2024/10/09 のログ
ご案内:「第二教室棟 廊下」に蚕比古 玉繭さんが現れました。
蚕比古 玉繭 > 廊下にかつん、かつん。下駄の音。
羽織りを揺らして、人のいない廊下を、ひそり、ひそり。

音一つ、静かで、響いて。


「―――♪」

鼻歌、ひそり。
白い髪揺らして。

すこしゆったりと、踊るように。
窓の淵に指あて、ひたり、ひたり。
ランダム指名 > 蚕比古 玉繭
蚕比古 玉繭 > 「知らない香り」

檜でない、金属の淵でできた窓枠。

「知らない景色」

石畳でない、不思議な黒い外路。
足元の床も、畳でも木でもない。

「…ふふ」

指につぅ、っと糸出して。
少し悪戯心。糸を結って、軽布のよふなもの、作って。

くる、くる。

手芸の真似事。結んだリボン、手のひらの上に置いて。

蚕比古 玉繭 >
命の糸で編んだ布。生命でできた繊維。
かいこかいこの生糸で編んだ、しるくのりぼん。

生命漲るもの、魔除けには丁度良いでしょう。


「どこか良い場所はあるかしら」

魔除けのリボン、置いてあげるいい所。
何処かにあればいいのだけれども。

ご案内:「第二教室棟 廊下」にヴィシアスさんが現れました。
ヴィシアス > 「む。」

廊下を歩いてお料理しに行く道中。
……?こんなところで……

(神聖なものの、気配――ッ?)

種族柄、悪魔はそういうのに敏感だった。

これは…ッ?!
……廊下のアチラ側だ。

二本ツノの巨漢は、
見るからに私悪魔ですよとでもいう風貌を隠す事もなく。

魔除けの神聖を手に担う貴女を、
コソコソ……というには少々無理がある様子で伺っている。

……何するんだろう、あれ……?

蚕比古 玉繭 > 「あら…」

存外、この娘もそういった”もの”には敏感で。
近づいた気配。ぴぃん、と、跳ね毛が揺れて。


そちらの方、向く。

「どなたでしょうか」

ひたり。

「ここは」

近づいて。

「神聖な学び舎」

視線、向けて。

「の、筈でしょう?」

リボン、解けて。
魔性、遮る壁を作って。

警戒心が態度に出てるとも。

ヴィシアス > 「ん。……ああ、失礼。」
「種族柄、そのように忌避されるのも無理はなかろう。」

二者、
廊下にて
すれ違―――


うことはない。

貴女が作ったを遮る壁は、
この悪魔の行く道を確かに遮った。

そういうのには、
もう、慣れている。
それに……そういう風に扱われている方が、
自分が何者かをよく理解できる。

故。

「君の言葉は正しい。」

神聖な学び舎であるとの言葉を、肯定する。

「まずは名乗ろう。」
「私の名はヴィシアス。」
「癒しと契約を統べる悪魔だ。」

肯定したうえで、どなたか、の問いに悪魔だと名乗った。

蚕比古 玉繭 > 「戯言」

明らかな嫌悪感を、顔に示して。
口元、袖で覆う。


だって。
悪魔だなんて、汚らわしいから。

「なぜ」

細い指、ぴん、とそちらに向けて。

「このような害虫が」

既に話す言葉はない、と。
言ふように。

「この学び舎に沸いてるのかしら」


糸の壁の橋から、生えるように。
小鳥の糸人形、生み出して。

飛ばしてあげましょうか。
当たれば、魔を退く生命の塊。
悪の魔には痛い、かも。

ヴィシアス > 予想外。
害虫だと、
湧いていると。
言い切られた。

「おおっと。」

黒靄。
足元へ六角の魔法陣。
禍々しい魔力の紅い火花。

反転空間(インバーススペース)

