2024/06/24 のログ
■不知火 玲衣奈 >
「でしたら……『先輩』はいりませんか。よろしくお願いします、マトさん」
会釈。他人に笑みを見せるのは少し苦手なのだが、それなりに笑顔を作る。
「まあ、そうですね。棚に戻す前にある程度整理してはいますが……どうしても量が多いですしね」
作業を始めてからそれなりに時間も経っているはずなのだが、まだ先は長い。
「高い場所、ですか。私は……」
話の流れでちょうどよく、高い棚に戻すべき本を見つける。
――《念力》。腕の中から一冊の本が浮かび上がると、そのまま視線の先の住処に収まる。
「……こうすればいいですから」
量が多いと面倒ですけどね、と苦笑い。
本は好きだが、やはり作業として純粋に面倒なものは面倒なのだった。
■マト >
「ああ、それでいいよ、敬語はあんまり言われ慣れてないしね」
こくり、と頷いて
「でも、それだけこの図書館が使われてるって意味でもあるしね」
「勉強熱心なのはいい事だし、僕自身ももっと学びたい事は沢山あるからね」
そういうマトの運んでいる本もまだまだそれなりの量があるように見える
「ははぁ、なかなか便利そうな能力だね、僕の場合は…」
同じように高い位置の本を一冊取ると、とっ、と軽く地面から、まるで重力の影響を受けていないかのように浮き
とすっ、と器用に戻すべき場所に本を押し込むだろう
「残念だけど整理に使えそうな魔術はまだ覚えてないから、このくらいかな?」
「まぁ、こつこつやっていくしかないね、こうしてみていると、興味がある本が見つかる事もあるし」
こういうの、縁の下の力持ちって言うんだっけ?なんて呟きながら微笑む
■不知火 玲衣奈 >
「そうですね。いいことだと思います」
情報。知識。思い。生き様。綴られた言葉の組み合わせが頭に染み渡り、形となるあの感覚。
きっと、これからもずっと、自分はそれと付き合いながら生きていくのだと思う。そのような人がたくさんいるというのは、純粋に、嬉しい。
自然と微笑が浮かんだ。
「浮遊、ですか? マトさんも便利な能力をお持ちなのですね」
目の前で飛ぶ姿を目で追う。
「本を整理する魔術、なんて。思い通りに使えたら仕事が減りますね。
――とはいえ、自分の知らない本と出会う機会が減ってしまうので、個人的には複雑に思ってしまいますが」
便利すぎる、というものも考え物だ。
技術が発達し、電子書籍が珍しくなくなった今においても――紙の本は生き残っている。まあ、電子書籍にするわけにいかない本というのも少なくないから、というのもあるのだろうが。
「マトさんは普段はどんなジャンルの本を? 私は最近、ミステリーをいくつか読んでいまして」
■マト >
「僕もまだまだ読んだ事無い本ばかりだしね、勉強でも色々使うし……そうだ、今度れおなのおすすめの本とかあったら教えてよ」
何て微笑みを浮かべるあなたに提案しつつ
「浮き、というか、単純に跳んでるだけだね、僕軽いからさ……えーと、20㎏だったかな?」
ぴょん、と小さく跳ねて、くすくすと悪戯っぽく笑う
「紙と電子書籍の違い、は僕もちょっと考える機会があったね」
「特に魔術書とかだと、中身だけじゃなくて装丁まだ意味があったりするみたいだし?」
「便利なものはあったら使いたいけれど、依存しすぎるのもよくないっていうしね」
こくこく、とあなたの言葉に同意するように頷きながら、口元に指をあてて小首を傾げる
「ミステリー……僕はそうだねえ、最近はショートショートって奴を色々読んでみてるよ」
「ちょっとした空き時間で読めるから魔術とかの小休憩にもってこいなんだ」
■不知火 玲衣奈 >
「おすすめの本ですか……ええ。私でよければぜひ」
目の前の相手が同好の士と見て、少し親近感が湧いた。
おすすめ……何を紹介したものかと逸る気持ちを抑えて、また腕の本を一冊棚に戻す。
「そうですか、20kg……20kg?」
あれ、おかしいな。人間とは思えない数値が聞こえた気がするんだけど。
改めてマトの容姿を眺めるが、確かに華奢ではあれど、そう人間離れした体型をしているようにも見えない。
「マトさん……? 大変失礼なことをお聞きするようですが……あなたは人間ですか?」
驚きのあまり聞かずにはいられなかった。勿論人外だからといって差別するような心を持ち合わせてはいないが。
「紙の本としてそこにある、ということそのものがやはり重要なのだと思うのです。
五感で読む、というのですか。やはり自ら触って読む本というのは何か便利さとは違うよさを感じますね」
なんとなく、ではある。あるが、やはり電子より紙派な玲衣奈である。
……部屋の整理しきれない本を思い出して、少し憂鬱にはなるが。
「ショートショート。私も好きです。あの短い文章で描かれる世界が大変興味深くて……」
過去、自分が読んだ本を思いだして、また笑みが浮かぶ。
また今度読んでみようかと思って、小説のある書架の方に一瞬だけ目を向けた。
■マト >
「うん、じゃあ、仕事が終わったら一緒に本を探そうよ、れおなも用事が無ければだけど」
ぱぁ、と笑みを浮かべながら仕事を続ける
「うん、人間じゃないよー、僕は人造生命体さ、外見は人と変わらないけどね」
「ちなみにれおなは人間かい?こういう時はこっちからも聞き返した方が"フェア"ってやつだよね」
あっさりと自身の種族を明かしつつ、何となくといった感じでれおなにも聞き返す
「物にもよるけれど単純に大きさ的に読みやすかったりする事もあるしね」
「とはいえ、電子書籍も便利だから活用できるところは活用したほうがいいとおもうけれど」
軽くスマホを振って翳しつつ、片目でウィンク
マトも自室に本棚こそ置いてあるが、あまり広いわけでは無いので借りた本以外は電子書籍がメインだったりはする
そうでないのは教本や魔術書といった、代用できないものが多いだろうか?
