2024/07/13 のログ
ご案内:「部室棟/占星術部部室」に竜胆 襲さんが現れました。
■竜胆 襲 >
もぞり…。
真っ昼間、授業や講義が行われている時間、誰もいない筈の占星術部部室。
もぞりもぞり。ズズ…。
部室の真ん中に設置された炬燵が微振動しています。怪異でしょうか。
「…ん」
いいえ、部長です。
目頭を指先で軽って、むくりと上半身を起こす。
ぼんやりした目でネコマニャン壁掛け時計を見ると、まだ放課後にも早い時間…。
■竜胆 襲 >
「……っ、痛…」
二の腕、それと、太腿。
昨夜の魔術の代償だ。
深夜活動の翌日は、大体こう。
部室の炬燵でほぼ一日、休んでいる。
おかげで試験の結果は良いのに、総合評価は中の上程度に留まる成績…。
お茶…を飲もうと思ったけど、部室の冷蔵庫まで動くのが億劫だったので諦める。
ふと、部室に誰かが貼っつけたカレンダーが目に入る。
「…そっか、海開きですね」
もうそんな時期なんだ、と黄金色の眼を細める…。
■竜胆 襲 >
夏は星がよく見える。
占星術部の正規の活動も盛んになる時期だ。
星を詠み、巡りを観測て………。
何も秘匿された夜の活動だけが占星術部じゃない。
山の方にキャンプにでかけたり、そんなちゃんとした部の活動も、ちゃんとやって…。
「部員も増えたことだし…色々考えてもいいのかもですね…」
炬燵の天板に突っ伏して、ぐったり。
ゴゥンゴゥン…と鳴るエアコンの音だけが部室の中に響いている。
ご案内:「部室棟/占星術部部室」に栖鳳院 飛鳥さんが現れました。
■栖鳳院 飛鳥 > こん、こん。
部室のドアをノックする音。そして、きぃ、とドアを開ける音。
盲目の部員が、部室に入る。
「おや、これは……どなたかおられますわね。どちら様でしょう?」
杖で床を確かめつつ、エアコンの音と反響から、誰かがいる、と確認して問いかける。
■竜胆 襲 >
「あ……こんにちわです。栖鳳院先輩。珍しいですね、こんな時間に」
まだ放課後も遠い時間帯だ。
生徒によっては空いた時間にこうやって部室にやってくる者もいるのかもだけど…。
―――最初は彼女がこの部に、というのは少し驚いた。
眼が見えない、なんていう大きなハンデ…。
"特別な眼"を持つ自分からすると、それは全然想像もつかない世界で……。
「前期試験ももうじき終わって…すぐに夏季休暇ですね」
どうぞ、と入室を促しながら、世間話のようなものを投げかける。
■栖鳳院 飛鳥 > 「あら、そのお声は部長さんですわね。ご機嫌麗しゅう」
そう言って、一礼してから入室し、地面を杖で探りつつ椅子に座る。
「今日は、スケジュールに空きが出来てしまいまして。せっかくですし足を運ばせて頂きましたの」
杖を横に置き、ふぅっと一息。
やはり、暑い。エアコンの涼しさに癒される。
「ええ、そうですわね。私は、数日家に戻って、後はこちらにいるつもりですが……部長さんはどうなさるご予定ですの?」
■竜胆 襲 >
「そうなんですね。この時期はそういうことも多いです」
もちろん、自分はそうではないけど。
お茶淹れますね、とようやく炬燵からもぞもぞと這い出る。
緊張の全く解れてくれない筋肉が突っ張って痛い、けど我慢できない程でもない。
冷蔵庫を開けて、それぞれ自身のものを持ち寄ったコップに冷たい麦茶を注いで、どうぞ手渡す。
声のかかる角度や、色々な感覚その他諸々で目が見えずとも色々と理解るらしい。
暗闇に閉ざされた経験なんてないから、その世界は想像がつかないものだけど。
「私は…ずっと此方にいるかと思います。女子寮の部屋にも、随分戻っていないですし」
■栖鳳院 飛鳥 > 「ええ。試験の方も、私は少々イレギュラーな形になっておりますから……そういう意味でも、時間がズレ易く、空きやすいのかもしれませんわ」
盲目である以上、流石に他の人と同じ試験を受けることは出来ない。
