2024/11/09 のログ
ご案内:「常世博物館-中央館-古代エジプト文化展示」に蘇芳 那由他さんが現れました。
蘇芳 那由他 > ここに来るのは…自身が持つ死神の神器の一つに所有者として選ばれて以来だろうか?
常世博物館の中央館――古代エジプト文化展示会の一角。
とある朽ち果てた遺物達が展示されいる場で足を止めた。

「……えぇと……お久しぶりです…?」

遺物達を眺めつつ、一応そんな挨拶をしつつ小さく会釈をする学生服姿の少年。
平々凡々な容姿、肌が色白なのと目が死んでいる以外に特徴的な所は特に無い。

挨拶の返事は当然帰ってこない…が、神器の所有者だからか、彼ら(?)の意志みたいなのは朧気に感じ取れる。
最も、既に自分は所有者なので彼らの意志は感じ取れてもハッキリ”聞こえる”訳ではないが。

(…そもそも、僕の質問とかに応えてくれるのかな…?)

今日はちょっと質問というか相談があって、神器たちの元を訪れてみたのだけれど。

ご案内:「常世博物館-中央館-古代エジプト文化展示」に緋月さんが現れました。
蘇芳 那由他 > 「…えーと…実はですね…ちょっと貴方方にご相談と言いますか、助言が欲しいと言いますか…。」

低姿勢なのは何時もの事だが、そもそも展示品にかしこまって話し掛ける少年も他の人達から見れば変人でしかない。
幸い、今は人気も疎らだから目立つことは無い。一応その辺りは少年も見計らってはいた。

「…神器の力の応用と言いますか…所有者次第とは聞いているんですが、応用の幅を広げるにはどういう感じにしたらいいのかと…。」

と、問いかけてみるが返事は無い…いや、返事ではなく。

『『『そこの【槍】に聞けばいいだろう』』』

という、そこにある神器ほぼ全てから同じツッコミの思念を感じた。…あ、ハイごもっともです…。

約1名…1名?矢鱈とおしゃべりな方が居るのか、矢継ぎ早に思念を感じるが全く聞き取れなかった…。
まぁ、こういうのは”雇用主”に聞くのが一番なのだが、彼女も色々と多忙そうだから少年なりに考えた結果。

『だったら他の神器達にアドバイスを貰おう』という結論になった…結果は御覧の通りです。

緋月 >  
こつりこつりとフロアにブーツの足音を響かせながら、博物館を歩く人影。
暗い赤色の外套(マント)に書生服、腰には刀袋の少女である。
左の頬に大きな絆創膏をひとつ貼り付けているが、割と元気そうだ。

「……偶には此処に顔を出すのも悪くはないでしょう。
あまり拗ねた声を出さないで下さい。」

小さく独り言を呟きながら、人気の少ない展示エリアへと歩いていく。
偶には用事その他などを考えず、休む時間の一つも取った方がいいだろうと選んだ博物館。
静かにしていれば心も安らぐだろうし、連日の訓練の生傷の自然治癒にもよいだろう。
どうせ普段は誰もいないのだし。

――という予想は、ばっちり裏切られる事になる。
目的のエリアから感じる人の気配と喋る声。
…主のようにしているあの少女ではない。
他の関係者か、あるいは相当な暇人が迷い込んだのだろうか。

「……だれかいるのですか~…?」

小さく声を掛けながら、展示エリアに足を踏み入れる。
 

蘇芳 那由他 > 「…いや、実はうちの神器は偏屈というか、こっちを助けてはくれるんですが自発的に使い方や応用を教えてくれる訳ではないので…。僕もあれこれ試行錯誤はして――…。」

と、少し愚痴交じりになりつつも、諦めずに神器達に助言を貰おうと粘ろうと…した所で気付いた。
正確には、呆れた【槍】が少年に知らせてくれたというのが正しい。
その時、丁度声を掛けられてそちらに「え?人?」という感じで顔を向けて。

