2024/11/12 のログ
ご案内:「大時計塔」にオルニスさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」に御崎 眞さんが現れました。
■オルニス > 「えぇ? そんなことがあったんだ?
女の子に飛び出るびりびりする箱……筒?
意外と物騒な裏側もあるんだねぇ……」
小鳥と指の上に乗せた、青く長い髪を風にたなびかせた少女らしき姿がくすりと笑いながら話している。
周囲には人影はなく、少女の回りには何匹かの小鳥がその少女に話しかけるように鳴き声を上げているのが目にした人ならきっと聞こえてくるだろうか。
……もちろんそれが人語に聞こえるようなことはないのだけれど。
まるで少女の小鳥の語らいの場でもあるかのように、本来進入禁止であるはずの大時計塔の屋上は占拠されていた。
別に縄張りを主張しているわけでもないけれど、少々近づきがたいような不思議な空間がそこには広がっている。
「ん……誰か来るって? そう、ここは存外人に人気があるのかもね。」
そんな言葉のやり取りをしながら、ふと屋上への入り口に視線が向いた、
■御崎 眞 >
怖い
低い場所が… いや『何かが落ちてくる場所』が怖い
「――」
低所恐怖症、それは空への恐怖、圧迫感への恐怖、そして落ちてくるものへの恐怖、らしい、初めて聞いた時は…
「は、ぁあ… 低い所が怖い何て、生きていくの辛くないのか?何て思ったもんだな」
子供のよくある勘違いだ、まぁ、笑えないけれど
「っうっ、ぷ… 」
階段を上がっていく、教室に長くいたせいか、階段を上がる際にも圧迫感にめまいがする、大分この力に目覚めてから時間がたったが、この感覚は一向に慣れさせてはくれなかった、まぁ克服できないからこその『恐怖症』なのだろうが
「くっ、そ… もう直ぐ、屋上… 」
とにかく、とにかく高い所に行きたかった、この辺りで一番高い場所、時計塔――立ち入り禁止らしいが、ほぼほぼ警備もおらず、生徒も良く入っている事は調査済みだ、こういう事があるだろう事は想定内だったから
ぎぃ、ぃ……と、扉にもたれるようにして時計塔の屋上への扉を開ける、吹きこむ風の解放感に、漸くまともな呼吸が出来る事に安堵し……
「… ぁ、ぉう… こん、にちは?」
先客が既に自分を見ている事に気づいて、口元を軽く抑えた滑稽な姿のまま、ひきつった顔で挨拶をしてしまった
■オルニス > 「やぁ、こんにちは。おにーさん。 なんだか顔色が優れなさそうだね?」
青色の髪の人影が行ってらっしゃい、とつぶやけば。
あたりにいた小鳥たちはいっせいに空へ、この街のあちこちへ向かって飛び立っていく。
きっと元居た住処や縄張りに戻っていくのだろう。
少女らしきその人影はそれを見送ってから、改めてあなたに向き直った。
「そんな顔をして、どうかした?」
此方を見たまま固まっている様子にくすりとおかしそうに笑みを浮かべて、翼のような外套をふわりとまとわせながらゆっくりと立ち上がる。
一歩。また一歩と君へゆっくりと近づいてくる。
そこには警戒心も、敵意も感じられることはないだろう。
■御崎 眞 >
「―― うぇっ、ぷ」
反射的に飛んでいく鳥たちを見上げ―― 吸い込まれそうな青空に、喉から何かがこみ上げてくる
気を抜けば落とされてしまいそうなその青空は、何時もなら清々しい気分にしてくれるだろうに!
