2024/11/27 のログ
Dr.イーリス > 《フェイルド・スチューデント組》は、『数ある事務所』に事務作業や雑務などをよく委託していた。もちろん、《フェイルド・スチューデント組》の予算から『数ある事務所』に報酬が支払われている。
とは言え、『数ある事務所』の金銭事情がつらい……。
イーリスは委員会に入っているけど、指定保護区域管轄課《フェイルド・スチューデント組》は本庁の方にはあまりお顔見せず、歓楽街の一部(落第街とスラム)という島の端っこを勤務先とする、いわば末端も末端の部署扱いされてる。お給金、そんなに多くない……。

「出費は、程々に抑えましょう……。確かに、クリスマスやトコケット、楽しいイベントが訪れますけど、出費が嵩みもましますね……。うぅ……稼ぎつつ、節制です……」

おさんぽ同好会を設立したものの、金銭事情に衝突。
部費もでないので、そのあたりは大変……。

エルピスさんが暖まってうとうとしている間に箒を掃き終わって、カーテンを取るために肩車してほしいと、エルピスさんにお声をかける。

「ふふ、せっかく暖まっていたところ、申し訳ないございません。十年……。正義のロボットさんの背中に乗せていただいた時は、スラム街ながらお空高くから見た光景がとても輝いていました。私、あの時のトキメキがずっと心に残っています」

十年ぶり、そんな言葉にイーリスは目を細めて微笑んだ。
まるで夢のようだった。
スラムから落第街に入り込んで道に迷ってしまったところを正義のロボットさんに助けられた。正義のロボットさんの背中に乗せてもらったあの時の光景が、今もイーリスの胸の中でトキメいている。
イーリスは十年もの間、正義のロボットさんを焦がれ続けて、その正義のロボットさんがエルピスさんだった。

イーリスは、エルピスさんの背中を懐かしむように、そっと撫でた。

「それでは、乗りますね」

ゆっくりとエルピスさんの肩に乗り、首を跨いだ。
エルピスさんが立ち上がってくださったなら、カーテンを取ろうと手を伸ばす。

エルピス・シズメ >  
「抑える所は抑えて、使う所で使いたいね。
 ちゃんとできるお仕事もこなして、節制しながら堅実に、だね。」

 とは言え、クリスマスに怪我をしてしまったら元も子もない。
 悲しませないように蛮勇はせず、危ない仕事で稼ぎたくなる欲求を振り切る。
 
 義手も〝まほう〟も順調だけど……過信は禁物。
 イーリスとの時間を大事にしたいし、悲しませたくない。

「小さなころのお空に比べたら狭いけど……
 ……うん。ゆっくり……立ち上がるね。」

 背中の感触は駆動する合金でなく人の肌。
 イーリスに伝わる背中の感触は、夢が現実に続いている事を報せるもの。

「よいしょ……と。イーリス、手、届きそう?」

 イーリスが手を伸ばしても転げ落ちないように、強く支える。
 両の足でしっかり立って、自分自身も転ばないように立ち上がる。

Dr.イーリス > 「そうですね、節約のしすぎは心によくない……とは言うものの、節約しないのも心によくないです……」

イーリスの頭の中でつきまとうお金の悩み……。節約を怠りすぎてお金が減っていくペースが予想外に早くなると、それはそれで気になってしまう。
最近は、事務所の家庭簿が気になって、高級料理が食べたいと言わなくなっていた。

とは言え、イーリスは落第街に住んでいながら、治安の良い指定保護区域にいるので、少し前までの戦いばかりだった日々が嘘であるかのように、ここ最近は危ない事とは全く無縁の平和な生活を送っていた。イーリスが属する部署も、指定保護区域という平和な場所を担当としていている。今のところ治安良好。
未開拓地区で大規模な爆発事故が起きたようだけど、イーリスにとってはどこか遠い世界に感じる程に、平和な生活に馴染んでいる。とは言え、募金をしたりなどのささやかな支援はした。
その他の事件や事故などもイーリスと関わることはなく、ただただ遠い出来事に感じてくる程に、平和を享受している。
今のイーリスは、指定保護区域を守るというお仕事はあるものの、平和な世界で暮らすごく普通の学生のうよう。
クリスマスまでに怪我する要素も、普通に学生生活を送る学生並みにない。お家(事務所)に帰ったら、平和にこたつでゆったり。

