2024/06/15 のログ
ご案内:「大時計塔」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > 「あら……あら、あら……あ、らぁ……」
無人の時計塔に、女の小さな声が反響する。
驚いたような、愉快そうな、不思議な声音のそれは、やがて風の中に消えていく。
「テンタク、ロウ……あの、魔人、さん……も。
あと、少し……なの、か、しら……ね、ぇ……?」
女の目に見えぬ視界が
万物を見通す本が
この島でおきた騒動を伝えていた
文字通り、尻尾……否、この場合は足を掴まれた、とでもいうべきか
こうなれば、彼ら”公”の動きは早い。
どこまで、かの魔人が抗えるか、の勝負だろう
「……他、は……
本棚、の……ゴーレム……ね、ぇ……?
お宝……なに、が……つま、って……いる、の……か、しらぁ……?」
断片的にしか見えなかった情報
転移荒野をひた走る本棚のゴーレムがいるらしい
必死に立ち向かう男たちの姿だけは、わかったのだが……
「……すこ、ぉ、し……気に、なる、わ……ね、ぇ?」
本は宝……良い言葉だ、と女は思う
「……あの、子は……まさ、か……ファッション、ショーに……顔、だす……なん、て……ね、ぇ?
ま、あ……パッション、は……ある、し……ふふ。
お似、合い……か、しらぁ……音楽、には……セット、な、とこ、ろも……ある、しぃ……」
よくもあしくも、本にファッションは付きまとわない。
自分とは無縁の世界だろう
「……さ、て」
此処最近の動向を思い出しはみたが
自分は、どうしようか
■シャンティ >
「……原点……ね……」
そして、思い出す
ほんの僅か前にあった、ほんのひと時の冒険
まるで夢のようであった、まるで幻のようであったあのとき
確かに、自分は問われていた
「……は、ぁ……」
小さく、吐息を吐く
気怠い声が、さらなる気怠さを増して
「や、な……こと、思い、だし、ちゃ……った、わ、ぁ……」
虚ろな目が、しかしまるで遠くを見るように
何かを見ているかのように、見えた
「原点……理想……」
どれもこれも耳障りのいい言葉で
どれもこれも希望に満ちている
ああ、なんて
「……ま、あ……いい、わ」
■シャンティ >
「此処、での……私……
それ、を……思い、だし、て……ふふ。
行き、ま、しょう……生きま、しょう、ね……あ、は」
こつ、こつ、こつ、と硬質の音を鳴らして
落下防止のために立てられた柵へと向かう
「じゃ、あ……まず、は……ひと、つ……
ん……よい、しょ……」
非力な手で、柵を掴み
登る
今にも落ちそうで、危うくて
「思い、だし……ま、しょう……ね?」
そのまま、落下した
■シャンティ > ――後には何も残らない
――死体がでたともいわれない
まるで、今、此処には誰もいなかったかのように
ご案内:「大時計塔」からシャンティさんが去りました。