んだよね?」
でもこの雰囲気、本当に入っていいか大分心配になるなぁ!
「せんせー?はいりますよー……?」
一応何時もの様に何度かノックしてから、おずおずと扉を開けて入っていく
本当に『何か』があって、先生が私を頼ったなら、出来る事はしてあげたいし……
まぁ物理的に危ないなら流石に私に連絡はしないだろうから、きっとそういう意味で『やばい』訳じゃないはず、うん
「どーしたんです、かー…?」
■焔城鳴火 >
――保健室に入った少女が見る事になるのは、あまりにもおぞましい光景だった。
大きな背凭れでそのまま眠れてしまいそうな、高品質な椅子に座り。
小柄な保体の教師が、焦点の合わない目で天井を見上げている。
その女の、限界まで開かれた口の中は、なぜか大量のシガレットチョコが束になって埋め尽くしていた――。
なお、蛇足になるが、そんなおぞましい光景以外の情景も描写しよう。
普段通りにベッドが三台並んでカーテンが開いている。
大きな薬品棚は、我関せずとばかりにちんざしており。
簡易車椅子や、手足の補助装具が見える場所に整頓されていた。
医学書を始めとしたさまざまな本や資料が詰まった本棚、カルテなどを仕舞っている棚は、行儀よく並んでいる。
そして、業務用のデスクの上には、大量の紙の束が積まれており。
足元のゴミ箱からは、シガレットチョコの箱ゴミが溢れていて。
机の周辺には飲んでいたのだろう、エナジードリンクや栄養ドリンクの空き缶空き瓶が幾つも転がっていた――。
■黒羽 瑠音 >
「わぁ( ᐛ)」
がちゃ、きぃー ばたん
「わぁ……ぁ……」
すぅー、はぁーーーーーーー すぅーーーーー、はぁああ……
「………」
がちゃ、きぃー ばたん
「先生、瑠音ですよー、いきてますかー?」
一旦扉を閉めて、外で深呼吸を数回してから入り直す
何というか、保健室や病院特有の匂いであるはずの空間が、栄養ドリンクの匂いに打ち消されてた
「いきてますよねー?あの、ヘルプを受けて来たんですけど―」
「…… この紙の束って、もしかして期末試験の……?」
この時期に先生たちの机を覆い隠すもので真っ先に思いつくのはそれである、いや、でも他の先生こんなん(失礼)なってたっけ……
何だか、先生のプライベートを知るたびに得も言われぬ感情を覚えつつある私だが、まぁ之もピンチではあるよね
「あぁもう、こういうのばっかり飲んでるとお腹壊しちゃいますよ?お茶とか買ってきましょうか?」
背中をぽんぽんとさする様にしながら、シガレットが詰め込まれた口を覗き込んでみる
■焔城鳴火 >
少女があまりの状況に保健室へと入り直しても、干物の反応はなかったが。
「んご――う゛えー?」
流石に声を掛けると反応した。
いやうん、シガチョコが詰まった口から、まともな音は出ないのだが。
多分、少女の名前を呼んだらしい。
目の焦点がようやく少女の姿に向いた。
「んぐ、むご――」
――ベキベキ、ボリボリ。
無理やり口の中のシガチョコを、まとめて噛み砕くと、机の上にあったお茶で無理やり押し流すように呑み込んだ。
幸い、というか流石に、学園内に酒は持ち込んでいないらしい。
「――ぷはっ。
るぅぅねぇぇぇぇ」
そして干物は早速、自分の背中をさすってくれている少女へと泣きつくように抱き着くのであった。
■黒羽 瑠音 >
「夕方じゃなかったら叫んでますよ私!ホラーそんな得意じゃないので…!」
ぼりぼりと音を立ててシガレットをかみ砕く先生、うーん、一歩間違えるとホラーだよ之
見てるのが私だけでよかった……いや良くないけど
「あっ、もう、一気に飲むと喉に……ちょ、先生、落ち着いてくださいよ~~?」
抱き着かれてしまった、そのまま背中を摩るけれど――
うん、入る時に鍵を閉めておいたのは正解だったなぁ
「大丈夫です、何か手伝えることがあったら手伝いますから、呼ばれたからには」
先生からもやっぱりエナジードリンクの匂いがした
まぁでも、全体的な様子を考えるにお部屋よりはマシ……いやマシといっていいのかなぁこれ