「あ…ハイ、居ます……って。」

見覚えのある知己の姿に、僅かに死んだ瞳を丸くして。「緋月さん?」と、首を傾げつつ。
ただ、すぐに我に返り「あ、どうもこんにちは」と慌てて挨拶をしておこうか。

見た感じ、彼女は元気そう…左頬に大き目の絆創膏を貼っているが、鍛錬か手合わせでもしたのだろうか?
少年の方は、あちらの記憶にあるであろう姿と特に何も変化はない。雰囲気も同様だ。

緋月 >  
「あ、那由他さん…。」

確か、最後に顔を合わせたのは夏の氷柱割りの催しだった気がする。
あの頃から特に変わりはない様子ではあるが。

「どうも、こんにちは。こんな人気のない場所に――――と、そういえば…。」

思い出す。確か、あの氷柱割りの催しの際に「神器の力」を使っていた筈。
……そう、うっかり忘れる所だったが、神器の「所有者」という意味では、全くの無関係という訳ではない。

「こちらに来られたという事は…椎苗さんに何かご用かお話でも?
今は……居られないみたいですけど。」

軽く気配を探るが、自分と眼が死んでる少年、それに8つある見た目ボロボロの
姿をした神器以外の気配は、全く感じられない。

――そう、「8つ」。
少年がそれに気づいているかは分からないが、今此処にあるボロボロの遺物…主なき神器は8つ。

ひとつだけ。
かつて砕けた仮面のような残骸であった遺物のみが姿を消している事に、気が付くだろうか。
同時に、決して強くないが、この場にある遺物たちと同じ気配が書生服姿の少女の「内側」に在る事も。
 

蘇芳 那由他 > 「あー…その…えーと…。」

どうしよう、まさか「ちょっとここに展示されている神器達に助言を伺いに…」とか言ったら頭のおかしい人扱いされかねない…と、思ったが。

最後にお会いした氷柱割りのイベントの時に、忠言と共に「先輩」呼びされたのを思い出す。
そうだ、彼女も神器の――…と、思った所で【槍】に促されて視線を一度展示ケースに。
ひぃ、ふぅ、みぃ――8つ。…8つ?確か9つだった筈では。一つ足りない…と、漸く気付いた。

「…あ、椎苗さんは色々とご多忙そうなので…あの人に相談しようかとも思ったんですが…。」

と、答えつつも何か”違和感”。【槍】に促される事も無く、今度は自分自身でそれに気付いた。
…彼女の『内側』に微かに感じる、神器と同一の気配…らしきもの。

改めて、展示されている神器を一瞥する……記憶の中と照らし合わせると、…仮面の残骸らしき遺物が無い。

「…緋月さんも…確か神器所有者…あ、違った…えーと、継承者の方でしたっけ?」

所有者と継承者の違いはあの幼女さんから聞いている。ただ、彼女の神器が今はどういう状況なのかは流石に分からない。

緋月 >  
「あー……。」

継承者の件の話を耳にすると、少しばかり気まずげに目をそらす。
少し口ごもってから、ちょっと詰まり気味に言葉を。

「その、実は……ですね。
継承者、ではあったのです。以前は。

……経緯は伏せますが、使徒として「やってはならない事」を行ってしまって。
その時に、使徒としての資格を取り消されて、一度御神器も椎苗さんにお返しして。

暫く前に、手元には戻って来たのですが、その…私が継承した神器…埋葬の仮面は、私との対話が
少し深すぎたようで…自我というか、「個の意識」を持ってしまったんです。」

其処まで口にしてから、大きく一息。

「その為か、神器としての資格を喪失したそうで、今は力の殆どを無くしていて。
出来るのは霊視や、死者の判別位、だと。

なので、私とこの子……埋葬の仮面との今の関係を敢えて言葉にするなら、「友人」、でしょうか。」

詳しい事情は椎苗さんに聞いて下さい、と話し終え、気まずそうに視線を彷徨わせる。
残り8つの遺物からは何と言うか、色々な感情が飛んでくる。主に生暖かい雰囲気が多めだ。

尚、相変わらず声が激しい某神器についてはこちらもスルーの構え。
 

蘇芳 那由他 > こちらの何気ない質問に、若干気まずそうな様子を見せる少女に「あ、これは触れてはいけない事だったかも」と内心で後悔。
それでも、詰まり気味ではあるが事情を掻い摘んで話してくれたので、ふんふんと真面目に耳を傾けて。

