2024/10/09 のログ
ご案内:「第二教室棟 廊下」に蚕比古 玉繭さんが現れました。
■蚕比古 玉繭 > 廊下にかつん、かつん。下駄の音。
羽織りを揺らして、人のいない廊下を、ひそり、ひそり。
音一つ、静かで、響いて。
「―――♪」
鼻歌、ひそり。
白い髪揺らして。
すこしゆったりと、踊るように。
窓の淵に指あて、ひたり、ひたり。
ランダム指名 > 蚕比古 玉繭
■蚕比古 玉繭 > 「知らない香り」
檜でない、金属の淵でできた窓枠。
「知らない景色」
石畳でない、不思議な黒い外路。
足元の床も、畳でも木でもない。
「…ふふ」
指につぅ、っと糸出して。
少し悪戯心。糸を結って、軽布のよふなもの、作って。
くる、くる。
手芸の真似事。結んだリボン、手のひらの上に置いて。
■蚕比古 玉繭 >
命の糸で編んだ布。生命でできた繊維。
かいこかいこの生糸で編んだ、しるくのりぼん。
生命漲るもの、魔除けには丁度良いでしょう。
「どこか良い場所はあるかしら」
魔除けのリボン、置いてあげるいい所。
何処かにあればいいのだけれども。
ご案内:「第二教室棟 廊下」にヴィシアスさんが現れました。
■ヴィシアス > 「む。」
廊下を歩いてお料理しに行く道中。
……?こんなところで……
(神聖なものの、気配――ッ?)
種族柄、悪魔はそういうのに敏感だった。
これは…ッ?!
……廊下のアチラ側だ。
二本ツノの巨漢は、
見るからに私悪魔ですよとでもいう風貌を隠す事もなく。
魔除けの神聖を手に担う貴女を、
コソコソ……というには少々無理がある様子で伺っている。
……何するんだろう、あれ……?
■蚕比古 玉繭 > 「あら…」
存外、この娘もそういった”もの”には敏感で。
近づいた気配。ぴぃん、と、跳ね毛が揺れて。
そちらの方、向く。
「どなたでしょうか」
ひたり。
「ここは」
近づいて。
「神聖な学び舎」
視線、向けて。
「の、筈でしょう?」
リボン、解けて。
魔性、遮る壁を作って。
警戒心が態度に出てるとも。
■ヴィシアス > 「ん。……ああ、失礼。」
「種族柄、そのように忌避されるのも無理はなかろう。」
二者、
廊下にて
すれ違―――
うことはない。
貴女が作った魔を遮る壁は、
この悪魔の行く道を確かに遮った。
そういうのには、
もう、慣れている。
それに……そういう風に扱われている方が、
自分が何者かをよく理解できる。
故。
「君の言葉は正しい。」
神聖な学び舎であるとの言葉を、肯定する。
「まずは名乗ろう。」
「私の名はヴィシアス。」
「癒しと契約を統べる悪魔だ。」
肯定したうえで、どなたか、の問いに悪魔だと名乗った。
■蚕比古 玉繭 > 「戯言」
明らかな嫌悪感を、顔に示して。
口元、袖で覆う。
だって。
悪魔だなんて、汚らわしいから。
「なぜ」
細い指、ぴん、とそちらに向けて。
「このような害虫が」
既に話す言葉はない、と。
言ふように。
「この学び舎に沸いてるのかしら」
糸の壁の橋から、生えるように。
小鳥の糸人形、生み出して。
飛ばしてあげましょうか。
当たれば、魔を退く生命の塊。
悪の魔には痛い、かも。
■ヴィシアス > 予想外。
害虫だと、
湧いていると。
言い切られた。
「おおっと。」
黒靄。
足元へ六角の魔法陣。
禍々しい魔力の紅い火花。
「反転空間」
ぼやけていく悪魔の姿は、黒々として。
神聖の気を纏う小鳥を柔らかに包み込んでから、
そのまま緩やかに壁面に帰る様に向きを変えさせた。
危害を加えぬ意思表示の代わりに、その小鳥には傷一つない。
ただ戻るだけ。
「……害虫に鳥を向けて啄もう、って意味だろうか?」
「すまないが、こんな場所で刃を交えるつもりはない、」
「場所を移して安全に、であれば歓迎するが……。」
「悪魔はお嫌いかね?」
■蚕比古 玉繭 > 「悪を好むに禄無し」
切って捨てる、みたいな。
偏見とも。潔癖とも。
なんとでも。
興味を抱くことはない。その妖術も、なにも、かも。
だって。
退魔、の者であるからして。
「………」
思案。
どうするか、と。
ただ事では今のように流されるよう。
押し込むような強かさ、生娘にはあろうことなく。
「……立ち入って」
すぅ、と息を、吸って。
「欲しくないですわ」
吐き捨てる。
「この学び舎が穢れてしまうもの」
まさしく。
害虫を見る、目で。
■ヴィシアス > 「……この学園は、色んなやつがいるさ。」
「悪魔、魔王、邪神、――上げだせばキリがない。」
悪。
そう呼ばれる存在が、如何ほどいるだろう。
そしてそれらは、
安全性が確認できたうえで、学園に入る事が出来る。
とされている。
この悪魔もその例にもれず。
「だが、敢えて、敢えて尋ねよう」
「何故悪魔を嫌うのか?」
「私は何もしていないし、君は何もされていないよっ」
けれども理由があろう。
「悪魔は人を騙して契約をするからかね」
前進。
「悪魔は邪なる魔術を使うからかね」
前進。
「悪魔は人の魂を奪うからかね」
前進。
神聖なる、
壁すらも
畏怖せぬ
堂々たる。
前進。
「……さあ。」
■ヴィシアス >
「教えてくれよ。何故悪魔を嫌うのか?」
■蚕比古 玉繭 > 「――――」
睨む。退かぬ。
そも、そんな道理が、生娘の理論にはなかったから。
魔は汚らわしいもの。
魔は払わなければならないもの。
何故?
