2024/05/28 のログ
橘壱 >
眼鏡をくいっと指先で上げ、顔をしかめる。
「一応僕は風紀委員です。
組織に所属する以上は、その決定には従います。」
跳ね返りではあるものの、そういった分別自体は付いている。
ただの自信家の跳ね返りではない。そうでなければ、組織に所属しようとも思わない。
続けてそう言われれば、待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑う。
「決まっています。僕はAF……パワードスーツを使うために此処にいる。
僕とフリューゲルを奮い立たせてくれるような、そんな相手に興味があります。」
そこに区別も分別もない。
闘争のためのマシンである以上、その使い道は決まっている。
だからこそ、それに相応しい相手を常に求めている。
より高く、より強く。何処までも上り詰めるにあたって、踏み潰せる相手にこそ価値があるのだ。
喜々として語る姿は、ある意味純粋ではあった。
甘みをもう一口と流し込めば、軽くトランクを見せつけるように揺らして見せる。
「……身内同士の争いはご法度でしょうが、風紀委員の中にも、それに相応しい人間がいるならば興味はありますね?」
「アンタがそうかは、知らないですけど。」
伊都波 凛霞 >
おお…はっきりそう口にした。
無愛想だしつっけんどんな返答だけど、分別はしっかりしてる…。
ちょっと感心。十代の少年でちゃんとそう思える子って案外いないもの。
「え…ええと…AF…?ぱわーど、すーつ…?」
唐突に出てきた単語にぱちくり。
あまり馴染みがない、というか初耳かも。
トランクのアピールに視線を向ければ、それがそうなのだということは理解る。
「なるほど…」
「風紀委員は色んな枠組みで実力のある子がいっぱいいるから、
演習や訓練だったら意欲的に応じてくれる子もいるかもしれないね?
私?うーん…私、強そうに見える?」
アンタが、と問われれば苦笑して見せる。
別に実力を隠してるわけでもないけれど、他者に興味がないと断じる彼には、自分の噂なんかも届かないだろうと。
ちょっととぼけて見せる。
橘壱 >
「アサルトフレーム。非異能者向けのパワードースーツ。
……まぁ、要するに着込んで使える万能メカと思って貰えれば……。」
このご時世にパワードスーツで通じないのか。
ちょっと呆気を取られたが噛み砕いてわかりやすく説明した。
これだから素人は、と言わんばかりにちょっと呆れ顔だったのは言うまでもない。
「敢えて、"夢"を口にするのであれば実戦。
本当に戦うことに意味がある。……まぁ、叶わないから夢なんですけどね。」
訓練や演習なんてものは文字通り、飽くまで練習に過ぎない。
それはそれでありがたいが、AFの実用性を示すのは実戦でしか無い。
それこそ、まさに身近にいるモデルであることには違いない。
心奥底に留めている狂犬にはしっかりと鎖を繋いでいるのは、少年の理性と見て取れる。
強そうに見えるか。
そう言われるとじっとレンズの奥からまじまじと相手を見やる。
「……見かけで判断するのはナンセンスです。
が、敢えて評価をして見るのなら……。」
「────おっぱいが邪魔そう!!」
ビシッ!と指を指してしっかり一言。
どんだけ跳ね返ろうが17歳。しっかり思春期の17歳────!!
伊都波 凛霞 >
「パワードスーツ自体は知ってる。そんなに浸透してるものでもないと思ってたけど。
へぇー…非異能者向けの……」
それがケースで持ち運びできるのかーすごい時代だなあ、なんて思ったりもする。
そして、その一言で眼の前の彼が異能を持たない…非異能者であることも理解ってしまった。
……なんか、香味のあることを聞いた時の表情だったり、今の呆れたような顔だったり。
案外と表情豊富。単に周りを拒絶してるわけではなくて、本当に興味がそれにしか向いていないんだ、と。薄く理解…。
「実戦はなかなか、ね。危険も伴うものだから。──………」
少年が指さした先。
同性も羨む魅惑のたゆんである。
邪魔そう?いやあそりゃあ邪魔じゃないかどうかで言われれば邪魔だけど?
ぐしゃっ。
手元の紙カップが潰れた。
良かった、飲み終わった後で。
「──そろそろ会議再開の時間かな。あーいそがしいそがし」
露骨。
立ち上がってうーんと伸びて、ゴミを屑籠へ。
パシィーンッといい音がした。
「こう見えて案外邪魔にはなんないんだよ?それじゃね、橘くん」
終始、彼女は笑顔であった。
手をひらりと振って階段の先へと去っていくその去り際までも──。
その笑顔に圧を感じたかどうかは、少年の感受性次第だっただろうか。
橘壱 >
「あの大変容から科学さえ目覚ましく発展した。
まぁ、必要ない力を持っているのであれば、そういう意見にも成りますね。」
持たざるものが持てる力の一つ。
絶対にたどり着けない才能を穴埋めし、より高みへと臨むための翼。
……わかりはしないだろう、この感情は。
だからこそ、表に出しもしない。腹の底に渦巻く黒い感情を。
レンズの奥底に座る視線は、無意識に冷ややかなものだった。
「そうっすか。では、僕もフリューゲルのチューニングをしたいので。
もし一緒になることがあれば、精々僕の邪魔だけはしないでくださいね。」
意外とあのデカさでも邪魔じゃないらしい。
それは知見を得た。なんだか急に不機嫌そうになったな。
……そう感じる辺りデリカシーなど皆無なのは間違いない。
そのなんだか妙な圧のある背中を見送れば、不思議そうに首を傾げた。
「……更年期か?何が気に入らないのやら……。」
言うに事欠いて此れである。
聞かれていたのならば眼鏡が割れていたに違いない。
やれやれ、と思いながらジュースを飲み干し、缶をゴミ箱へ投げ捨てればその場を後にした。
ご案内:「委員会街」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「委員会街」から伊都波 凛霞さんが去りました。