2024/07/11 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」にマトさんが現れました。
ご案内:「図書館 閲覧室」に橘壱さんが現れました。
マト >   
この頃の図書館は中々に盛況である
一番の理由はやはりこの暑さだろうか

海開き、スパなどといった遊びに行ける場所は数あれど
静かに涼しい場所で勉強ができる場所、という意味でも図書館の需要は根強い

「~~♪」

そんな中、マトも図書委員としての仕事を全うしていた
今日の仕事は返却された本の書架への移動と、それに伴う整理である
軽い体を活かし、書架の高い位置へもひょい、と飛び上がり本を仕舞う
恰好がワンピースのために微妙に危うい気もするが、幸い覗き込んでくるような輩もいないようだった

「次は機械関係だね、あっちだ」

よいしょ、と大きなキャスター付きワゴンを押して図書館内を移動していく

「僕も之が終わったら勉強しようかな、魔術のおさらいしておきたいし……」

橘壱 >  
少年は読書に興味はなかった。
読書の世界よりもより面白いものにのめり込んでいたからだ。
活字自体が嫌いではないが、今は紙よりも電子書籍のが手軽いのもある。
だから思えば、こういった図書館に出向くのは結構久しぶりかもしれない。

「……意外と人が多いな。涼しいからか……。」

図書館ではお静かに、声量は抑えめ。
レンズの奥に見える景色は思ったより人が多い。
勉強位にしか使っていないから、こういう時期には多いらしい。
成る程、現金な連中だなと思いつつ誰かを探すように視線を右へ左へ。
何の用かと言えば、通りかかったついでにルームメイトの顔を見に来たのだが、見当たらない。
今日は非番なのか、たまたま出ているのだろうか。

「いないならいないでいいんだが……、……ん。
 ……、……なぁ、そこのアンタ。図書委員、だよな?」

折角だ、とワゴンを押す恐らく図書委員と思わしき少女…少女?に声を掛ける。
声をかけた途端、少年の表情は訝しげ。思わず感じた違和感に声をもちょっとぎこちない。
見た目は非常に可愛らしいのだが、その勘が得も知れない違和感を教えてくれる。
いや、まぁいい。今はそこは重要じゃない。こほん、と軽く咳払いをして気を取り直す。

「同じ図書委員なら聞きたいんだが……風花 優希委員は今日は非番か?」

マト >   
「?」
「やぁ、こんにちは」

声をかけられて振り返り、あなたへと微笑みを向ける
微妙に言いよどむような言い方に不思議そうにしながらも自己紹介

「そうだよ、優希に用かい?」
「おっと、僕はマト、種族は人造生命体(ゴーレム)だよ、よろしくね」

言い終えれば一度本から手を離し、あなたへと向き直る

「うーん、今日はまだ見てないね、優希も結構色々してるみたいだから」
「僕も出来れば会いたいんだけどね、各々の都合ってやつだ」

少なくとも彼女も優希には会っていないらしく、困ったように小首を傾げる
そのまま少しうーん、と唸るが、気を取り直したようにあなたを見上げ

「取りあえず、もし探している本があるなら僕でよければ力になるよ?図書委員としてね」
「優希自身に用があるなら……言伝くらいは出来るけど」

橘壱 >  
柔らかな笑み仄かに香る桜の匂い。
なんで此の学校はこうにも心をくすぐる連中が多いのだろうか。
そういうのか、そういうのの集まりなのか。
しかし此処は公共の場。鋼の理性で言いたいことはぐっと抑えておく。

「……ご丁寧にどうも。僕は橘壱(たちばないち)。風花とはルームメイトってだけさ。
 別に何か用があるわけじゃない。ただ、仕事っぷりを見に来ただけさ。アテは外れたけどね。」

彼のことを知るいい機会だと思ったが、間が悪かったらしい。
にしても、目の前の彼女…いや、彼…とも言えないな。
目の前のソレは人造生命体(ゴーレム)と自称した。
要するに魔術よって作られた人型ロボのようなものだ。
材質やルーツは違えど、壱の中ではカテゴリは同じだ。
だからこそ、そう言われた途端目の色も少し変わる。興味の眼差しだ。