「だからまずは落ち着きましょう?うん、お疲れなのは見てわかりますから、ほら」
ぽんぽんと背中を叩く、まるであやしてるみたいだなぁ、なんて頭の隅で考えるけれど
流石に失礼なので口には出さずに置きました
■焔城鳴火 >
「やだぁ見捨てないでぇぇ」
ホラーが苦手とかなんとか。
干物先生は、ほんとにやってきてくれた優しい生徒に、半ばガチ気味に泣きながら抱き着いていた。
「うぅぅぅ、もう二日寝てないのよぉぉ」
そういう干物先生の髪はぼさぼさ、肌はガサガサ。
目の下、どころか周囲には深いクマが色濃く、まるでパンダのようなありさま。
前髪をヘアクリップで纏めて上げている所から、よっぽど根を詰めて働いていたらしい。
「なんでこのご時世に、紙で手書きのレポート提出なわけ!?
いやわかる、わかるわよ!
丸パクリやコピー対策なのは!
だけどそれを数百人分、全部読んで採点する人間の事を考えてよぉぉぉ」
教師と生徒、以上に、すっかり気を許してしまっている少女相手だからか、弱音も愚痴も漏れる漏れる。
しかし、実際デスクの上の紙束の山を見れば、一番上に表題のような物が書かれており。
それらが全て、保体の講義を取っている学生たちの期末考査のレポートである事は一目瞭然だったろう。
「まだ半分!
半分も!
終わってないんだけど!?
私死ぬの?
るぅぅぅねぇぇぇぇ」
完全に泣き言になっていた。
■黒羽 瑠音 >
「いや見捨てませんって!というか二日!?二日も寝てないんですか!?」
二徹ってやつだぁ、0時過ぎると眠くなる私には想像もつかないや
というか目が… 隈がすごぃ、いや、本当に大丈夫かな、医者の不養生になりそうで心配になってきたよ
「あー、なるほど、やっぱりそういう……」
「うーん、そうなるとあんまり手伝えること無いですよね、せめて先生なら……」
うん、まぁ、やっぱり思った通りの理由でした、たいへんだね……
私もレポートは出したけど、此処までの数が詰みあがっていると壮観だなぁ
「……ちなみに採点期限っていつでしたっけ?」
バッグから櫛を取り出してぼさぼさの髪を漉き、ウェットティッシュで顔の汚れをぽんぽんと取っていく
いや本当に生徒が先生にする事じゃないと思うんだけれど、この状況じゃしょうがないよね?
「それだけずっとやってたら効率も落ちますよ……ちょっと仮眠でもします?」
流石に生徒も使うので綺麗にメイクされたベッドの方を指さして
■焔城鳴火 >
「さいてん、きげん?」
心優しい保護者のような生徒にされるがままに、身だしなみを整えられつつ。
目から、す、と光が失われた。
「しゅうあけにへんかん」
微妙に呂律が回っていない。
なお、一次採点に校正などチェックを入れた上で、30点以下のレポートは再提出、また任意での再提出がある。
そして、その後は二次採点が待っているのだった。
「やぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁ!
一回寝たら、絶対に心折れる!
無理、休んだらもう立ち向かえる自信がない!」
とんでもねえ、泣き言だった。
なお、赴任して二年目であるが。
去年は全部マークシート式の内容で終わらせたのだが、まさかレポート提出にした途端、こんな事になるとは思わなかったのである。
「ぐず――会議で、今年はレポート提出にしましょうってなって。
学生のレポートなんてペラペラの当たり障りない物ばかりだろうって思ってたのに。
まさか、私なんかの講義取ってる連中が、こんな大真面目にレポート書いてくるとは思わないでしょお!?」
信じられない、とばかりに少女の顔を悲痛な表情で見上げた。
なお、レポートの課題は『医学的に見た、異能や魔術について』である。
正解のない内容であり、十人いれば十人の価値観がある内容だった。
それが数百とあれば、まあ、全てきっちり目を通さなければ採点もチェックも入れられないのである。
「こんな大真面目にレポート書かれたら、私が手を抜くわけにいかないじゃない!