「…何というか、短期間で波乱万丈な事になってますね…けれど、個の意識…ですか…。」

今、自分が【槍】と意思疎通しているそれとはまた違うものなのだろうか。
個の意識…彼女が継承した【埋葬の仮面】そのものにハッキリとした固有の自我が目覚めたという事なのかも。

「…いやぁ、それだけ出来れば普通に僕からすれば凄いと思いますけど…。
それに、友人関係というのは少し羨ましいです。僕の方はどう頑張っても神器と所有者の間柄でしかないので。」

ちなみに、少年の中の【槍】は少々偏屈な気質なのか、【仮面】に向けた感情は淡々としたものだ。
ただ、特に責めるような気配もなく…むしろ、矢鱈うるさい思念をこちらと少女に飛ばしてくる某神器の方をうるさがっていた。

「…あ、でもそうなると【埋葬の仮面】さんにも挨拶をしておかないといけませんね。
…初めまして…ではないですけど。緋月さんの知人で【破邪の戦槍】の所有者をやっている蘇芳那由他…といいます。」

と、緋月さんに向けてまた会釈を。正確には彼女の内側に居るであろう仮面さんへと向けて。

緋月 >  
「羨ましい、ですか……。
そう言って貰えるのは、ええ、少し嬉しいですが…辛い事もありますよ。
先程言った「やってはいけない事」の件で椎苗さんから罰を受けて、仮面(この子)をお返しした時は…
正直に言って、かなりつらいものでした。

数日ばかり、それこそ精神に穴が開いたような気持ちでもありましたし。」

継承者として、同時に友人として。
共に過ごした時間が長い程、別離の時は辛くなる。
――最期に訪れる安らぎの時という別れを迎えた時、内に在る者は、己が世を去る事を悲しむのだろうか。

考えても詮無い事、と思考を打ち切ると改めて少年との会話に戻る。

「ああ、大丈夫ですよ。顔は知ってるみたいですし、私の記憶から那由他さんの事も理解してるみたいですし。

――そういえば、今日はどうしてこちらに?
神器関係のお話でしたら、椎苗さんが居れば良かったんですけど…。
私にどうにか出来る問題かも分かりませんし。」

間違いなく一番神器に詳しいのは、あの小さな先輩だろうから。
まあ、いないものは仕方がない。

蘇芳 那由他 > 「…友人と別れるというのはとても辛い事だと思います。
繋がりが深い程、多分心にぽっかりと穴が開くみたいな…。」

多分、その時の彼女はそんな感じだったのだろうな…と、少年には推測する事しか出来ないけれど。
彼女と仮面の間の絆は彼女たちにしか分からないものだ。
幾ら同じ神器関係者とはいえ、そこは自分なんかが勝手にどうこう思いを巡らせてはならない。

――もし、自分がこの【槍】や世界と別れる時が来たら…自分は何を思うだろうか?
…まぁ、この【槍】はあまり悲しんではくれないだろうなぁ、と内心で苦笑気味に思いつつ。

「…そうですか。まぁ、一応こういう挨拶は大事かなぁと思いまして。
…あー…いや、神器の力の使い方…と、いうか応用を広げるにはどうしたらいいのかな、と。
椎苗さんに聞くのが確かに手っ取り早いんですけど、先に話したようにあの人もあの人で多忙そうなので。
僕の中の【槍】は、基本的に偏屈なので助言すらまともにしてくれませんし…。

…なので、まぁ…お恥ずかしい話ながら、ここにある残りの神器達に助言を貰えたらなぁ…と、今日ここに来た次第です…。」

「…僕自身は、残念ながら『凡人』なので…最低限の自衛すら満足に出来ませんしね。」

今度は少年の方がバツが悪そうに死んだ瞳を逸らす。
まさか他の神器にそんな事を聞きに来るのは、歴代の所有者や継承者でも殆ど居なかっただろう。

――彼女と違い、少年自身には戦闘能力も自衛手段も無い。…だからこそ、【槍】の力の引き出しの幅を広げるのは割と生命線なのだ。

緋月 >  
「御神器の力の使い方の応用、ですか……。」

概ねの概要を掴んで、少し思案顔。
自分も当初は似たような所で悩んでいた。
少し首を傾げ、実体験から考えるように言葉を選んで口を開く。

「私の場合は、もう…実地で何とかしていましたね。
時間があれば対話を行って、一体感…みたいなものでしょうか、それを高めたり、
外に出ては何かしらの形で迷って、この世に留まっている霊などを見つけてみたりで。