ぼやけていく悪魔の姿は、黒々として。
神聖の気を纏う小鳥を柔らかに包み込んでから、
そのまま緩やかに壁面に帰る様に向きを変えさせた。

危害を加えぬ意思表示の代わりに、その小鳥には傷一つない。
ただ戻るだけ。

「……害虫に鳥を向けて啄もう、って意味だろうか?」
「すまないが、こんな場所で刃を交えるつもりはない、」
「場所を移して安全に、であれば歓迎するが……。」

「悪魔はお嫌いかね?」

蚕比古 玉繭 > 「悪を好むに禄無し」

切って捨てる、みたいな。
偏見とも。潔癖とも。

なんとでも。

興味を抱くことはない。その妖術も、なにも、かも。
だって。

退魔、の者であるからして。

「………」

思案。
どうするか、と。

ただ事では今のように流されるよう。
押し込むような強かさ、生娘にはあろうことなく。

「……立ち入って」

すぅ、と息を、吸って。

「欲しくないですわ」

吐き捨てる。

「この学び舎が穢れてしまうもの」

まさしく。
害虫を見る、目で。

ヴィシアス > 「……この学園は、色んなやつがいるさ。」
「悪魔、魔王、邪神、――上げだせばキリがない。」

悪。
そう呼ばれる存在が、如何ほどいるだろう。
そしてそれらは、
安全性が確認できたうえで、学園に入る事が出来る。
とされている。
この悪魔もその例にもれず。

「だが、敢えて、敢えて尋ねよう」

「何故悪魔を嫌うのか?」
「私は何もしていないし、君は何もされていないよっ」

けれども理由があろう。

「悪魔は人を騙して契約をするからかね」

前進。

「悪魔は邪なる魔術を使うからかね」

前進。

「悪魔は人の魂を奪うからかね」

前進。

神聖なる、
壁すらも
畏怖せぬ
堂々たる。

前進。

「……さあ。」

ヴィシアス >  

      「教えてくれよ。何故悪魔を嫌うのか?」

 

蚕比古 玉繭 > 「――――」

睨む。退かぬ。
そも、そんな道理が、生娘の理論にはなかったから。

魔は汚らわしいもの。
魔は払わなければならないもの。

何故?
何故なんて。

聞くまでもなく。

「止まりなさい」

神聖の糸。
蚕の神の宿る糸の壁。魔へ、毒と化す代物。

それは生命――――玉繭(生娘)から伸びるもの、故。

魔を退ける。焼くように。
焼けるように。

ぱつん

「――」

肌を割く、かも。
割いて、糸も割ける、かも。

ばつ、ぱつん

「―――」

それが傷つける度に。傷つくたびに。

糸の束、切れて、千切れて。
生娘の顔、青くなる。

「気持ち悪い―――――」

だから消えて、というように。

千切れた糸の先、編みなおして。
絡めとって前進、止めるように。

蚕比古 玉繭 > 退魔の力。
神聖なる生糸。

魂を糸とし、羽衣を編むための、退魔の血。


だから嫌いであらねばならない、とも。
だって。

魔に仇名すは、魔に反発すると同義だもの、ね。


だから抵抗の糸は。

先ほどよりも、ずっと強力(明確な否定)

ヴィシアス > 「……答えを持たないのか?」
「君は悪魔を嫌う理由もなく悪魔を嫌って」

進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩。
進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩。
進む。糸が絡む。悪魔が灼ける。
一歩――

「害虫呼ばわりして」

さりとて、皮膚は瞬く間に癒える。

「汚らわしいモノだと扱うのか……?」

私は悪魔――癒しを司る悪魔ッ!