「そう、見える…?あぁ、まぁ気分転換に、来たところ、だから」
空と同じ色の少女の髪色も、普段ならもっと『綺麗』だとか、称える微笑みが『可愛らしい』だ何て思えたのだろう、いや、綺麗だとは思うのだが
今は忌々しさが思考が抜け出してくれないでいて、思わず自身のこめかみをぐりぐりと弄る
「… ストップ、ちょっとだけ待ってくれ、俺の都合だけど」
近づいてくる少女に片手を出して、引き留める、自分自身、これ以上醜態を相手に見せたくはない程度のプライドはあった
すぅー、はぁ… と、極力空を見上げないように何度か深呼吸、何とか、息を整えて
「俺は……授業が終わったから少し休憩に来たんだ、此処はほら『余り人が来ないから』、今日はあんまり人の波にのまれる気分じゃなくて、ね」
努めて平常心… は今更だが、すっかり板についてしまった猫背を少し伸ばしながら、少女へと向き直った、見た感じ… 年は余り離れて無さそうだ
■オルニス > 「そんな、うぇっぷって嘔吐しそうな声を出して聞くこと?」
おかしなの、と気遣う素振りも大して見せることもなく、ただただ可笑しそうに笑っている。
本人からすればそれはきっと重大で大変なことには違いないのだろうけれど、生憎と自分とはそこまで関係がない。
それに、自分に解決できることなんてたかが知れているし、聞いてどうにかなるものならば相手が勝手に話してくれるものだから。
こういう場所に来る人は、何かから逃げてくるひとか、一人になりたい人か、あるいはその両方か。
そして同時に、そういった感情は相反するものを内包している場合が多いことを。オルニスはよく知っていた。
「ん?」
関係ないとはいっても、止まってほしいと言われれば歩みは止める。
自分は人との距離感が近いほうのヒトだけれど、相手が同じとも限らない。
無理に距離感を縮める必要もないね、とその場で足を止めた。
「休憩。 人波。 そう……たしかにここには人が多いものね。
どういうわけか、若い人ばかりが目に入るけど。
大人もいないってわけでは……ないけどね。
……ふふ、少しは落ち着いた?」
深呼吸をする様子を見て、またにこりと笑いかけた。
■御崎 眞 >
「仕方、ないだろ… 聞かれたからには返さないと」
そう返せる当たり、案外自分の中に真面目さというものはちゃんと残っているらしい
目の前の少女は此方の気分など何処吹く風で可笑しそうに笑っている
少し前の自分なら、衝動的に怒鳴り声の一つも上げていたかもしれないが…
ただまぁ、下手に心配されるよりは、笑ってもらえた方が気が楽なのは確かだった、勿論言わないが
「… 何とかね」
素直に止まってくれた事に安堵しながら喉元に手をやる、何とか人心地がついた、と言った所だろうか
今度は此方から少しだけ歩み寄り、周囲を改めて確認する、鳥たちはどこかへ行ったが、此処には彼女がまだ残っている
俺の方が背が高くて助かったな、と思いながら落ち着いた所で彼女の言葉に頷いて見せた
「そりゃあ、常世島には基本学生ばかりの筈だから、俺も学生だしおま… ええと
… 名乗ってなかったな、御崎…眞、一年生」
お前、と口にするまえに名乗り、名前を聞く、こういった当たり前も、何だか久しぶりにした気がするな。
「大人も… 先生が多いんじゃないか?俺も、最近此処には来たばかりだから何とも言えない、けど」
ご案内:「大時計塔」からオルニスさんが去りました。
■オルニス > 「ふふ、見える?って聞かれたら見えるって答えるしかないよねって意味だよ〜?
そんな青い顔して何言ってるの?って思っちゃうもの。」
ふふ、とその返答に穏やかに微笑みで返す。
なんというか、子供らしいというか、男の子らしいというか、それらしいプライドが見えて面白いなと思ったのだ。
「わたしはオルニス、キミ……は、みさきまこと。 みさき、と、まこと、どっちで呼んだ方がいいかな?