「その口ぶりからして、風花とは仲が良いんだな、アンタ。
 にしても、人造生命体(ゴーレム)か……見た感じ人と全く変わらないが……。」

「どれもパーツは人工的なものなのか?パっと見で人と変わらないし、成る程……。」

「制作者は、"いいセンス"してると思う。」

こういうものには目がないタイプのオタク。
一口言っても創造物とは作り手のセンスが出てくる。
特に人に似せようと思うと、尚更だ。此れは掛け値なしの賞賛だ。
壱少年の視線はじろじろと彼を見回しているが、いやらしさはない。

「……触ってもいいか?」

※いやらしい意味ではない。

尚真顔で言っている。図書館だから声量抑えめだが、傍から見ればやべーやつである。実際やべーやつだった。

マト >   
「そうなんだ、優希は"仕事熱心"だからね、いればきっと存分に見れたと思うんだけど」

くすくす、と楽しげに笑う

「うん、優希は僕が此処に来てから初めての友達で、魔術の師匠でもあるからね」
「それに、君はそうか、優希のルームメイトなんだね!」
「一緒に住んでいる人がいるとは聞いていたけど……ふぅん」
「態々仕事ぶりを見に来るなんて、君も彼と"仲良し"なんだね」

目をぱぁ、と輝かせてマトもまた興味深げにあなたを見つめてくる

「あぁ、そうだね……生憎僕は記憶喪失でさ、詳しくは分からないけど……」
「でも流れているものも、中身も『人』とは違うのは確かだよ」
「構造も……臓器とかもね、だからほら」

ちょんっ、とその場で高く跳躍し、天井近くまでいってからすとん、と苦も無く着地する

「僕の体、すっごく軽いんだ♪」
「え、触る?……うーん」

少しだけ首をかしげてから、自分の手をぐー、ぱーと握る仕草をする

「いいよ?」
「それが君の役に立つならね」

そういって軽く手を広げて触ってもいいというサイン
もしマトの体に触れるなら、手足は折れそうな程に細く、仄かにひんやりとして柔らかい
それでいてまるで中が空洞の様に感じるほどに軽い事が分かるだろう

橘壱 >  
"仲良し"と言われると何とも言えない表情をしつつ少し間が出来た。
すぐにいや、と僅かに首を振る。

「多分、マト程じゃない。風花とまともに話したのはつい最近だよ、ほんとに。
 僕は……そう、なんだ。理由(ワケ)合って人との交流は最低限にしてたんだ。」

「だから、"仲良し"とは言えないな。それこそ漸く顔見知りじゃないか?
 "仲良し"って意味なら、多分マトのがそうだよ。初めて知ったしね、風花に弟子がいるなんて。」

それこそ此の島に来た当初は協調性の欠片さえなかった。
自分が楽しければそれでいい。周りは何時か、一番になるための踏み台だ。
そんな狂犬的な考えも、何時しか多くの人間に絆されて今に至る。
そういう少し前の自分を"気恥ずかしい"と思えるからこそ、壱の言動はぎこちなくなるもの。
苦々しい表情なのもそうだ。逆に言えば、初対面でもそう言えるくらいの余裕は出来てきた。

「アイツ……自分が弱いだなんて謙遜だな。
 人に何かを教えれる奴が、弱いはずもないのに。」

それこそ本当にルームメイトの事を何も知らないんだな、と実感した。
社会性のなさをじわりじわりと実感するも、無邪気なマトの表情に釣られるようにほんの少し、口元が緩む。

「……成る程……。」

すとん。高い跳躍力はその軽さがなせるものなのか。
感じた違和感の正体は人ではないと言うそういうことらしい。
許されるなら今すぐラボに持ち帰りたい位には興味が出てくる。

