2024/07/17 のログ
ご案内:「図書館 閲覧室」に桜 緋彩さんが現れました。
■桜 緋彩 >
「うぅーむ……」
自習用の机に座り、唸る。
机の上に広げているのは教科書やノート、そして帰ってきた定期試験の答案用紙と問題である。
点数は良くもなく悪くもなくと言ったところだが、自分にとっては過去最高の成績である。
しかしそれでは足りない。
「あぁ、ここは単純な計算ミスでしたか……」
友人とした「定期試験で成績上位を取れれば立ち合いをする」という約束。
残念ながら平均点どまんなか、と言うあたりだったのでそれは叶わなかった。
約束は次回の試験まで持ち越しと言うことになる。
「改めて見返すともったいない落とし方が多いですね」
ふすん、とため息。
結構手ごたえは感じていたのだが、結果が伴わなかったのは、それに尽きるだろう。
見返すにも時間が足りなかったので、課題は問題を解くのに使う労力を如何に減らすか、と言うことだろう。
ご案内:「図書館 閲覧室」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
「……あれ?」
振り返りをして、休憩をしようとして立ち上がり、見覚えのある顔に気付く。
ーー風紀委員の、先輩だ。
気付いてから、どうするか、考える。
今までなら、そそくさと、退散していたけれど。
今は。
ーー友達、増やしたい。先輩、でも。
そう思う。なら、と勇気を出して。
「こ、こんにちゅわ!」
挨拶をしようと、一歩、前へ。
噛んだ。けど気にせず。
「先輩」
そう、声をかけることに、した。
ひとまずは。
■桜 緋彩 >
「む?」
聞こえた声に視線を向ける。
そこにいるのはどこか自信がなさげな表情、しかしその癖自分からぐいぐいやってくるような印象の後輩。
確か名前は、
「おやこんにちは。
悠薇どのも復習ですか?」
伊都波悠薇。
成績の条件で立ち合いの約束をした友人、伊都波凛霞の妹。
ぱ、と笑顔を向けて返事を返す。
■伊都波 悠薇 >
「わ」
自分の名前を知っていることに、目をぱちくり。
不自然な間が空いて。
取り繕うように、口を開く。
「はい。も、ということは、桜先輩もですか?」
首をかしげた。
姉からも少しだけ、話を聞いたことがある。
武闘派なイメージだったから、復習と聞くとイメージから少しはなれていて。
「テスト、良くなかったんでしょうか?」
■桜 緋彩 >
「はは、少なくとも風紀の仲間の名前は全て覚えていますから」
彼女の名を口にした時の不思議そうな顔は、良く後輩にされるから見慣れている。
命を預け合う仲間の名前なのだ。
毎年度初めにする仕事は新しく風紀委員に入った生徒の名前を覚えることとしているから。
当然彼女の名前もしっかり覚えていた。
「はい。
成績は自分としては過去最高の出来なのですが、それでもこの程度だったもので」
点数が記された答案用紙を見せる。
どれも平均点前後と言ったところ。
悪くはないが良くもない。
■伊都波 悠薇 >
「いや、その」
例え名前を知っていたとしても。
「妹、と言われないのが珍しかったもので」
姉を知っているなら、と、そう余計に思ったからつい、驚いてしまった。
「記憶力、いいんですね」
自分もできる限りの努力はしているが、それが出来るのはすごいと称賛し。
テストの点数を聞くと。
「……暗記物以外はあまり得意じゃない、という感じですか?」
なんて。少し失礼な発言ともとれる……
「あ、いや、その、悪いあれではなく!
