2024/09/22 のログ
ご案内:「常世博物館-中央館-古代エジプト文化展示」に緋月さんが現れました。
緋月 >  
中央館、古代エジプト文化展示の宗教展示コーナー。
その一角にある、特別展示エリア。

そこに、暗い赤の外套(マント)に書生服を着込んだ少女の姿があった。
椅子の1つに腰を下ろし、少し難しい顔で腕組みをしている。

「…………。」

以前のように、悩みを抱えて来ている訳ではない。
単純に、考え事をしたくて、この場所を借りているのだった。

「………ふぅむ。」

あまり明るい方面ではない方の知識を絞ったせいで知恵熱が少し出たのか、軽くため息をつく。
何とかの考えは休むに似たり、というが、どうしても引っ掛かったものが外れる気がしない。

「……空気を読んでくれてるのか、静かなのはいい事なんですけどね…。」

また、軽く首を捻りながらため息。
 

緋月 >  
――考えているのは、先日突然倒れたある教師の事。
何しろ、少女の目の前で起こった出来事である。
どうしても頭から離れないというのもあった。

「それに……。」

まるで、自分に伝えるように残した、あの4文字からなる謎の単語。

(第二方舟、か……。)

口伝えではなく、指での書き文字で伝えた単語だ。
下手に口にする程、少女は危機感に欠けている訳ではない。
同時に、誰かに相談するという手立てを簡単に使えないという事に、多少の歯噛みはあるが。

「……あーちゃん先生…。」

思わず口から言葉が漏れる。
あの後、病院に運ばれた教師が気になって向かったのはいいが、
面会謝絶との事であえなく回れ右と相成った。
単語も謎だが、彼女の容体も気にかかる。

――テンションは兎も角として、気軽に自分に接してくれる人のひとりだ。
気にならない訳がない。

「……ホントに、大丈夫でしょうか。」

心配になったためか、ついため息。
暫くは、ため息が多くなりそうな気がする少女だった。
 

緋月 >  
「………やっぱり、こういうの、私には向いてないですね…。」

ため息と共に、席を立つ。
首を軽く動かせば、くきり、と小さな音。

「兎に角、何かが動くのを待つしかないですか。
我ながらもどかしいですけど…待ちも、大事な一手、か。」

椅子の近くに立てかけておいた刀袋を取り、展示されている8つの
遺物に、まるで話しかけるように小さく声をかける。

「すみません、気を使って貰ったみたいで。
気を使って貰ったついでに、もしまた来たら、少し考え事の時間をくれれば助かります。」

ほぅ、と小さく息を吐くと、小さく足音を立てながら書生服姿の少女は
展示コーナーを後にする。

残るのは、ただ、静寂だけだった。
 

ご案内:「常世博物館-中央館-古代エジプト文化展示」から緋月さんが去りました。