2024/06/18 のログ
橘壱 > 凡そ考えている事が当てはまる人間ではある。
何処までも足掻き、誰にも縛られず、自らの為の道を往く。
彼女の長い悠久の刻の中では、凡人の非異能者も有象無象に過ぎないのかも知れない。

「…なんだよその顔、自分から言ったんだぞ?クロメ。嫌なら嫌って先に言いなよ。…まぁ、いいか。」

「…僕は一々アンタにどうこう言いたくない。"対等(フェア)に行こう。生活に困れば支援もこっちから生活委員に流す。だからとりあえず根無し草は辞めろ。探すのが面倒だ。」

す、と人差し指を彼女に向ける。

「……まぁ、何処へ行こうと"逃がす気はない"。監視員位本気でやらなきゃ、頂点なんて夢の夢。ま、当分退屈はさせないさ。」

やれと言われた事だが、やると決めた以上はやってやる。
この程度面倒臭がっていては頂点なんて行けやしない。
成る程、漸く意味がわかってきたな。憑き物が落ちたように少年は勝ち気に、不敵に啖呵を切った。
有象無象の中で、その記憶にしみつけてやる、と。

……が、直後に……。

「あ……。」

ぐらり。視界が反転すれば思い切り倒れた。
あいにく体は鍛えていても非異能者の少年。まだ安静が必要なのに出てきた報いだ。
はっ、と青白い顔で笑みを保ったまま指をあげる。

「さ、早速で悪いけど常世総合病院405号室……さ、早速貸し売るチャンス、だな……?」

息も絶え絶えに最後までそう言ってやった。
間もなくして、気を失ったのは言うまでもない…。

クロメ >  
「注文の多い」

根無し草は辞めろといいながら、何処へ行こう逃す気はない、と。
どちらだというのだ。
読心の魔眼でも持っていればよかった、とも思うが。
それがあったら、むしろ即刻目を潰したくなるだろう、とも思った。
直後

「………………」

眼の前で倒れた挙げ句、連れて行く先まで告げ、あまつさえ貸しを作る機会だと宣う相手。
凍れる女帝は、今までで一番冷えた眼で男を見下ろした。

「度し難い」

ついには、意識まで手放した。
このまま放置していこうかと思ったが、これでも一応”鈴”だ。
万が一にでも、ここで死なれでもしたら厄介だ。
後々面倒なことになるのは目に見えている。

「……実に、度し難い」

ふわり、と男の体が宙に浮く。
そこで、ふとあることに気がつく。

「……常世総合病院、だと?」

この島の地理に明るくない自分にそんな場所はわからない。
やむなく、地図を広げ……

「……度し難い」

その夜、ぐったりとした姿で宙を飛ぶ男と漆黒のドレスを身にまとう少女、
という何処からどう見ても奇妙なふたり組が街のあちこちに現れることとなる。

街の噂にもなったやもしれない

ご案内:「大時計塔」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からクロメさんが去りました。