そう、いや、その点数でもすごいです! 私は0点、とったことありますし」
慌ててフォローしたものの、別の誤爆をしてしまった。
■桜 緋彩 >
「あぁ、なるほど。
勿論それは存じておりますが、悠薇どのは悠薇どのですからね。
凛霞ど――んんっ、凛霞さんの妹と呼ばれるのは、あまり嬉しくないのではと思いまして」
そう言う自分もかつて「桜華刻閃流の跡取り」などと呼ばれていた時があったから。
幼かった時の話なので、そう呼ばれることに嬉しさがないわけではなかったが。
やはり自分を自分として見てくれる方がもっと嬉しかったことを覚えている。
「はは、頑張って覚えているだけですよ」
名簿を一度見れば覚える、と言う天才であれば苦労はなかったのだけれど。
残念ながら一か月ほどひたすら名簿に穴が開くほど見続けてようやく、と言ったところ。
「と言うわけでもないですね。
そもそも得意不得意と言えるほどやっていなかった、と言うのが現状です。
お陰様で凛霞さんとの立ち合いが流れてしまいました」
残念そうな表情で深く息を吐く。
零点と言う言葉には、そういうこともありますよ、とほほ笑んでおいた。
■伊都波 悠薇 >
「……そんなこと、ないですけどね」
くすり、笑うと首がく、と傾く。
前髪が流れて覗く左目。その目は、優しい。姉を思うと胸が暖かくなるのは今も変わらない。
そして、そう言われることは、今も誉れだから。
「でも、嬉しいです。先輩。ありがとうございます」
気遣いが暖かくて、目が細く。
言い直したのを聞くと、いつも通りで大丈夫ですよ、と。
「……やってなかったということはやればできるという。スゴいですね、先輩」
称賛し。ふと、気になること。
「姉と立ちあい、ですか?」
■桜 緋彩 >
「そうでしたか。
勝手に決めつけてしまいました、申し訳ない」
頭を下げる。
自分がそうだから彼女もそうだと言う思い込みで接してしまった。
まだまだ修行が足りない。
「出来る、と言ううちには入りませんよ。
結構頑張ってやっと平均ですからね、まだまだこれからです」
中の中ど真ん中で「やれば出来る」とはちょっと言えない。
やってやっと人並み、と言ったところが精々だろう。
「ええ。
成績上位を取れれば立ち合ってくれる、と凛霞さんと約束したもので」
成績上位と言うからには、少なくとも上の下ぐらいには入らないといけないだろう。
ついでに彼女をさん付けで呼ぶのも約束なので、そこを違える訳にはいかないと頑張って慣れているところだ。
■伊都波 悠薇 >
「謝ることなんて。さっきも言いましたが、嬉しかったですから。私のこと、考えてくれて」
頭を下げる姿に慌てて。
「平均でも、すごいですよ。少なくとも……」
ぺろり、舌を出す。
自分の答案用紙を見せた。それは、平均点より少し、下。
「私よりは」
てへ、と。
「姉さんが。先輩、姉さんと仲、良いんですね」
今日何度目かの目をぱちくりさせた。
■桜 緋彩 >
「それはよかったです」
笑顔を向ける。
姉が有名すぎるからそちらばかり目立つのだろうが、彼女も彼女でかなり優しいいい子だと思う。
「ははは、そう言うこともありますよ。
何、勉強だけが全てではないですし、そうだとしても次頑張ればいいのですから」
少し下、ぐらいならば絶望するほどではないだろう。
むしろ何かのきっかけで上向くことを期待出来るほどだ。
たぶん。
「ええ、仲良くして頂いておりますよ。
この間なんかは洋服を買うのを常世渋谷で手伝って頂きましたし」
同じ三年生だし、彼女の人柄もあって気兼ねなく話せる相手だ。
武人として共通する何かがあるような気もする。
■伊都波 悠薇 >
「おぉ」
姉が服を買いにいく。
友人と。
珍しい。姉は自分の服を買いにいくときは基本的には一人のはず。
ということは、自分のは買わなかった、のだろうか。
「姉は、なんでも出来ちゃう分、抱え込みがちです。から、どうぞ、支えてあげてください」
ぺこりと、頭を下げる。
こんなこと、言うべきではないかもしれないが。
まだ自分はできないからこその言葉だった。
「ちなみに、甘いものが好きなので誘ってあげると喜びます。甘いものをエサにすると立ち合える、かもしれません。
あ、ところで先輩」
そう、仲良くなりたいで思い出した。
「ご、ご趣味はなんですか?」
お見合いのような質問を投げ掛けた。
■桜 緋彩 >
「凛霞さんは私と違って洋服の知識など豊富ですから、大変助かりました」
お陰で良い買い物が出来た。
持つべきものは友人である。
「私で支えられることであれば、勿論そのつもりではありますが。
思うに、悠薇どのの方がその辺りは気付きやすいのではないですか?
悠薇どのにしか支えられない事もあると思います」
友人の力になりたいとは勿論思う。
ただ、それが一番出来るのは、家族として一番近くで見ている目の前の彼女だと思う。
家族に対してどこか他人事な彼女の様子に、首を傾げてみせて。
「あぁ、なるほど。
いや、しかし約束は約束ですから」
買い物の後の、スイーツを食べている彼女の様子を思い出して。
それを思えば確かにそうかも知れないが、しかしそれは約束を違えることになる。
剣に生きるものとして、そんな不正は許されない、と言う様に掌を向けて固辞。
「む?