「君のしていることは、」
悪質なる報道(マスゴミ)に踊らされる差別主義者の衆愚ではないか……?」

表情は怒り、ではない。――憐みにすら見えよう。

「……悪魔を嫌う人間は誰しも悪魔だからだという」
「この学園内ではそのような偏見は薄いと思っていたが…」

目先に、睨む貴女。
阻むはより強固な否定を含む力。
神聖そのものの生糸。
悪魔は――

「――私は調理室に行き料理をするだけだ。」
「それに何の不都合がある?」

「……無益な行いは、やめよう。」

漸く、前進を止めた。

蚕比古 玉繭 > あるいは。
それが対話の意思をもつものであれば、語る暇もあったろうに。

あるいは。
それが対話せしうる力を持っていれば。


「――――」

気持ち悪い。
()の神は、強い退魔の力を宿して。
だけどとても脆い、命であったからして。



だから、”強い”魔に近寄られればこうもなる。


触れてもいないのに、否。
魂を糸として、強く触れさせていたから。 

そして糸を割ける程に、強い魔、であったから。

「―――、…っ」


抵抗を持てないの。
膝を折って、口元を抑えて。

なにもしてない、傷つけてるのはこっちだったはずなのに。

いつの間にか、跪いて顔色悪そうにするのは、生娘の方。

ヴィシアス > 「……」

悪魔は時に"最高位の悪魔"と呼ばれた。

「…………」

時に"最低最悪の魔王"とも呼ばれた。

「………………?」

だが今は"ただの悪魔"に過ぎぬ。
己の力量など、久しく忘れていた程に。
跪いた理由は――

「お、おい。」
「……大丈夫か…?」

妙な事に、この悪魔はお節介なやつであった。
癒しを司る性質上、

"何故貴女が顔色が悪いか"が理解できる。……出来てしまう。
魂を切り捨てるに近しい行為――無事で済むはずが、なかろう。

「ああ全く…だから、やめてくれと言ったのに。」

「ああ、ええと。立てるかね……?」

……妙な事に、この悪魔はお節介なやつであった。

蚕比古 玉繭 > 「けがらわ、しい……」

吐き気を含んだ咳を何とか止めて。
さらに近寄られようものなら、本当に、吐き出してしまいそうに。


その体は魔を拒絶してならない。



「……ご高説を解く悪魔」

なんとか、立ち上がって。
触れようとするなら、細く軽そうな手で其れを弾いて。

「でも」

拒絶の意思は変わらない。

「わたくしは理由なぞ関係なく、魔は嫌いです」

睨む瞳で訴える。

「何故、とこれ以上説くなら。尚の事」


存在するだけで。
在るだけで掻き消えるよな存在の事。
知りもしないのはどっち、というかのよふ。

「……、……ふ、は……
 っ――――」

立ち、眩み。
そして気が、一瞬離れて、崩れ落ちた。

ヴィシアス > 「……?」
「……あ。」

ぱん、と払われて。

思い、至った。
犬が玉ねぎ食えねえように、
魔を前にして苦悶する存在は、確かにいる。

魂そのものを神聖として切り出した彼女なら、
悪魔の存在そのものが、苦しめるのだろうか?

これは、感情による好きとか嫌いとかそういう話ではない。
のではないか?

そういう体質なのか…?

「……別に、仲良くしろとは、言わない」
「受け入れろとも、言わない」

緩やかに、自らの、悪魔の放つ瘴気を消し果てていく。

「が」
「気に入らんモノを消そうとする態度は如何。」
「逆の立場ならどうなるか、想像がつくかね……クックック、御高説を解く、とまた弾かれそうだ」

崩れた体へ、一定の距離を保っている。

「して」
「――このまま放っておくのも後味が悪いし。」
「少なからず私にも原因がある。」

「一つ癒しの契約を以って停戦をしてくれないかね。」

互いにとって、きっと一番良いだろう。
――或いはそれすらも、けがらわしいモノだと映ろうか。

蚕比古 玉繭 > 「は」

契約、などと。
それこそ吐き捨てるよふな事。


だから。

「莫迦にしないでください」


気を、張りなおした。
近寄る悪魔との間に、強い、拒絶の糸の壁と共。

息を、浅く、早く吐きながら。
無理に立ち上がって。


「愚弄も大概に」


ふらり、と離れよう、と進んで。

「わたくし、魔を契約することは…ありえませぬので」

だから。
最後に一つ。

ぱん、と弾いて、糸の玉あなたの前爆ぜさせて。

ぐるぐるに巻き付ければ、暫く動くのに苦労はしそうな拘束に、なるかも。
もちろん、当たればだけど。


「いつか祓います。
 わたくし、”退魔”の者ですので」


最後まで。
敵愾心は消える事、なかったようで。

ヴィシアス > 「……どうしても、相容れんようだな…。」

最後まで潰えぬ意思。
舞台が違えば、きっと絵になろうに。
魔王に立ち向かう、砕けぬ意思持つ勇者のように。

こんな平和な場でそれを見せられたことは、残念だ。

「クックック……」
「高々、100円少しを対価に癒しを与える、という契約すら、蹴るのか?」
「だが……その意気やよし――ッ」

指を鳴らす。
六芒星が、六芒星を描き、その六芒星が、また六芒星を描き。
六重に描かれる六芒星が、薄れ居ていた筈の瘴気を満たす。
過剰なる広域魔法陣。
次々放たれるは闇の魔力を稲妻の如く溢れさせる力の宝玉。
黒と紫が神聖なる糸を食い破り、悲鳴を奏でさせるように絡みつかんとする行為を
まるで誇示するかの如く、拒絶し―――

バチ……ッ
バチッ…バチッ……ッ
バチバチバチ……ッ

ビ――ッ

ズドォォ―――――ッッッ!!!

――不要なエネルギーを、威圧の代わりに天高くへと向けた。

「では"退魔"の者よ。改めて名乗っておこう。」
「私はヴィシアス。最高位の悪魔にして、魔王とも呼ばれていたよ。」

「次は、然るべき場所で語らいたいものだ……。」

幾星霜を経た魔王はもう、戦いなど望んではいなかった。
けれど、その折れぬ敵愾心を無下にしたくないお人よしでもあった。

戦う、ではなく語らいたいとの言葉を選ぶけれど、果たして、どう伝わったろう――
それはきっと、貴女しか、知るまい。

蚕比古 玉繭 > 「本当に…」

何も、かもが
相容れぬやも。


そう思ひながら、踵を返してゆく。

「語る事など」

ふら、ふらり

「ありませんが」


でも、倒れずに。

その場から、去ったろうな。

ご案内:「第二教室棟 廊下」から蚕比古 玉繭さんが去りました。
ヴィシアス > 去り行く姿を見て、呟く。
決して倒れる事なき姿を、追いもせず、
寧ろ立ち去りやすいように直立不動で見送るようで。

「――いかんいかん、今日はエビフライを作るんだった。」

悪魔はゆっくりと廊下を通り過ぎて、調理室へ向かっていった。

ご案内:「第二教室棟 廊下」からヴィシアスさんが去りました。