肩車していただきながら、エルピスさんを眺めてそっと目を細める。

(私は、あなたのお陰でこうして平和に暮らせています……。いっぱい、感謝です……)

この平和は、エルピスさんのお陰。

(ずっと……この楽しい平和がつづいてほしいです)

「えるぴすさんとこうして同好会を設立したり、のんびりおさんぽするのもまた、以前の私では考えられなかった程にとても輝かしいものですね。狭いですけど、それでもえるぴすさんに肩車していただいて見るこの光景も、私は大好きです。なにせ、私達の部室ですからね」

これからたのしい部活が始まる。ここは、そんな素敵な部活の光景。
えるぴすさんといーりす、ふたりだけの部室。
十年前のトキメキは、幸せな形となって、紡がれ続ける。今もトキメキは変わらず、イーリスは部室の光景を見て瞳をきらきらと輝かせていた。

「んー……! もう少し……とどき……ました!」

手を伸ばして、カーテンを外していく。
エルピスさんに負担をかけないよう手早く外そうと意気込み、ちょっともたつきながら、無事にカーテンを外し終えた。

「カーテン外しました」

カーテンが床に落ちた。

エルピス・シズメ >  
「大丈夫、なんとかなるよ。」

 保護区は落第街で活動する風紀委員・生活委員の前哨基地としても機能しており、
 スラムへの慈善活動や長期作戦の拠点としての意味合いもある。

 表向きには歓楽街への駐屯や出向、と言うことになるのだろうか。
 いずれにせよ、安全と戦力を外部に委託することができている状況。

 未開拓地域での爆発事故と有志の調査員を募っている事は把握しているが、
 既に多くの委員が連携して活動していることも知っている。

(年の瀬でなかったら、ちょっと考えたけど……。)

 報酬の高さには惹かれたがリスクの高さから見送るつもり。
 今はイーリスの隣に居たいし、身分相応の清貧もきっと楽しい。
 節制するためにあれこれ考えるのは、自分は嫌いじゃない。

 日常と平和を享受して、二人で帰ってたらこたつで寛ぐ。
 さて、今日は何を作ろうか。

(……今はこの幸せの方が、ずっと大事。)

「そうだね。僕も……こうやってだいすきないーりすと一緒に学園生活を楽しんで、幸せな日々を過ごせるなんて夢にも負わなかった。初めての僕たちの部室と活動。今日はその第一歩だね。」
 
 手を伸ばしてがんばるイーリスを内心で応援しながら、
 外し終えたカーテンが落ちた事を確かめる。

 長い間部室を陽射しから守っていたボロボロのカーテンは、埃を立てながら地面に落ちた。

「お疲れ様。いーりす。……ゆっくり降ろすから、そっと降りてね。」
「このカーテンを片付けて手を洗ったら、購買に行ってプリンと飲み物でも買って、おやつにしよっか。」

 この辺で休憩にするのも良いだろう。
 そう思ったので、購買への買い出しを提案する。
  

Dr.イーリス > 「最初は本当に夢のようだった学園生活。だんだん、えるぴすさんとの学園生活が馴染んできています。部活動の第一歩ということで、後で活動記録をつけておきますね」

手を頑張って伸ばしたり、途中もたつきながらもなんとかカーテンを外す。
エルピスさんが優しく降ろしてくれたので、イーリスはそっとエルピスさんから降りて地面に足をつける。

「ありがとうございました。カーテンは穴だらけで捨ててしまってもいいと思いますので、ゴミ袋に入れておきましょう。では少し休息です!」

そうしてえるぴすさんといーりすは、部室を出て鍵を閉め、お手てを洗って購買部にプリンとジュースを買いに行くのだった。
下校時刻にはお掃除も終えて、おさんぽ同好会の最初の活動を終えた。

ご案内:「《常世学園おさんぽ同好会》の部室」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「《常世学園おさんぽ同好会》の部室」からDr.イーリスさんが去りました。