点字であったり、音声ガイド有りだったり……そうなってくると、どうしてもスケジュールも一般の生徒とは異なってくるのだ。
部長が麦茶を注いでくれたのを、音や気配で察し、頭を下げながら受け取る。
「有難う存じますわ、部長さん。
あら、お部屋にも戻られておりませんの?寮の方が心配なされますわよ?」
実際寮の管理者がそこまで気にしているかは不明ではあるが、飛鳥はナチュラルに心配してくれるものと思っていた。基本性善説寄りの性格なのである。
そして。
「――ところで、部長さん。お体の方、不調ですの?動きが少しぎこちないですわ」
感じられる動きや音にややの違和感を抱き、そう問いかける。
普段から動きにキレがある、と言うタイプではないが、にしても動作が不自然にぎこちなく感じられた。
■竜胆 襲 >
成程、そういった事情もあったらしい。
「殆ど部室で寝泊まりしちゃってますから…たまに帰って掃除なんかはしているので、心配はされていない…と思います」
多分、きっと、おそらく。
学園周辺で生活に必要なことが出来てしまうこともあって、それで済んでしまうのだ。
そして、動きに言及するような声が届けば
「よくわかりますね先輩。大丈夫、いつもの筋肉痛ですから」
そう言って、炬燵へと戻る…。
■栖鳳院 飛鳥 > 「あらあら。たまにでも帰っておられるのであれば、大丈夫なのでしょうか?」
実際、最低限元気にしていることが分かれば、ある程度は安心できるものではあろう、と納得しつつ、いつもの、と聞けば少し心配そうにして。
「事情は存じておりますが……やはり大変なのではないでしょうか。
多少なりならば、軽くすることは出来ますが、いかがいたしますか?」
言いつつ、ポケットをごそごそ。
■竜胆 襲 >
「…と、思いますけど」
部屋に戻らないことで心配するような人間も、いないのだし。
内心にそう思いながらも、時計に視線を向ければ、ちょうど午後の授業や講義が一段落する時間。
部室棟まわりもにわかに賑やかにはなるだろうか。
「軽く…?」
首を傾げる。
何をするつもりなのだろう、このお嬢様先輩。
■栖鳳院 飛鳥 > 「ええ、気持ち程度のものではありますが……」
そう言いつつ、エメラルドの宝石指輪を取り出し、指にはめる。
「私の宝石魔術は、宝石から様々な属性を抽出出来るものですわ。
そして、エメラルドから抽出出来る属性の中に『癒し』がありますの。
『治療』ではありませんので、あくまで癒し……筋肉痛に対しては痛みを緩和する効果程度しかないのですが……」
いかがいたしますか?と小首をかしげる。
■竜胆 襲 >
今日一日が大変なだけで、すぐに治るものではあるけれど。
せっかくの先輩からの好意。
無下にする理由も特にはなくて。
「えと…それじゃあ、お願いします…。便利ですね…それ」
宝石魔術…触媒が非常に高価なことで知られる。
スリなんかに気をつけて欲しいなあ…なんて内々に考えながら…。
■栖鳳院 飛鳥 > 「宝石がないと使えないのと、結構疲れてしまうのが玉に瑕なのですけれどね。
それでは、参りますわ」
言いつつ、エメラルドをそちらに向け、魔術を行使する。
コォォ、と言うわずかな音と共に、緑色の薄い光が体を覆う範囲に照射される。
劇的に楽になる、と言うほどではなくとも、痛みが和らぐくらいの効果は発揮するだろうか。
――もしかしたら、瞼の裏に隠された『眼』がわずかに励起しているのが分かるかもしれない。
■竜胆 襲 >
光に包まれれば、ふわりと身体が軽くなるのを感じる。
確かめる様に、座りながら両腕をクロスしての簡単なストレッチ。
…思いの外、痛くない。
「さすが先輩。いくらか楽です。
普通の宝石魔術とは…少し違う感じがしますね」
諸々の事情からあらゆる魔術に精通はしている。
