2024/06/20 のログ
■宇賀野 実 > 「この辺かな~…」
地図を見て、ようやく受付に近づくも、
イマイチ場所がわからない。
少し悩んだ結果、そのへんにいた生徒に声を掛けることにした。
「あの、すみません…」
『どうしたの?迷子かな?』
「いえ、あの、入学願書を…」
『保護者の人は…? 一人で来たのかな?
偉いねー!』
「はい…」
おじさんは諦めた。 声色も、体つきも、服装も女児である。
今のところは入学願書を出すのが目的なのだ。
ここで変に抗っても仕方ない。
かくして、親切な生徒のちからを借りて無事に願書を出すことになったのだ。
この処理が終われば、自分は晴れて常世学園の生徒というわけである。
ご案内:「第三教室棟 廊下」に如月 槐徒さんが現れました。
■如月 槐徒 > 「さて、少し時間が空いたな」
授業を終え、次の授業までの間の時間。
丸々一時間はフリーだ。この間に何に手を付けようか悩む。
そんなことを思案しながら職員室に向かう途中、角を曲がれば少女…いや、女児が見える。
この学園には様々な生徒がいるし、年相応ではない姿をした者は珍しくない。
よって容姿の方は大した問題ではないが、初めて見る子であるという事が一番気になった。
「どうかしたのかい」
近づいていき声をかける。
正直言って、随分と目立つ人だと思った。
このような服装の生徒は初めて見た。一度見たら忘れないだろう。
それに、受付にいるという事は何かしていたのだろう。相手の事を知りつつ、困っているならば助けになればよいと思った。
■宇賀野 実 > 「ええとですね、それで願書を……」
生徒さんに頑張ってお話を進めていたところで、
声をかけてくれた人の方を見る。
見上げた。長身の男性であり、どう見ても先生だ。
「よかったあー!!」
胸の前で手を合わせ、ちょっとだけ潤んだ目で相手を見上げる。
ようやく願書を出せそうな相手がいた。それが嬉しかった。
「あの、常世学園の先生ですよね。
入学願書を受け取っていただきたく…!
こちらが書類です。それにこっちは研究施設の結果で…。
あと戸籍謄本と住所と…。」
いそいそとカバンから資料を取り出していく。
精一杯手際の良く喋ることで”成人なんです!”オーラを
必死に出そうと頑張っていた。
■如月 槐徒 > 「ああ、一個ずつ受け取るよ」
幼い目元を潤ませながらこちらを見上げるその動作に、年相応の外見というイメージを抱いてしまったのはこの教師が悪いのだろうか。
いそいそと複数の書類を取り出す女児に対し、しゃがんで書類を一つずる受け取る。
てぶらでよかったなと思いつつ、落ち着かせようと声かけをしつつ、微笑ましく見守るだろう。
「入学希望かい?名前を聞いてもいいかな」
幼子に対してするようなゆったりとした問いかけ。
その合間に、女児を助けてくれていたであろう生徒に「手助けしてあげていたんだね、ありがとう」と声をかけておく。
そして、必要な書類がそろっているかを見ていく。
必要なものはそろっている。場合によっては追加で必要な時もあるが、基本はこれで大丈夫なはずだ。
名前は…『宇賀野 実』か。中性的な名前だ。
■宇賀野 実 > 「ありがとうございます、よかった…!」
眼の前にしゃがんでまで丁寧に書類を受け取ってくれる相手に感服する。
さすがは先生だ。 自分のように背が低い相手への接し方も心得ている。
「はい。うかの みのり と言います」
きちんと名乗ってから、改めて慇懃に頭を下げる。
うまく名乗れていただろうか、緊張でちょっと覚束なかっただろうか。
気楽に願書を出しても良いのだろうけど、自分のことであるから
流石に少し緊張する。そわそわとしながら、相手の書類確認を待つ。
ここで迂闊に書類について聞いたりしない。 大人だから。
