2024/07/04 のログ
ご案内:「第三教室棟 職員室」に如月 槐徒さんが現れました。
ご案内:「第三教室棟 職員室」にファレーマンさんが現れました。
如月 槐徒 > 「ファレーマン先生。今お時間大丈夫でしょうか」

夕方の職員室。急激に空が暗くなりだす時間帯。
右手にタブレット型の携帯端末を持ち、異種倫理の教師である同僚(ファレーマン先生)に声をかける。
確認した限りでは、この後は異種倫理の授業は無かった筈。
こちらも今日の授業は終えている。

「異邦人の子の事で相談したい事がありまして。申し訳ないのですがご助力お願いできないでしょうか」

あまり話したことは無いが、彼の事は少し知っている。
彼も異邦人であることや、動画を投稿している事など。人柄も少々。
動画を見ているという事もあってしっかり話してみたいと前々から思っていた。

相談内容は異邦人生徒と現地生徒の間でのトラブル。
それほど深刻な事ではないが、解決が滞っている事もあり困り顔を見せている。

ファレーマン >   
「おぉ、如月先生ではないですか」

声をかけられた老人は、柔和な笑みでもって迎え入れる

「ふむ、となるとわしの"担当教科"を知って頼ってくださった、という事でよろしいか?」
「ふぉっふぉ、嬉しいのぅ、うむ、丁度来週分授業計画もまとめ終わった所じゃし」

カタカタカタカタッ、ターン、と音を立ててPCをスリープモードに移行させ

「勿論じゃよ、あ、珈琲はいるかの?生憎今はブラックしかないのじゃが」
「折角の機会じゃ、同じ教員同士、知己を深めるとしましょうぞ」

片手にお気に入りのマグカップ(可愛らしい犬が描かれている)を持ちながらあなたに向き直り、軽く髭を撫でるだろう

如月 槐徒 > 「ありがとうございます。コーヒーは大丈夫です。カフェインはどうにも苦手で」

軽く頭を下げお礼。
こう快く応じてもらえると話しやすいなんて思いながら、続ける。

「霊薬学をとってくれている女子生徒から困っている事があると相談を受けまして。
異邦人の男子生徒からこのようなものを幾つも貰っていて困っているのだそうです」

携帯端末を起動し、差し出す。
液晶には前もって開いておいた画像、明らかに腐っている果物の画像が表示されている。

「相談してくれた子もやんわり断っているみたいなのですが、なかなかわかってくれないようで。
周囲や俺からも声をかけたのですが当人はあくまで善意でやっているみたいで話を聞いてくれないのです」

端末の画面をスライドさせると、似たような画像が次々と移る。
どれも腐っているような果物や野菜。ギリギリ食べられない事は無さそうだが、それなりの勇気と覚悟がいるだろう。

「貰っている子も困っていますし、早い所辞めさせたいと思ってはいるんですが、無理やりというのも当人の為になりませんし…どう伝えれば良くない事だとわかってくれるか助言をいただきたいのです」

文化の違い、価値観の違い故のトラブル。
異邦人関連のトラブルとしては珍しいものではないのだろうが、なかなかわかってもらえず難航しているのだ。

ファレーマン >   
「ふむ、成程……果実ですか」

画像を見てふむ、と老眼鏡らしきものを着けながら

「ところで、この贈り物の意図については何かご存じですかな?」
「善意というのであれば、相応の理由があると思われますが……そうですな」

髭を撫でながらスライドされた画像を一つ一つ眺め

「見たところ腐りかけですが、腐りかけが美味と言われるものもありますの」
「後は腐敗ではなく、発酵していると思っている……はたまた、彼の種族や彼自身がこういったものを美味に感じる体質」

幾つか例を上げながらふむ、と視線を上げて

「ともあれ、彼の行動には理由がある事は間違いないでしょう、それについては調べてありますかな?」
「文化や考えの違いについて話すのならば、背景事情は欠かせない要因(ファクター)ですぞ」