何故なんて。
聞くまでもなく。
「止まりなさい」
神聖の糸。
蚕の神の宿る糸の壁。魔へ、毒と化す代物。
それは生命――――玉繭(生娘)から伸びるもの、故。
魔を退ける。焼くように。
焼けるように。
ぱつん
「――」
肌を割く、かも。
割いて、糸も割ける、かも。
ばつ、ぱつん
「―――」
それが傷つける度に。傷つくたびに。
糸の束、切れて、千切れて。
生娘の顔、青くなる。
「気持ち悪い―――――」
だから消えて、というように。
千切れた糸の先、編みなおして。
絡めとって前進、止めるように。
■蚕比古 玉繭 > 退魔の力。
神聖なる生糸。
魂を糸とし、羽衣を編むための、退魔の血。
だから嫌いであらねばならない、とも。
だって。
魔に仇名すは、魔に反発すると同義だもの、ね。
だから抵抗の糸は。
先ほどよりも、ずっと強力。
■ヴィシアス > 「……答えを持たないのか?」
「君は悪魔を嫌う理由もなく悪魔を嫌って」
進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩。
進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩。
進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩――
「害虫呼ばわりして」
さりとて、皮膚は瞬く間に癒える。
「汚らわしいモノだと扱うのか……?」
私は悪魔――癒しを司る悪魔ッ!
「君のしていることは、」
「悪質なる報道に踊らされる差別主義者の衆愚ではないか……?」
表情は怒り、ではない。――憐みにすら見えよう。
「……悪魔を嫌う人間は誰しも悪魔だからだという」
「この学園内ではそのような偏見は薄いと思っていたが…」
目先に、睨む貴女。
阻むはより強固な否定を含む力。
神聖そのものの生糸。
悪魔は――
「――私は調理室に行き料理をするだけだ。」
「それに何の不都合がある?」
「……無益な行いは、やめよう。」
漸く、前進を止めた。
■蚕比古 玉繭 > あるいは。
それが対話の意思をもつものであれば、語る暇もあったろうに。
あるいは。
それが対話せしうる力を持っていれば。
「――――」
気持ち悪い。
祖の神は、強い退魔の力を宿して。
だけどとても脆い、命であったからして。
だから、”強い”魔に近寄られればこうもなる。
触れてもいないのに、否。
魂を糸として、強く触れさせていたから。
そして糸を割ける程に、強い魔、であったから。
「―――、…っ」
抵抗を持てないの。
膝を折って、口元を抑えて。
なにもしてない、傷つけてるのはこっちだったはずなのに。
いつの間にか、跪いて顔色悪そうにするのは、生娘の方。
■ヴィシアス > 「……」
悪魔は時に"最高位の悪魔"と呼ばれた。
「…………」
時に"最低最悪の魔王"とも呼ばれた。
「………………?」
だが今は"ただの悪魔"に過ぎぬ。
己の力量など、久しく忘れていた程に。
跪いた理由は――
「お、おい。」
「……大丈夫か…?」
妙な事に、この悪魔はお節介なやつであった。
癒しを司る性質上、
"何故貴女が顔色が悪いか"が理解できる。……出来てしまう。
魂を切り捨てるに近しい行為――無事で済むはずが、なかろう。
「ああ全く…だから、やめてくれと言ったのに。」
「ああ、ええと。立てるかね……?」
……妙な事に、この悪魔はお節介なやつであった。
■蚕比古 玉繭 > 「けがらわ、しい……」
吐き気を含んだ咳を何とか止めて。
さらに近寄られようものなら、本当に、吐き出してしまいそうに。
その体は魔を拒絶してならない。
「……ご高説を解く悪魔」
なんとか、立ち上がって。
触れようとするなら、細く軽そうな手で其れを弾いて。
「でも」
拒絶の意思は変わらない。
「わたくしは理由なぞ関係なく、魔は嫌いです」
睨む瞳で訴える。
「何故、とこれ以上説くなら。尚の事」
存在するだけで。
在るだけで掻き消えるよな存在の事。
知りもしないのはどっち、というかのよふ。
「……、……ふ、は……
っ――――」
立ち、眩み。
そして気が、一瞬離れて、崩れ落ちた。
■ヴィシアス > 「……?」
「……あ。」
ぱん、と払われて。
思い、至った。
犬が玉ねぎ食えねえように、
魔を前にして苦悶する存在は、確かにいる。
魂そのものを神聖として切り出した彼女なら、
悪魔の存在そのものが、苦しめるのだろうか?
