2026/02/23 のログ
ご案内:「第三教室棟 廊下」に武知 一実さんが現れました。
■武知 一実 >
陽も沈んで間もない、教室棟と教室棟を結ぶ渡り廊下。
祝日で平常授業の無いこの日、オレは野球部から拝借したバットを片手に“バイト”に励んでいた。
まだ薄らぼんやりとした明るさが窓から差し込む中、不気味な影が四方八方から飛び掛かって来る。
「……どっ、せェェェェい!」
それをバットで吹っ飛ばして、吹っ飛ばして、吹っ飛ばす。それをかれこれ小一時間。
普段よりも早い時間指定でのバイト案内が来たなとは思ったが、こんなに数が多いとまでは聞いてねーぞオイ。
「人間だったら、……こんだけやってりゃ流石に目減りしてくんだけどな……!」
廊下の奥から、消火栓の陰から、陽の当たらないところから湧くわ湧くわ。
いや今回は本当にバットがあって良かった。
片付け忘れたのか、はたまた別の使い道でもあったのか、
何にせよ屋上にコイツが転がってなきゃ、延々スパーリングさせられるところだった。
相手が影だけに、これがホントのシャドーボクシングってか。
――クソ、いい加減疲れてんな。
■武知 一実 >
一息ついてるところに、飛び掛かって来た影をフルスイングを叩き込んで三遊間に吹っ飛ばす。
廊下の壁にぶつかったそれは、勢いそのままに天井へと跳ねてぶつかり、床へと落ちて霧散した。
この通り、ひとつひとつは強くも無いし、耐久があるわけでもねえ。ただ、数が異様に多い。
「―――こういうのはどっかに本体が居て、そいつ叩けば終いってのが定石だが……」
面倒な事に周囲を探る方に意識を割こうとすれば、それを見計らったかのように飛び掛かって来る。
その都度バットで迎撃、あるいは拳や蹴りで対応しなければならず、周囲を探る暇なんざ出来る訳がねえ。
改めて孤高のソロバイターである事が悔やまれる。囮役でも居りゃあなァ。
「って……愚痴ってもしゃーねェかオラァ!!」
本日何度目かのホームラン。
これは今日の三冠王も目じゃねえな……野球のルールほとんど知らんけど。
ご案内:「第三教室棟 廊下」にアリスブルーさんが現れました。
■アリスブルー >
陽が沈んで間もない渡り廊下。
数多の穢が飛び交うその中で。
「……穢の気配を感じたもので寄ってみたのですが、
まさか既に対処をされている方がいらっしゃるとは」
金の髪を靡かせながら、靴音を鳴らして歩いてくる女。
青年がバットを振って影に一撃を与えるたび、特徴的な長耳がぴこんと動く。
青年――明るめの茶髪の男――祭祀局の人間ではないようだが、
どうやらこの類の怪異に対応することは、慣れているのだろう。
『どっかに本体が居て、そいつ叩けば終い』
先に聞こえてきた発言からも、それは明らかだった。
しかしこの数。一体どれだけの時間、対峙を続けているのだろう。
エルフは目を細めた。
「どなたかは存じ上げませんが、埒を明かしたいご様子。
祭祀局、祓使! アリスブルー! ご助力させていただきます!」
そう口にすると白い人差し指を青年の後方へ向ける。
「塵と砕けろ! 破壊の矢!」
清浄な光がその指先に集まったかと思うと、幾多もの矢と化す。
光の矢は自由な軌道を描きながら、その影を打ち砕かんとする。
清浄な気を纏った、乱入者による影への奇襲。
だが、その背中にもまた、幾多もの影が迫る――!