こっちの人はそういうの、気にすんでしょう?」
常世学園ではそう珍しくもないだろう、異邦人、所謂異世界人である自分にとって、ほぼ全員が苗字を持っているというのは少し馴染むのに時間がかかりそうだ。
おまけにその二つの名前にある種のコンプレックスやこだわりを持っている人が少ないとなれば尚更に。
相手にとって不利益にならないように会話をするのにも少し気を使うかも。
「先生はあくまでも監督する立場で、お店…こっちでは部活だっけ……そういうのもほとんど学生がやってる。もちろん学生の中に大人がいることも少なくないから、案外相対的な数は変わらないのかもしれないけど、ここは学園島だからね、やっぱり子供の学生が目立つなーとは思うよ。」
ご案内:「大時計塔」からオルニスさんが去りました。
■御崎 眞 >
「……」
心の中の自分が「むすっ」としたのが分かる、揶揄われたというか、子供扱いされたというか
まぁ、今更何を言い返しても、子供っぽさを上塗りするだけなんだろうが
「… じゃあマコトで、オルニス… な、まぁ、見る限り日本人じゃない、よな?ハーフとかでもそんな綺麗な髪色の奴何ていないだろうし、染めてるって訳でもなさそう、だし」
正直どっちでも良かったけれど、『向こう』では名字で呼ばれる事の方が多かったから、何となくそう答える
一応之でも、心機一転するつもりは… 無い事も、無いんだ、どうすればいいかもわからないけど
落ち着けば気になるのは彼女の特徴的な髪色と外套… 要は背格好で、もしかしてという考えを頭の片隅に置きながら問いかけてみる
「そう、らしいな、俺もちゃんとした説明を聞いたのは、此処に来る途中だけれど、本当に何もかも学生が中心にやってる」
正直、聞いた時には慣れるまでは不安が募りそうだな、とは思ってはいた、まぁ今は多少は慣れたと思うが… 、加えて言えば、所謂『柄が悪い』連中もほとんどが学生とまできたものだ
『大人と子供』という分かりやすい区分の意味合いが薄いこの島は、そういう意味でもちょっとした異世界みたいなものだろうか
「見た目で判断しちゃいけない、何て教わったのはもう何年も前だが、この島じゃ余計にそうなんだろう、な… 」
■オルニス > むすっとした顔ににこりと返す。
ちょっと揶揄い甲斐のある子はしゃべっていて楽しい。
とはいえやり過ぎてもよくないかなぁ?
「うん、じゃぁマコトって呼ぶね。
うん、もっというなら『こっちの世界』の人じゃないよ。
『門』の向こうからこっちにやってきたからね。
キミの知らない世界、キミの知らない法則、キミの知らない種族。
そんなものがたくさんいる世界さ。」
ここではそんな人も珍しくないけどね、と肩をすくめてみせる。
少なくないとは言いつつも、あまり顔を見ないのも事実だ。
そのほとんどは授業以外では異邦人街や、あるいは自分の家に籠っていることも少なくない。
人間でないものを訝しく見る習慣、というのはどうしたって抜けにくいものだから。
わたしたちは人目を避けることも少なくない。
わたしだって、基本的には例外ではないのだから。
「でも、やっぱり外見は大事だよ。
マコトみたいな、特に表情に出やすい子は珍しくないし……ね。
第一印象っていうんだっけ。
人に与える一番大きな割合はやっぱり見た目だもの。
囚われちゃいけないけど、外すことも決してできない。
そういう意味では私はちょっと得してるかもね?」
■御崎 眞 >
「異世界… やっぱり、か、何となくそんな気はしてた けど」
にこりと返されたのはやっぱりちょっとだけ癪だけれど、続く言葉に猫背が少しぴしゃん、と伸びる
… だって、そりゃあ、気にはなるじゃないか、異世界何て、俺くらいの年が読む本じゃありきたりで
ありきたりだからこそ興味があるもの何だから
頃垂れたような眉を少し上げながら、彼女の姿を改めて見直す
そう考えると本当に、本の中から出てきたような姿だ、そりゃ、遠目に『そういった人』を見た事はあるが
こうして目の前にいるのじゃ、やっぱり思う所は全然違って来る
それに、立ち入り禁止のこんな場所で出会ったというのもあって、何と言うか…
『ラッキー』だ何て思ってしまった
「… 俺は別に分かりやすく無いと思うが、オルニスが敏感なだけじゃないか?」
嘘だ、髪を長くしたのも、表情が少しでも分かりづらくなるように、なんだから
特に剣道部を止めてからは、短くある理由も無くなったし… いや、こんな事を考えていると余計に表情が読まれそうだな
「そりゃそうだ、良くも悪くも、人は見かけで判断するものだし、だから身だしなみに気をつけろ、何て口酸っぱく… いわれる、訳だし、まぁ、それも煩わしいって思う事はあるが」
「少なくともオルニスみたいな外見は得をする、というのは確かだろう、な。まぁ、綺麗すぎても揶揄する奴はいるだろうけど、そういう奴らは大抵… 無視してもいい奴らだ」
その他大勢、どうって事の無い奴ら、他人に管を巻き、陰口を叩く事でうだつの上がらない今から目を背ける… そんな奴らに一時期加わっていたのは俺もだし、今も抜け切れているかと言うと、正直自嘲じみた声がこみ上げてきそうだが
少なくとも、目の前の彼女の事は素直に綺麗だな、と感じる事は出来ていた
■オルニス > 本当にわかりやすい子だな、と思う。
自分がどこから来たのかを少し話しただけで、姿勢すら変わってしまう。
こういう人を嘘を付けない人というのだ。
まるで死んでいたようなキミの瞳が此方を向く、桃色の眼がキミの瞳を見つめている。
「わたしがそういうのに敏感なのは否定しないよ? わたしはたぶん、キミが思っているほど『人間』に近い生き物じゃないからね。
ふふ、確かにマコトはすこし身だしなみに気を付けた方が良いかも?
