2024/10/13 のログ
ご案内:「第三教室棟 廊下」に天川 コウハさんが現れました。
天川 コウハ >  
「まさかこの時期になって怪異が増えているとは……
 前までは落ち着いた状態でしたが…これは少々見逃せません」

誰もいない真夜中。
少年は怪異狩りに参じる。
ボロボロの黒装束にすっぽりと頭から包まれ、得物は黒い大鎌。
その姿はまるで死神。現に死神という種族なのだからおかしくはない。

この姿を見ればきっと誰でもびっくりするだろうが生憎と今は深夜の学校。
自分と同じく怪異狩りに赴かなければ誰もいない…筈。

「まあ今回はそこまで規模の大きい物でもないでしょうからいつも通り刈り取って報告を」

廊下を歩く。
一歩一歩進むたびに重圧は感じる。
つまり怪異はこちら側であっている。

ご案内:「第三教室棟 廊下」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
「参ったな……まさか忘れ物しちゃうなんてね……」

橘壱はこう見えて勤勉で真面目を自負している。
忘れ物だって、予定を違えることもそんなにない。
だが人間だ。そういううっかりだって存在する。
勉強用のタブレットを忘れるとは思わなかった。
ハァ、とため息を吐きながら真夜中の廊下を歩いていた。

「……ん?」

そんな行く先、廊下の先に誰かいる。
ボロボロの黒装束に大鎌。"如何にも"な姿だ。
怪異……いや、もしかしたら教員かも。
生憎と退魔師とか魔術の心得は持っていない。
専用の装備は持っているが、致命打には至るのか……。
警戒しつつ、トランクを揺らしながら、黒装束の背に声をかけた。

「どうも。こんな時間に、一体何をしているのかな?」

天川 コウハ >  
「さて…着いたはいいですがまさかこれほどとは」

暗い深夜の学校。
近づかなければそれはよく見えなかっただろう。
しかしコウハの眼は死の概念に関連する物を見通す。
ここから遠く離れてはいるが視える。
形は人型だが右腕が異形化しており刃と一体化したもの。
さてここからどう奇襲を仕掛けるかと考えた矢先に背中から声をかけられた。

「その声は…風紀の慰安旅行で聞いたことがありますね。
 ああ、橘壱さんでしたか。僕ですコウハです。
 この先は怪異が出没しているので引き返した方が身のためですよ」

死神装束から発せられたのは幼い声。
禍々しい見た目に反して敵意は感じられない。
しかしこの先低級とはいえ怪異が待ち構えているので少しピリついている

橘壱 >  
黒装束が放った声は聞き覚えがあった。
そう、確か慰安旅行で出会ったことのある彼だ。

「ああ、確か死神のキミか。ビックリしたよ。
 夜中にそんな格好してると、心臓に悪い。……怪異?
 まさか。学校の危険性を排除するのが風紀委員会の本分さ」

それを一般生徒に任せるわけには行かない。
そのための装備は持っている。
ふ、と得意げに笑うと、彼の隣へと歩み寄った。
そして、重厚なトランクを見せびらかすように
トントン、と軽く自身の膝で軽く小突いた。

「お仕事の邪魔にならなければ、だけどね。
 ……暗いからよくわからないけど、どの辺り?」

彼の特殊な目と違い、飽くまで生身は普通の人間。
レンズの向こう側の景色は暗い廊下でしかない。

天川 コウハ >  
「失礼しましたね。人がいるとは思わなかったので。とはいえこの格好が一番力を発揮しやすいので悪しからず。
 どうやら戦えるようで助かりました。ですがこの手の仕事は本分ですので」

風紀とて現場で前線に立つ人間や事件の捜査担当や書類などの事務担当など分かれている。
故に戦えない人間、あるいは実戦経験のない人間だっている。
目の前の彼はそのどちらでもなくやっぱり戦闘経験があるようだ。
とはいえ元々はこちらの仕事なので任せっきりにするわけにいかない。

「どう戦うかは疑問ですが信じましょう。
 ああ、僕は見ての通り鎌での接近戦を好みます。
 例の怪異は…あれです。見えますか?」

相手を導くように前を先導して歩く
すると生身の人間でも見える距離になりつつあるようだ。
それは黒い靄がかかった人間の様に見えるが右腕が巨大な刃の異形と化している。

橘壱 >  
「ハハ……本当は忘れ物を取りに来ただけなんだけどね。
 こういうのに巻き込まれるのも何かの因果かな」

戦いの匂いからは離れられない。
寧ろ、望む所ではあった。
乾いた笑みを浮かべながら軽く肩を竦める。

「全然。死神の仕事着って感じなんだろう?それ。
 いいじゃないか。テンプレって言い方あれだけど、"らしい"よ」

畏怖の象徴。
死神としてかなりらしいわかりやすい格好だ。
強ち、伝承の姿っていうのは、人の妄想じゃないらしい。
そのまま彼についていくと、ぞわりとした感覚。
夜の暗闇に紛れる黒の霞。人……のようで人ではない。
右腕に該当する部分が、刃となった異形。
怪異に対する潜在的な人間の恐怖心だ。
冷や汗が滴るが、それがどうしたと口元がにやりと歪む。

「……持ってる装備自体は"試験的"なモノばかりだからね。
 有効打には成り得ない。僕が牽制するから、トドメは任せるよ」

おもむろにトランクを床に投げ捨てると、踏み潰した。
グシャリとひしゃげたトランクが液状のようにその全身を包み込み、
瞬く間に少年の姿は蒼白の機人へと代わり、青白い一つ目(モノアイ)が輝いた。
その全身を包む対霊脅威防護用のボロ布マントを靡かせ、怪異を見据える。