「まさしくアレは人の発想力の化身ともいえるね!でも、それをいったらミステリーも」
「僕もまだそこまで沢山読んだ事は無いけれど、あっと言わされることも多いからね、わくわくするよ」
そうしてあなたとミステリーとショートショートの話で盛り上がりながら、テキパキと本の整理を進めていくだろう
■不知火 玲衣奈 >
「よろしいのですか? でしたらぜひご一緒させて下さい」
……視界の端で移った姉の霊体が、なんか不満そうだった。多分、まだしばらく外に出られなさそうのが不満なのだろうか。
……さっきから大人しいと思っていたけれど、なぜだろう、嫌な予感がする。
「人造生命体……言われて見ても人間にしか見えませんね。純粋にどんな素材なのか……」
さて、話の流れで自分の種族も話すことにはなったのだが。
「私は……まあ、人間です」
私は。
「私自身は、人間なんですけど。……少し厄介な事情がありまして」
「ちょっと、厄介な事情ってどういうこと? お姉ちゃん悲しいなー」
自らの意思に反した言葉が、口をついて出る。
己の体をいいタイミングで乗っ取った姉の霊が、玲衣奈の声と体を使って口を挟んできた。
……ああ、嫌な予感はしていたんだけど。
「辞書なんかは、私は電子ですね。純粋に調べ物をするだけの本は、電子の方が便利です」
厚いし、重いし。電子なら検索もできるし。こればっかりは利便性を取る。
「ええ、ええ。そうですね。世界観が秀逸なお話ばかりで。作者さんには本当に感心させられますね」
どんどんと本の話題で盛り上がっていく。自らの仕事も忘れず、然るべき場所に本を戻していきながら。
■マト >
「勿論、同級生で、同じ図書委員だからね、仲よくしよう」
目を細めて、薄桃色の髪をゆらゆらと揺らす
「どうなんだろうねえ、生憎記憶が無くってさ、種族とか名前、後使える能力くらいしか分からないんだ」
「そういう意味では、知識とかはよっぽどれおなのほうが先輩だね?」
「厄介な事情…… ?おや、声が……」
「成程、もしかして憑かれているってやつかな?」
「見る……いや声を聞く限り仲は良さそうだね、生憎今の僕には姿は見えないようだけど……」
一瞬きょとん、と不思議そうにするが、直ぐに順応するかのように話を広げながら、周囲をきょろりと見回す
「分かるよ、僕も分からない文字とかがあったらスマホに頼ってるからね」
「そうそう、それに全集ですさまじい量の物語を書いている人もいて、びっくりしちゃったよ」
「話していたらまた読みたくなっちゃったな、今度借りよう」
楽しそうに話しながら作業をすれば、効率以上に疲れも忘れられるというものだ
■不知火 玲衣奈 >
「そう。玲衣奈ちゃんに憑いてる私は玲衣奈ちゃんのお姉ちゃん、優紀ちゃんです。
けれど勘違いしないでほしいことが一つ……そう、私は悪い霊じゃあ断じてない、玲衣奈ちゃんを守る守護r」
「こうして何の前触れもなく"降りて"くることがありまして。悩みの種で困った姉です」
「ちょっと、私話してる途中だったんですけど!?」
無理やり体のコントロールを自分に戻したが、またすぐに乗っ取られる。姉が大人しくできない。
「とにかく、いつもはだいたいこの辺にいるから。悪口とか言っても聞こえちゃうぞー、気を付けてね?」
右肩辺りを示しつつ。そういって姉は満足したのか、また体から抜けていった。
「……とまあ、見てもらった通りです」
「上手く付き合っていきたいですね、電子書籍にも、紙本にも……っと」
話していると、いつの間にか腕の中の本もわずかだった。
「もう少しで終わりですね。頑張りましょうか」
凝り固まった肩を軽く解して、ラストスパート。
片手で数えられるくらいになった本を、手で、念力で、書架に戻していく。
■マト >
「お姉ちゃん……姉だったのか、よろしくねゆうき、つまりれおなは一人でも二人な訳だ」
「ふふ、悪霊だとは思ってないよ、悪い霊だったら黙っていなそうな図書委員には心当たりがあるからね」
「まぁつまり、れおなに会えばゆうきにも会えるから一石二鳥……とはちょっと違うか」
とん、とん、と少し額を叩くようにしてから、小さく笑みを浮かべて
「兎も角、二人よりも三人の方が賑やかだからね、僕としては喜ばしいとも言えるかも?」
れおなに対して楽し気に答えながら、見えないながらにれおなの右肩あたりを見つめたりして
「だね、よい、っしょ…… よいしょ、っと」
場所が分かりづらい本は二人で位置を探したりして、二人で仕事を片付けていく、そして――
