2024/11/13 のログ
オルニス > 「そうなることを、わたしは切実に願っているよ。
 いつかきっと、ここから出て……」

此処から出て、どうするんだろう。
ここ以外に元の世界に帰る方法なんてきっとないのに。
元の世界に戻りたいのかって聞かれるとそれも微妙なところではあるけれど
帰りたくないのかと言われればそういうわけでもない。
どっちつかずで、居場所がない。

「適性検査……ね、それこそ才能の世界なのはこっちでも同じかな。
 まぁ、使いたいと思ったら勉強してみてもいいのかも。
 べんりだよ、色々ね。」

自分の使える魔法は……少なくとも実践してみせるのはちょっとためらわれた。
それはきっとお互いのために。

「……そういうマコトは、何かを忘れたくて来たの?
 それとも逃げて来た?
 ここに来た時、ひどい顔をしてたでしょ?」

御崎 眞 >   
「此処から出て… 
そうだな、叶うといいな」

無責任に言いながらも、何処に行くんだろうかと思う、まぁ、何処へでも飛んでいけるんだろう。
さて、逃げるように此処に来た俺は、また何処かへと行けるんだろうか。
… 結局の所、燻っているだけなのは分かっている、分かっているけれど。
だとして、之からどうすればいいのか、家に帰る気も、打ち込むべき熱量も、今は何処にもなく。
結局不貞腐れた子供のような有様で、此処で『学生』をやっている。

「… 一番向いてるのは呪術だそうだ、あんまり、いいイメージは無いが、まぁ、先入観だけじゃ、な」

それにまぁ、昔流行った漫画の中には、呪術をメインで扱う少年漫画もあったらしいし。

「"逃げて来た"、まぁ、大したことじゃない、"明日"には直ってる、多分」

二日連続で同じ『恐怖症』に掛かった事は無い、だから大丈夫、だと思うけれど。
何となく心から湧いてきたものがあって、何とはなしに顔を向けて問いかける。
まぁ、この位なら… 世間話の範疇だろうと思いながら。

「オルニスは… 怖いものはあるか?」

オルニス > 「呪術……かぁ。わたしの世界にもあったけど、良い印象を持ってる人はそんなに多くなかったかな。
 悪い人がゾンビとか生み出すのに使う術でもあったから。
 もちろん使う人次第で良くも悪くもなるから、単なるイメージの問題なんだけどね?」

くす、と少し笑う。たしかにマコトのイメージはどちらかといえば呪術寄りかもしれない。
どことなく暗い雰囲気が少しだけある、話しているうちにそれは晴れてきている気もするけれど。

「明日には治ってる……? そう、ならいいけど。
 って、私が心配するようなことでもなかったね。」

なんて少し苦笑い。思えば怖いものなんて誰にだってあるものだ。
それはない人はたぶん、半分以上人を捨てているヒトだから。

「んー? それはもちろんあるよ。
 むしろない方がちょっと不気味じゃない?
 恐怖っていうのは本能からくるものだもの。」

御崎 眞 >   
「だろう、な… まぁ、今の俺には丁度いいかもしれないが
ゾンビ、まぁ、確かに、そういうイメージもあるかも、しれない
俺も呪い何て、聞くのはどっちかというとホラーとかだったから」

小さく息を吐きながら、少し地面を見つめる、立ち入り禁止だが、掃除はある程度されているんだろう
僅かに残った埃のようなゴミが、風に飛ばされて転がっていくのを目で追った

「別に… まぁ、心配されたのは久しぶりかもしれないけど  いやじゃぁ、無い、し…」

ただそれが『日替わり』で変わるのは俺くらいだろう
まぁ『恐怖症』関係なく怖い物、苦手なものも当然あるわけだが

「本能に訴えかけるものだから、治そうと思って治せるものでも
まして、意識すれば耐えれるものでも無いからな、程度にもよる、けど」

苦笑いする姿を眺めながら此方も小さく肩を竦めて返し、続く言葉への返答を考える
―― 確かに、それは割と、納得できる考えだ

「でも、不気味か… そう考えた事は無かったな
『怖いものなし』って響き自体は… 男なら、結構憧れるとは思うが
… 恐怖自体が無い生き物って考えると、確かに少し不気味か、物は言いよう、だ」