「…それにしても、大きな学校ですね。初めて足を踏み入れました。」
ちらほらと生徒が行き交う周囲を見やりながら声を掛ける。
さすがにちょっと緊張に耐えかねたのだ。
■如月 槐徒 > 「みのりさんね、憶えた。俺は如月槐徒、霊薬学の教師をやっているよ。
気軽に槐徒先生とでも呼んでくれたら嬉しい」
覚束ない様子とはいえ、礼儀正しい女児に対して微笑ましく思ってしまう。
つい微笑みが漏れ、口角が上がる。いい子だ。
「ああ、そうだね。この学校はとても広いよ。
憶えるまでは大変だと思うけど、誰かに聞けば大抵は教えてくれるから気軽に聞くといい」
生徒たちは基本的にみんないい子だ。たまに悪い子もいるが、女児に対してまでそんな反応をする子は中々いないだろう。
書類がそろっている事を確認し、空欄がないかどうかに目を通す。
本当はここまでする必要はなくて、担当の職員にこのまま渡してしまえばいいのだが、もし空欄があったりしたら二度手間だろう。
一応記入漏れがないかだけ確認しておくぐらいなら、問題ないはずだ。
(名前、生年月日、現住所、性別…ん?)
そこまで確認して、違和感に気づいた。
視線を少し前の項目、生年月日の部分にやる。
「…生年月日だが、年の部分が20年ほど違わないか?」
恐らく記入間違いだろう。気付けてよかった、とか思いながら普通に尋ねるだろう。
■宇賀野 実 > 「はい、槐徒先生。よろしくお願いします。」
改めて頭を下げてご挨拶。
自分のような幼い姿の相手にも、決して真摯な姿勢を崩さない。
まさに教師かくあるべしといったところだろう。
「なるほど…そうですね、色々聞いてみます。」
胸をなでおろす。 きちんと学生になれば、生徒さんたちだって
自分の仲間なのだ。 気軽に話しかけてもいいし、質問してもいい。
話をしながら書類に目を通す相手を見て、満足げに目を細める。
やはり常世学園に入学するというのは最適な道なのかもしれない。
そんな感情に満たされていたところで、相手の問いかけが響く。
びくりと大きく震えると、視線を落とした。
「…あの、その…異能のせいで、外見がたいそう幼く…なっており…。
書いてある日付は全く誤りがないものです…。
槐徒先生が真摯に受け答えしてくださったので、成人としての
矜持は保てましたけれども…!」
耳まで真っ赤にしながら、それでも努めて明るく振る舞った。
これで幼女にするように接されたら、ちょっとすねていたかもしれない。
■如月 槐徒 > 「そうだったか。悪い事を聞いてしまって申し訳ない」
ああそうか。異能のせいで容姿が幼くなっているのか。それぐらいなら全然あり得るだろう。
余裕な態度を見せる自称28歳。同僚に幼い外見に反し60を超える教師がいる。これぐらいならむしろ可愛い方だ。
となると…
(…一応年上になるのか。)
周囲からすれば、年上の生徒を持つ事になると考えると、その接し方を少し考えた方がいいだろうかなんて少し考える。
個人的にはあまり気にすることではないのだが、一応考慮して接した方がいいかもしれない。
…とはいえ、実さんも今の受け答えで満足してくれているようだし、このままでも大丈夫かもしれない。
…まあ、こちらとしては女児と接しているつもりだったので、少し後ろめたいのだが。
(さて…性別、電話ばんご…)
「…性別が男となっているけど、これも間違いないのかな」
恐る恐る、尋ねた。
いやまさか。
■宇賀野 実 > 「いえ、ここ数年のことですし、自分でも驚いていまして…。」
相手の素直な謝罪にこちらも頭を下げる。
わざとでないことを咎める理由なんてないのだ。
とはいえ、この確認があるということは、次はおそらく、間違いなく…。
その予測がぴったりと当てはまる質問が飛んでくると、再び固まった。
「…」
性別について問われると、いよいよもって真っ赤になる。