しかもどれも個性的で面白い内容だし!
畜生!」
ただの悲鳴なのか、嬉しい悲鳴なのかわからなくなってきたが。
とりあえず、干物先生は大分限界である事はまるわかりだろう。
とはいえ、採点は頑張るつもりらしい。
「ひぃ、ふぅ、はぁ――。
――うん、ごめん、少し落ち着いてきた」
少女に散々泣き言を言って、慰められているうちに、少し落ち着いてきたらしい。
とはいえ、それでも少女に抱き着いたまま離れようとはしなかったが。
■黒羽 瑠音 >
「あっはい」
また目が死んだーー!!
「うん、うん、ちょっと時間が短いですねー」
「そ、そうですか……うーん、でも15分だけでも……体を横にするだけでも違うって言いますし」
「このままだと本当に倒れちゃいますよ、心配です」
言ってることは分かるんだけどね、夏休みの宿題でそんな事が何度あったことか……
「それだけ先生の授業に真剣になって向き合ってる人が多いって事ですねー……いい事、だと思うんですけど」
「それはそれとして物理的に……うん、今度他の先生はどうしてるか聞いてみてもいいかもですね?」
まぁでも、医学に関するレポートとなれば、人の命を預かるといった側面もある
そういった講義を受けている人が真面目な人ばかりなのは、今後を考えるときっと喜ばしい事なんだろうなぁ
いやまぁ、それで先生が苦しんでるわけだからちょっとだけ複雑な訳だけど
「面白い、ですか……ふふ、時間制限さえなければよかったんですけどね」
「それはよかった、私もちょっとだけ役に立てたみたいです」
私から離れようとしない先生、こうしてみると先生って私より結構小さいんだよね……
先生には失礼だけど、妹がいたらこんな感じなのかなぁ、なんて思ったりしてしまう
……いや、流石に妹がこんな状態になってたら無理にでも寝かしつけてる気がするけど、うん
ともあれ、そのまま手癖のように髪をなでながら暫くよしよし、と背中を撫でているのです
■焔城鳴火 >
「はあ――私の講義の、なにがそんな面白いんだかねえ。
医者としても、実績はまあまああっても、まだペーぺーの小娘だし。
教員としてだって、ついでに取っておくかと思った資格があっただけで、真っ当な講義なんて去年赴任してからはじめてやったようなもんなのに」
少女のみぞおち辺りに、ぐりぐりと顔を押し付けつつ。
メイクはとっくに落ち切っているので、移る心配はないが、そうじゃない。
「他の先生には『うわ、提出率すごいね』って言われた。
あれ、あの顔、絶対に採点したくないって顔だったわ。
実際提出率九割超えてるのって凄いし、嬉しいんだけどねえ」
すぅぅぅぅ、と思い切り息を吸う。
思春期真っ盛りで青春ど真ん中の少女から、若いエネルギーをすいとるかのように。
「たださぁ、不正防止とは言え、今のご時世に、紙に手書きってどうなのって思わない?