オルニス > 「習うも習わないもキミの自由だけどね。
 まぁ……うぅん、なんとも言えないなぁ。」

やっぱり出るのは苦笑い。
呪術にはあんまりいい思い出がないのは確かだった。

「心配してくれる人はいないの? 友達とか……家族とか。」

家族は……この島ではともかく、友達の一人くらいはいてもいいだろうと首をかしげている。

「治す……じゃなくて、耐えることならできるけどね。
 強い意志とか、想いとか。
 普段の平和なところにいるような人にはなかなかできないよ。
 なんていえばいいのかな……覚悟の結果として、克服できることはある、かもね。」

それは、一応の実体験でもあった。
それでも恐怖が消えることはない、ふとした瞬間に思い出すものだから。

「怖いものなしっていうのは、恐怖がないんじゃなくて……恐怖を知らないだけだよ。
 私はそういう人、結構知ってるし、見てきたからよくわかる。」

御崎 眞 >   
「… 授業には出てみるさ、話にも出た事だし」

こういう機会でも無ければふんぎりがつかなかったのも事実で。
何より、目の前のオルニスが苦笑いをするような内容だ、だからこそ…。
いや、だからこそ、何だろうな?まぁ、何となく『行ってみるのもいいな』と思ったのだ。

「最近、来たばかりでな、寮も一人部屋だし… 一応、担当の先生はいる」

そう言って首を振る。
嘘じゃないが、積極的に友達というものを作ろうとしなかったのも事実だった。
一方的に恐怖している、とも言えるし、色々理由を付けて教室の隅に佇んでいたようなものだ。

「強い意志… 俺みたいに平和な所で過ごしていた身には遠い話かもな」

何処か実感が籠るような声に、相手が『門』の向こうから来たことを実感する。
最も、今のこの世界も平和でない場所何て幾らでもあるんだが。
少なくとも、"ちょっと"人生に躓いたくらいの俺よりは辛い思いをした人はごまんといるだろう。

「―― そうだな」

少なくとも、俺は知らなかったからな、他人を傷つける事の、恐怖
いともたやすく他人を傷つけられるものへの、恐怖

「そういう奴に限って、『知った』後の取り乱しようは酷かったりするんだろう
小説と現実は違うからな、克服っていうのも… 本当に、早々出来るもんじゃない
簡単にできたら、それは恐怖と言う程のものじゃなかったって事だ」

オルニス > 「そっか……早くできるといいね、友達とか。」

キミには少しハードルが高いかも知れないけど。
少なくとも下を向いている、階段を上がってきた時の君よりは
少しはマシになったはずだから。
いつか交流を重ねていればできるだろう。

「取り返しがつかない……まぁそうかもね。
 でも何もできなくなるわけでもないよ。
 恐怖を知ってるからこそできることも、考えられることも増えていく。」

ふと、キミをみつめて。

「キミは恐怖とどう向き合っていきたいの?」

御崎 眞 >   
「… 友達か」

そうだな、何て簡単に返せないが、何時までもこのままでいいとも思っていない。
かといってどうすればいいか、考えて答えが出るならとっくに出ている。

「それこそオルニスも、別の世界に来たんだから『友達』は必要なんじゃない。か?
勝手が違う事も多いだろうし」

この世界の常識とかはある程度教わったかもしれないが、それを補強する相手として。
… 言ってから、まぁこいつの性格なら作るのに苦労しなさそうだな、と言う事に気づいたけれど。

「前向きな事で… まぁ、いいたい事は分からなくもないさ
恐怖の対象に合わないために、それから遠ざかるために… 必要だから考える事はあるからな」

視線に気づく、気だるげな俺よりはよっぽど芯の見える瞳だ。
その桃色を、少しだけ覗き込むようにしながら。

「向き合いたくない、と言いたいけれど、それじゃあまりに進歩が無い
だが正直、克服できるとも思っていない、だから、まぁ、何だろうな
―― 折り合いをつければ、少しは何とかなるんじゃないか」

それすらも願望だ、にしてもお互い初対面だが、随分と踏み込んだ事を言っている気はする。
いやむしろ、『世界単位で』初対面だからこそ、少しだけ吐き出せているのだろうか。

オルニス > 「友達はいるよ? ことりさんとかね。
 今のところ学校でものんびりしてばっかりだし、これと言ってすることもないのは確かかも。
 この世界の言葉や文字を学んではいるけどね
 いわゆる常識、とか。」

