2024/08/14 のログ
ご案内:「第三教室棟 深夜の廊下」に竜胆 襲さんが現れました。
竜胆 襲 >  
夏季休暇中の教室棟
月の光差し込む廊下を、黒い外套を靡かせ疾風の如く駆ける少女。

「───、一つ。二つ……三つ」

口から零すのは、その右手に握られた断罪の意思を振るうべき、標的の数。

黄金色の軌跡を描きながら、振るわれること、都合三回。

少女が追いかけていた動物型の影は黒い煤となって、夜の廊下へと散る…。

「………」

僅かも呼吸の乱れていない少女は、無感情な眼で散りゆく煤を眺めていた。

「………少ない」

ぽつり。
誰に語るでもなくそう零して。

竜胆 襲 >  
夏季休暇からこちら、危険な怪異の影を見ていない。
主に人型であったり、不定形であったりすることが多いそれは、ぱたりと見なくなった。

小さい動物の様な、あまり人を襲うタイプでない怪異の影がこうやって、ちらほらといる程度…。

「……占星術でも悪い占いの結果は出ていない…急に、どうして…?」

右手に握られた漆黒の刃鎌が消え、その手中に勾玉として収められる。

……夏季休暇に入り、夏ということもあって占星術部…つまるところ星を詠む部活にとっては良い季節。
夜の学校を出入りする許可もしっかりと得ているが、こうして怪異を陰ながら祓うのが主目的だ。
だというのに。

「怪異も夏休み…?
 …はぁ、そんなわけ……」

竜胆 襲 >  
「夏休み………」

自分で言った言葉を反芻する。
そう、そうなる。
この"黒い影の怪異"の"発生源"が人間…つまり学園の生徒なら。
夏季休暇と共にその数が減っていても辻褄が合う。

「…それは、困る…。かな」

怪異は殺す。
でも人間は、殺せない。

竜胆 襲 >  
仮に、学園内で怪異を生み出している人間がいたとして。
その人間を手にかければ…殺人だ。

「………」

ややこしい話になる。
黒い影の怪異達。
その親玉が怪異であれば問題はない。
全部殺せばそれで済む。

……でも、そうでない可能性が濃くなってしまった。

「……改めて、少し情報収集がいりますね…。でも、どうやって」

はぁ…と溜息が漏れる。
秘密裏に怪異を討伐している立場、表立って動けない部分はどうしても出てくる…。
祭祀局に対応を丸投げするか。
否、それでは何かしら事件性や被害が視覚化される必要がある。
その被害を起こさないために、事前に怪異を潰してまわっているのに本末転倒だ。

「………」

ぽん。
手を打つ。

「現行犯で見つけて、
 殺さないように痛めつければ解決でしょうか」

名案ですね、と頷く。
今日も怪異絶対殺すウーマンこと占星術部部長は、どこか物騒だった。

ご案内:「第三教室棟 深夜の廊下」から竜胆 襲さんが去りました。