2024/07/04 のログ
ご案内:「大時計塔」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
――放課後、大時計塔最上部

気が付けば7月になっていた。
まだまだ梅雨の気配は残りつつも、じりじりと照らし付ける陽光は間違いなく夏のそれ。
青垣山の向こうにそびえる入道雲を眺めながら、オレはぬるくなったコーラを口へ運ぶ。
地上で買った時は冷えてたのに、階段を上る間に温まって行ったみてえだ。

「……冷えてるうちに少しは飲んどきゃ良かったな」

ちょっと何も考えない時間が欲しくてやって来た時計塔。
立ち入り禁止の警告が功を奏しているのか、前に来たとき同様人の姿は無い。
……ぼーっとするにはうってつけだ。

ご案内:「大時計塔」に能守重高さんが現れました。
能守重高 > 放課後となり 試験期間ということもあって
時計塔の周りの気配も少なめだった。
否 暑いから日の遮る場所が少ない時計塔はさぞかし熱いでしょうと。
しかし高い所から下を眺めることが大好きな祭祀局のとある少女は、
身軽な状態で階段を音もなく上がりやがて最上部に姿を現すのも時間の問題。

Kuuma Ja tämä on kesä!(暑い そして これが夏!)…先約がおりましたか これは申し訳なく」

最上部にたどり着いたと同時に声を張ってしまってすぐに小さくして頭を下げたい。
立ち入り禁止と聞く時計塔に先客がいるとは全く知らなかった。

武知 一実 >  
ぼーっとする時間が欲しかったのは、単に試験勉強疲れから頭を使わないで居たかったからだ。
校舎に居ても、屋上に行っても、街に出ても油断したら喧嘩をしそうな気がしたので、人が居ないのが大前提で時計塔に来たわけで。
予想通り誰も居ない時計塔で、遠くの空を眺めながら酷使し過ぎた頭をゆっくり休ませていたオレだったが、

「あァ?……立ち入り禁止だってのに一体誰が騒いでんだ」

突然声が響き、オレは危うくコーラを取り落しそうになりながら振り返る。
別に立ち入り禁止の場所に人が来ることを咎める気は無え、同じ穴の狢だ。
ただ、騒がれちゃ風紀に気付かれる可能性も上がるんで、その点は苦言の一つも溢したかったが、すぐに謝られれば肩透かしを受けた気分になり。

「……あ、いや。別に、気を付けてくれりゃそれで良いんだ」

頭を下げる姿に手を振ってから再び視線は入道雲へ。
上空は風が強いのか、姿が変わってくのが面白いから眺めている。

能守重高 > 遮蔽物が多い学内で高い場所はどこかを日々探している。
色々と探索をし続けていればこそ新たな発見もあり、こうして出会ってしまう新たな縁。
時計塔は高さもあるので立ち入り禁止なのはちゃんと理解をしているが、
一度でいいから式神ではない視点で見てみたかったということもあって。

――今に至る。

最敬礼に近い角度で改めて謝罪の意味を込めた礼をした後、
こそこそ会話になるかどうかの声音に努めようとする少女。
懐から鳥の形をした紙を数枚取り出すと息を吹き込み、その紙きれたちが鳥のようにあちらこちらへと飛んでいく。

「…これでよろしい。下からもし上がってくる気配があれば達が降りてきます」

彼はまた空を見ている様子なので邪魔にならない様に単眼鏡をどこからか取り出すと下を眺めだした。
独り言は特に発せず 備に見ていた。

武知 一実 >  
――変な女。
……正直に抱いた感想はそれ。
服装も制服じゃなさそうだし、第一声も日本語じゃなさそうだった。
それに慇懃に頭を下げる姿は……どこかある先輩を彷彿とさせる。

「……何か探してんのか?」

オレが遠くを眺めている傍らで、何やら飛ばしたりしていた様だ。
何となく気になって横目で見ていれば、単眼鏡で地上を眺め始める。
その姿は探し物をしている様にも見え、ほっときゃ良いのに声を掛けてしまった。

能守重高 > (ここから見える美味しいラーメン自販機がどこにあるのか!)

食欲が割とメインの単眼鏡による物探し。物件探し。
双眼鏡ではなく単眼鏡という中々マイナーな道具で下を観察し続けていた。
今のところ 学内の自販機や学食がちらっと見えたり…。
あ、野良猫か何かの猫の集会がこんな放課後に行われているのを見ることが出来た。

「え?ああ、美味しい…時計塔から見えると聞く
 噂のラーメン自販機がどこにあるのかを探して見つけたくて」

「屋上から見えると聞いたのですが 見つからなくて困ってます」

ゆるゆると座位の状態で見ていたから
単眼鏡から顔を放して、彼へと小声で言葉を返す。
単眼鏡はまだ手元に握りしめたままだった。

武知 一実 >  
――やっぱ放っとけば良かった。
帰ってきた答えを聞いたオレは素直にそう思った。
ラーメン自販機――まだわかる。
美味しいと評判――まだわかる。
時計塔の屋上から見える――これがさっぱり分からない。
……誰だそんな限定的な特徴を噂として広めた奴は!