そうでもないとこうして外も出られない、なんて肩をすくめてみせた。
なんて冗談を一つ、嘘というわけでもないけれど、キミのいう友達とはきっとヒトに限っての話だろうから。

「折り合いをつける……か、賢い選択だと思うよ。
 逃げ出してしまったわたしとはちがって。
 ううん、排除してしまった私とは違って……かな?
 恐怖は一時的に取り除くこともできる。
 もちろんそれは根本から消え去るわけじゃないけど。
 その方法は……まぁ、今は知らない方が良いかな。」

と、あいまいに濁して見せた。
すくなくとも、この世界でも、向こうでも、ほめられたことではないのだから。

御崎 眞 >   
「… ことりさん、ね 何だ、案外退屈してるんだな、いや違うか
積極的にしたい事が無い、って所か?… なら、同じかもな」

一応勉学に打ち込んではいるが、それも結局、考える時間から目を逸らすための、積極性の無い物で。
そしてどうやら目の前のこいつも、形は違えどある意味積極性には欠けているのかもしれない。

「どうだか、消そうとして消せるなら、簡単に飛びつく気はしてるけど
それに、こういった事に間違いも正解も無いだろ、多分、自分が後悔するかどうかはあっても
結局、心の問題何だからさ… だ何て、乗り越えてから言えって話だが」

我ながらその通りだ、今でさえ、ちらりと空を見上げるだけで怖気が湧き上がってくる。
軽く額に手を当てるようにしてそれを誤魔化しつつ、吐き出された言葉を反芻して。

「そう思ってるなら、思わせぶりに言わない方がいいと思う、ぞ?
人間、知らない方がいいって言われると余計気になる(バカ)も多いしな」
オルニスは授業にしっかり出たら出たで、直ぐ人気が出そう、だし」

案外、鳥じゃなくて人に囲まれる姿を見るのもそう遠くなさそうだ、何て。

オルニス > 「間違いも正解もない……か、それはどうかな。
 間違いも失敗も後悔もあるよ、きっと。
 人は便宜上、それを失敗と認められないだけなんだ。
 しがらみとか、ルールとか、倫理観とか。
 いろんな角度から見れば、人はたとえ間違ってない選択であっても間違いであると指摘できる動物なんだから。」

そう、例えば。
食べるために生き物を殺すことを是としない人間、とか。
たまにいるって聞くし。
人間が人間を殺さないことだって、ルールと倫理に縛られているに過ぎない。
必要以上の危機感が存在すれば、いともたやすくそれを乗り越えてしまう。
それを罪ととらえるか、そうでないかは周りが決めることなのだ。
心だけの問題ではない……かなしいけれど、それはどんなことにだって言える。
恐怖心を乗り越える方法にも、当然として。

「思わせぶりって、なんの話?」

御崎 眞 >   
「… それは」

何か言い返したい気もするが、思い当たる節は幾つもあった。
自分を正当化するため、或いは誰かを庇う為、白を黒、黒を白と言うなんて良くある話で。
冷蔵庫のプリンを勝手に食べたのに『名前が書いてなかった』何て詭弁から。
正当防衛と過剰防衛の間のようなデリケートな問題まで。

「オルニスは、『そういうの』は嫌いか?
まぁ、しがらみ、倫理… 鳥にそんなものはないだろうしな
鳥には鳥のルールはあるんだろう、が」

結局、そんな簡単な返しに落ち着く… 何故だか少しだけ悔しい。
もう少し大人であれば、折り合いを付けれるくらいの返しは出来たんだろうか?

「何の話、って… そりゃ、『今は知らない方がいい』
これだけで大分気になるもんなんだよ、俺くらいの世代だと
そりゃまぁ、初対面同士、言う気が無い事も多いだろう、が」

言外に、自分も気になっているって事を明かしてしまった。
他でもこんな感じに話しているんだろうか、まぁ、ミステリアスとも言える、けど。
俺が気にし過ぎな所もあるんだろうか?

