2024/11/24 のログ
ご案内:「第三教室棟 屋上」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
「はっはっ」
なにかを抱えるようにして階段をかけ登る。
誰かに追われているわけでもない。
でも、誰かとすれ違っても止まることなくダッシュ。
風紀だから、走るな、とは言われそうだが今回ばかりは目をつぶっていただきたい。
そして目指したのは。
「ふーっ、ふーっ」
屋上。
誰もいないことをひとまず、確認。
とりあえず、自分の目には誰もいない。映っていない。
隅っこにぱたぱた、すすす……と移動して。
しゅばっと、膝を曲げて屈む。
そして、腕で隠していたものを見た。
それは、とある、広報誌、である。
■伊都波 悠薇 >
「わ、わわっ」
表紙を飾るのは、ちょっと布が少ない水着を着た女性。
いや、どこからどう見てもーー
(お姉ちゃん、なにやってるのぉ!!?)
それを見かけたのは、休み時間。
なぜか視線を、その時だけは感じる日で。
今まではそんなに、注目されることはなかったのに。
その休み時間だけは妙に多くて。
以降、日に日に。
視線が多くなり、首をかしげ。
そして、ついに原因を、見つけた。
クラスメイトが、持っていた、広報誌。
最初は目を擦った。
二度見しようとしたら、隠された。
故に、確認しようと広報誌を探した結果ーー……
(ここここ、こんなみ、みず、ぎ!?)
鼻血が出そうになったのを感じて慌てて鼻を摘まんだ。
なんということでしょう。
旅行のときに、妹であることも少しは広まってしまったがゆえに。
(風紀、乱してますよー!!?)
しかして。
ページを捲る手は、止まらず。
広報誌をくまなく、チェックチェック。
ーー辺りの様子などわかるはずもなく、広報誌に釘付けであった。
■伊都波 悠薇 >
「ふぅ」
ぱたむ。広報誌を閉じて。
さっと、鞄の中にしまう。
「…………ふぅ」
屋上の壁に寄りかかり。
足を伸ばして脱力感。
なんだか、変な落ち着きがある。
「そらが、あおいなぁ」
これは、確かに。妹と知った人たちはこちらを伺うかもしれない。
合点がいった。
姉だもの。仕方ない。
「くもが、おもしろいかたち……」
なんだか、賢者タイムって、こういうことをいうんだなと、ぼーっと空を見上げることとした。
賢者タイム、継続、だ。
ご案内:「第三教室棟 屋上」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
常世学園 第三教室棟屋上。
タブレット端末と軽い菓子パンを片手に何食わぬ顔で屋上にやってきた。
一応就職先が暫定的にあるとは言え、一流の大企業だ。
学も品位も無ければ入れはしない。昼食ついでに勉強もしばしば。
此処はそれに最適だ。ただ、今日はどうやら先客がいたらしい。
「悠薇先輩。どうも。どう……、……何か"入ってる"な……」
一旦声をかけてみたが、様子がおかしい。
僕は男の子だから詳しいんだ。これは"賢者タイム"って奴だ。
どうしてこんな事になっているんだ。
「何かありました?ちらって見えましたけど、今鞄にしまったのとか?」
優秀な装着者は目がいい。
そんな鞄にしまったもの位当然わかってしまうのだ。
■伊都波 悠薇 >
「おや、橘さん。こんにちは。お昼ですか」
にこやかに挨拶。
前髪で表情は隠れているが大変清々しい顔であることは声音できっとわかる。
しかして、鞄の中といわれると。
「あ、いや、気にしないでください」
ぎくり。
嘘はつけないから、気にしないでとしかいわない。
「いつもここで、食べてるんですかお昼」
賢者タイム。
つまりは賢者故に今日はするり、話題が出てきた。
話を逸らす、話題。
■橘壱 >
「どちら様???」
いかん、思わず問いかけてしまった。
余りにも普段のオドオドした雰囲気と違うんだもん。
此れが賢者タイムパワーか。恐ろしい。
もしかして自分も賢者タイムの後、ルームメイトにこんな感じなのか。
「んん、そう、だね。勉強とかに集中したい時はそうするかな。
ちゃんと最低限学は付けないと将来、進むべき道にいけないしね」
気を取り直して咳払い。
大企業の"最低"ラインは人が思うより高いのだ。
「とりあえず、ベンチ座りませんか?
ずっと隅っこっていうのですし……、……」
「形的に本だったりします?さっきの」
気にしないでって言ったのに!
やはりノンデリ。容赦なく聞いてくる。
■伊都波 悠薇 >
「将来」
そう言われると、なる程と頷く。
後輩である彼だが、企業の顔、でもあるらしい。
詳しくは知らないけれどやんわりと、ネットの情報で知っている。
自分はまだ、なにも考えていないから。
そう言う、彼が大人びても見えた。
「のーこめんと、とします」
立ち上がり、身動ぎせずに、ベンチへ。
内心。
(ななな、なんで、きにしないでっていったのに!!?)