こっちも手書きでチェック入れなくちゃいけないし、時間かかるし――はあ」
そうして、少女をたっぷり吸ってから、ようやく手を放した。
椅子に深く座り直して、大きく息を吐く。
一先ず落ち着いたようだった。
「――悪いわね、なんかもう限界で。
思い浮かんだのがその、瑠音だったから」
なんて、そんな事を少し恥ずかしそうにいうのである。
というか、照れているのか若干顔が赤かった。
■黒羽 瑠音 >
そう言いながらも、何だかんだで頑張っちゃうところとかが慕われてるんだろうなぁ、なんて思いつつ
ぐりぐりと顔を押し付けてくる先生にちょっとくすぐったそうに笑っちゃう
「あはは、そうなんですね。じゃあ焔城先生の授業はそれだけ評価が高いって事で」
「でも、次もこれならちょっと考えたほうがいいかもですね~、先生ばっかり大変なのはちょっと」
そう、例えどれだけ『いいこと』であろうとも、先生の子の惨状を見るに何か対策はいるだろうなぁ、と思う事しきり
とはいえ何か直ぐに思いつくものがあるわけじゃないんだけど
「副担任……とか、手伝ってもらえる人を探すとか……いや、私に伝手何て勿論ないんですけど」
何て言っている間に先生はすぅーー、としていた、うん、くすぐったいけど…まぁ、先生がしたいならいいか
「まぁそりゃ、この状態を見てれば分かります」
「知らなかった何かの事件の後かと思いましたよー?ふふ、先にお家にいっておいてよかったかも」
顔が赤い先生に対して、私はちょっとだけ面白そうにくすくすと笑う
恐らくこんな先生の顔を見れる人は少ないだろう、ちょっとした特権!というやつだろうか
「それでどうします?お茶くみとかくらいは出来ますけど……流石に採点とかで手伝える事は無いでしょうし」
■焔城鳴火 >
「評価が高いのか、面白がられてるだけなのかわからないけど――まあ、瑠音がいうなら」
なんて、少女が褒めてくれるならあっさり受け入れちゃうのである。
とはいえ、実際にこれは効率が悪い。
自由記述式のレポートは、次回はやめようと思った。
「んー、副担任もいいけどね。
それよりも、設問を考えた方がいいでしょうねえ。
自由記述にしても、文字数を制限するとか?」
例えば原稿用紙一枚に要点をまとめさせる、などだ。
そうすれば、今ほど大変ではなく、要点をまとめるという大事な能力の試験にもなる。
自分の見解を簡潔にまとめるというのは、非常に大事な事なのだ。
「――というか、そんなにひど――酷いわねこれ。
ごめん、とりあえずゴミだけまとめるの手伝って貰っていい?
分別しておかないと、後でゴミ処理の人に怒られるから」
少女の手で多少整えられた頭を掻くと、若干脂っぽかった。
自己嫌悪。
「ごみを纏めたら――そうね、どうしよ。
とりあえず瑠音の顔が見たくて呼んじゃったから、なにかしてもらおうとか思ってなかったのよねえ。
流石に生徒のレポートを見せるわけにはいかないし」
などと。『ただ会いたかっただけ』なんて言いつつ。
どうしようかなぁと考えて――
「――とりあえず、頭撫でて」
そんな事を、恥ずかしそうに言うのだった。
■黒羽 瑠音 >
「ふふ、そうですよ、きっと」
素直に受け入れてくれる先生に頬がちょっとにんまりとなっちゃったりして
こほん、と一つ息を吐く
「あー確かに、こう『まとめる力』?ってやつも感想文とかだと大事だって先生に言われましたし」
とにかく細かく書き連ねる事と、必要な文字数の中で要約する事は別の技術という奴だ
実際、長すぎて目が滑るような話を要約して分かりやすくできる人はちょっと憧れます
「はーい、まぁ、これくらいなら直ぐ終わりますって!」
「えーと、ちりとりとほうき…」
部屋の隅にあるだろう掃除用具を引っ張り出して、ゴミをまとめるついでに床の細かいゴミもとっていく
こういう時はまとめてやっておかないとすっきりしない性質なのです
「それで、この… 缶は中身洗わないとですね、取りあえずまとめといて後で一気にやっちゃいましょう」
缶をひとまとめにしながら隅に置いて、一先ず他のごみを片付ける
