2024/10/25 のログ
■紫明 一彩 >
「そんな俗物達の風習を理解する為に、わざわざここまでやって来たんだ。
もしかしたら、合理的な考えの元に選んだ行動かもしれないけど。
それでも私から見れば結構、君も物好きに見えるかも。
高嶺のお嬢様かと思ってたけど、思ってたより親しみやすそうかも~、なんてね。
君なら、結構俗物達と、相容れることもできるんじゃない?」
あははー、と小さく笑いながら、歩を進めていく。
さて、いよいよ目的地だ。
「ささ、お嬢様。到着いたしました~」
おちゃらけた口調で、恭しく礼をする。
口調とは裏腹に、頭の天辺から爪先に至るまで、堂に入った動きだ。
「こちらの本がよろしいかと」
そのままの所作で本棚から一冊の本を手に取ると、
その表紙を上に向けて少女の前に差し出した。
『地球文化図鑑』と書かれたその本はそれなりに分厚かった。
どうやらあまり借りられていないようで、少々埃を被っているようであったが。
ぱらぱらと開けば、数多くの写真と共に、
近代からの様々な文化や風習が掲載されていることだろう。
「え~、と。
それで、学生証か生徒手帳はあるかい~?」
執事ムーブは飽きたのか、
すっと普段通りの気だるげな口調になって、そう口にする紫明。
■クロメ >
「……馬鹿鳥の囀りが煩かったからな」
端で聞けば、意味不明な文言。一見関連性のない何かにしか聞こえない。
それを吐きだす。
合理的、といえばそうだろう。
アレの提言は……業腹だが、認めざるをえないところはある。
かといって、バカ正直に鵜呑みにする気もしない。
……度し難いものは、度し難い
「……ふん」
うやうやしいお辞儀。
別にそうしてほしいわけでもないが、堂に入ったそれはなかなか大したものではあった。
そこは評価してもいい。
「……む。『地球文化図鑑』?」
なるほど、そうきたか
「……なるほどな」
ハロウィンだけではない。人の文化を識れる、とでも言いたいのだろうか。
なかなかに小憎らしい選択である。
小癪だ、本当に小癪だ。
……が。気が利いてはいる
「……業腹だがな」
生徒手帳をどこからか、取り出して見せる。
思えば、これがすべての始まりだろうか。
■紫明 一彩 >
「今の君は、俗物の領域に居るじゃない。
古城の深窓の向こう側でも、霧の立ち込める山の上でも、棺桶の中でもなく、さ。
仲良くできるかも、面白そうかも、って。
近づいてくる鳥は色々居るんじゃないかな~。ほら、私だってそうだし~?」
腰に手をやり、ふふん、と得意げに、しかし静かに笑って見せる。
馬鹿鳥が示すものは知る由もないが。
此処で暮らすというのであれば、そう。
これからも多くの俗物と関わるのであろう。
然らば。
彼女の眠っている内にも蓄積され続けてきた、知識の宝庫で以て。
その可能性を開く手伝いをするのが、
この学園に居る図書委員、紫明 一彩の務めである。
「確かに。えーと、クロメさん?
ちゃんと受け取ったよ、返却期限を書いた紙も挟んどくね。
間違いなく返しにきてね、絶対だよ~」
生徒手帳を受け取り、端末でスキャンを行う。処理の完了は、一瞬だ。
指でオーケーサインを作った後に、胸元のポケットから用紙と紙を取り出すと、
さらさらと期限を書いて挟んだ。ついでに、図書委員の名刺も滑り込ませる。
無論、連絡先も書かれている。
「ついでにこれも! 私は、紫明 一彩って言うんだ。
困ったり、知りたいことがあったりしたら、図書館でいつでも歓迎するよ~。
今回のエスコートが君にとってプラスになったんなら、
きっと君にとって、役に立つ名前だ。
覚えておいて損はないだろうさ~」
図書委員が全て、このように気楽に接することができるとも限らない。
手続きを終えた紫明は、ズボンの両ポケットに手を突っ込んで朗らかに笑うのだった。
■クロメ >
「ハトでも気取る気か」
どうにも、壁を乗り越えてこようとする連中が多い。
これにしても、そうだ。
なるほど、時代が変わった、というのはこういうことなのかもしれない。
……厄介な
「約定は守ろう。
たとえ、どんなものであろうとな」
一度結んだ約定を違えるようなつもりはない。
……そう。結んだのであれば、だ。
……
「強引だな。まあ、いい」
さらりと、自分の連絡先を差し込んでくる女。
さらに、売り込んでくる。なかなかに強気だ。
……不快ではない。快不快をいうほどのことでもない
「名前くらいは、覚えておこう」
笑顔を、冷徹な顔で受け止めた。
「ではな」
ご案内:「図書館 閲覧室」から紫明 一彩さんが去りました。
ご案内:「図書館 閲覧室」からクロメさんが去りました。