「相手を自分たちの物差しに当てはめて一方的に良くない事と決めつけてしまっては解決するものも解決しますまい」

努めて柔らかい声色で老人は語る、そして如何か?と問いかけると共にあなたからの返答を待っているだろう

如月 槐徒 > 「そうですね。どうにも、挙げていただいた例の通りみたいなのです」

例を挙げるファレーマンに驚いた表情を見せる。
まさにその例の通りなのだ。

「男子生徒…ルルという名前の生徒なのですが、彼の居た世界ではギリギリまで熟した果物や野菜には最も栄養価があって美味しいと信じられているみたいなのです」

腐りかけが美味で最も栄養がある。
腐りかけが最も良いという価値観が彼とその出身世界にはあるみたいだった。

「それで、他の子から聞いた話なのですが、ルル君の世界ではギリギリまで熟したものを思い人に送るという風習があるらしくて。簡単に言えば恋愛的なアプローチやプロポーズの類みたいなんです」

女生徒がルルによく勉強を教えていたという話もある。
恐らく、ルルは女子生徒に惚れているのではないだろうかと思う。

「このままだと彼が避けられてしまうような結末になってしまいそうなので、なるべく早く和解するようにしたいのです。女子生徒も彼が苦手という訳ではないようですし」

善意故の行動で避けられてしまうような結末は避けたい。
そういった考えもあって、なるべく早く解決したいと思っているのだ。

ファレーマン >   
「ふむ――」

「如月先生、此処で一つ確認しておきたいのじゃが」
「あなたはルルさんの"アプローチ"を止めさせたいのですか?」
「それとも、その行為自体は生徒間の自由という方針ですかな」

其処まで言って、一度口を閉じる、髭を伸ばすように指で弄りながら暫し考え

「――故郷の習わしや習慣というのはですな、離れた土地ではよりどころとなるものです」
「ルルさんも恐らく、本当の意味で"分かっていない"訳では無いのかもしれませんぞ?」

「好いた相手に自らを育てた風習を分かってもらいたい……故郷を知ってもらいたい」
「そして、この孤独な異国の地で故郷とのつながりを否定されたくない」
「一つの物事に"妥協"すれば、どんどんと自分が染まっていってしまうようで恐ろしい……」
「考えすぎかもしれませんが、こんな感情があってもおかしくは無いと思うのです」
「であれば……」

「そうですな、一つ案があるのですが聞いていただけるかな?」

ゆっくりと思案するようにしながら顎髭を撫で、珈琲をずずず、と啜る
その視線は一瞬何処か遠くを見ているようで
だが直ぐに視線を戻すと、人差し指をたてながら片目をぱちり、とおちゃめに閉じて見せる

如月 槐徒 > 「俺としては生徒同士の恋愛そのものに口を出すつもりはありません。
そこは彼ら次第だと思っています。
ただ、アプローチの仕方があまり良くないのでどうにかしてあげたいのです。
どちらの為にも」

生徒に限らず他者の恋愛に口を出すつもりはない。
ただ、それが他の問題に繋がっているのなら仲裁はする。それだけだ。

「…そうですね。仰る通りかもしれません」

異邦人の考えは、異邦人にしか分からないかもしれない。
異邦人に限らず、故郷から遠い全く文化の違う地で暮らす人間の気持ちは俺には分からない。
異邦人は多くの場合、故郷に帰る手段を持たないという。その不安感は計り知れないものがあるだろう。

「その案、お聞かせいただけないでしょうか。」

どこか遠い目をする彼の様子を見るに、もしかすると二人には通じるところがあるのかもしれない。
そんな彼の案。ぜひとも聞きたい。

ファレーマン >   
「成程、そうであるならば、お力添えできそうですな」

あなたの答えに抑揚に頷くと

「止めさせる、ではなく、問題のない形のアプローチにさせればよいのです」
「幸いこの地には多くの発酵食品があり、その種類は多岐に及ぶのですな」
「例えばキムチ、良く見られるものは白菜ですが、トマトやフルーツなどもキムチにできるのですぞ」

かちゃかちゃ、と自身のスマホを弄ってラフランスのキムチといったものの画像を見せる

「勿論、匂いという点では看過できない者もあるでしょう、シュールストレミングは流石のわしも中々の強敵じゃった」
「ですが、此処は大人のズルさを利用してしまいましょう」
「ヨーグルトやチーズといった、ある程度送っても『問題のない発酵食品』を先に紹介してみるのです」
「誘導とも言いますが、何"導く事"もわしらの仕事でしょう?」