片付けながら先生の『要件』を改めて聞けば……
「ふふっ、もう、生徒にするような頼みじゃないですよ~?」
しょうがないなぁ、なんて言いながらも、それでも頼られたのは何だかんだで嬉しいので
ゴミをまとめた後先生の前にまた座って
「こんな感じでいいですか?」
すっ、と手を伸ばして、今度はゆっくりと額から頭を撫でていく
これくらいで先生の疲れが少しでも取れるならお安い御用というやつだ
■焔城鳴火 >
「そうねえ、中身がスカスカでただ長ったらしい文章と、伝えたい部分が分かりやすくまとめられた文章なら。
そりゃあ、後者の方が価値が高い――って、私は思うけどね」
あくまで個人的には、だ。
とにかく沢山、長く多く、と書いた方が評価される事もある。
これに関してはケースバイケースというのが、なんとも言えないところだ。
「はあ――なんかいつも片付けばかりさせちゃってて、悪いわね。
近々、この前のも含めてちゃんとお礼するわ」
こうも、公私どちらも助けてもらってしまっては、黙っては居られないわけで。
それに先日は、勢いもあって、危うく少女に手を出してしまうところだったのだ。
ちなみに鳴火はノンケではあるが、同性愛の経験がない訳でもない。
そういう意味で、鳴火には然程性別に抵抗がないのがまた危うい。
「――ん、くすぐったい」
なんて他愛もない、重大な事を考えつつも。
つい少女に甘えてしまう。
優しく撫でられると、心地よくて瞼が重くなり、とろんとしてしまう。
「はあ――なんで私、年下の学生に甘えてるんだろ。
これも、瑠音がいけないのよ。
私の事を甘やかすから」
なんて、責任転嫁しつつも、閉じかけた瞳で少女をぼんやりと見つめる。
やっぱり、どこか胸がざわざわとしてしまう。
恋心――とは明確に違うのは確かだが。
「――そう言えば瑠音、あんた、いい男とかいないの?」
ふと、そんな事を聞いていた。
■黒羽 瑠音 >
「書く事思いつかないと逆にどれだけ伸ばすか悩んじゃうんですけどねー」
「そこらへんはハイ、大抵勉強不足なんですけど」
「ふふ、期待してまーす」
くすくすと笑いながら先生にウィンクしてみたり
いや、実際お礼を期待していないといえば噓にはなるんだけど
特に何か――欲しいものがある訳でもない、あ、美味しいごはんとか教えてもらいたいかも
大人っぽいお店とか、先生なら一つ二つしってそうだし!
「甘やかしてるつもりはないんですけど……」
「というかふつーに受け入れている先生も先生ですよー?他の人が見てたらすっごい恥ずかしい事になっちゃいます」
「……でもまぁ、甘えたいときって誰しもあるでしょうから」
先生にそういう人は、少なくとも今傍にはいないんだろう
私だって母さんと父さんと離れて此処に来ている訳だし、そういう寂しさは少しは分かる、と思う
「ん~~、ふふ、私まだ14ですよ?いないですって、でもいつかは、とは思いますけど」
「男友達って言える人も今のところ……あんまりいませんし」
いい男、といわれて一瞬きょとんとしつつ、意味をかみ砕いてちょっと苦笑する
縁があれば、って奴だけれど、まぁ中々異性との出会いってやつも無いものだ
知り合いや友達に男の人がいないわけじゃないけれど、今のところは……うん、いないよねぇ
■焔城鳴火 >
「めちゃくちゃ甘やかしてるでしょ。
普通頼まれたってこんなことしてくれないわよ――もう」
甘えたいときと言われて、なにも否定できず、顔を赤くしてしまう。
こんなふうに誰かに甘えたのは――よく考えずとも十年以上昔の事だ。
「別にみられても構わないわよ、私は。
そうしたらむしろ、瑠音は私のモノってアピールしてやるから」
なんて言って、『首にキスマークでも付ける?』なんてとんでもない事を言い出したりするが。
まあ実際に見られてもしたら、死にたくなるほど恥ずかしい思いをするのだろう。
「だから14歳は別に彼氏彼女がいたって普通なのよ。
でもまあ、そういう事なら夏季休暇は――」
そう言えば、と。
「瑠音、あんた休暇中に帰省とかしないの?