瞳を潤ませているのは発情しているからではなく、
ただただ恥ずかしいからだ。
無意識のうちに、スカートの裾をぎゅっと小さな手で掴んだ。
「…はいぃ…」
情けない声で応じるしかなかった。
「そ、その…この服も趣味というわけではなく、
検査資料を見ていただけるとわかるのですが、
その…おそらくそれ由来でして…。」
これ以上確認があったら恥ずかしくて溶けて死ぬ。
そう思ったので、自ら衣服についての説明まで付け加える。
決して女装がしたい38歳成人男性ではないのだ。
ちょっと必死だった。
■如月 槐徒 > 「そ、そうなんですね」
思わず敬語が出る。
38歳、男性。女児とは正反対。
大変容後の社会にはもう慣れたつもりでいたし、常世に様々な事情を持った人間が集まっている事は理解したつもりでいたのだが…
まさか、女児にしか見えない成人男性がいるとは。
失礼故行動には出さないが、内心こめかみを指でつまみ大きく息を吐く。
それぐらい衝撃だった。
「…なるほどですね。無学で申し訳ありません。そのような事情を持った方がいるとは存じ上げず…」
一先ず謝罪しておこう。
しゃがんでいる事もあり、頭だけ下げて謝る。
相手が生徒とか、年齢とか関係なく。これは謝るべきだろう。
まだ生徒ではないし。
■宇賀野 実 > 「は、はいっ、そうなんです!
あの、この格好も、その…はい…!」
ぐっと拳を握って頑張って相手に訴えかける。
納得してくれたのは良かったが、逆に謝られて
今度はこちらが目を白黒させる番だった。
「槐徒先生?!そ、その、謝ることはありませんよ!
その…こういった状況は共有すべきものであって、
知らなくて云々という話ではありますまい!」
きちんとした先生を困惑させてしまうほどに事態はややこしいのだ。
頑張って相手に声をかけるも、焦りは増すばかりである。
「あの、あのですね、良く見ていてください…! えい…!」
相手に自分を注視してもらうように声をかけ、くるりとその場で回る。
動きに合わせ、ふわりと裾が翻る様を相手に見せてから、
頑張って胸を張った。
「ど、どうみても女児だったでしょう…見紛うのも無理はないですよ!」
元気づけたかったその一心で声を掛ける。
心の中で女の子レベルが上がってしまった気がするが、
今は先生に謝罪すべきではないということを認識してもらいたかったのだ。
■如月 槐徒 > 「今は教師とはいえ、かつて霊薬を製造していた身ですので…
無学は恥ずべき事なのです」
霊薬はこういった異能などによる弊害などを緩和するためのものでもある。
弊害と言ってしまうと失礼なため口にはしないが、この事例を知らぬ事は恥ずべき事でもあるのだ。
そんなことは目の前の彼には関係ないだろうが、それでも詫びて然るべきだと判断したのだから頭を下げるべきだろう。
「…?」
見ていてと言われ、一度顔を上げれば、かわいらしく回る女児…にしか見えない男性の姿。
正直、とてもじゃないが男には見えない。
「…悪い事をしてしまったみたいだ」
目の前の彼は謝罪を望んでいない。
きっと、慣れっこなのだろう。数年前からとはいえ、これほど露骨なギャップを持っていればおそらく誰しもが判断を誤る。
そのたびに似たような反応をされてきたのだろう。
だから、苦笑いしつつ口調を戻す。
…にしても、女児にしか見えないな。異能の可能性は無限だ。
■宇賀野 実 > 「槐徒先生は霊薬についての学問を修めてらっしゃるというお話でしたもんね。
それはたしかに無学や誤りに注意の一つもするでしょうけど…。
ね、知らないことはこれから知れば謝る必要もないでしょうし!」
うん、と元気よく頷く。 苦笑いな感じで笑う相手に
にっこりと笑い返す笑顔は、まさしくあどけない少女のそれだった。
「はー、恥ずかしかった…! こういう振る舞いにも慣れて来るのが