「役には……まぁ、一応立つには立つか。それじゃあ、お言葉に甘えて……。」

ごとり、足元に置かれたトランクが重々しい音を立てる。
マトに目線を合わせうように少しかがんで視線を合わせると、両手で頬を添えた。
顔を近づけてじぃ、と瞳を覗き込むのは観察眼。
光の反射具合、動き。どういった材質が使われているかの目視だ。
手を伝わってくるひんやりとした感覚に、言われると確かに手触りも柔らかく軽い。
空洞のようだがそうではない。多分、これは材質だ。
至って真剣な顔で観察する壱少年。本人は至って真面目。

……だが、まぁ、傍から見るとまぁまぁ危うい姿。
死角になってくれた図書館の本棚君、ありがとうね~。

マト >   
「そうなのかい?なら、これから仲良しになるんだね」
「えへへ、といっても僕もまだ成りたてみたいなものだけどね」

仲良しではない、という彼を見上げて不思議そうにしながらも、桃色の髪を揺らしながら屈託なく笑う

「そんなこと言ってたのかい?あー、でも、優希らしいかもね」
「目立つのあんまり好きじゃなさそうだし、その必要もないだろうし」
「僕は逆に最初に色々喋っちゃうタイプだけどね」

脳内で謙遜し、クールに佇みながら会話する優希の図が挿入される
何処となく小説のやれやれ系っぽい仕草なのは最近読んだ本の影響かもしれない

「んっ」

頬を添えればくりっとした青い瞳が見つめ返す
好奇心の光らしきものが其処には灯り、あなたの手の動きもまたマトに観察されているのが分かる
暫く触れていれば手のひらの熱が映ったのか、僅かに彼女の頬も暖かくなる

「ん~~~ 面白いかい?」

触れられながら、不思議そうにあなたに声をかける

「そういえば最初の頃、『血』を少し検査にかけられたりもしたね」
「結局何で出来ているかはまだ分かってないんだけど、解析出来たら僕が何処から来たのかわかるのかな」

「… ふふっ、くっ、というか、ずっと触られてるとくすぐったいよ」

次第に体がむずむずして、思わず無邪気に笑いだしてしまって
お腹に手を添えながらくすくす、と少し体をよじって楽し気にしているだろう

橘壱 >  
指先から感じるのは冷たいが確かに人肌のように感じる。
精巧すぎる程に緻密なものだ。この眼球も、肌触りも。
中はそれこそどうなっている。マト自身にも血液に値するものは流れているらしい。
此れを作った人物は、一体何を考えて、何をなし得ようと作ったのだろうか。
この作品(マト)への興味が湧いてきて仕方がない。
此れは無意識的な行動だ。フィギュアの衣服、パーツを脱がすのと同じ感覚。
頬に添えていた両手がゆるりと滑り、肩へとたどり着いた時にはっとする。

「あ、ああ……すまない、少し触りすぎた。」

危ない、少し熱中しすぎていた。危うく本当に脱がす所だった。
一応公共の場だ、節度は保たないと。ゆっくりと一歩下がり、マトから手を離す。
それほど熱中するくらい、何もかもが人に似すぎていたのだ。
…今更ながらやったことがやったことなので気まずくなった。気恥ずかしそうに、自身の頬を掻く。

「想像以上にマトの体が凄くてね、つい夢中になってしまった。
 いや、人造生命体(ゴーレム)もそうだけど、機械とかが好きでね。
 特に専攻している勉学の中には医学も入っている。義肢の技術においては、マトみたいなのには興味があった。」

「実際、素人目で見ても誰が作ったかはわからないが凄い出来だと思うよ。」

特に雇われた企業がそういうのに強い場所だからこそ、興味があった。
人に似せてつくる事は、つまり人に使うことも出来る事と相違無い。
失った手足を技術で補うのは、変容前にだって行っていたことだ。
そういう意味では、彼の体は非常に勉強になった。忘れない内にメモしておこう。
懐から取り出したタブレット端末を起動しては、指先でなぞる。
技術の進歩。脳内に存在する思考を文字としてタブレット内に出力されていく。

