2024/06/20 のログ
ご案内:「大時計塔」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
高いとこに行きてえ。
授業中にふとそう思い、校舎の窓から見えた時計塔へとやって来た放課後。
これまで校舎の窓からとか、学生通りからとか、ちょっと離れた場所から眺めるだけだった時計塔も、間近で見てみると結構デカい。

「うっはー……ホントに高ぇや」

そして登ってみて更に感動。
立ち入りを禁止されてるだけあって落ちたら死ぬなあ、と他人事のように思う程度には、達成感と言うか爽快感があった。
たまには喧嘩以外で風紀に怒られる様な事もしてみるもんだ。

武知 一実 >  
ただ高い所なら山にでも登れば良いとも、長い階段をだらだら上っている最中は思った。
しかし、他に高さを示す建造物が近くにあると、より強く実感が湧く。
なるほど、禁止されてるのにちょいちょい忍び込む奴が出る訳だ、と納得しながらオレは眼下に広がる学園と学生街を見下ろした。

「何だか叫びたくなるな……見つかるとマズいから我慢すっけど」

ただ衝動的にここまで来たので、下手に見つかる前にさっさと退散するのが良策だろう。
けれどまあ、せっかく上って来たんだから、もう少し風に当たっても別に罰は当たらんわな。

ご案内:「大時計塔」にアージェント・ルーフさんが現れました。
アージェント・ルーフ > 「ん~~~っ、ふあぁっ…」

長い階段を昇り終え、青い空に手を突き出しながら欠伸の混じった伸びをする。
何故ここに来たのか…はいつも通り忘れた。
まぁ、良い景色を良い風に打たれながら眺めるってだけでも、相当な理由になるだろう。

そんな取って付けた目的の通り景色を眺めようとしたところ、茶髪の学生が目に入る。
景色を眺めていることから、大方同じ目的だろう。

「やっぱり、立ち入り禁止と言いつつきちゃうよね~」

そんな間延びした声を出しつつ、学生の隣にそっと立つ。

武知 一実 >  
「――あァ?」

少しの間ぼーっとして、そしたらさっさとずらかろう。
そんな事を考えていたオレの耳に気の抜ける様な欠伸が届く。
少しだけ振り返って欠伸の聞こえた方を見れば、銀髪の学生が一人。 立ち入り禁止なんだよな、ここ……

「ン……まあ、そうだな。
 オレの場合来たのも初めてだし、何なら入るなって言われてるとこに来るのも初めてだけどよ」

隣に立ったその学生に、視線は街へと向けたまま答える。
一応、喧嘩以外は至って真面目な学生で通してんだ。
え?しょっちゅう喧嘩する時点で真面目とは程遠い?うっせぇ。

アージェント・ルーフ > ボクの質問に対し、視線をそのままにして答える茶髪の学生。

初めて来たと言うあたり、普段は真面目にしている学生であることや、入学して間もない学生である可能性が浮かび上がる。
いや、初対面の相手をここまで分析するのも気が引ける。
兎にも角にも一先ずは…

ふとポケットに手を突っ込み、何かを取り出す。

飴である。
やはりこういった場所で食べる甘味こそ至高…。と言わんばかりに、スムーズな手つきで包装紙を剥がし、
おそらくイチゴ味なのであろう赤色の飴を口に放り込む。

「~♪」

思わず隣に人がいることを忘れて、一人口と目をとろけさせる。こっちから話しかけたことすら忘れているかの如く。

武知 一実 >  
マイペースな奴……。 正直にそんな印象を思った。
立ち入り禁止の場所に来て、先客を咎めるでもなく飴を取り出しては舐め始める。
まるでオレの存在なんて一切気にしていないかのようだ。

「……なぁ、アンタはよく来るのか、ここ」

別に気分を著しく害されたわけじゃないが、ただ居ないものとして扱われるのも癪なので今度はこっちから声を掛けてみる。
どこの誰かも知らんけれど、まあ学園の生徒であろうことは見れば解るし。
風紀でも無いなら、とっ捕まる事も無いだろう。 だったら、少しくらい話をするのも悪くねえかなって。