……とは行っても、那由他さんもそういった事はもう実践したりはしているのですよね?
私より先に御神器を手にした訳ですし。」

そう、これはもう神器の力を引き出す基礎訓練みたいなもの。
自分は兎に角それを繰り返して、スムーズに力を引き出せるレベルに純度…みたいなものを高めていった。
――当初の目的、神器の力を求めた大きな理由もあったのだが。

「…其処については、もう、自己鍛錬しかないですね。
私も一朝一夕に剣技を得た訳ではないですし、身体を鍛える事は今でも定期的にやってますし。」

でないと直ぐに体が鈍ってしまう。
長期入院などした時は、鈍った勘や諸々を取り返すのがそれはもう大変だった。

「後は――当てになるか分からないですけど、「訊いて」みますか?」

とんとん、と、胸元を軽く叩きながらそう訊ねる。
つまり、神器の事は神器に聞け、と。
力の殆どを失ったので、当てになるかは…分からないが。
 

蘇芳 那由他 > 「…実地…僕の場合、椎苗さんにアルバイトとして雇われて、一応彼女のお仕事の手伝いとか…。
後は、祭祀局の方とも縁が出来まして…ボランティアであちらの手伝いとかしてますね。」

其の為、怪異、幽霊、妖怪などへの対処の実体験自体はそこそこ積んでいる。
ただ、少年の場合は所有する神器の特性的に、そういった存在に特効効果があるのが大きいかもしれないが。

其の為、基礎的な力の扱い方は少年も一応は出来ている。それでも彼女ほどスムーズかは分からないが。
自己鍛錬については、「ですよねぇ…」と嘆息。一応、地道に筋トレやジョギングなどはしている。
ただ、見た目で分かる通り別に筋肉質でも鍛えた者特有の所作や気配も無い。
あくまで、凡人に毛が生えた程度…少年の現時点での地力はそんなものだ。

「…え?いいんですか?……じゃあ、折角ですしお聞きしてみていいですか?」

少年は別に強さを求めてはいないし、目的もこれといって無い。
だけど、最低限自分を守れる力は身に付けたいし…己を鍛えていても、おそらく全然足りない。
今後、自分や知人友人が危機的状況に成ったら少しでも何か出来る程度には己も神器の力も鍛えたい。

例え、【埋葬の仮面】に力が殆ど失われていても、同じ神器の視点から何かプラスになる情報が聞けるかもしれない。
少女の申し出に、少し戸惑いつつも頷いてお願いしてみる少年で。

緋月 >  
「分かりました。多分、この子なら私より御神器について詳しいでしょうし、
助言も……多分、くれるとは思います。
では少し失礼をして――」

大きく息を吸って吐き、全身の力を緩める。
スムーズな「交代」はまだまだの為、こうして緊張と気を緩める必要があるのだ。

――少年からすれば何しているのだろう、と思われるかも知れない。
だが、直後、確実に変化は現れる。

最初は気配。つい今しがたの少女とは違う硬質な気配に。
それが「神器の気配」と同じものだと理解するのに、さほど時間はかからないだろう。
 

緋月 >  
続いて髪の毛。
グレーの髪の色がより薄くなり、白に近い灰色へと色を変えていく。
目を見開けば、一瞬青白い炎が双眸に揺らめき、赤いはずの瞳は緑を帯びた青色に。
最後にひょい、と頭の上方から犬…にしては尖った耳。狼の耳が飛び出し、
更に後ろ腰からは長い毛並みの尾が姿を見せる。