髪の毛とか……伸ばすんだったらもう少し気を使ったら?」
なんて。伸びっぱなしの髪を見て微かに笑う。
男性で髪を伸ばしているのはこっちではそう珍しくもなかったけど、手入れをしていない人もあまりいなかった。
こっちでは……特に男性はちょっとずぼらな印象があるかも。
とくにマコトは、伸ばしていることにもっと別の意味があるんだろうな。
「揶揄? 綺麗なことを?
そういえば昨日同じようなことを言ってる人がいたなぁ……
外見を揶揄われるって……綺麗な子だったけど、その子は表情があまり変わらないから、だったかな。
こっちの世界は随分と複雑なんだね?」
■御崎 眞 >
「… ぁー…」
合った目を反射的に、自信無さげに逸らしてしまいながら、ため息のように声を漏らす
顔色を伺うまでも無く、楽しそうなのが目に見えて、それ自体は結構な事ではある
その理由もまぁ… 取り繕うような家族や学校での会話に比べれば、大分いいものではあった
「昨日、あんま寝れなかったから、普段はもう少しシャンプーとか… してるし」
いい訳のような言葉をぼそっ、と零す、自身に異能が宿ってから、落ち着いて眠りにつけない時は少なくなかったから、嘘ではなかった
とはいえ、普段から身だしなみに気をつけているかと言うと、それもまた違うのだが…
まともに友人と呼べるような相手から離れてから、余り意識する事も無かった気がする
「普通の場所じゃ殴ったり出来ないし、やっても大抵『国家権力』が来る、変わりに言葉や空気でちくちく気に食わない奴を殴るんだよ。… まぁ最近は、度が過ぎれば『そういうの』も犯罪になったりするらしいが」
その理由だって、主に嫉妬や羨望というものだ… 言ってて自分でも、あんまり気分は良くないな
そう思って、少し話題を戻してみる、オルニスにとっても、面白い話とは思えないし
「人間に近い生き物じゃない、ね… 言われてみれば、さっきはまるで鳥と話でもしてたみたいだったし… 本当に言葉が分かったりするのか?」
■オルニス > 「ふぅん……?」
ほんとかなぁ? なんて少しのぞき込んだりして。
眼がくぼむような顔色、ここに来た時の血相。
きっと普段から眠れていないのは本当なんだろう。
まぁ、眠れていないときこそ身ぎれいにした方が良いんだろうけど。
そういうのは総じて連鎖して悪くなっていくものだから。
と、そんなお説教をしてもしょうがないね、とくすりと笑う。
「貴族が奴隷をいたぶるのと似てるかもねぇ……どこにでもあるんだな、そういうのは。」
やれやれと首を振って、人間というのはいつだって度し難いと口をこぼす。
少なくとも今の君はそういう人じゃなさそうだ、とも聞こえるように言葉にしただろうか。
「うん、そうだよ。 ちゃんとお話しできるんだ~。
わたしは鳥人間? みたいなものだからね。
翼がないってツッコミはしちゃいやだからね?」
なんてちょっぴりくぎを刺してみた。
■御崎 眞 >
「… 何だよ」
覗きこまれると、流石に唇が少し尖ってしまう
とはいえ上を見上げると、また空に落ちてしまいそうな気がするから
別の意味で吸いこまれそうな桃色の瞳を見返す事になって
今酷い顔をしてそうだな、と思いながらも、此処でまた目を逸らすのは、ちっぽけなプライドが許さなかった
「貴族に奴隷… やっぱり異世界でもそういうのはあるんだな、人は何処に行っても人って奴」
それこそ小説に出るような言葉と仕草を自然と口に出すオルニス
… 続く言葉はありがたいが、初対面の相手に言われて氷解する位なら、今こうして燻ってはいなくって
「… まぁ、そういうのはダサいし」