ふぉっ、ふぉっ、とサンタのような髭を揺らしながら老人は候補となるであろう発酵食品の関連サイトを開く

「ようは彼の持つ文化を、この地に根付いても大丈夫な形にしてあげればよいのです」
「腐敗から発酵へ、文化を適応させられるよう先生から力添えするというわけですな」
「幸い糸口は色々見つけられそうな風習ですからな、わしで良ければ紹介する食品についても相談に乗りますぞ」

如月 槐徒 > 「確かに熟成発酵の文化は地球にもありますね
なるほど、地球の類似した文化とつなげる事でそちらに誘導するという事ですか。」

地球にも発酵熟成といった腐っているようでそうではないものが多数存在する。
少し違うが、腐りかけが美味しいという考えと似た部分があるだろう。
確かにそれなら彼の価値観や文化でもあまり違和感なく受け入れられるかもしれない。

顎に手を当てて納得したような表情を浮かべて。

「ありがとうございます。一度ルル君に話してみます。
それで、ファレーマン先生は食に通じてらっしゃると思うのでルル君にファレーマン先生の事を伝えるのも手だと思うのですが、良いでしょうか」

女子生徒は霊薬学をとっていることもあって接点が多めなのだが、ルルはそうでもない。
であれば、直接二人を繋ごうと考えたのだ。
地球の食文化は多様だ。それを先生を通じて知ってもらいたいという考えもある。
きっと彼の価値観にあう食文化は他にもある筈だ。

ファレーマン >   
「文化も風習も、そして道徳や倫理も時代によって移り変わるものですじゃ」
「そう、カップ麺のマイナーチェンジのように……偶にリニューアル前の方が好みな場合もあるんじゃよな……」

感慨深そうな顔で頷きながら

「ともあれ、その変容の切欠は得てして異なる文化の交わり合いによるものであったりするからのぅ」
「その中には悲しい経緯によるものも決して少なくは無いのじゃが……」
「わしらが関われる範疇だけでも、良い変化を与えられると良いですな」

それこそ教員冥利に尽きるというものですから、と口角を上げて見せる

「ほう、勿論構いませんよ、授業は何時でも新規の受講者を歓迎しておりますからな」
「しかし、わしが食に通じていると知っているという事は」
「むむ、もしかしてわしの『活動』についても知ってもらっておるのかの?」

何処か期待を込めた口調であなたに視線を向けるだろうか

如月 槐徒 > 「そうですね」

カップ麺を食べた事はないが言いたいことは分かる。

「ええ、それが俺たちの役目ですからね
ご協力ありがとうございます。」

大変容以前より、多文化共生は様々な分野で課題になっていた。
それがより顕著になった現代で、それと真っ向から向き合うファレーマン先生の姿勢は尊敬すべきものを感じた。

「動画配信をされていることは存じ上げております。
拝見させていただいておりますよ。」

うんうんと頷きながら応じる。
彼の配信はどれも美味しそうに食べる。
インスタント食品にアレンジを加えて全くの別物にする配信などは目を丸くしたものだ。

ファレーマン >   
「うむ」
「この常世学園では、教師と生徒の関係は他所のそれとは大きく異なるものですじゃ」
「しかし、そうであったとしてもわしらが『教導者』である事――」
「生徒の前に立つ以上は、傲慢であってもその矜持をこそ忘れずにいたいものですな」
「でなければ、習いに来てくれる子たちに申し訳が立たないというものじゃ」

「如月先生も一般でありながら霊薬学を熱心に教えているとお聞きしています」
「それにこうして、わしのような他の教師に対してでも生徒のために相談をしてくれる、生徒にとっては心強いでしょう」
「今後ともお互い尽力していきたいものですなぁ」

老人はあなたについて多くを知っているわけでは無いが、それでも聞こえてくるものはあるようだ
そして自分に話を聞きに来たあなたの姿勢は、老人にとって好ましいものに見えたらしい

