2024/08/18 のログ
ご案内:「大時計塔」に里中いのはちさんが現れました。
里中いのはち >  
大時計塔の最上部、大小さまざまな歯車が無数に組みあい時を形作っているが――忍びの男の興味はそれよりも、此処から一望できる島の様子に注がれている。

といっても、陽は疾うに姿を隠しており、島の細部を知るには適さぬ頃合い。
矢文、或いは伝書鳩代わりの折り鶴を夜空に放つ次いで、何気なく瞳を向けるは島の暗部――スラムやらが在る方角。

「なぁにやらニオうでござる――が、まあ、命ぜられてるわけでなし。」

ニンと刀印を結ぶ。
現状、どの角度で見ても唯の部外者でしかない。なれば此の男が選ぶは静観、ただそれのみ。

里中いのはち >  
とはいえ、だ。最低限の情報は掴んでおくべきか。
有事の際、たとい一欠片だとて知見があるなしで生存率は変わろうというもの。……此の世が其れほど迄に物騒な世であるかは未だ判断しかねるところではあるが。兎も角、備え、ダイジ。

「嗚呼、銭も稼がねばならぬでござるなぁ。手持ちを換金できる場所が在らばいいが……。」

なければ安易な手段に走るも――否否。世情に疎い間は可能な限り身綺麗でいるべきだ。
……等と、ただでさえ考えなくてはならない、調べなくてはならない事柄、詰め込まなければならない知識は多いというのに。
ある程度把握しておかねば、身の振り方さえ決められん。

「人が如く振舞うというのが、斯くも難儀なことだとは思わなんだ。矢張りろのいちが申すよう、拙者は里の中で朽ちるが似合いでござったな。今ならば奴の罵倒も笑って受け止めることが出来ようて。」

鍛錬の事しか考えない脳筋馬鹿がと罵る声を耳の奥に聞いて、ふと口布の下で微か笑む。

ご案内:「大時計塔」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に(すみません、ミスです!)さんが現れました。
ご案内:「大時計塔」から(すみません、ミスです!)さんが去りました。
里中いのはち >  
すわ分身の術だと――!?
なぞとは思わないので、お気になさらずニンニン。

里中いのはち >  
何ぞの気配を感じた気がしたが、まあ恐らくきっと気のせいだ。

それよりも、一頻りうだうだしたら為すべきことを成さねばなるまい。
懐を探り巻物を取り出し結い紐を解く。

「これも如何にかせねばならぬでござるな……異界なのだから是非も無し。」

腰に括った小壺の蓋を外して親指を浸け、ちょちょいのちょいと描くは小型の鳥、鼠、虫である。
然程時をかけずに描き上げたらば、壺に蓋をして、地べたに巻物を広げる。

「いざ。」

足裏を上向きに、所謂結跏趺坐と呼ばれる座禅のアレを組んだ後、パ、パ、パ、パ、と、リズミカルに印を結ぶ。所要時間は三秒ほどか。
最後に右手を巻物へつけば、男の瞳と同じ色の鳥鼠虫らが此の世に顕現す。

各々が夜闇へ散るのを見届けて、真白になった巻物をしゅるしゅる巻いて紐を結び懐へ。

「さてこれで騒ぎの方はよしとして――学園の方も一度見ておきたいでござるな。
 また誰ぞ“親切”な学徒殿に諸々お借りするか。」

里中いのはち >  
立ち上がり、学び舎の方を望む。
決行するならば真昼か。長期休暇中ということで、紛れるには少々心許ないが致し方あるまい。

「見るに巨大な施設でござる、なんとかなるなる。」

九字を切る程でもない。恐らく多分、きっと。
軽く埃を払った後に、ひょいと何気なしに窓枠を乗り越えて外へ。
無論此処は島を一望できる程の高所――しかし悲鳴も衝突音も、着地音すら残すまい。

歯車が軋む音のみが其処には在った。

ご案内:「大時計塔」から里中いのはちさんが去りました。