あんたの家族、こっちにいるわけじゃないでしょ」
そう、少し心配そうに少女を見上げる。
■黒羽 瑠音 >
「そういうもの、ですかね?」
「いやまぁ、確かにこんなことするの初めてでしたけど、妹とかいなかったし」
「私のモノって… いやいやいや、それはダメです、ダメダメ、えっちです!」
キスマーク、という言葉に耳まで真っ赤になるのを感じながら首をぶんぶんと振って
もう、本当に冗談なのか本気なのか……先生ったら、もう
「あ、勿論帰る予定ですよ~往復合わせて一週間くらいかな……」
「お土産何にするか迷ってるんですよね、此処って色々品揃えいいし、私の地元、そんな名物ってものがある訳でもないし」
それはそれとして友達とも目いっぱい遊ぶ予定ですけど!
「そーいう先生こそ、之が終わったらやりたい事とかあります?」
「ほら、楽しみが待っていればそれだけ励みになるじゃないですか」
■焔城鳴火 >
「――え、妹みたいな扱いなのこれ」
撫でられて癒されつつも、凄く複雑な気持ちになる。
体格的にも確かに、少女よりも小柄なのは認めるが、大人の女としては甘んじて良いのか非常に難しい問題だ。
だからと、やめろとは言わないあたり、すでに少女の優しさに溺れかけている自覚は少なからずあった。
「なによ、キスマークくらいいいじゃない。
ヘンなナンパとかも避けられるかもよ?」
なんて、ようやく反撃して少女の赤い顔を見れると、くすくすと笑った。
ちら、と。
脳裏に、本気でやろうとしたら抵抗されるのかな、などと浮かんだが一先ず振り払った。
「ああ、ちゃんと帰るのね。
いいじゃない、ゆっくり楽しんできなさい。
お土産なんて、わりとなんだっていいもんよ。
土産話と一緒にもらえたらなんでも嬉しいもんだし」
そもそも、お土産なんてなくたっていいとも思うのだ。
まあそこは、少女なりに気遣いがあるのだろう。
「んー、私ねえ。
とりあえず、思いっきり寝て、飲んで、食って――ああ、久しぶりに田中のところにもいきたいわね。
知ってる?
麺処たな香ってラーメン屋なんだけど、安くて美味いのよ」
鳴火にとって、数少ない、なんの気兼ねもなくスープを真っ赤に染められるラーメン屋だった。
どうして赤くなるかって?
一味唐辛子の粉末を、ほぼ一瓶使い切りながら食べるからだ。
「あとは――そうだ。
あんた、好い人がいないんなら、独り身どうし、どっかに遊びにでも行く?
もちろん、全部私の奢りよ。
海とかプールとか、ああ、夏祭りなんかもありよね」
なんて少女を誘いながら。
この娘にはどんな水着や浴衣が似合うか、なんて考えていた。
■黒羽 瑠音 >
「…… いや、それ以外だと子供くらいしか思いつかなかったですし」
後は……恋人くらいかなぁ?いや、それこそいたことも無いからよく分からないんだけど
「変なナンパは避けられるかもですが友達に何があったか絶対聞かれますって!」
「もー、一人暮らしならまだしも、私ルームメイトもいますし……」
見つかって聞かれた時になんて答えればいいんですか、なんていいながらくすくすと笑う
「土産話、なんてのもそんなにないと思いますけどね~~あ、先生好きな食べ物とかあります?」
「いちおーリクエストくらいは聞いておこうかと、お酒はちょっとアレですけど」
お土産とはいえお酒を買ったり貰うのはちょっと気が引けるので釘を刺しつつ
先生にお土産を買ってこない、という選択肢は無いだろうと聞いてみる
「あ、名前は聞いたことあります、結構有名らしいですね、たなか……一度食べに行ってみたいとは思ってました」
刻々と頷く、何でも特に塩が美味しいラーメン屋らしい
あんまり塩が名物という店は知らないので興味はあった
「いいですよ~?私も友達と色々行く予定ですから、その合間……或いは皆で、ってなると思いますけど」
「先生がいいなら是非、あ、スパとかいいですよ、温泉で疲れも取れますし」
少し前に他の友達にもおすすめしたスパの事を伝えつつ
「なら、そのためにももうちょっとだけ頑張りましょっか、応援と肩もみくらいならしますから」
そういって片目を瞑る、此処まで来たわけだし、帰る時間ギリギリまでは付き合う予定だ
まとめられたレポートに目を向けて、取りあえず終わった奴を整理するなどしてみたり
■焔城鳴火 >
「子供は――流石にきついわね、精神的に。
どうせなら恋人とかの方がいいわ」
なんて、同じことを考えていたなんて知らずに口にしていた。
「あ、そっか。
あんた寮住まいだっけ。
ルームメイトねえ、楽しそうだけど、大変じゃない?