Main system engaging combat mode(メインシステム、戦闘モード起動します).>


無機質なCOMの声とともに、モニターに表示される怪異。
霊視センサーがその怪異の姿をしっかりと捉え、腰にマウントしてあるライフルを手に取る。
鉄道委員会と祭祀局共同開発の対怪異用のハープーンガン。
発射される清めの矢が、怪異に対してダメージを与える仕組みだ。

『行くぞ、コウハ』

モニター越しに彼を確認すれば、それを合図に一足。
廊下を軋ませ、鋼人が怪異へと一直線に向かう。
まずは牽制、囮を徹底だ。怪異の胴体目掛けて、
ハープーンガンの矢が空を先飛んでいく。

天川 コウハ >  
「…ではさっさと片づけてその忘れ物を取りに行きましょうか」

つまり彼は偶然居合わせたという事か。
なんとも不幸な事だとため息を漏らす。
息を漏らし、程よく脱力

「そういって貰えるとありがたいです。この装束は闇に紛れるのに役に立つんですよ。」

例えばこのようにと実践するように前進する。
前に出た、かと思えば黒いボロ装束が夜の保護色となって露と消える。
かと思えばもうすでに接近戦の間合いに入っていた。
闇夜に溶け込んで気づかないまま素早く接敵する。そこに当然音など存在しない。

「分かりました。本当は僕が翻弄した方がやりやすいのですが…援護射撃は任せました。」

接敵し、異形の右腕の刃とコウハの大鎌がぶつかる。
金属同士ぶつかる甲高い音。
コウハは接敵したかと思えばまた露と消える。
その直後、橘壱の牽制弾が腹部へと当たり、片膝をつく。

露と消えたコウハはどこへ行ったか?
答えは上。
天井を地面に見立てて逆さに立っていた。
怪異も橘壱よりも距離の近いコウハに向いていた。

「もう一撃お願いします」

橘壱 >  
矢が直撃するが、致命打には至らない。
退魔の祈りが込められた破魔矢ではあるが、
壱自体に魔術の適正は愚か、退魔の術の適正さえない。
機械的科学で保存に成功しているだけであり、その容量に限界はある。

「(思っていたよりも牽制にしかならないな。
 膝くらいぶち抜けるとは思ったが……コウハは……)」

まだまだ改良の余地あり、だ。
さて、本命の相棒は何処に、と思ったが、
センサーは頭上を位置している。サブカメラが映すのは、
さながら天井を床としているようなあべこべの死神の姿。
セッティングは完了と言うわけだ。

「わかった!」

声を張り上げると同時に、更に怪異の刃が迫る。
即座にサブバーニアが青白い火を吹き、瞬間的バック。
風圧に窓ガラスが騒音に揺れ、廊下が軋み悲鳴を上げる。

「……!」

間髪入れずに、矢を連射。
ハープーンガンの銃口のフラッシュノズルが宵闇を照らし、
文字通りその場に釘付けにするかのようにトリガーを引き続ける。

天川 コウハ >  
「…いい腕ですね。」

先ほどの矢は確かに決定打にはならなかっただろう。
しかし一瞬でも仰け反らせられたのならば一瞬の隙で勝負が決まる接近戦では重要な要素だ。
その上でコウハに誤射なく的確に狙うには集中力が必要だろう。

「おっと、それは少し予想外かもしれません…」

機械に詳しくないコウハでも分かる。
あれはヤバイと。
サブバーニアが火を噴き、余波でガラスをガタガタとまるで地震があったかのように揺らすなど狙われていなくとも身の毛がよだつ。

「ですが…十分、おつりがくるくらいには!」

橘壱の放つ尋常ではない出力の矢と連射。
対魔の力は薄いと言えど純粋な物理の暴力にて怪異を釘付けにし削っていく様は恐ろしくも頼もしい。
橘壱が弾切れする頃にはコウハは既に追撃の準備を終えていた。

「魂を回収します。」

コウハの鎌の黒い刃が紫色に禍々しく輝く。
直後、間合いを一瞬で詰めて斬首。
一撃に見えるその鎌の閃光は実は二撃。
膝を一閃、ちょうどいい高さまで崩れ落ちれば今度は首へ一閃。
斬首の音にてこの騒動は終わりを迎える。

橘壱 >  
確かに破魔矢は突き刺さるが、致命打には成らない。
携行性と生産性を重視した作りだと、こんなものか。
本当に牽制にはならないな。良いデータ収集にはなった。
後で各種委員会に回しておくとしよう。

『……!』

後退しつつ牽制の最中、空気が揺らいだ。
何かぞわっとする感覚がしたと思えば、怪異の体が刻まれていた。
膝と首。その驚異的な動体視力を持った瞳は、確かにそれを捉えていた。
まさに一瞬だった。どうやらこれで終わったらしい。
霊視センサーにも、周辺にターゲットはなし。

『……終わったか。見事な手際だね』

素直に感心だ。身体能力というべきか、
死神の力というべきなのか。何にせよ、興味が出てしまった。
コイツと戦いたい、なんて今言うものじゃないな。
心に疼く気持ちを抑えながら、モニターの前で歯噛み。
ふぅ、と一息吐けば周辺を見渡す。

『何時もこんな事をしてるのか?キミは』