2024/08/23 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁-刑事課の一室」にレイチェルさんが現れました。
■レイチェル >
「ありゃ、一つの会議に議題を詰め込みすぎだな……」
大きく伸びをしながら、刑事課の一室に入ってきたレイチェル。
身に纏う赤色がピンと張られ、皺と影を作る。
常世学園で起きている、議題に挙げられるべき様々な出来事。
その大小は様々であるが、それらが途切れることは決してない。
「予想以上にかかっちまったな――」
腰に手をやりながら、ふぅ、と一息つく。
流石に少々疲労を覚えて、一室にある棚に肘を置いた。
月明かりを受けて、外套が静かに揺れる。
「――とはいえ、ちょいと仕事は済ませちまってから……」
残りの仕事を少々片付けてから女子寮に帰ろうと、
机の上に端末を置こうとして。
そこにあるものが置かれていることに気づいた。
それは、何の変哲もない缶だった。どうやらお菓子が入っているようだ。
それでも、レイチェルにとっては特別なものだった。
■レイチェル >
『――チェルへ』
こんな風に自分の名を書く相手は、
ボイスメッセージを送った相手しかいない。
静かに缶に貼られていたメッセージカードを指で挟むと、
淡い月光の下で読む。
記されていたのは、こちらを心配する言葉。
そして、彼女自身が元気であるというメッセージだった。
「元気なら、何よりなんだが……」
そうして缶を開ければ、その中にはクッキーが入っていた。
『クッキーには人を幸せにする力がある』。
幼い頃に母親に教わった言葉で、今でも大切にしている言葉だ。
その言葉が、自然と脳裏に思い起こされた。
レイチェルは一人きりで、メッセージカードを持ったまま、
月が見える窓の隣にそっと背を預けて、天井を見上げる。
そうして暫くしてから、目を閉じて、大きく息を吐く。
背を預けていた壁と別れれば、確かな足取りで歩き出した。
■レイチェル >
誰も居ない執務室。
誰も居ない廊下。
誰も居ない自室。
今日は、いつもより温かい気持ちで見ることができる。
だから。
――さんきゅーな、華霧。
■レイチェル >
クッキーは甘いだけでなく、スパイシーな味がした。
少し目の覚める思いだった。
オモイカネを開いて華霧にメッセージを送った後。
吸血鬼は、優しい月の光を背に消えていくのだった。
ご案内:「風紀委員会本庁-刑事課の一室」からレイチェルさんが去りました。