2024/06/18 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁-ロビー」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 「ふむ…退屈だ」

尻尾を揺らしながらロビーに佇む一匹の狐。
白色の明りに照らされた室内で、落ち着きなくうろうろと歩き回る。
尻尾は気の入っていない緩やかな揺れを繰り返す。

「なぜこうも閑散としているのだ。これではつまらないではないか」

風紀の本庁。普段からにぎやかという訳ではないが今日は人が少ない。
そもそも日の落ち切った比較的暗い時間だというのもあるが、それにしても少ない。
特に、見知った顔が少ない!

「…仕方がない。後回しにするつもりだったコレでも読むとするか」

そこら辺のソファーに腰掛け、尻尾をかざす。
そして尻尾の影に手を突っ込み、取り出したのはタブレット。
普段から持ち歩いているオフラインのタブレット。これには(監視対象)でも知っておくような事が記されている。
先ほど定期報告の際に最新の情報をアップデートされたのだ。
後回しにするつもりだったが、暇潰しすらままならない状況だというのなら、適当に読んでおくか。

ラヴェータ > 「ふむ、落第街とスラムに危険な怪異が出没か
それに加え魔人が出没し怪我人多数か…」

タブレットを適当にスライドし、情報を閲覧していく。
狐は第一級監視対象であるのにも関わらず行動規制がかなり緩い。
なんなら、スラムや落第街への出没すら禁止されていない。
正しくは、禁止できないのだが、それは兎も角。

「興味はあるが、相対するのは避けたいな。どちらも今の私では手も足も尻尾も出ん」

とはいえ、禁止なぞされなくても自ら危険に晒されたがるような趣味は持ち合わせていない。
風紀の方もそれを分って、こういう情報を提供してくれている。

「それにしても、魔人なぞと呼ばれているとはな。
とうに捕縛されていると思っていたのだが」

多数のロボットアームと装甲を持ち、人を襲う魔人。
その特徴は、以前影の中から見たあの不審者と同じ。
恐らく、同一人物だろう。

「この島の風紀がてこずる魔人か…一体どれほどの輩だというのだ。」

魔人テンタクロウの項目をタップし、詳細な情報へアクセスする。
普段はここまで見ないのだが、興味が湧いた。

ラヴェータ > 「歓楽街、渋谷、異邦人街、果てには学生街に出没か
これではどこにも行けぬではないか。随分と恐れを知らぬとみた。
この島でそれ(・・)がどれほどの意味を持つか、わかっておらんのか?」

出没箇所をざっと流し読み。
スラムやら落第街やらに現れる犯罪者は多いが、正規の住民が住まう場所にまで出張してくる犯罪者は稀だ。
この島の風紀と公安は決して無能ではないし、落第街の住民(存在しないモノ)ならまだしも、正規の住民に手を出せばタダでは済まない。
それを分っている者は、そうそう表には出てこないし、それこそ学生街なぞ真っ先に除外される地域だ。
そこに手を出したという事は…

「いや、分かっていて手を出したという事も考えられるな
ふむ、そうなると随分と話が変わるな」

顎に手を当て、足を組む。
器用なバランスでタブレットを太股に乗せ、片手でタブレットの操作を続行する。

ラヴェータ > 「先の見えぬ愚かな無法者ではなく、目的を持った計画犯。
存在しないモノ(落第街の住民)では満足出来ぬというのか?」

この島の住民の多くは学生。未来ある若者達とでも言い換えようか。
その若者達の骨を折り、殺害を試みる。
一体何を考えているというのか。
啓発活動でもしているのだろうか。

「啓発にしては随分と暴力的だな。
殺してしまうのはやりすぎではないか?」

殺すにしても、違うだろう。
どうにも違和感というか、納得のできない部分が多い。

「感情的にやっているのか?
未来ある若者の未来を奪う…それならこれほど大々的に活動する必要は…」

楽しそうに思案する。
恐らく出会う事はないだろうが、だからこそ妄想が捗るというものだ。

ラヴェータ > 「それにしても、随分と手の込んだ装備を装着しているのだな。
マシンアームに装甲か。中身は人間か?」

この島には異能者に魔術師、どちらでもない能力者が多くいる。
そうでない者も同様に多いが、そんな中で異能や魔術ではなく科学でわざわざ戦っているらしい。

「異能者でも憎んでいるのか?それならばそう記載されると思うが。」

データにはそれらしき内容は記載されていない。
記載されているのは骨を折る事に関連した発言が多い。

「骨…骨か…五体満足の人間でも憎んでいるのか?」

自分の不自由からくるフラストレーションを、他者にぶつけているのだろうか。
骨を折ろうとする発言からも、それならば多少は納得出来る。

ラヴェータ > 「にしたって…無理があるな。これでは命を捨てているようなものだ。
この島の仕組みを知っているのなら、どれほど準備したとしても足りぬ事は分かるはずだ
死にたがりか?」