と、慌てているが、今この場ではしない。
なにせ、姉を守るためである。
広報誌、見られてしまうのは仕方がないが見せるのは違うのだ。
守らねば、姉の柔肌。少しでも。
ごーしちご。
■橘壱 >
自然と彼女の隣に座れば、タブレット端末を起動。
画面には異能学、医学の様々な資料がずらーっと並んでいた。
「その、前言ったしたいこととやりたいことっていうのかな。
あんな事言っちゃった後だけど、二つとも取れそうな気がしてさ。
うじうじ悩んでヘンな感じだったけど、今はどっちも取れる道を選んでる……つもり」
将来自体はぼんやりとしていても、
世界を自由に羽ばたくならそれくらいやってのけなきゃ意味がない。
そのためにはどんな努力をするのは橘壱の気質だ。
そう語る壱の顔は何処か清々しい。
「のーこめんと」
成る程、否定しないと言う事は当たり。
或いはそれに近しいものの可能性がある。
凄く気になる。気になってしまう。
ビニール袋を漁り、蒸しパンを取り出し横目で見やった。
「……凄かったですよね、中身」
"カマ"をかけてみることにした。
ごく自然とさも内容を知っているかのように話した。
齧るパンはいちご味。どろっと甘い。
■伊都波 悠薇 >
そういえば。
彼は、無理といっていたような気がした。
「……姉と、戦って見えました?」
だとしたら、姉はやはりすごいと思う。
自分では、無理と口にしていたことが。
そうして、やれる気にさせたのだから。
「ナンノコトデショウ」
マモルンダ、アネノヤワハダ マモルンダ
ごーしちご。
内心汗だらだらで。
「無理はなさらずに」
こつこつと。積み上げるのはきっとキミの得意分野であるとは思うがゆえに。
がんばれ、ではなく。
羽を休めることも忘れずに。
そんな意味も込めて。そう付け足した。
■橘壱 >
資料をスライドさせながらんー、と唸り声を上げる。
「とは、違うかな。もっと別の……そう。
ライバルっていうかそういうの。後、凛霞先輩だけじゃない」
「悠薇先輩も、他の皆のおかげっていうのもあるかな」
誰か一人という訳じゃない。
全ての道は関わった人達が作ったものと言って良い。
決してそれは、誰か一人に作ってもらったという訳じゃない。
「凄かったですよね、大きさ。
やっぱり自己申告よりおっきいなぁって」
※彼は内容を知りません。
そう、これは飽く迄カマかけなのだ。
「……それは、約束出来ないかもなぁ」
多分熱中したときはそれこそ我が身を省みない。
何処までも世界を羽ばたき続けている。
──────例えそれが、己が翼が焼かれることになったとしてもだ。
「あ、食べます?」
なんて差し出した菓子パン。
"辛美味いスパイシーソーセージパン"。
■伊都波 悠薇 >
「そうですか」
ふぅ、と一息。
おそらく、それを言いたくてベンチにと口にしたのだろうか、などと勘繰り。
ーー違うかもしれないけれど。
「……ーーサァ、土、どうでショー?」
気づいてる!?
気づいているのか、いや、気づいているならそれはそれでいろいろ……どう……いや、まぁ、彼ならそうなることも、ある、かぁ。
「いえ、大丈夫です。今は食欲はいっぱいなので」
別なもので満ちているゆえに。
「で、では、きょうのところはこれにて。橘さんはごゆっくりー」
このままだと気が気でない。
撤退の構え。
■橘壱 >
「一応あんなこと言った手前だからね、一言位は謝らせて貰いたくて」
思い返すと恥ずかしいことばかりだ。
苦い笑みを浮かべながら、タブレット端末を閉じる。
「……成る程」
この感じ、当たっているな。
脳内で思い浮かべた環菜ちゃんの胸の感想だと言うのに、
それに近しい何かだと理解した。いや、ちょっと楽しくなってきたぞ。
というか此れ食欲じゃなくて別のものだろ、満ちてるの。
ちょっと意地悪したくなってきた。
「そんなものを持って、校内を歩くんですか?」
それこそ"知っている"かのように不敵な笑みを浮かべ、
逃さないと言わんばかりにするりと肩に手を回そうとする。
至近距離。問い詰めるには実に大胆な手口!
「悠薇先輩が持っているってバレたら、色々マズいんじゃないんですか?」
※カマかけです。
■伊都波 悠薇 >
「へ?」
持っていると、マズイ?
これを?
ま。まぁ、バレたらマズイ。
それは確かに。
しかして。
それを公言するのもマズイ。
「……………………」
つまり、自分を守るか、姉を守るかの二択で。
まずいだんだんあたまがまわらなくなってきた。
「そそそ、そんなことないですもん!
橘さんのーー」
息を吸い込んで。思い付いたひとこと。
「へんたーーいっ!!!?」
大声で叫びながら。
かけあしで、屋上から逃げていくのだった。
ご案内:「第三教室棟 屋上」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■橘壱 >
「へんっ……!?!?」
予想外の大声に思わずぎょっとする。
調子に乗ったけどこれ誰かに見られたら拙くないか。
大分拙い。やっべって固まってるうちに逃げられてしまった。
「だ、誰も見てない、よな……!?」
いや、そんなことよりも周りだ。
周りをチェックだ。よし、誰もいない。
はぁ、と一息吐けば再度タブレット端末を取り出した。
「……冷静に考えるとコレ……」
口元が、引きつる。
「凛霞先輩にバレたらヤバいか……?」
いかん、マジで調子に乗ったかも知れない。
そんな気が気でない昼探しを過ごすのであった。
ご案内:「第三教室棟 屋上」から橘壱さんが去りました。