プライベートな空間とか、気にならない?」
一人っ子なうえに、他人と同じ部屋で生活したことがないため、いまいち想像がつかない。
最後に付き合った相手とも、結局同棲までは行かなかったのだ。
「だからいいわよ、私なんかは特に。
瑠音が楽しんできて、元気に帰ってきてくれたら、それで十分すぎるわ」
欲しい物は自分で大抵買えるものばかり。
特に食べ物など、好みを言い出せばキリがない。
となるとやはり、少女がたっぷり楽しんで帰ってきてくれるのが一番のお土産だ。
「ああ、あいつも知られてきたのねえ。
美味いから、機会があれば行ってみると良いわ」
邪道食いを許してくれる懐が深い店である。
客に媚びてるというヤツもいるが、気安い食事処と言うのはああいう場所でよくて、ああいう場所が良いのだ。
「ばーか、流石にあんたとお友達の邪魔はしないわよ。
行くなら二人でいきましょ、デートって事で」
なんて、さらっと言いながら。
『温泉、いいわねえ』なんて口に出しつつ、猫のようにうーんと、背伸び。
「ん、ありがと。
でも大丈夫、沢山甘えさせてもらったから、結構元気でたし。
ああでも、手伝ってくれるならこっちの見終わったヤツ、封筒に閉じてくれない?
流石にそのまま返却するわけにはいかないし」
アナログの面倒なところである。
盗み見られたりしないように、あるいは、そうされた事が分かるように封をしなくてはいけないのだ。
既に夏季休暇。
レポートの返却のためだけに登校させるのも忍びない。
そうして、少女に応援なり手伝いなりとしてもらいながら、時々へこたれそうになると甘えたりしつつ。
なんとか採点作業を進めていくのだった。
■黒羽 瑠音 >
「ぶっ…… もう、先生ってば」
撫でる手を少し強めにして、ぼふぼふっ、と叩くようにする
流石にそれは、ちょっと恥ずかしいってば!
「うーん、そんなにですかね?楽しい事の方が多いかな、この前も一緒にゲーム三昧とかしましたし」
それぞれ受けている講義も違うから、意外と一人になるタイミングも多いですしねー、と続けつつ
「はーい、まぁうん、気を付けていってきます、飛行機で揺られるのはちょっと疲れるんですよねー」
所謂乗り物酔いって奴である、新幹線もだけどあれだけは未だになれないなぁって思ったり
今ならちょっと鍛えたからマシにはなったんだろうか、ムン
「デートって……もう、本当に仕方ないですねえ先生は」
「しょーがないから、ちょっとだけ付き合ってあげますよー、先生のおごりでね?」
くすくす、と笑いながら先生のお手伝いを開始する
一封一封、先生の採点したレポートを丁寧に包んでいって
ちら、と横目で真剣に仕事を始めた先生にエールを送りながら
終わったらもう一回なでなでしたほうがいいのかなぁ、なんて考えていた
――さて、結局私が帰るまでどのくらい仕事が終わったのかは、此処では伏せておくことにします
とはいえ、打ち上げのごはんは美味しいものだったことだけは確かなんだけどね♪
ご案内:「第二教室棟 第四保健室」から黒羽 瑠音さんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 第四保健室」から焔城鳴火さんが去りました。