アージェント・ルーフ > ふと、隣にいた学生から話しかけられる。

顔を少し覗いて見ると、釣り気味な目が見え、ひょっとして怒らせてしまったかとちょっと冷や汗をかく。
しかし、向こうから話しかけてきている時点で恐らく気に留められていることは無いだろうとほっとする。
少しばかり反省するが、何事も甘味の前には無力になってしまうボクなので、仕方ない。うん。

「ん~?ほうふぁね~(そうだね~)ひょっといいかへにあたりふぁいなーってほひわおくううよ~(ちょっといいかぜにあたりたいなーってときはよくくるよ~)

と思った矢先、飴を口に入れたままなので、ギリギリ聞き取れるくらいの話し方になってしまう。不覚。

武知 一実 >  
「………」

はっは~ん、もしかしてこれキレて良いやつか?
いや、この程度じゃキレねえけど。そこまで短気じゃねえんだわ。
しかしホントに……マイペースな奴。

「はぁ、なるほどな。 でもここはさっき言ってた通り立ち入り禁止なんだろ?
 見つかったら怒られんじゃねえのか、風紀とか、先生によ」

もうこの際ふがふが言ってても良いや。 大体目的は同じだったようだし。
であれば悪い奴でもないだろ、良い奴とも限らんけどな。
ならまあ話を続けるのも悪くはない。変に肝が据わってる辺り、オレより年上なのかもしれん。

アージェント・ルーフ > …少しばかり冷ややかな目でこちらを見られた気がする。いやボクの目は景色の方を向いたままだけど、なんか、こう、刺さってる。
そんな視線もあってか、流石に飴をポリポリ噛み、早急に飲み込む。
これから人に話しかけた後に飴を舐めるのはやめとこう。そうしよう。

して、続けざまにされる質問。まだ愛想を尽かされてないようで助かった。
質問の通り、今いる時計塔は普段は立ち入り禁止である。理由は言わずもがな、高いし危険だからだろう。
しかしながら、少なくとも自分が在籍している期間の間、警備の人がいるところをみたことがない。

「ん~…特に警備の人がいる訳でもないしね~…まっ、怒られた時は怒られた時でいいさ~」

入ると怒られるところに、怒る人が自ら入ることも少ないだろうし、第一、歓楽街も出歩いているボクにとって怒られるのには慣れてしまっている。それに比べたら大したことないだろう…と思い答える。

武知 一実 >  
「へえ、そういうもんか」

危険だから立ち入り禁止、と言われていたはずだが実際のところ生徒の認識はその程度なのかもしれない。
怒られたら、その時はその時。 まあ一理ある様にも思う。
それと同時に、頭の片隅で「そんな理由で負担を増やさないで頂きたい」という主張が聞こえた気がするが、そっと聞こえなかった事にした。

「まあ、危ないから入るなって言う割には、警備も巡回もそんなに多くはねえわな……」

警備が、という考えにはオレは至らなかったので少し感心しつつ頷きを返す。
そういう感想が出るという事は、何度かここを訪れているという事だろうし、やっぱりオレよりも長く学生してるのかもしれない。
……まあ、見た目ではどうも判断できないけども。 オレも人の事言えない?それはまあ、置いといてくれ。

アージェント・ルーフ > 「うんうん、そういうもんそういうもん」

学生の同意にオウム返ししながら頷く。
やはりボクたちは学生の身分。少しばかりのやんちゃも今のうちに楽しんでおくべきである。

と、自分の中で勝手に学生の本分みたいなものを語りつつ、再び景色に目を向ける。
そういえば、今まで同じ目的をもってこの時計塔に来たのだろうと思っていたのだが、いざそれが本当かと思い返してみると、
当の本人からは目的を話されていない気がする。

「そういえば、そういうキミはやっぱり良い風とかを感じたくて来た訳?」

ちょっとばかし手が暇になってきたため、いつの間にか取り出したコインを片手で弄りながら尋ねる。

武知 一実 >  
「あ? まあ、そうだな。そんなとこだ。
 もっと言っちまえば、単純に高いとこに来たくなっただけなんだが」

結果的に風を浴びて、これが目的だったという事でも良かったと思い始めていたところだ。
なので肯いて再び学生街を見下ろす。 知り合いとか居ねえかな……。
そんなオレの視界の端で、コインがちらちら輝くのが映った。

「……こんなとこでコイン遊びなんざ、落とした時に何かと面倒にならねえか?」

まあ落とす事なんて無いだろうから手慰みで遊んでるんだろうが。