僅か、彼女の眼を閉じた姿から伝わる雰囲気が変わったことも含めて、
自分と同じ…何かしらの異能を複合したものなんだろう、と。
「でも私が楽になる代わりに先輩が疲れてしまうんじゃ、あんまりかもです」
そう言って、苦笑する。
■栖鳳院 飛鳥 > 「それは良かったですわ。
ええ……宝石魔術、と言う形に当て嵌めている、と言う感じですの、これは」
本来は、目を閉じて光を与えないことで封印している魔眼の力である。
それを、宝石魔術と言う形態に当て嵌め、媒介を宝石に限定することで制御している、と言う形だ。
そして、その後の言葉には、あらあら、と頬に手を当てて。
「どうかお気になさらず。普段からこの目のことで部長さんにもご迷惑をお掛けしておりますから。これくらいは当然ですわ」
それに、使いすぎれば目のこともあり疲労するが、多少使う程度なら大したことはない。
故に、暑いから冷やす、などの目的で常用するのは難しかったりするのだが。
■竜胆 襲 >
推察通り。
器用といえば器用、不便そうと言えば不便そうでもある。
「いえ」
「この部にいる人達は、皆何かしら抱えていますから。
迷惑だなんて思ったこと、一度もないです」
それこそ気になさらずに、と付け加えて。
にわかに騒がしくなってきた部室の外へと耳を傾ける。
「…先輩。本日の夜間活動はどうしましょうか。
ミコちゃんの占星術では今日は視えないかも…ということでしたので、休みでもいいかと思うのですが」
■栖鳳院 飛鳥 > 「……流石、長足る器ですわね」
そう言って微笑む。
その言葉を、真正面から、はっきりと、当たり前のように言える人間は、思ったより多くない。
だからこそ、一年であるにも関わらず、誰も『部長』であることに異を唱えないのだろう、と思いつつ。
「あら、そうなのですか。
では、本日はお休みでも良いかも知れませんわね。試験もありますし、そちらに集中する日としても良いでしょうし」
外の騒がしさでなんとなくの時間を察しつつ、そう返事をする。
そこで、思い出した、とぽんと手を打って。
「そう言えば、数日前夜間活動をしているとき、親切な方とお話する機会に恵まれまして。
噂話なら、生徒主体のポッドキャストなどでも知れるのではないか、と仰っておりましたわ」
噂の確認、と言う形で活動をすることもある関係上、有用かもしれないと思い共有。
■竜胆 襲 >
この部がこうやって存在するのも。
立ち上げに強力してくれた現在のメンバーのおかげだ。
呼びかけたのが自分、ということで部長の座に収まってはいるが。
本来ならもっと向いている仲間も…。
「…では、一応お休みということでグループに連絡しておきます。
試験、まだ残っている人も多いかもしれませんね」
自分はもう全ての試験を終えて、結果を待つばかり。
追試や補修なんて目に合えば部活動の時間まで奪われるため、それなりに真面目に挑んではいた。
まぁ、悪い結果にはならないはず。
「ポッドキャスト……SNSのほはチェックしていましたけど、そうですね。それも確かに。
小さなものは祭祀局も見逃すことが多いですし、情報のアンテナは多く張っておいてもいいかもですね。
……やっぱり、夜間活動中に人には会ってしまいますよね」
むしろそちらのほうが気になったのか、小さく溜息を吐く。
「なるべくバレずに、秘密裏に…とは思っても、難しいです…」
■栖鳳院 飛鳥 > 「畏まりました。では私も、本日はゆっくりとさせて頂きますわ」
こちらは、まだいくつか残っているが、勉強自体はばっちりだ。
一日くらいはオフにしても大丈夫だろう。
「ええ。信憑性の確認は必要かもしれませんが、あまり話題性が強くないところでこそ、そう言った目的ではない話が漏れてくる可能性もありますわ」
目立つところ……動画サイトやSNSだと、どうしても『盛る』人は出てくる。