結局の所最低限、感謝にも聞こえ無さそうな返答をするに留まる
「鳥人間… って聞くと、その服も結構それっぽく見えてくるから不思議、だな
… まぁ、別に、そこは飛べない鳥みたいなのもいるし、おかしくは無いと思うけど」
――あぁ、言われたくない言葉ってのはちゃんとあるんだな、だなんて
その釘差しに一番安堵したって事は、顔に出さずにいられただろうか
それがオルニスにとって、どの程度気にしている事なのかは知らないが
「言われたくない事を言わないくらいの分別は、俺にもある」
此処暫く浮かべられていなかった笑みが、ほんの少しだけ零れていた
■御崎 眞 > ※諸事情によりロール一旦セーブします!
■オルニス > ※セーブしたよ~!
ご案内:「大時計塔」からオルニスさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」から御崎 眞さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にオルニスさんが現れました。
■オルニス > ※ロードしたよー!
ご案内:「大時計塔」に御崎 眞さんが現れました。
■御崎 眞 > ※再開しまーす
■オルニス > 「ふふっ、なーんでもっ」
くすくすとわらって、後ろ手に腕を組んではくるりと180度、廻って後ろに一歩二歩。
自分よりずっと背は高いのに、少し子供っぽいキミを揶揄うのはひとまずここまでにしようか。
「まぁね……」
それ以上のことは言わないけれど、かと言って否定もせずに。
どこへ行っても人の本質は変わらない。
いい意味でも、悪い意味でも。
「もともとそういう意匠を凝らした外套だから、そりゃぁね。
これは貰いものだけどさ?」
マントをバサリと少し持ち上げてみせてから、テヘと笑って。
「ぉ、やっと笑ったね。」
■御崎 眞 >
「… はぁ、まぁ、いいけど」
頃垂れた顔を上げ、表情豊かに楽し気に動くオルニスの姿を見やる。
何と言うか、眩しい奴だな… と何となく思うのは、今の俺がそれだけ暗いからかもしれない。
その後に続く、含みを持たせるような言葉から、ただそれだけじゃない事は何となく感じられるが。
結局、表面的かもしれないその仕草だけでも、自分が気だるげに振舞うのが馬鹿らしくなってしまうあたり
割と俺も単純何だな、なんて考えつつも少し大げさに肩を竦めて見せよう。
「へぇ、貰い物か… 割と気に入ってそうだな。見た感じ、服はよくわからないけど… 似合ってるとは、思う」
そして少し羨ましくも思う、この島にそういうものは持ってこれなかったな、何て事を思い出したから。
最も、持ってこれたとしても今は見ても辛い気持ちになるものばかりだろうけど。
「ーー お陰様で? 此処に居たら多少落ち着いてきたし、な」
之は嘘じゃない、カウンセリング中も、授業中とも違う時間でこれほど長く他人と話したのは久しぶりだったから。
多分、意外に俺も会話というものに飢えていたんだろう、また、ほんのわずかにだが、笑みが漏れた。
■オルニス > 「服を取られちゃったらいろいろ困るからね~」
ふふーんとどこか得意げに。
異邦人だからこそ許されることも、ひょっとしたらあるのかもしれない。
なにせ理の違う世界から来る者たちだ、無下に扱えば何が起こるかわからない
というのも一つの真実だろう。
この島自体が大きく揺さぶられるようなことは……まぁ起きたとしても稀だろうが。
「ぇへへ、でしょ? かわいいし、動きやすいし。
気に入ってるんだ。
わたしのせんせーの手作り。
あ、こっちの、じゃないよ?
