2025/01/08 のログ
ご案内:「神技武練塾 - 神技堂」に霜月 霈さんが現れました。
■霜月 霈 >
鋭い鞘鳴りの音と共に白刃が収められる。
其れはまるで眩い銀月が夜の帳に沈むかのように、ゆっくりと行われた。
それが示すのは──ひとつの勝負がついたということ。
「──これで特級部員ってことでいいんだな?
白日堂々、本身を持ち歩いても一々風紀の連中の顔色伺わなくていいってわけだ」
太刀を収めきった少女は、さも感動もなげにそう言い放つ。
神技武練塾、その部室でもある神技堂にて行われていたのは『神技昇華試験』──。
それに合格したものは特急部員としての"格"を与えられ、こと『個人武力』に対しての太鼓判を押される。
必要とあらば風紀委員などが担当する事件や捕物に協力することを約束し、常々の帯刀など武器の所持を保証される。
「別に許可なくても持ち歩いてるヤツいくらでもいそうだけどな」
それでも筋が通るならその方が良い。
「──ご苦労様、先輩方。…才能ないならないでもっと地道に鍛えたほうがいいんじゃない」
憮然と言い放つ少女の周囲には数名の刀剣を携えた生徒が倒れ伏しているのだった。
ご案内:「神技武練塾 - 神技堂」に桜 緋彩さんが現れました。
■霜月 霈 >
神技武練塾──武を志す生徒なら誰でも門扉を叩ける、少々特殊な部活動だ。
突き詰めるのは最強のみ。しかしそれを心技体を極めた先にあるとし、あらゆる流派や武技を修める者が研鑽しあう場。
「(──っていうから期待してたんだけどな)」
辺りに倒れている生徒はいわゆる特級部員ではない。
間口が広ければ当然、部員の質も海千山千になろうもの。
この神技武練塾に参加する武芸者の頂点近くなど、想像も及ばぬ怪物がいてもなんらおかしくはない。
■桜 緋彩 >
「これはまた……なんと言うか」
神技堂の扉を開けた瞬間目に飛び込んでくる、死屍累々と言った様相の部員たち。
彼らに協力を仰ぐ風紀委員でもあり、自分自身も剣の道に生きるものでもあると言うことで、少し様子を見て行こうかと立ち寄ったのだが。
「相変わらずの剛剣のようですね、霈どの」
霜月雫の実妹であり、霜月流に並ぶものなしと噂に名高い剛剣の使い手。
一礼をして、部室に上がる。
■霜月 霈 >
「……ん」
扉が開く。目に入ってきたのは道具袴姿の女子生徒だ。
この場にそぐう、如何にもといった風体。
一礼をして武練場に上がる姿を見て、首を傾げる。
名前を呼ばれた、ということは多分知り合いだろう。
「──誰だっけ」
礼も返さず長大な刀鞘を肩元にぽん、と乗せ、憮然とした態度でその姿を値踏みするように見る。
傲岸不遜……礼儀正しい姉を知れば知るほど、真逆の態度だろう。
「…ああ、いや、思い出した。桜華刻閃流の」
そう言えば見覚えあるな、と。
■桜 緋彩 >
「ええ、桜緋彩です」
無礼とも取れる彼女の態度だが、それはただ彼女がそう言う人だ、と言うだけだ。
そしてそれを知っているので、そこに対して口を挟んだりはしない。
言うほど無礼な人ではない、と言うことも知っている。
「して――一体何があったのですか?
いや、霈どのが大立ち回りをしたのだと言うことはわかるのですが」
その辺に転がっている剣士の側にしゃがみ込み、大丈夫ですか?と声を掛ける。
道場破りでもしたのだろうか。
■霜月 霈 >
ああ、そういう名前だったかな、と、薄い記憶と合致。
姉と違ってそうそう怒らない、若い割に器の広い人物だった筈だ。
実際、自分の憮然とした態度に対して感情を顕にすることもない。
「──神技昇華試験」
「倒れてんのは試験担当の部員だよ」
やや退屈げにそう答えを返す。
倒れている連中はそれぞれ怪我こそはしているが、全員かなり鍛えた身体、致命傷は避けられているのが見て取れるだろう。
それにしても峰打ちであるとか、そういった加減がされている様子は見られない。
実戦形式…この部活動の異様性が感じ取れる光景だろう。
「で、緋彩先輩は何しにきたの」
■桜 緋彩 >
「審議昇華――あぁ、なるほど」
たしかこの部活――審議武練塾の昇段試験のようなものだったか。
最上位にもなると特級部員と言う称号か何かが得られ、一定以上の戦力を持つものと認定されるとかなんとか。
風紀への協力者もいるとかなんとか聞いたことがある。
「私も一応風紀委員ですので、常日頃の戦力提供のお礼と、新年のご挨拶にと思ったのですが」
この様子ではそれどころではないようだ。
手加減された様子のない部員たちをひとしきり見て回り、必要ならば簡単に手当てをして回って。
「――ふむ。
と言うことは、霈どのも特級部員へ昇格した、と言うことですかね?」
一通り手当てが終われば、改めて話を戻す。
これが昇華試験で、立っているのが彼女一人と言うことは、そう言うことなのだろう。
その割に退屈そうにしているのはなんとも彼女らしいところではあるが。
思わず苦笑が漏れる。