「……は、はあ。ラーメン自販機なら、時計塔から探すよりその辺ぶらついて探す方が見つかるんじゃねえか?」

そんな事で困られても、オレの方が困る。
とは言え話しかけちまった手前、無視するわけにも行かず、思ったままに訊ねる。
こんな高いところから探すより、地上を歩き回ってる方が見つかる確率は高いと思うんだが……

「そもそもどっちの方角に見えるとか、そういうもうちょい特定できそうな情報は無ぇのか?」

能守重高 > 噂では そのラーメン自販機は屋上から見ないと見つからない。だそう。
どんな設置方法をしているんだそれ、と興味のあることに首を突っ込んでしまった少女は
色々な角度で建物の上に上がっては見下ろすという行為をし続け、
遂に一番高いだろう時計塔の上から見ればさすがに見つかるだろうと思ったのに 見つからん!

噂がよもや一種の都市伝説ではと疑わなかったのか。

「そうなんですが、ぶらついて早3日 どう隠蔽しているのか見つかりません。
 この…角度の方向から、見つかるそうなのですが、見つけたのは…猫の集会です」

この角度から、と指さしたのは学食の方角、
ちょっと木々の隙間で見えずらい場所の室外機あたり。当然自販機がそんなところにあるはずもなく、見えるのは猫。

「噂は噂だったのでしょうか…」

がっくりと肩を落として悲しそうに彼をすがる様に見つめたい。

武知 一実 >  
俯瞰からでないと見つからない自販機ってそれ機能してんのか?
……いや、止めよう。真面目に考える方が馬鹿を見るパターンだこれは。多分。

「普通に探して見つからず、時計塔の上(こんなとこ)からじゃないと見つけられないってんなら……
 まあ、異能なり魔術なり、何らかの認識阻害が掛かってんのかもな……」

猫の集会が見つかったならそれでもう良いじゃねえか、と思う。
こんなクソ暑い中で集まってんなら、多分そこは涼しくて過ごしやすいってこったろうし。
……だからそんな目で見られてもオレは何も……出来ねえっつの。

「……ハァ。自販機って、それ自体は普通の自販機なんだよな?
 だったら手がねえ訳でもねえが……」

能守重高 > 普通の自販機はいくらでも見つかったのに
伝説の美味しいラーメン自販機(謎)が見つからない。
日本食の一つであるラーメンに目がない少女としては、
手軽に食べることが出来る自販機タイプのラーメンを食べてみたかっただけなのに。

「…異能か魔術を使ってでも限られた者のみ(選ばれし者のみ)が食せると?
 自販機の形状は聞く限り普通のラーメン自販機にある形状だそうです」

猫の集会で癒されたのですが、探している物はあくまでも自販機。
自販機の形状は聞いていたので…ごく普通の形状であったことを伝える。

武知 一実 >  
「そんな大仰なもんじゃねえと思うが」

まあいずれにせよ自販機自体はただの自販機であることは違いないらしい。
それならばさっき言った通り、見つける手段が無いわけでもない。
オレは手元に残ってるコーラを一気に飲んでから、両手の指先を合わせる様に合掌した。

生き物の目(視覚)ってのは意外と適当に出来てるっぽいからなァ。
 ……まあ、目に頼らなきゃ視認阻害なんてどーって事はねえ」

目を瞑り、異能を発動させる。
オレ――時計塔最上部を中心に、周囲へ細かな電磁の網を張り巡らせる。
範囲は――まあ学生街辺りまでで良いか。
そして網に掛かった電気反応の強い物体――機械を検知してみよう。
その中から自販機っぽいのを選りすぐって、実際に確認して貰えば良いってわけ。

簡単に言ったけど、これめっちゃ疲れるんだよな。得る情報量が多過ぎて。

能守重高 > 常世島内なのか、常世学園の時計塔から見える範囲とは
何処までをさすのかまでは明確ではなかった、そこの時点で気づけよとツッコミがありそうだったが、
少女では疑うことはまずせずに見つかればよしという状態でいたのだ。
彼が何か所作をしだしたのでじっと食い入るように見守る。