向こう側での先生、ね。」
つまりは別の世界での彼女の師ということになるのだろう。
もし没収されそうになったら……ちょっと暴れたかもしれない。
「そっか? ここは良い眺めだしね。
街を一望できるし……何より風が気持ちよくて。
空もよく見えるから。」
■御崎 眞 >
「まぁ、服の習慣が無い奴らが歩き回るよりはよっぽどいいだろうし…
確か『門』から来ることは出来ても、帰り方は確立されて無いんだろ?
一応この学園はそういった人達には友好的って事にはなってるらしいし
よっぽどのものじゃなきゃ没収はされないだろ、多分」
ほんと、表現豊かだなオルニス、何ておくび… には出ているかもしれない。
少しじとっとした目で見そうになるのだけは耐えられていればいいんだが。
何せその感情は、単なるやっかみに近いものでしかない訳だし。
「向こうでの先生、ね… 手作りって割には尚更凝ってる服だな、いや、そっちじゃ普通かもしれないけど…
俺の知ってる限り、こっちで似たようなデザインのを買ったら結構高くつきそうだ」
どういう意味での先生だ?普通に考えたら学校の、だけど、異世界だしな…。
もっとこう、別の何かの先生である可能性もあるよな、いや、問いただす事じゃないが。
「… そうだな、悪くない、かな、喧騒までは聞こえてこないし… 空は、"今度"見る事にする、が」
空を見上げる余裕は流石にないから、変わりに眼下を眺める。
風を浴びながら学園や町中を闊歩する人々を眺めるのは、成程、確かに悪くない。
『高所恐怖』は今は発症していないし、気分的には落ち着いたものだ。
… 『低所恐怖症』を発症してなければ、さっきの空も晴れ晴れとしたいいものだったんだろう。
■オルニス > 「そ、どうやって帰ればいいのかは全然わからないんだよね。
だからしばらくは……何かの事故で元の世界で帰るようなことでもなければ
ここに居続けることになるんだろうね、一生。
すこし、それだけは残念かな。」
ある意味、ここは鳥かごだ。
異邦人を隔離するための箱庭。
何をするかわからない、得体のしれないものを出さないための。
学園という名前の監視施設。
ここでは自由に飛び回ることだって許されない。
それがすこしだけ、寂しくも感じる。
本当は、もっと多くの場所を旅したいのだけれど。
「ふふ、魔法的意味合いとかもあるから色々ね。
こっちだと魔法はまだ一般的じゃないんだっけ……人間は大変だねぇ。
色々不自由そうで。」
此処から飛び降りるだけで、命を簡単に失うことだってできる。
ほんとうに、脆くて儚い。
「……下を見ればいろいろなものが小さく見えて、細かいことがどうでもよくなる。
私が高い場所が好きな理由の一つかもね。」
■御崎 眞 >
「… 事故何て、それこそ『大変容』の時代から起こりっぱなしみたいなものだし
それに、そう言った事を研究もされてる、だろう、さ… だから
俺たちが大人になる頃には、案外割と好きに世界の移動とか、出来るかもな」
此処に来てある意味『安心した』俺と違って、こいつが来たのは少なくとも望んでじゃないんだろう。
気落ちした… というより、少し窮屈そうにしている姿を見て、僅かな安堵を感じる俺がいた。
話している限りでは、思った以上に『人』何だな、なんて安心したからだろう。
「それに、この島だって無限に人は置いておけないだろうし、この世界を飛び回るくらいは
まぁ、願っていればいつかは出来るんじゃないか」
だからだろうか、慰めみたいな事を言ってしまうのは、初対面の相手が言うような事でも無いと思うんだが。
「俺も此処に来るまでは魔法何て本の中の出来事だったからな、一応… 此処で適正調査は受けたし
そういった授業自体は結構頻繁に行われてるから、その内適正のある科目に顔を出してみろ、とも言われたな」
魔法、そんな本の中の出来事が当たり前のように教えられている場所
常世島は一種のモデルケースって奴らしいが、此処が認められれば… そのうち魔法が世界に溢れるんだろうか?
「… それだけでどうでも良くなれるのは、それはそれで強さだと思う、けど
まぁ、一時的に忘れる位はできるかもな、人って、あんまり沢山を一度に考えられないし」