「ふぉっふぉ、恥ずかしながらまだまだ鳴かず飛ばずですが」
「元は異世界人、そしてわしのような老人でも"馴染む"事は可能だと伝えるために始めたのじゃが」

中々どうして、普通にはまってしまってなぁ、とからからと楽し気に笑うだろう

如月 槐徒 > 「はい。出来る限りのことをしたいですね」

男は、常世学園においては主役(学生)がより輝く為の脇役(教員)だと考えている。
主役(学生)達をより輝かせる為に、尽力したいとは常々思っている。
その為であれば、労力は問わない。

「流石です。
確かに再生数などは少ないかもしれませんが、面白いですし何より美味しそうで俺はとても好きですよ。
ファレーマン先生の動画を見ていると食にこだわってみたくなります」

拘りがない訳ではない。
ただ、体に良くないものをあまり食べない、という程度。
それ以外は普通に食べるし、良くないものというのも食品添加物ぐらいなものだ。

ファレーマン >   
「ええ、できうる限りの事を」
「簡単な言葉ですが、之が難しい……日々精進です」
「まだまだ新しい発見や、授業の内容に関しても反省が多いですからなぁ」

「おお、そこまでいってくださるとは……」
「では、折角ならこれから『コラボ』などどうですか?」
「いいキムチを漬けてくれているサムギョプサルの店があるのですが」
「今の話をしていたら食べたくなってきましてなぁ」

にこっ、と大きく笑みを浮かべて笑うと、絵本に出てくるサンタのように見える
実際にクリスマスシーズンにはサプライズでサンタコス授業をしたりしているという噂もあったりなかったり

如月 槐徒 > 「コラボですか?俺は配信などはしていませんが…」

2人で配信するという事だろうか。
何にしろ、配信をしたことは無い。
逆に配信を見る事はそれなりにある。
過去に配信者にあこがれた事もあったり、なかったり。

「そうですね、俺でよいならば是非コラボしましょう
サムギョプサルというのも興味がありますね」

キムチを使う料理なのだろうか。
聞いた事の無い食べ物だ。とても気になる。

「まだ少しやらなければいけない事が在るので、1時間後ぐらいからなら空いてますがいかがですか?」

ノリノリである。

ファレーマン >   
「ん?」

すれ違い、実はただ『一緒に飯食おうぜ』くらいの意味であった
動画投稿者故、そんな言い回しをしたに過ぎなかったのだが……

「おぉ、ならその方向で行こうかの、いいぞぉサムギョプサルは、折角じゃしチーズタッカルビも……」

どうも乗り気なようなのでファレーマンはコラボ配信に目的を切り替えた

「如月先生の授業にも新規生徒が増えるよう、バッチリコラボさせていただきますぞい」
「ふぉっふぉ、では後で合流、ということで……おっと、ならば番号を交換しておきましょうか」

教員同士の連絡網自体は存在するが、個人の連絡先交換はまた別という事で
老人は後の合流のためにとスマホを差し出すだろう

如月 槐徒 > 「ありがとうございます。俺も新規生徒はいつでも大歓迎ですから」

霊薬学の生徒数は少ない。
マイナーな科目故、仕方ないとはいえ新規生徒はいつでも募集しているし是非増えて欲しい。
これはチャンスかもしれない。

「サムギョプサルもチーズタッカルビも食べた事がないので楽しみです。
俺の連絡先はこれですね。」

ファレーマンの番号を登録し、自分の端末に表示された自分の番号を見せた。

「それでは今日は相談を聞いていただきありがとうございました。
おかげで解決に近づきそうです。
今後もよろしくおねがいします。この後もですね」

改めて一礼。
停滞していたトラブルが一歩進みそうだ。非常にありがたい。

ファレーマンの反応を見て、自分の席へと去って行った。

ファレーマン >   
「うむ、ではまた一時間後」
「良い結果になるといいのぅ」
「とはいえ、教えた後の選択は彼ら個人のもの、わしらは見守るだけ、じゃがな」

自身の伝えた策の成果と、今後の彼らの恋路が上手く収まる事を願う様にあごひげを撫でながら
ファレーマンもまた、自身のデスクに向かいあい残った仕事を片付け始めるのだった