2024/05/31 のログ
ご案内:「大時計塔」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >
普段、ここには来ない。
この時計塔に入って上の階に昇るのは、危険だからと禁止されているから。
じゃあなぜやってきたのかというと…塔の上に上がることが目的ではないため。
「えーっと…このへん?」
時計塔の中には入らない、その入口…建物の裏だ。
時計塔に用がある人にも、禁止を無視して上に行く生徒にも目につかないちょっとした穴場…時計塔裏。
伊都波 凛霞 >
経緯は、こう。
友人の一人から、頼みごとがあるからと呼び出された。
聞いてみないとわからないよ、といいつつ…大体は人の頼み事は聞いてしまうため、こうしてほいほいやってきたというわけ。
ただ、約束の時間にはそこに誰もいなくて──。
場所はあってることを確認してから、携帯端末で時間も確認、していると──
『あの──』
声をかけられ、振り返る。
そこにいたのは友人の女子ではなく、見たこともない男子生徒だった。
伊都波 凛霞 >
あれ?と思いつつも、そこでなんとなく察する。
友人の図らいだな。と…。
そして、その男子生徒が此処に来た理由も。
顔を真赤にして、しどろもどろで。
汗もすごい、何度も言葉を噛みながら…。
きっと、年下。ものすごく、勇気を振り絞っていることがもう一目でわかってしまうような…。
そんな、告白。
思わずこっちまで緊張が伝染って、胸元に手を置いたまま固まってしまっていたけど。
「――ありがとう」
告げる言葉。
「でも、ごめん」
続く言葉。
伊都波 凛霞 >
男子生徒は、やっぱり、なんて笑って。
そして一礼して…背を向けて、一度だけ振り返って…振り切るようにして走っていった。
自分は、といえば…。
申し訳ないとも、辛いとも悲しいとも絶妙~に違う、言い表すのが難しい感情でその場に立ち尽くしていた。
もうすごく悩んで、勇気を出すのにもすごく時間をかけた筈。
きっと何日も前から、今日のことを考えて。でもそれは実らなくて。
───世の中、そんなもの。
そう割り切るには、きっとまだ彼も、自分も若すぎる。
「――はぁっ……」
変な感情と一緒に吐き出すように、大きく溜息を吐いて。時計塔の壁に凭れて空を仰いだ。
伊都波 凛霞 >
すごいな、笑って去れるの。
なんとなくそう思う。
自分が同じ立場だったら「なんで」「どうして」「相手がいるの」。
一世一代の思いなら、きっとそうやって食い下がるのかも。
『やっぱり』ってなんだろう。
そう予感していた…ってこと。
こういうことは初めてでないにしろ…そんなに当たり前のように交際を断ってきたわけでもないのに。
そういう風に見られてるんだ、と少し…考えてしまうのはしょうがないことかも。
「はぁ…このことでまたあの子達に誂われるんだろうな~…」
友人がこの場をセッティングしたのだから、結果に触れてくるのは間違いない。
学生ならではのデリカシーのなさ、というかよく言えば近い距離での踏み込んだ話。
空を見上げながら、まだ鳴る様子のない時計塔を見上げていた。
ご案内:「大時計塔」にポーラ・スーさんが現れました。
ポーラ・スー >
「あらあらまあまあ」
青春の1ページにも揺らがず聳える時計塔の影から、楽し気な声が響く。
「みーちゃったぁ」
などと、子供のように邪気のない――とはいえ、悪戯を考えている時のような楽しそうな笑みを浮かべながら、物陰から顔だけ出して少女を見ている。
「青春ねえ、いいわねえ。
ああそれとも、めいわくだったかしら。
ねえねえ、あなたはどっち?」
口元を和装の袖口で隠しながら、隠しきれない笑みで少女にふわりふわりと問いかけた。
伊都波 凛霞 >
「はっ…!」
声をかけられ、ついびくっとなってしまう。
普段なら絶対気配に気づけそうなものなのに、多少なり動揺してしまっていたのを否めない。
みーちゃった…ってことは、そういうことなんだろうと。
気まずそうに眉を下げながら、確か教員の方…という記憶はあったので、まずは一礼をする。
「え、ええと…‥どっち?といいますと…?
というか先生なんでこんなところに……」
ほんの少ししどろもどろ…。
わざわざ見られない場所に来て、まさか人に見られているなんて思いもせずに。