怖いところですね。 とはいえ、書類の方は問題ないみたいですし…。」
とりあえず書類にNG項目はないみたいだし、入学も無事に可能だろう。
それを終えると満足気な表情で額の汗を拭うと、相手に改めて向き直る。
両手で裾をつまむようにして、恭しく頭を下げた。
「それでは、槐徒先生…これからよろしくお願いしますね」
彼の授業を受ける・受けないは別として、生徒になるからには、
先生には礼儀をもって対するという気持ちの表れであった。
■如月 槐徒 > 「今後も一層勉学に励みます」
頷きながら返す。今後もこういった症例への勉強は欠かせない。
そう思える一件であったと言える。
「はい、よろしくお願いします。実さん」
礼儀には礼儀を以て応じる。
…所作まで女児のように見えるのは、わざとなのかそれとも異能の影響か。
きっと後者だろう。難多き人だ。
「さて…そうだね。書類の方は問題なさそうだからこ今から職員の方に渡してくるよ。
恐らく問題ないとは思うけど、何かあったらすぐに連絡が来ると思う」
書類に改めて目を通し、大丈夫であることを確認すれば、膝を使って書類をトントンと整える。
綺麗にまとめれば両手で大事に抱える。無くしたりしたら大変だ。
「他には何か困りごとはないかな。出口まで案内は不要かな?」
■宇賀野 実 > 「ありがとうございます。よろしくお願いします。
なにしろ、自分でも心配なんです。 このまま異能が強くなってしまったら…。
もっと可愛くなっちゃう! とか言ってられないんじゃないかと。」
誠実な先生の反応が嬉しくて、こちらもちょっと冗談で返す余裕ができた。
書類に問題なさそうと聞くと、満足げに頷いてみせた。
「ええ、今のところは大丈夫です。
出口は…ここから近いでしょうから、問題ないかと。」
近くの地図を見れば、出口はすぐそこだった。
いうなれば裏口のようなところから入ってしまったのだろう。
そうであれば、本来の出入り口にあるはずの受付にたどり着くまでに
時間を要したのも頷ける話だった。
■如月 槐徒 > 「もしそうなったら俺に相談してくれれば力になれるかもしれない
もし困ったら気軽に話しに来てくれ」
進行を緩やかにするぐらいの霊薬なら調合出来るかもしれない。
やってみないとわからないし、こんな冗談を言えるぐらいだからあまり困っている様には思わないが。
「だったら大丈夫そうだな
それじゃあ、帰路は気を付けて
書類の方は任せてもらって大丈夫」
出口は確かにここから近い。
分かっているなら大丈夫そうだ。
■宇賀野 実 > 「はい、ありがとうございます。
槐徒先生、それでは失礼しますね!」
薬に関しての学問を修めている人なら、相談も色々できるだろう。
心強い先生ができた、と安心しながら、相手にもう一度一礼。
そのまま出口の方に向かっていくと、最後に振り返って
小さく手を振って見せ、再び出口の方へと向かうのでありました。
■如月 槐徒 > 「ああ、さようなら」
しっかりと出口の方へと向かっている様子に安心し、立ち上がって手を振る。
姿が見えなくなるまで見送るだろう。
「…にしても、びっくりだな。」
驚きの余韻に浸る。
あの口ぶりからして、数年前には年相応だったのだろう。
声も、身長も、認識も。
それが異能1つであそこまで変わってしまうとは…とんでもない事だ。
検査資料にじっくりと目を通したい所だが、そこは個人情報。
勝手に見ない事にしておこう。
「さて、俺も行くか」
そう言い、職員室へと去って行った。
入学届は無事引き渡され、しっかりとした手続きが行われるだろう。
ご案内:「第三教室棟 廊下」から宇賀野 実さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 廊下」から如月 槐徒さんが去りました。