2024/08/20 のログ
ご案内:「大時計塔」に神樹椎苗さんが現れました。
■神樹椎苗 >
久しく訪れなかった、この『使徒』にとって特別な場所。
片手に『友人』の形見であるオイルカンテラを持って時計塔を登り切ると。
風に吹かれれば落ちてしまいかねないような、縁に腰を下ろして、小さな足を外に投げ出しながら、膝の上にカンテラを抱えた。
「――まったく」
その口から零れるのは、呆れたような、疲れたような声。
それもそのはず。
己が信仰する神の怒りを、極近くで連日、感じ取っていれば疲れもするだろう。
■神樹椎苗 >
「わかってますよ、だから働いてはいるでしょう」
『使徒』も黙っていたわけではない。
連日連夜、己の役割を静かに努めていたのだ。
ただ、最近はそれで片付けられないほどに、対象が多すぎるのだ。
「――歪な命に、歪な死、歪な生。
大きなものは一つ、先日討たれたようですが。
はあ、身体が一つじゃ足りねーですよ」
そう言いながら、学園を見下ろし――遠く街を、島を眺める。
■神樹椎苗 >
「――ん」
いくつかの場所で『死』を感じ取る。
いくつもの場所で、それらは無秩序に氾濫する。
ただ、眠りを妨げる者が居れば、眠りを与える者もいる。
そして――偽りと歪の安寧に惹かれる者も。
「ふむ――」
目を閉じて、感じる事に集中する。
カンテラの熱が、夏の暑さとは異なる温かさを『使徒』に与えていた。
「後輩――あいつは、危ういですね。
妙なものに惹かれなければいいですが。
――怒りはわかりますよ、ただ、『アレ』は悪意のようにはみえねーです。
『アレ』に関しては、まあ、『後輩』に任せてみましょう」
そしてまた別の場所へと意識を向ける。
血の色の娘――それと、困った『所有者』。
「陰気巫女に単細胞――まあ、こっちも大丈夫でしょう。
陰気巫女だけなら少しばかり、放っておくには危ういですが。
単細胞も、あれでも、確かに『所有者』ですからね」
いくつかの大きな『流れ』を感じ取って。
それを一つ一つ、静かに『解析』していく。
■神樹椎苗 >
「――ふむ、他にも厄介そうなのがいますね」
大きな『歪み』を見つけて、『使徒』は、ふわりと塔の外へと身を投げ出す。
「面倒ですが――仕事と行きましょう」
その軽い体は真っ逆さまに地面へと向かっていく――
『――死を想え――
――安寧をその身に宿せ――』
死を想う祝詞が風に乗る。
『――吾は黒き神の使徒――』
その宙を堕ちる小さな体は。
黒い霧と共に、いずこかへと消え去るのだった。
ご案内:「大時計塔」から神樹椎苗さんが去りました。