「にしても、仲良くなりたての割には随分と知ってそうじゃないか。
 それこそ無二の親友のような雰囲気を感じるが、よほど相性がいいんだろうな。」

そういう彼等もまたなりたてという。よほどコミュニケーションが強いんだろうか。
コミュ障気味のオタク、ちょっと羨ましい。かちゃりと眼鏡を上げると軽く肩を竦める。

「これから成れればいいんだが、人の関わり方が下手くそな自覚はあるからね。
 マトみたいに上手く行くかはわからないけど、まぁ、やるだけはやってみる。」

折角無下には使われていないのだ。
一度関わると決めた以上は、半端なことはしないつもりだ。

「……僕が言うのもなんだが、僕みたいな初対面に体を許す辺り"無防備"だな。
 喋りすぎ……かは知らないが、もう少し他人を警戒するべきだと思うよ。」

「忠言だ。記憶喪失……特に記憶中枢に機能不全(エラー)があると自己申告したんだしね。
 いいか、マト。アンタみたいな格好しているとな、そう、こう……危ないからもうちょっと警戒したほうがいい。」

直球で言うの変態(※もう手遅れ)なので一応それっぽく言っておこう。
お言葉に甘えておいてなんだが、無防備がすぎる。純粋、無邪気と言っていい。
変なやつに引っかからないから、見ていて不安になるくらいだ。

マト >   
マトの肩は少しだけ硬く、少女というよりも少年のような骨格を感じる
それからワンピースから垣間見える手足の肉付きを改めて観察するならば……
マトの体がただ少女と称するには違和感が残るものに見えるだろうか
全体的に見れば、少女とも少年とも取れる中性的な体つき、というのが結論になるかもしれない

「いいよ、でも、思ったよりしっかり観察されて吃驚はしたけれどさ」
「流石に公共の場、というやつだから服を脱がされたりは困るけど」
「人の役に立つのが僕の目下の最大目的だからね」

謝る彼に対して、大丈夫だよ、と軽く手を振ってこたえつつ、何処か誇らしげである

「あぁ成程、そういう勉強をしているんだね?」
「機械は便利だよね、本を読むのもスマホで出来るし」
「とはいえ、紙媒体の方が咄嗟の参照性が良かったり……」

「義肢、医学……壱も色々勉強してるんだ」
「僕は未だ知識を詰め込んでいる段階だからね、そっちの方面はさっぱりだ」
「でも、ふふ、褒められるのはちょっと嬉しいな」
「之が少しでも君の役に立つことを願ってるよ」

「壱の熱量、といえばいいのかな、それは伝わってきたし」
「人のためになる技術なら、僕が応援しない理由もないからね」

タブレットを触るあなたを興味深げに見ながらも、また優希の話題に戻ると少し口元に指をあてて考える仕草

「んー、そう、かもしれない、最初はちょっとだけ警戒されたりもしたけど」
「今は仲良しだよ、この前は一緒に海にいったし、偶に一緒に勉強会もしてるし……」
「色々教えてもらってるからね、あ~~うん、警戒かぁ」

優希と一緒にやった事の話をするマトはとても楽しげだが
何だか、似たような事を言われた事があるかも、と苦笑もしたりして

「そうだね、どうしても僕が"欲しい"っていうなら答えるのは吝かじゃないけれど」
「それで沢山の"人"に迷惑がかかるならその時は逃げないといけないしね」
「魔術を習っているのもそういう時の対処も兼ねて……って所もある」

「――でも、この恰好だと狙われるのかい?友達に選んでもらったお気に入りなんだけどな」

といってくるりとワンピースの裾をもって一回転
やっぱり不思議そうに首を傾げながら微笑む当たり、いまいち理解していないようにも見える

橘壱 >  
「すまない、興味があることにはつい熱くなる。楽しいからね。
 それこそ、競技性や順位が付くものなら一番じゃないと気がすまない位には、ね。」

その熱量の高さは今身を以て知ってもらっただろう。
熱心になるほどに楽しい、純粋な気持ちがそこにはある。
誰よりも楽しむ奴が先に進めるというように、少年はそれに則っているのだ。
とは言え、流石に今回は少しやりすぎた。困ると言われればその通りだから、平謝りするしかない。