趣味ですか?
特にはございませんね。
空いた時間は鍛錬に当てておりますし」
最早鍛錬が趣味と言った方が早い。
■伊都波 悠薇 >
確かに、姉はそういったものにも敏感だ。
ファッションセンスはかわいいものを着せたがる、ところを覗けば抜群であるのを知っている。
「私は、まだ、姉のことをよく知りませんから」
そんな、言葉を口にして。
「今は姉のことをよく知ろうとしている最中なので、そうできるようになるのは時間がかかりそうですから」
苦笑をひとつ。
約束と、口にされると、そうですかと頷いた。
「趣味、なし……身体を動かすことが好き、になるんですかね。その場合」
■桜 緋彩 >
「では、二人で凛霞さんを支えられるようになっていきましょう。
知れることは倍ですし、半分の力で支えられます」
ぴ、と人差し指を立てて。
お互いに情報交換をしながら、彼女のことを良く知って行こうと提案。
「好き、と言うのも少し違いますね。
勿論嫌いではないですが、するべきことをしている、と言う方がより正確でしょうか」
ふむ、と腕を組んで。
好きとか嫌いとかでやっていることではない。
ただ、目的のためにすることをしているだけ。
■伊都波 悠薇 >
「はい」
こくり、提案には頷く。
こういう人が姉の側にいることはありがたいことだった。
とても善い人だ。
「なるほど?
では、楽しいことは、なんですか?」
支えられるようにと口にしてくれる人をより知りたいから、重ねて質問をしてみる。
■桜 緋彩 >
「楽しいこと、ですか。
――ふふ、なんだかお見合いのようですね」
お見合いはしたことはないけれど、イメージとしてそんな感じ。
思わず笑いが漏れてしまった。
「そうですね、強いて言うならば仕合でしょうか」
剣と剣を打ち合わせ、雄弁に語り合う。
言葉を尽くしても語り切れない複雑な会話だ。
「こう言っては烏滸がましいですが、自分よりも格下の相手が思わぬ成長を見せた時は、言葉に出来ないほどの喜びを感じます。
逆に各上を相手にした時は、自分よりも早く重い剣へどう対処するか、自分の剣を届かせるために何をすればいいか。
極限のやり取りの中で、今まで自分の中になかったものが生まれた時などは楽しくて仕方ありませんね」
右手を開き、それを見る。
そのままその右手を握りしめ、
「――これでもっと深く剣に潜れる。
そう思えるのが、一番楽しい」
浮かべる笑顔に、ほんの僅かな狂気を滲ませながら。
■伊都波 悠薇 >
「え゛」
お見合い、と言われると、確かにそうだ。
気付いてしまった。
「あ、いや、あの、お見合いというわけじゃ! いや、その、先輩のこといいなーとは、今お話してて感じますけれどそういういいなー、では、なくてですね!?」
弁明しつつ。
話を聞いて。
僅かに滲むそれはーー
「成長を見ることが、楽しいんですね」
そんな風に、思えた。
■桜 緋彩 >
「ははは、悠薇どのも素敵な女性ですよ」
笑う。
彼女の姉とはまた違った形で表情がコロコロと変わる可愛らしい女の子だ。
相手が男性ではないから、お見合いと思っても慌てふためくようなことはないらしい。
「成長を見るのも勿論楽しいのですが、」
弟子や同門が成長していくのを見るのも勿論楽しい。
楽しいのだが一番は、
「強くなれれば色んな方と立ち合えるでしょう?」
強くなればやれることが増える。
やれることが増えればより強い相手と戦える。
とり憑かれていると言ってもいい、戦いへの執念。
■伊都波 悠薇 >
「ぐぅ」
心臓を抑えた。
そういうのは、こう、違うのだとわかっていても刺さる。
オタクぼっちには、苦しい返しだった。
いや、ありがたいことなのだけれど。
ご馳走さまというやつなのだけれど。
ひっひっふーと、深呼吸。
「立ち合い」
その意味合いは。
「先輩にとって、立ちあい、とは?」
なんでしょう、と首をかしげた。
■桜 緋彩 >
「?」
謎のうめき声をあげて丸まってしまった彼女。
首を傾げる。
「何、と改めて聞かれると難しいですね」
今度はこちらが丸まる番。
剣を振るう以上、それで立ち合うのは当たり前だった。
暫く考え、
「――やはり、剣を学んでいるから以上のことは出てきませんね。
立ち合うために剣を振るう、剣を振るうから立ち合う。
そう言う意味では生き方、と言ってもいいのかもしれません」
■伊都波 悠薇 >