それが転じて陰謀論的な話に転がって行ってしまい、結果として本質的なところが覆い隠される、なんていうのもよくある話だ。
だが、マイナーとなってくると、そこまで変質することは少ないのではないか……と言う読み。
「私などは、どうしても目立ってしまいますから余計に、ですわね……。
夜のお散歩、と言う事にいたしましたが、どうしても夜更かししておられる方も多いこのご時世、誰にも見つからず、などと言うのは難しいところですわ」
飛鳥としては、夜の暗さよりも夜の静けさの方が優位に働くため、正直活動しやすいところもあるのだが、一般的には夜に盲人が出歩いているというのは気にかかる案件である。
それ以外でも、やはり人が少ないからこそ、夜に何かをしていれば、見ている人からは目立って感じられるものだ。
■竜胆 襲 >
「勿論、根も葉もない噂であるのが一番ではあるんですけどね…」
危険がないのならそれが一番に違いない。
本当に危険なものは、なかなか噂にすらならないもの。
大きな組織では見逃してしまうような僅かな起こり…。
占星術なども駆使し、それを見つけ事前に潰してゆくのが、理想的。
「一応、星を読むために夜間活動をしても誤魔化しやすくはあるますけど、
どうしても、それにも限界はありますから…」
とはいえ、怪異やそれに連なる者が暗躍するのはやはり夜間だ。
元々リスクは承知の上でやっていること…。
そんな、あくまでこの部としては"些細"な話をしていれば、くぅ、と小さく音が鳴る。
そういえば昼前から部室で休んでいて何もお腹にいれていなかった。
部室に常備してあるお菓子で済ます…というのもあまりな気分。
どのみち今日の夜間活動が休みになったのであれば、と。
「先輩、夕食ご一緒しませんか。ここにちょうど宅配ピザのチラシが…」
注文すれば部室まで届けてくれる素晴らしいピザ屋である。
■栖鳳院 飛鳥 > 「ええ。何も無い、平穏無事が一番……理想でしかないとは言え、願わずにはいられませんわ」
本当に、占星術だけを楽しむ部活である事が出来るのがある種の理想だ。警察消防医者は暇なのが一番いい、と言うのと似ている。
だが、現実はそうはいかない。
陰謀論に傾倒するつもりはないが、世の中にはどうしても『隠れた悪意』などが蠢いていることを、飛鳥はよく知っている。
「特に、星も見えないような……暗躍のしやすい夜は、占星術と言う言い訳もしづらい、と言うのもありますわね。
曇っていたり、雨が降っていたり……」
特に雨。
雨は、視界が悪くなり、雨音は足音を隠す。暗躍するには持って来いの天候だ。
翻って、占星術には極めて向かない天候でもある。星が見えないのだから当然ではあるのだが。
そんな話をしているときに聞こえる、くぅ、と言う可愛らしい音に笑みを浮かべて。
「ええ、是非ご相伴に預かりたく思いますわ。ピザ、実はあまり食べたことが御座いませんの」
このお嬢様、育ちがいい割に高級志向ではない。寧ろ安物には安物の良さがあると、それはそれで楽しむタイプの性格である。
■竜胆 襲 >
ぽん、と胸の前で手を合わせ、喜ぶ素振り。
「ちょうどチラシにクーポンもついているのでお得です」
にこやかにそう言葉を返す。
昨今このオモイカネさえあればこの手の注文が捗るのも便利だ。
二人分…と言わず、放課後に部室に訪れる部員の分も考えて、端末操作。
数十分後には、この炬燵の天板の上に所狭しと香ばしく色とりどりのピザが並ぶ。
それを囲んで談笑するのも、実に学生の部活らしい光景だろう。
間もなく夏休み。
この部を設立して初めて迎える夏季休暇。
そこに何が待っているのか、踊る心持ちあれば不安もまたあり。
そんな部室での一幕は、流れる様に過ぎてゆくのだった。
ご案内:「部室棟/占星術部部室」から栖鳳院 飛鳥さんが去りました。
ご案内:「部室棟/占星術部部室」から竜胆 襲さんが去りました。