「ふぅ、終わったー、何時もより大分早かったね、二人でやったおかげかな?」
■不知火 玲衣奈 >
「まあ……そういうことになるんでしょうか。一人で二人……」
「いい言葉だね! 玲衣奈ちゃんは私、私は玲衣奈ちゃん、二人で一つ」
「ちょっと話がややこしくなるから一旦黙っててもらえる?」
妙なことを言い出した姉に容赦なくツッコミを入れる。自分で自分の言葉を即座に否定しているようで不思議な景色になるだろうか。
「まあ、そんな感じで騒がしい姉ですが。どうかよろしくお願いします」
せっかくできた同好の士をこんな形で失いたくない。
「お疲れ様です、マトさん。
そうですね。予定よりもかなり早く終わりました。ありがとうございます」
深めにお辞儀をする。ほどよい疲労を溜め息で吐き出して、再び肩を解して仕事モードを解除した。
■マト >
「……ふふっ」
その様子を見て、微笑ましそうな、楽しそうな笑い声を漏らすマト
「見たことあるよ、こういうの、えーと……夫婦漫才?」
「勿論、後折角だし本を進めてもらう時は、ゆうきのおすすめも聞かせてもらおうかな?」
少し、いや大分違う例えを出しながらも、少なくともあなた達を拒絶する意思は見えないだろう
「此方こそ、こんなに楽しんで仕事をできたのはれおなのお陰さ、ありがとう」
此方もぺこ、と真似するように頭を下げて、顔をあげれば屈託のない笑みを浮かべているだろう
■不知火 玲衣奈 >
「夫婦漫才……というのは、多分に語弊が含まれるかと思うのですが……」
なにせ姉妹なのである。かといってではどんな言葉が正しいかと言われたら、それはそれで答えに困ってしまうのだが。
「おー、私のおすすめ? そうだねー、じゃあ私一押しの漫画を見てもらおうかなー」
「姉は少年漫画が好みで。あまり本を読むタイプではないので有名どころしか知らないのですが、それでもいいなら」
「――。そう、ですか。
あまり人と話すのは得意ではないのですが……その。そう思っていただけたのなら、幸いです」
マトの笑みに対して、ちょっとぎこちないながらも笑顔を返す。
こちらとしても、図書委員の同級生と知り合えたことは、とても嬉しいのだ。
■マト >
「そうなんだ?ごめんね、僕もまだ知識は色々取り込んでいる最中だからさ」
「漫画でも全然問題ないよ、楽しみが一つじゃなくて二つ増える事になったね♪」
「全然そんな感じはしなかったけどな?じゃあ、僕は休憩室でちょっと休んでから帰ろうと思うけど……」
二人はどうする?と聞きながら、一度大きく伸びをするだろう
■不知火 玲衣奈 >
知識。取り込む。言葉の端々に、目の前の存在が人間ではなく人造生命体のそれであると自覚させられる。
「ふっふふ。少年漫画のアツさを目一杯学ぶといいよ」
「……いいのかな。変な方向に学習しないといいけど」
「本のことになったら、つい口数が増えてしまうだけですよ。
……そうですね。私は、本を借りたらそのまま帰ろうと思います」
先週まで借りていた小説のタイトルを脳裏に思い浮かべながら。
……それから、自分は何の本をおすすめしようかと、そのようなことも同時に考えて。
■マト >
「楽しみにしているよ、あ、そうだ、忘れないうちにアドレス交換しないとね」
「僕が住んでるのは堅磐寮の方だから、男子寮や女子寮だとロビーで偶々会うって事はあんまり無いし」
といって帰りにあなた達とスマホで連絡先を交換するだろうか
「ん、じゃあまたねれおな、ゆうき、楽しい時間だったよ」
軽く手を振ってあなたたちと分かれたマトも、その後紹介する本を何にするか暫く考えていた事だろう
■不知火 玲衣奈 >
「あ、はい。それじゃあスマホを。
ああ、堅磐寮でしたか。私は女子寮ですから、確かに偶然会うことは少ないでしょうね」
自分のスマホをポケットから出して、連絡先の交換に応じる。
「はい、それではまた。お疲れ様です、マトさん」
「まったねー」
二人で別れの挨拶。それから手を振る。
そうして別れた後。
「それじゃあ仕事も終わったし、お茶しよお茶!」
「はいはい、本借りてからね」
目当ての小説と――ショートショートの本を数冊。
それらの貸し出し手続きを済ませて、少女はひとり賑やかに図書室を後にしていった。
ご案内:「図書館 閲覧室」から不知火 玲衣奈さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」からマトさんが去りました。