2024/09/23 のログ
ご案内:「第三教室棟 屋上」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
「ずいぶんと心地好い風が吹くようになったもんだな……」

日没後の屋上でオレは独り言ちた。
辺りはすっかり暗くなり、ひんやりとした山からの風が頬を撫でて秋らしさを否応にも感じさせられる。
昼間はまだ暑さが抜けないけれど、こうして日も沈んでみればなるほど暦の上では夏も終わってるんだという実感が湧く。

「転入してそろそろ半年か。色々……ってほど何かあったわけじゃねえけど、早ェもんだ」

飲みかけの缶ジュースをベンチに置いて、両腕を天へと伸ばす。
壊したエアロバイクの弁償はどうにか夏休み中のバイト代で事足りたが、お陰で貯蓄は夏休み前に逆戻りした。
授業と並行して無理のないバイト、探さねえとな……そう思えば、ため息も自然と口を突いて出て来る。

武知 一実 >  
「さて、冬までにまた貯金と……異能の制御をもうちょっとしっかり出来るように、か。
 生来のもんならともかく、元々自分のもんじゃねえってのは、どうやって制御出来るようになったら良いのやら」

やるべきだと重々分かっていても、取っ掛かりが見つからねえ。
これまで授業出て、バイトして、喧嘩してりゃ何とかなるかと楽観視してたのも事実だが、これ以上懐を痛める事態を引き起こさない為にはこれまで通りじゃ行かねえ様だ。

「……他の奴らは自分のどう折り合い付けてんだろうな」

大なり小なり特異な能力を持つ生徒が通う学校だ、中には自前の能力じゃないものを持つ奴だって居るかもしれねえ。
運よくそんな奴と知り合えれば、何かしら得られるものはある……と良いが、まずそんな奇跡は起こらねえだろう。

「そもそも人の異能ってあんまり見たことねえな……」

これまで数人か、異能を見せて貰った事があるのは。
喧嘩の最中にそれっぽいのは見た事もあったが、喧嘩の最中にそんなこと考えてる暇は無えしな。

武知 一実 >  
「夏休み中にちったぁ勉強したつもりだったが、まだまだ学ぶことは多いらしいな」

思えば、常世学園に転入して半年ってことは、まともな学校教育を受け始めて半年って事でもある。
最初の内こそどうなるもんかと思ったが、案外やれるもんじゃねえかと自分を讃えたくなった。

「よし、無事に半年を迎えたら奮発して何か食いに行くか」

……まあ、それまでにある程度バイト代稼がねえとならねえわけだが。
缶に残っていたジュースを一気に飲み干して、缶を屑籠に入れに向かう。
そしてそのまま校内へ通じる扉へと歩き出した。
バイトの求人探さねえとなあ。学生通りか、商店街あたりで割のいいやつ……あっかなぁ。

ご案内:「第三教室棟 屋上」から武知 一実さんが去りました。