初めて。
こういう人に出会った。
姉とは別の意味での武人。
「……コミュニケーション、なんですね」
そう、解釈する。
「相手が、いないとできませんから。そういうの。
先輩はそういう手段で、コミュニケーションをとって、知っていくんですね」
納得した。それと、同時。
「コミュニケーションエラー、したら大変そうです」
苦笑も、出た。
■桜 緋彩 >
「コミュニケーション、なんですかねぇ」
ケンカはコミュニケーション。
そう言った後輩がいた。
仕合にはそう言った側面があるのは理解しているし、そういう手段として取ることもある。
「ふむ。
もっとこう、自分本位なもの、と言う気もします」
だが、自分の本質はそこではないと思う。
多分相手がいなくても同じことをしていただろうと思う。
そう言う意味ではエラーを起こすと大変というのはそうかもしれない。
「そうならないよう努力しているつもりではありますが、なかなか。
――さて、ではコミュニケーションエラーを起こさぬためにも、悠薇どののことも教えて頂きたいですね?」
に、と笑って。
その前に、今更だが立ちっぱなしの彼女に椅子を差し出そうか。
「悠薇どののご趣味はなんですか?」
■伊都波 悠薇 >
「『抗議』……」
自分本位と言われると、その言葉と、もうひとつが頭に浮かんだ。
『殺戮』
もうひとつは、口にしなかった。
「え、あ、私、ですか」
席をすすめられると、失礼しますと、カチコチになりながら座り。
「私は、馬、と、本、ですかね」
当たり障りないものを口にした。
■桜 緋彩 >
確かに、ともすれば殺戮に走りかねないものだろう。
そもそも剣術と言うのは人を殺すための技術なのだから。
けれど同時に、人を殺さないための剣術でもある。
剣の道に生きている限り、そちらに流れることは、恐らくない。
「馬?
と言うと、乗る方ですか?
それとも買う方?」
馬を擬人化したプリティでダービーな育成ゲームがかつてあった、と言う様な事を聞いた気がする。
この時代にもあるのかはわからない。
■伊都波 悠薇 >
「乗るのは、滅相もなく。見るのが、好きです」
動物園、みたいな、と口にして。
「馬のフォルムと、凛々しさが好きでして」
鑑賞するのが、と続けた。
「歴史の松風、とかが、こう、主人には甘えてるのとか、可愛くないですか」
■桜 緋彩 >
「松風……ええと、確か。
戦国大名?の、――馬、でしたっけ……?」
思い出そうとしたけど思い出せなかった。
誰だったっけ。
「馬は頭が良いと言うのはよく聞きますね。
気性は個体差があるとは言え、大人しい子は本当に大人しいとか」
競走馬にも結構な割合で甘えんぼうの馬がいると聞いたことがある。
「見た目も、まさに走るために生まれてきたような、と言う印象は確かに受けます」
■伊都波 悠薇 >
がーんと、ショックを受けた顔をした。
これがジェネレーションギャップなのか。
「せ、赤兎馬は、ご存知ですか?」
ぷるぷる。
震えている。
「はい、そんな感じ、です。ギャップが、良くてですね」
■桜 緋彩 >
「あぁ、赤兎馬は流石に。
呂布の馬――でした、よね……?」
右手の人差し指を立てて自信満々に答えたが、直後に自信がなくなる。
立てた人差し指がへにょりと曲がった。
「ギャップ、確かにわかります。
競馬など見ていると、人懐こい馬が気迫むき出しの顔で走っているのですものね」
流石に馬券などは買っていないが、たまに電気屋とかで競馬中継が流れているのを見たことがある。
牧場とかで見る馬と、レースを走っている馬が同じ生き物とは思えない。
■伊都波 悠薇 >
「そうです!」
よかったぁと、気合いのある返事をして。
図書室なのを思い出し、口を抑えた。
「はい、そうなんです。そうなんですぅ」
こくこくと頷く。
のめり込み用から本当に好きなんだということが察せられた。
■桜 緋彩 >
嬉しそうに笑う彼女。
それを見て目を細める。
「本当に好きなんですね」
彼女の様子からそれが伝わってくる。
馬、好きなんだなぁ。
「――そう言えば、産業区で乗馬体験のようなことはやっていないのでしょうか。
出来るのなら、一度経験しておいてもいいのでは、と思いますが」
馬には乗ったことが無いと言っていたが、体験出来るのならしても損はないのではないだろうか。
そうすればより深く馬のことを知れると思う。