「――成程、お前が今代の「槍」の所持者か。」

その声色は確かに少女のものだが、響きがまるで違う。
別人に入れ替わったのかと思う程に。

「元、とはいえ、こうして神器として顔を合わせるのはこれが初か。
再度名乗って置こう。我は「埋葬の仮面」、其処に生まれ宿る意志。

今は「朔」と名乗っている。そう呼ぶがよい。」

言葉を選ばなければ、割と上から目線と言える言葉遣い。
 

蘇芳 那由他 > 「はい、助言が無理でもお話を聞けるのは良い機会なので…。」

自分が所有する神器以外だと、彼の幼女さんの赤い大剣くらいしか少年はあまり知らない。
だから、他の神器の意見を聞けるのはとても有難いし為になると思う。
と、何やら深呼吸をして全身を弛緩させていく彼女の様子に不思議そうに瞬きを。
よく分からないが、おそらく準備的なものが必要なのだろうと素人ながら察して静かに待つ。

「……!?」

少年ですらハッキリわかる程に気配が変化する。…何処となく硬質な、異質の気配。
ややあって、それが細かい所は違えど同じ「神器の気配」だと気付く。

(これが…【埋葬の仮面】…さんの気配…)

体は共有している状態なので、二重人格みたいなものなのだろうか?
ともあれ、明らかに先ほどまでの彼女とは全く違うソレに自然と居住まいを正す。
少年の中の【槍】はと言えば、反応は僅かにあるが相変わらずダンマリを決め込んでいた。

(…神器の気質はそれぞれ違うみたいだけど、もう少しうちの神器さんは何とかならないかなぁ…)

椎苗さんや緋月さんの神器を見習ってほしい…あの何か矢鱈騒がしい某神器さんは勘弁だが。

「……って、外見も変化するんですね…。」

髪の色が薄くなり、白色に近い灰色に変化…開いた目は一瞬、青白い炎が瞳に揺らめき、赤い筈の色彩が青になっている。
更に、頭には犬…狼?の耳がぴょこっと飛び出しており…最後に、腰の後ろから長い毛並みを持つ尻尾が出現。

「――あ、ハイ…蘇芳那由他…です…。」

さっき名乗ったし、仮面さんはこちらの事もある程度は知っているから無意味な名乗りだろうか。
それでも、彼?彼女?の気配に気圧されて自然とまた名乗って会釈していた。

「…朔さん…何というか、僕みたいな素人でも分かるくらいに気配も姿も変わるんですね…。」

二重人格どころではない。肉体にも変化が及ぶのは一種の変身だ。
これが――ハッキリと固有の自我を持つに至った神器の姿なのか。
ちなみに、上から目線じみた硬質な言い回しは、某幼女さんの毒舌とかで慣れているので全く気にならない。
そもそも、こちらが助言を頂く立場なのでそこを気にしてもしょうがない。

緋月 >  
「不思議はあるまい。我は「埋葬の仮面」。
仮面とは本来、姿を変える為の道具。なれば、我が表に出た際に姿が変わるのは道理だ。」

道理が通っているのだかいないのだか、少しつかめない物言い。
とは言え、本人がそう言うのだからそういうものなのだろう。

「姿については――この姿が我にとって最も楽な姿だからな。
少し無理をすれば我が盟友の姿を取り直す事も出来なくはない。

だが、そのような擬態は…言ってみれば窮屈な服に無理やり身体を押し込むようなものだからな。
多少の気の緩みや油断で直ぐにボロが出る。」

つまり、表側に出る為に一番楽な姿がこれ、という事らしい。
腕を組みながらそう話しつつ、尻尾がゆらゆら。
――とても触り心地が良さそうである。

「さて――概ね話は聞いていたが…何しろ半分寝ていたからな。
確か、「我等」の力の使い方の広げ方、だったか。」

半分寝ていたらしい。その割に寝ぼけている様子はまるでないが。

「…その前に敢えて訊ねて置くか。
お前は「槍」とどういう関係であれば良いと思っている?

心通わす相手か、あるいは飽くまで「力」を借り受け、貸し与える関係か。
それ一つで、取る道も異なって来る。

過剰に心を通わせる事は――我の件もある。あまり勧められん。
だが、「共に在る」事を目指すなら…其処には「信頼」がなくてはならぬだろう。

逆に――「力の貸し借り」の関係ならばより単純だ。
「槍」の意志を屈服させろ。お前がその力を振るうに相応しい主だと「納得」させてみせろ。」

初手にして中々に過激な二択を迫っている気がする。