これは、感情による好きとか嫌いとかそういう話ではない。
のではないか?
そういう体質なのか…?
「……別に、仲良くしろとは、言わない」
「受け入れろとも、言わない」
緩やかに、自らの、悪魔の放つ瘴気を消し果てていく。
「が」
「気に入らんモノを消そうとする態度は如何。」
「逆の立場ならどうなるか、想像がつくかね……クックック、御高説を解く、とまた弾かれそうだ」
崩れた体へ、一定の距離を保っている。
「して」
「――このまま放っておくのも後味が悪いし。」
「少なからず私にも原因がある。」
「一つ癒しの契約を以って停戦をしてくれないかね。」
互いにとって、きっと一番良いだろう。
――或いはそれすらも、けがらわしいモノだと映ろうか。
■蚕比古 玉繭 > 「は」
契約、などと。
それこそ吐き捨てるよふな事。
だから。
「莫迦にしないでください」
気を、張りなおした。
近寄る悪魔との間に、強い、拒絶の糸の壁と共。
息を、浅く、早く吐きながら。
無理に立ち上がって。
「愚弄も大概に」
ふらり、と離れよう、と進んで。
「わたくし、魔を契約することは…ありえませぬので」
だから。
最後に一つ。
ぱん、と弾いて、糸の玉あなたの前爆ぜさせて。
ぐるぐるに巻き付ければ、暫く動くのに苦労はしそうな拘束に、なるかも。
もちろん、当たればだけど。
「いつか祓います。
わたくし、”退魔”の者ですので」
最後まで。
敵愾心は消える事、なかったようで。
■ヴィシアス > 「……どうしても、相容れんようだな…。」
最後まで潰えぬ意思。
舞台が違えば、きっと絵になろうに。
魔王に立ち向かう、砕けぬ意思持つ勇者のように。
こんな平和な場でそれを見せられたことは、残念だ。
「クックック……」
「高々、100円少しを対価に癒しを与える、という契約すら、蹴るのか?」
「だが……その意気やよし――ッ」
指を鳴らす。
六芒星が、六芒星を描き、その六芒星が、また六芒星を描き。
六重に描かれる六芒星が、薄れ居ていた筈の瘴気を満たす。
過剰なる広域魔法陣。
次々放たれるは闇の魔力を稲妻の如く溢れさせる力の宝玉。
黒と紫が神聖なる糸を食い破り、悲鳴を奏でさせるように絡みつかんとする行為を
まるで誇示するかの如く、拒絶し―――
バチ……ッ
バチッ…バチッ……ッ
バチバチバチ……ッ
ビ――ッ
ズドォォ―――――ッッッ!!!
――不要なエネルギーを、威圧の代わりに天高くへと向けた。
「では"退魔"の者よ。改めて名乗っておこう。」
「私はヴィシアス。最高位の悪魔にして、魔王とも呼ばれていたよ。」
「次は、然るべき場所で語らいたいものだ……。」
幾星霜を経た魔王はもう、戦いなど望んではいなかった。
けれど、その折れぬ敵愾心を無下にしたくないお人よしでもあった。
戦う、ではなく語らいたいとの言葉を選ぶけれど、果たして、どう伝わったろう――
それはきっと、貴女しか、知るまい。
■蚕比古 玉繭 > 「本当に…」
何も、かもが
相容れぬやも。
そう思ひながら、踵を返してゆく。
「語る事など」
ふら、ふらり
「ありませんが」
でも、倒れずに。
その場から、去ったろうな。
ご案内:「第二教室棟 廊下」から蚕比古 玉繭さんが去りました。
■ヴィシアス > 去り行く姿を見て、呟く。
決して倒れる事なき姿を、追いもせず、
寧ろ立ち去りやすいように直立不動で見送るようで。
「――いかんいかん、今日はエビフライを作るんだった。」
悪魔はゆっくりと廊下を通り過ぎて、調理室へ向かっていった。
ご案内:「第二教室棟 廊下」からヴィシアスさんが去りました。