死に場所を求める者は珍しくない。
この島では違うかもしれないが、かつていた世界ではそうだった。
生き物とは、覚悟を決めたり死期を察したり…何かを失った時など、死に場所を求める。

「こやつは一体どういった死に場所を求める?
華々しい死か?静かな死か、むごたらしい死か?」

なるべく多くを道連れにしようだとか、ひっそり死のうだとか。
死に場所は人それぞれだ。
これほどの無謀な試み。そこまで考えていない事はないだろう。

「何を始まりとし、何を求め、何を成し、どう死ぬか。」

にやにやと笑みを浮かべながらスクロールしていた手を止める。
所詮、監視対象に渡される情報。そこまで量は多くない。最後まで見終わってしまったのだ。

「私としては華麗な死に際を所望する。
何を考えているか知らぬが…最後まで望む形であれるといいな、魔人」

ラヴェータ > 「…待て。風紀委員に負傷者多数だと?」

反対方向にスクロールし、情報を脳に刻み付けていく。
最初の方まで巻き戻せば飛び込んできたのはその一文。

「まさか、今日人が少ないのはこやつのせいか?
そうか、これほどの大物だ。風紀も早々に捕縛したい筈だ。」

しかも現れる場所が場所だ。
これでは、秘匿戦力(監視対象)の投入も難しいだろう。

「ふむむ、応援している場合ではないな。早い所捕縛されてくれればよいのだが…」

などと文句を垂れながらタブレットに視線を落とし。

「…ふむ、これほど美味い話も稀だ。今回は我慢しよう」

一息零し、訳の分からない事を言う。
誰にどういえる立場でもないだろう。

ラヴェータ > 「感染型の怪異とやらの方も見ておくか」

タブレットを操作し、もう一つの情報も確認する。

「『紅き屍骸』か。簡潔な名だが…随分と危険度が高いな。
下手すれば島ごと滅びかねんのではないか?」

そんな事にはならないと思いつつも、そんな可能性を考えてしまう。
現在は封じ込めを行う事でその脅威を遠ざけているようだ。

「ふむ、これならば私ならば相性がいいな。
とはいえそう簡単には出撃要請は出んだろうが」

スラムやら落第街(存在しないモノ)に対して振るう分には、(血濡れの戦犯)の力は丁度いいと言える。
大規模な破壊が起きたとしても、誰も責めたりはしない。
ただ、風紀委員がそれを本当に良しとするかどうかは別の話。
あくまでも私たち(監視対象)の投入は最終手段。

「とはいえ、最近では随分と便利な監視対象が増えたようだがな」

Unknown。見た事はあるが、いつの間にかその存在が明らかにされたと聞く。
監視対象にも拘らず監視任務を日頃より行っているとか、なんとか。

ラヴェータ > 「ふむ、今回は随分と読み応えのある注意事項(ゴシップ)が多かったな。」

尻尾を持ち上げその影に電源を落としたタブレットを落とす。
ソファーに腰掛けた時の退屈を体現した表情とは随分と異なる、満足気な表情で立ち上がる。
この常世島にはびこる脅威(ゴシップ)は狐の退屈を紛らわすには随分と効果的だったようだ。

「戦争にこそ興味はなくなったが、この手の刺激はいつまで経っても良い」

自分にその脅威が及ばない事を知っているからこその余裕。
狐は死なず、されど殺してはならない。

狐が死ぬような事態は風紀が見ている限り早々来ない。

「さて、これ以上ここにいても何も無さそうだな
ふむ、今日は酒場でも行くか?」

夜をどう越そうか考えながらロビーを出ていく。
街灯の下を通りかかれば、そのままするりと影の中へと消えていった。

ご案内:「風紀委員会本庁-ロビー」からラヴェータさんが去りました。