「いや、まぁ、……そうだな、悪かった。つい"中"も気になったからね……。」

服の下的な意味で。特に骨格は少年的だったので余計に。

「……深い意味はない問いなんだが、その目的というのはマトの記録(メモリー)に残っていたもの?それとも、自分自身で決めた目的か?」

記憶喪失というが全てという訳でもない可能性もある。
彼は人工的に作られた生命だ。そういう目的が装着(インプット)されていても不思議ではない。
他意はない、素朴な疑問だ。レンズ越しの碧の双眸が、マトを真っ直ぐ見据えていた。

「一応、ね。将来携わるかも知れないから勉強しているだけだよ。
 本当に成りたいものは別にあるけどね。もしもの時のセカンドプランだ。」

こう見えて結構人生設計はちゃんとしているらしい。
目指すものが高いからこそ、"もしも"という場合もある。
もちろんそこで人生を終わらせるのも吝かではないが、必要とあらばそういうのも考える。
特に今の時代になっても、医学は決して不必要にはならないだろう。
学んでおけば、食いっぱぐれることもない。

「そういうマトも、結構勉強熱心なんだな。
 興味があるなら、一緒に勉強でも今度してみるかい?」

「ついでに言えば、僕も個人的にマトに興味があるからな。」

交流的な意味で、だ。
此れも何かの縁と言うやつだ。
知り合いの知り合いと交友を広げるのも悪くないかも知れない。

「…………。」

無邪気そうに微笑むマトを見ながら、腕を組んで眼鏡をくいっ。
きらーん、と怪しく眼鏡のレンスが光る。

橘壱 >  
「まず、落ち着いて聞いてほしいんだがマトの造形は一般的に見て可憐と言わざるを得ない。
 男性的部分と女性的部分を調和させた見事なまでの容姿だ。ハッキリ言って興奮を誘う。
 そんなマトが着こなすその友人が選んだワンピースが実に清楚でにあっている。
 特にお腹周りを敢えて露出させることにより、扇状的な雰囲気を醸し出すことに成功したグッドなデザインだ。
 ついでに言えば、逐一飾り付けたワンポイント、爪先のオシャレも怠らないのもポイントが高い。
 そんな可憐なマトが、無邪気を振る舞っているのは非常に見てみて良いものなのだが、いい連中ばかりじゃない。
 いいか、そういうアンタだからこそ邪な連中はだな───────…。」

橘壱 >  
長い長い長い。オタクくん話が長いよ。
大体終始褒めてるんだけど公共の場で褒めることじゃないんだよね。
凡そ15分くらいオタクくんの語りはノンストップなんだけど、周囲の目を引くよね。図書館ではお静かに…!

マト >   
「一番が好きなんだ、努力家?ってやつだね」
「そうだね… 役に立ちたいのはしいて言えば"本能"かな?」
「うん、そっか、えへへ、お洒落も友達に教わったんだ」
「うん」
「うんうん」
「なるほど」

15分に渡るあなたの熱い語りを時折相槌を打ちながら聞く
青い瞳がレンズの奥できらめいているであろうあなたの瞳を見返していて

「つまり」

「壱は僕と友達になりたいんだね?」
「じゃあ、友達になろう」

ひとしきり壱の話を聞いたマトの返答は、それに比べれば大分簡潔だった

「僕も自分の事を知りたいし、壱にも興味があるからね」
「それに、邪な奴も他の人と一緒にいる時はきっとよってこないだろう?」

あなたへの興味を隠さずに瞳を輝かせながら、手を差し伸べてくるのである

橘壱 >  
「……と、言うわけだ。わかってくれたなら助かる。」

実はこうやってこの語りをまともに聞いたのはマトだけだったりもする。
きっちり聞いてくれたマトに満足気に頷いた。オタク、語りを聞いてくれる人好き。
どことなく満足げな表情をしていたが、次の言葉に思わず目を丸くした。