■霜月 霈 >
「そういうこと。
本身持ち歩くのに一々風紀委員の顔色伺うのも面倒だしな」
別に手当なんてそいつらが起きれば自分で勝手にやるだろうに、
そんなことも思いつつも別に止めはしない。
そういう人だったな、と記憶が更新されるに過ぎず。
「ま、所詮試験は試験。実戦形式って言っても命のやり取りでもないし。
充てがわれる部員も凡才が努力した程度じゃこんなもんだよ」
体躯そうにしているのは。武技の面ではなく刺激の問題である。
自身の才能を開花させる程の刺激には至らない、そんな立ち回りだったと奥面もなく口にする。
見た目のわりに全く可愛げのない、そんな少女剣士であった。
■桜 緋彩 >
「風紀委員の顔色を伺わずこれ見よがしに持ち歩いているのは、やはり姉妹ですね」
くすりと笑う。
目の前の彼女はそんなことしていられるか、と言う様な意味だろうが、姉の方はある意味もっとひどい。
なんせ本当に伺ってもいないのだから。
「剣士の魂たる刀を持ち歩くことの何がいけないのか」と言う様な顔で堂々と持ち歩いて見せている。
「命のやり取りではない、と言われると私もなんとも耳が痛いところではありますが……。
とは言え特級部員として認定されたことにお変わりはないでしょう。
おめでとうございます」
何せ桜華刻閃流も実戦形式と吹聴しているのだ。
命の安全が保証された立ち合いと言われてはそれっきりである。
■霜月 霈 >
「姉貴程肌見放さず持ってる程じゃないけど」
薄く肩を竦めつつそう返す。
そういえば姉とは気が合うような感じだったかな、と思い出して。
「──ま、武闘祭はその限りじゃないらしいから楽しみにしてるけどな」
おめでとう、などと言葉を向けられれば
そんなのはいい、と言わんばかりに片手をひらひらと振ってみせる
比武、勝利の称賛すら道半ばでは不要とする。
ある意味あの姉よりもストイックな部分が見える性格である。
■桜 緋彩 >
確かに彼女は本当に肌身離さずと言った感じだ。
半身と言っても過言ではないし、彼女自身もそう言っているのを聞いたことがある。
確かに、と言いた気に、困った様な顔をして肩をすくめて。
「武闘祭、と言いますと、この部活の大会のようなものでしたっけ?
それは私も少し興味がありますね」
なんせ強者と戦う絶好の機会である。
部外者でも出場できるのだろうか、と首を傾げてみせて。
「とは言え、今日はあまり楽しめていないご様子ですね」
どうも動きの節々に退屈そうな空気が見て取れる。
伸されていた彼らも決して弱いわけではなかろうに。
「どうでしょう。
暇潰しに、私とも試しに打ち合ってはみませんか」
■霜月 霈 >
「いいんじゃない? 此処の門扉は広いらしい。
色んな流派のヤツが最強目指してやり合ってるらしいしな」
故に海千山千、ピンからキリまでといった感じでもあるのだろうが。
「試験なんて、座学に限らず退屈なもんじゃないか」
ぽんぽん、と鞘で肩を叩きつつ答えれば、続く言葉はなんとなく予想が出来た。
姉と同じ色の眼が鋭く細まる。その内面、あるいは性格か。
双子と見紛う顔の作りに関わらず、別人のような鋭さがその目つきにはあって。
「暇つぶしに、試しに?」
「それじゃ退屈なままじゃないか?
桜華刻閃流ってのはそんなにヌルい流派だったかな」
視線を流すように、緋彩を見る。
先輩であり先達でもある──が、刃を交えるならそこに礼もクソもあったものではない。
どちらが強いかしか興味がない。そんな少女の本質の滲み出る、問答だ
■桜 緋彩 >
「なるほど」
どうやら部外者でも参加出来そうだ。
予定が合えば参加してみるとしよう。
鋭い視線の後に繰り出される棘のある言葉。
しかしそれを聞いても笑顔は崩さずに。
「いやはや手厳しい。
霈どのにかかれば桜華刻閃流も形無しですね」
くっくっと顎に拳を添えて笑いを漏らした後、
「――まぁ、とは言え私も桜華刻閃流当主でございますから。
こちらとしてはそのぐらいがちょうどいいかと思ったのですが」
暇潰しになるかそうでないかはそちら次第だ、と。
笑顔のまま笑っていない目を向ける。
■霜月 霈 >
「実戦剣術を謳って、実戦の許される場で」
「暇つぶしに興じるような流派」
「それも代表する当主の立ち振舞となれば、間違いはないんだろう?」
笑顔から、笑みの気配が消えたのが理解る。
でもまだ喰い付きが浅いな───内心、そう感じながら。
「そう聞いてたし当主の気性にも期待してたんだけどな。
やっぱり一度お座敷剣術になると、開始の合図がないと抜けないか」
侮りにも聞こえる言葉。
あからさまに挑発と理解るそれを堂々と向ける。
それに喰いつくも良し。
安い挑発ならば侮蔑すら聞き逃すのならそれも良し。
しかし剣術家が流派の侮辱を聞き逃すのであれば、少女にとっては期待外れの相手だ。
小賢しくも斜に立ち、刀鞘を肩に掛けた隙を見せながら──視線は、値踏みのそれだ。