オルニス > 「どうだろう。
 人間らしさは感じるけどね。
 嫌いとか、好きとか、そういう問題じゃないかな。
 必要な時もあれば、嫌悪感を感じることもある。
 理性と知恵を持つ生き物であればだれもが抱える葛藤でしょう?
 わたしは鳥にちかくても『ヒト』の一部だよ。」

ほんの少しため息をつく。
野生の鳥と、目の前にいて話しているヒトを一緒くたにするなんて、と。
まぁ、気持ちはわからなくもないけれど。
彼らにしてみれば、得体のしれないものに変わりはないんだから。

「……気になる、ね。
 誰でも思いつく方法だよ、だからこそ誰も口にしないし
 めったなことじゃ実行しないし、できない。
 わたしも、あまり口にしたくないから
 この話はこれでおしまい。」

しーと、ひと差し指を唇に立てて。

「何でも教えてもらえると思っちゃ、だめだよ?」

なんて、ウィンクを一つ。

御崎 眞 >   
「… 悪い、そうだったな」

此処まで話していた相手があくまで『人』に近くある事に安堵していたのは俺自身だったから。
今感じている不快感に似た感情は、恐らく自身への嫌悪に似たものだろう。
本当、子供っぽいな、俺、もう15だって言うのにさ。
ため息をつきそうになり… 飲みこむ、ため息を返しあうのは、流石にちょっと勘弁だ。
代わりに空を見上げ、吸い込まれるような感覚に身を浸す。
自身への嫌悪感が空への本能的な忌避感に上書きされ、ぐるぐると渦巻いた。

「っ… ふ、あぁもう、分かった分かった、まぁ、その調子なら
変な奴に絡まれても大体適当にあしらえそうだな」

例えば俺とか、何て口にはしないが… 正直、此処まで長く話したのは、何か月ぶりだろう。
ウィンクした顔と仕草に、ドキッ、としたものを感じたのも、女子と話すのも久しぶりだから…。
いや、どうだろう、流石に聞くわけにもいかないが、性別も今一分からないな、オルニス。

「話したくない事は聞かない、それこそ、根掘り葉掘り聞きだすような奴は余り好きじゃないしな」

オルニス > 「うんうん、今はそれがいいよ。」

私たちはまだ出会ったばかりで、お互いのことを何も知らない。
知ろうと思う段階にすら入っていない。
ちょっと長話をしただけの、たまたま隣の席に座っただけの同級生、みたいなものだ。

もっと言えば、キミにとっては興味深い転校生というべきなのかもしれないけれど。

「……話題もつきちゃったし、そろそろわたしは行こうかな。
 まだまだ行っていない場所がたくさんあるから、探検したいしね。
 マコトはもう少しここにいるんでしょ?」

後手に手を組んで、踵を返して一歩二歩、屋上の出口へ大股でゆっくりと。
ステップのような、小鳥が枝の上を跳ねるような、そんな仕草で。
ふわりと外套がゆらめいて、それからキミに振り向いた。

御崎 眞 >   
「そうだな、それでいい」

… 距離感を掴むのが上手い、と言えばいいのか。
それとも、まだその段階にすら入れていないといえばいいのか。
何と言うか、掴みどころがないな、と思うあたり、まだ鳥のイメージに引きずられている気がする。
それでも、ここ最近では一番、退屈では無かった時間だった、かもしれない。

「… あぁ、下が落ち着くまでは、いるよ
探検はいいけど、此処と違って本当に危ない場所もあるらしいから」

一応気をつけろよ、だ何て言うのは余計なお世話だろうか。
まぁ生徒たちの姿はまばらになったが、念のためもう少し此処に残ろうと思う。
折角気分がマシになったのに、帰り路また眩暈がするのは勘弁願いたい。

下がっていくその姿をみながら、軽くひらひらと手を振る。
登ってきた際は陰鬱そうに見えた瞳も、今は幾分かマシな光を宿しているだろうか。
やや猫背な姿勢を少し正すようにしながら、去り行く鳥人に一つ、声をかけ。

「まぁ、なんだ… またな、オルニス」

… ほんの少し、名残惜しそうな声が滲んでしまったのは、自分でも正直意外だった。

オルニス > 「うん、またねマコト。
 大丈夫だよ、鳥は警戒心が強いからね。」

なんて冗談を一つこぼしてから、ひらひらと後ろ姿のままに手を振って。
屋上の扉を開けてその奥へと消えていった。

「青春してるねぇ、この街の人たちは。」

なんて、くすりと笑いを浮かべた声がキミに届いたかは……彼女の知るところではないだろう。

ご案内:「大時計塔」からオルニスさんが去りました。
ご案内:「大時計塔」にオルニスさんが現れました。
ご案内:「大時計塔」から御崎 眞さんが去りました。
ご案内:「大時計塔」からオルニスさんが去りました。