「!? ま、待て。何をどう聞いたらその結論になるんだ!?」

飽くまで語ったのは彼の魅力だし、その結論になるのはおかしい。
狼狽えもする。なにせ、そういうつもりで言ったわけじゃない。
いや、しかし、そう。恐らくその"本能"とやらに見透かされたなら、そう。
その結論は、実に的を得ているのだ。

「……か、勘違いしないでほしいがなりたくないわけじゃない。
 そもそも初対面でいきなり…その、僕みたいなのと友達って言うのは…なんだ…。」

「気持ち悪くないか?」

オタク、気持ち悪い自覚はあった。
それでもやめない辺りがオタクなのです。
少なくともマトのように真っ直ぐではない少年は、ストレートな言葉を受け止めるのに時間がかかった。
輝かせる無垢な視線。差し出された手を交互に見やる碧の双眸。
どうするべきか。自分の未熟さ、17年間の社会性のなさが躊躇を生む。

「……まぁ、僕は風紀委員だからよほどよってくることはないと思うが……
 ……そう言うお為ごかしも、キミについてる"本能"。いや、機能なのか……?」

だとしたら本当に良く出来ている。
人と共に歩み作られたものとしては、良く出来ている。
未だ手を取らない少年。気まずそうに何度も視線が泳ぎながら、やっと一息吐いておずおずと、視線を合わせる。

「……本当に、僕でいいのか?」

マト >   
「うん、今の一瞬で僕の事を、いや何に対してであっても此処まで深く語る人は初めて会ったからね」
「賞賛に値するし……もっと仲良くなりたいって思ったし?」
「そこまで語るなら、もっと僕の事も知りたいのかなって」
「なら、友達になってまた会ったりするのが手っ取り早いだろう?」

目を丸くする彼に対してもう一歩近寄りながら

「気持ち悪い……そういうもの?好きな事を雄弁に語れるのも、人の才能の内だと思うけれど」
「それに、よしんばそうだとしても気持ち悪さと好悪は別だろう?」
「僕が出した結論に対して、後は壱がどう思うかだけだと思うけれど」

気持ち悪い、という彼の言葉に対しては否定するでも、肯定するでもない
マトにとっては自身の判断を元にその結論に至っただけであり、別に壱が気持ち悪いかは関係ないのである

「うーん、そうかもね、でも」
「一番の理由は、楽しかったからかな?だって、話している間ころころ声も変わるし、目もきらきらしててさ」
「もっと聞きたいな、壱の"語り"、友達になったらさ」

髪を揺らしながら仄かに桜の香りを漂わせる
僕でいいのか?とまだ少し悩む様子を見せるなら、ぐいっと無理にでも手を伸ばして握ろうとするだろうか

「僕で、じゃなくて、君だから提案しているんだけどな」
「友達になってよ、壱」

橘壱 >  
「……興味のあることに、素直な感想を言っただけだ。
 才能かどうかはともかく、そういうのは……、…ま、待て…!」

一歩寄られれば、一歩下がる。
だが此処は図書館。不運かな、下がった先は背中に本棚。
此れ以上下がれずに、たじろいでどきまぎだ。

「落ち着けマト。友達っていうのはもうちょっとプロセスをだな……
 望むところではあるが、キミの機能として…、…!?あ、いや……。」

色々がたがた言っている傍から、ぐいっと手を取られた。
兵器を操るために最低ラインまで鍛えてある少年の手は固く、見た目より男らしい感触だ。
しっかりと戦うための男の手であるが、思ったより強引なやり取りにたじたじだ。

なんだ、もうちょっと人造生命体(ゴーレム)とか機械生命体(アンドロイド)とかはもう少し聞き分けがいいんじゃないのか。
マトの場合は記憶喪失の機能障害をおこしているからその影響かもしれない。
もしこれがそもそもの本質というなら、積極性が過ぎる。
その前のめりな姿勢、ほんのりと鼻腔をくすぐる桜の香りに思わず目をそらした。
頬もほんのりと赤くなり、気恥ずかしさに目をそらした。
今まで友達なぞいなかった少年には非常に刺激が強かった。
だからこそ、おずおずと握られた手を軽く握り返した。