■武知 一実 >
次第に窓から差し込む陽光が薄くなりつつある。
もしこのまま夜の帳が下りれば、今以上に連中の湧き出るポイントが増える事だろう。
どうにかそのまえに大本命に一撃加えたい、が。
「ああクソ、有象無象が鬱陶しい!」
数体纏めて飛んで来たので、まずは一匹仕留めて振り抜いたバットを、逆手で持ち直してもう一振り。
ついでに足元にも群がって来たので文字通り蹴散らして、牽制用にバチッと一発放電しようかと思った矢先。
「……あァ?」
無機質な足音によく通る女の声。
怪異とは違う闖入者に顔を向ければ、此方――オレより少し後方へと向けられる指。
一体誰で何をするのか問うより先に口上が聞こえ、一瞬出端を挫かれた様な感覚に陥るも、
その背後に、わらわらと迫る影を見つけて。
「ッ――手ェ貸してくれンのは有難ェが、次から自分の周りを安置にしてからにしてくれよな」
咄嗟に駆け出し、女とのすれ違いざまに告げて、その背後に集まった影にバットを振り下ろした。
直接叩き潰せるのは1~2体が精々、それでもバットに纏わせた雷が爆ぜ、周囲の影も弾き飛ばす―――
■アリスブルー >
「おっと、ありがとうございます」
普段なら深々とお辞儀をするところだが、そんな余裕はなさそうだ。
互いの背後の影を穿ったところで、すれ違った青年と背中合わせの形になる。
近くに来れば、すずらんの清楚な香りが漂ってくることだろう。
「……では、これで。一旦は安置完成ですね。
なるべく早めに何とかしたいところですが――」
夜が来れば、更にまずい状況になるのは自明の理だ。
「――さて、バットさん。
時間もなさそうですが……出どころは既に掴んでいらっしゃるので?」
青年の名を知らないエルフは、背中の向こう側に居る青年にそう問いかける。
■武知 一実 >
突然現れた祭祀局を名乗る女の背後でバットを竹刀宜しく正眼に構える。
これまでわんこそば形式でちまちま潰して追加して、だったのが、
まとめて数体相手取れたから新たな影の出現に手間が掛かってるみてえだな……。
「バットさん……、まあいい、今はこの状況の打開が先決だ。
ええと、アリスブルーっつったか、1分程度、連中の相手を頼めるか?」
潰しても潰しても、新たに湧き出る影。
その場にいる全部を潰せたとして、また同じ場所に湧き出てくる。
多分本体は、結構近くでこっちの様子を探ってる可能性が高い。
「1分ありゃ探し出せる、その間は任せた」
一方的に丸投げしたのは既に物陰から新しい奴らが湧き出始めていたから。
オレは早々にバットの先端を床につけ、意識を集中させて極々微弱な電流を奔らせる。
床に、壁に、天井―――範囲は今居る廊下のあるエリア一帯。
そこまで広範囲にする必要は無かったかもしれねえが、念の為。
範囲内にある凡そ全ての物を走査して洗い出せば――
「―――見つけた、廊下の先、反対側の棟の天井!
撃ち落としてくれ、トドメは任せろ!」
本体を見つけるが早いか指示だけ投げて、女の背後から廊下を一直線に駆ける。
わらわらと小影が湧き出てくるが、邪魔になる奴だけ相手して他は無視!
バチバチと雷をまとったバットを振り上げれば、迸る雷光で辺りが照らされ、天井に張り付く蜘蛛型の影も照らし出された。
さて指示通りにさっきの奴が撃ち落としてくれるかどうか――
■アリスブルー >
「1分ですね、承りました」
任された仕事はきっちりこなす。そう言わんばかりに、穏やかな笑顔を向けるエルフ。
――しかし、大元になってる穢の探知ですか。この方、やはりかなり対処に慣れていらっしゃる様子。
口元を少しだけ緩めてその様子を一瞬確認しながら、
迫り来る影を指先から放つ矢で撃ち落としていく。
60秒間。任された時間は、十全に役割をこなすだろう。
そうして、影を撃ち落としていく中で。
青年の雷光によって照らし出された蜘蛛型の影を、エルフもまた視認した。
――やはり、対話ができる相手ではなさそうですね。なら。
「お任せください! 破壊の極矢!」
先まで指先にのみ集中させていた魔力を、今後は片腕全体に纏う。
そのまま宙空を殴るような仕草で大きく腕を振る。
上手く行けば、先程までの矢とは比べ物にならない大きさの矢が、雲形の影の脚を吹き飛ばすだろう。