「人って視覚7割だそうです…。あ、黙ります」

少女は黙った。息も殺してる。じっと彼の異能?が終わるその時まで
静かに見守っている。単眼鏡はまだ握りしめていた。

果たして見つかるのでしょうか、謎のラーメン自販機。
とても楽しみであるがちょっとだけ騙されていたんかなぁ、て思う鈍い少女であった。

武知 一実 >  
「――自販機、とりあえず学生街までにあるものの場所、全部言ってくから確認してくれ。
 ええと、方角は東西南北、距離はメートルで良いよな?いくぞー」

さすが学園都市、あちこちに自販機がありやがる。
この状態を続けるのは正直しんどいし、馬鹿馬鹿しくなってくるのでちゃっちゃと片付けたい。
というわけで、オレは時計塔から近い順に自販機の方角と距離を口にしていく。勿論それを確認するのは探してる本人の仕事だ。

その中にあれば良し、無ければもう知らん。

正直こうしている今この時も、頭上からの日差しの暑さも加わって脳みそ沸騰しそうなんだ。

能守重高 > 「え、はい。どうぞ。」

手帳とペンを懐から取り出すとメモを取り始めた。
すらすらと言われたことをメモをしていく。

建物の上から見つける事が叶わなかったとある自販機探しに付き合って頂き感謝したい。
全ては疑うことを知らなかった少女のPONに免じていただきたいが、
彼から伝えられる自販機の多さが尋常ではないレベルの多さだった。

…やがて彼が言い終えたころには土下座に近いうなだれた状態で
「そんなにあるの?」と震えた声で呟きながら 感謝の意を込めた土下座で態度で示したい。

あー確かに夏の殺人光線半端なく暑い。

「涼んでから時間を作って、探してみようと思いました
 ありがとうございました、無事に見つかった時にお礼をしたいのですが、お名前をお教え願えませんか?
 私は 能守重高、と申します。」

ゆるゆると土下座から正座の体勢に体を起こして名乗りを。

武知 一実 >  
自販機の位置だけ口頭で伝えたが、オレが感知しているのは自販機に限ったものじゃない。
信号機、電信柱、パソコン、電光掲示板、スマホのバッテリーに至るまであらゆる電気を使用するものの情報が飛び込んで来る。
明らかに違うものは無視しているが、その数は膨大なんてレベルじゃない。
そうして感じ取れるすべての自販機――と思しきもの含む――の位置を伝え終えたオレは異能を解いた。
ふと鼻に熱気とは異なる生温さを感じて手の甲で拭――ああ、鼻血出てら。

「て――今やらんのかい……」

そして返って来た言葉に項垂れてしまうオレ。
いや、言われた端から目視確認で良くない!?精々100か200台くらいだと思うんだが!?
……と抗議する気力も湧かない。事前にコーラ飲んで糖分入れてなきゃブチ切れてた。色んな血管が。

「……そーかい、オレぁ武知一実。
 出来ればもう関わり合いになりたくねえなぁ……」

深く溜息を吐きながら、そんな言葉が口を突いて零れた。

能守重高 > 何の異能なのか知らないし、聞こうとは思わないので
少女は黙ってメモを取り続けたが何かすごい情報量で数日かかりそう。
くまなく回ったところで数日かかるレベルなので

「…今から!?今から 今…え、はい」

目視確認するには時計塔から降りていかねば。
屋上から式神を放っては怒られそうなので一旦式神を肩に張り付かせるように集合させると。

「では、私は探しに行きますのでお別れです!」

ペンをしまい、メモ帳を片手に少女は頭を下げると
急げ!とばかりに逃げるように?時計塔最上部から坂道を下る様に小走りに下りて行った。

なお結論としては見つかったのかは不明である。

ご案内:「大時計塔」から能守重高さんが去りました。
武知 一実 >  
「いや、だから今言った場所をこっから――」

何のために方角と距離を伝えたと思って……!
ただ場所を示すなら地図に点打った方が何倍も早……
ていうかそもそも時計塔から見えるんだし手に持ってた単眼鏡は何……
色々と言いたい事があったが、異能で得た情報の処理でパンクしかかった頭では言葉にしようにも碌に発する事もできない。
そうしている内に女生徒――能守は時計塔を去って行った。

やっぱり……放っとけばよかった……

武知 一実 >  
「何で……頭使いたくねえからって時計塔まで来て、こんな負担背負い込んだんだオレ?馬鹿なの?死ぬの?」

最後のはわりとガチで。
鼻血はすぐに止まったが、容赦ない日差しが頭から熱を引かせてくれない。
ああ、さっさと帰って水風呂にでも浸かろう……

これなら喧嘩してた方がナンボもマシだった。
そんな後悔が脳裏をちらつく中、重い体と頭を引きずるようにしてオレは家へと帰るのだった。

ご案内:「大時計塔」から武知 一実さんが去りました。