「……ま、まぁ、僕で良ければなろう、か。マト……。」

マト >   
「その素直な感想が嬉しかったんだよ」
「まぁ確かに、少し時間はかかったけど……今日は之だけ運べば仕事も終わりだしね?」

たじろぐあなたの手を取れた、そのまま柔らかくも芯を感じる手のひらが握ってくる

「プロセスとか言われても、それを言ったら即断即決の判断力だって」
僕たち(被造物)の特徴だったりするものだろう?」
「というわけで、友達の握手だ」

悪戯っぽく片手を唇に当ててくすくす笑いながら握手を済ませて

「うん、よろしく!じゃあ、早速だけど――」
「ちょっとだけ手伝ってくれないかな?いやぁ、話してるのは楽しかったんだけど」
「ほら、今も言ったけど僕って書架整理の仕事の途中だったからさ……」
「話し込んだせいでちょっと業務が遅れてるんだよね」

と、言う訳で、と舌を出す

「"友達の頼み"だと思ってちょっとだけ手伝ってくれないかい?何、そんなに時間は取らせないからさ」

と、早速そんな誘いをかけてくるのである

橘壱 >  
「……マトを作った奴がどんなつもりかは知らないが……、……まったく……。」

この見た目と思ったよりも人に近しく、そして大胆な言動。
成る程、人に取り入ろうという意味なら、此れほど効果的なものはないぞ。
してやられたよ、と言わんばかりに片手で顔を覆って首を振った。
嫌に体が熱い。被造物故の扇状さ、魔性さか。コミュ障には刺激が強すぎたぞ。

「それを言われると、僕としては何も言い返せないが……。
 人型であることの意味は、思考も人に寄せる意味は……いや、なんでもない。」

もう迫られた以上、少しは考えろよなんて言い分は意味がない。
色々言いたいことは飲み下したし、なんだかんだ嬉しいものだ。
よりにもよって、初めての友達は造られた存在というのも自分らしい。
はぁ、とため息を吐けばほんのりと頬の赤いままぎこちなくはにかんだ。

「……調子がいいな。そういうのも織り込み済みか?
 わかったわかった。言われなくても乗ってやるよ。"友達の頼み"、だろ?」

それこそ、マトの言葉に被せるように言ってやった。
力仕事だってそつなくこなせるんだ。
色々あったが、より深い縁を感じる心はどことなく軽い。
足元においていたトランクを持ち上げればさて、と一息を吐いた。

「別に時間がかかってもいいさ。何かあるなら、助けれる範囲で助けるよ。
 風花の事でも、図書委員の仕事でも、何なら別に記憶探ししたいっていうなら……」

「僕とAF(コイツ)が、何処までもついて行ってやるさ。」

風紀委員としてではなく、橘壱個人として、だ。
自分以外の何かのために、AF(ツバサ)を広げる理由。
初めて出来た理由だからこそ、先日過った疑念がより深まった。
……本当にあるのかもしれないな、別の道で、同じ高みが……。

胸中に仕舞ったまだ見ぬ夢を語るのは早い。
後はマトの言われるままに、仕事を手伝う事にするだろう。

マト >   
「さぁねぇ、そこは僕自身もちょっと気になるところだ」
「自分のルーツ……今のところ、積極的に探す、とまではなってないけれど」
「ま、その時はその時かな?」

「ふふ、そういう事でよろしくね、壱」

手伝ってくれる彼に対して楽し気に笑いながら、仕事を再開する
実際、一人でも何とかなるような仕事ではあるのだけれど
折角なのでもう少しだけ話をしたかった、という打算があったりするのは事実かもしれない

「それは、とても頼もしいね?」

あなたの助けてくれる、という言葉に、楽し気に、嬉し気に目を細める
小さく鼻歌を歌いながら、新しくできた友達に手伝ってもらいつつ図書委員の仕事をこなすだろう

うだるような暑い日の図書館は、今日もひんやりとした空気の中、だけれど暖かな時間が流れていた

ご案内:「図書館 閲覧室」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」からマトさんが去りました。