2024/09/01 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
夏季休暇も終わり、通常の学生生活が始まる。
風紀委員などの活動もまた然り。
学業を疎かにしてはいけない、なおかつ委員会の活動もしっかりと。

ソツなく両面をこなす少女としてはいつもの日常に過ぎないが、今日は少しだけ浮かない面持ち。

伊都波 凛霞 >  
なぜなら、夏季休暇前、ひいては夏季休暇中に発生している落第街周辺のゴタゴタがいくつか解決していないから。
可能なら委員会活動に専念できるだろう夏季休暇の間に大粒の揉め事は解決して置きたかった…というのが、風紀委員としては当然のようにある。

「(個人の力でなんとかなる範囲と規模じゃなかったっていうのもあるから、何ともだけど…)」

刑事課のオフィス、椅子にかけ書類の束とPCと、交互ににらめっこ。
手元のアイスコーヒーを口に運びつつ、空調の効いた部屋でのデスクワークも慣れたもの。

彼女の思考速度に裏打ちされた、並列的な情報処理能力は現在の刑事課でも随一。
それでいて見逃しなく、確実な仕事をやってのける…他称、完璧超人お姉ちゃんと揶揄されるだけのことはある。

「───」

紙書類には様々な報告、PCにはそれをデータに起こしたもの。
差異や間違いがないかのチェック機構を兼ねる作業。
夏季休暇中に起こったものだけでもなかなかの量だ。
そしてその殆どは…落第街関連のもの。
件の怪異だけでなく例の白と黒の仮面の騒ぎ。

「……」

ぎ、と椅子の背凭れが軋む。
後者については通常警邏にも支障が出る。
それくらいに強力な異能者や魔術師の存在が報告されている。

伊都波 凛霞 >  
「調査を入れるにしてもそれなりの実績のある風紀委員じゃないと…となると、調査チームも組みづらい、か…」

風紀委員とて粒揃い。
こと落第街については、異能を使った犯罪者に対応できなければ話にならない。
当然、それに十分な戦力を持つ者…となるとある程度限られてくる。
猛者は大勢いる。ただし調査に向くか向かないか、
そして落第街だけに目を向けるわけにもいかない。

「対策室を設ける案件かもね…と」

データの資料に補足をしつつ、一息。
カランと小気味の良い音を立てて、アイスコーヒーの入ったコップを傾ける。

伊都波 凛霞 >  
問題なのは強力な異能者や突出した魔術師が散見される報告。
並の風紀委員では太刀打ちできない者が発生しはじめてるとなると…かなりのコト。

「あのエリアへの警邏に入る子も厳選したほうがいいのかな…。
 ただでさえ夏季休暇中に死傷者も出てるし……。 …あれ?」

ふと、見ている画面と資料に違和感を感じて、コップを置く。

「資料のほうと打ち込まれてるデータが違う…。
 んー、でもデータのほうの更新日時のほうが新しい…誰かが追記してるのかな。
 もう、それならそうでこっちの資料にも破線振るなりして書き足しといてくれないと……」

ペンを取り出し、資料の死亡者リストに注釈を入れる。

「データリストの更新に合わせて、資料のほうにもわかるよう反映しておいて下さい…と。よし」

ぴ、とそう書き記したラベルを横に貼っておく。

伊都波 凛霞 >  
「(…うーん、でもそんな雑な仕事する人いるかな)」

少し残る疑念。
でも風紀委員とて人間、ミスをすることもある。
だからこそのチェック機構であるからして。

「まぁ…いちおう報告だけちゃんとあげておくとして…」

落第街方面の警邏への人選。
とりあえず風紀委員の中でも寄りすぐり…特に戦力に優れた人物をピックアップしておく。

伊都波 凛霞 >  
…追影 切人
戦力は折り紙付き、ただし第一級監視対象。
単騎戦力としてはかなりの高レベル。
監視対象がゆえの所々問題は在るものの、最近の目立った素行不良はなし。

「個別監視役としての欲目が懸念されそうだけど…強いもんね、彼。…一応リストへ…」

…橘 壱
AFと呼ばれるパワードスーツを纏う、少し異色の風紀委員。
性格は真面目で実直。配属直後はコミュニケーションに難ありだったが現在は改善。
過去の活躍を顧みても、単体火力としても強力な異能者とも十全に渡り合えるだろう目算アリ。

「ちょっと前までなら悩むところだったけど、今の彼なら全然大丈夫、だね」

…伊都波 凛霞
異能者、魔術師、全面的に対応可。
余程のイレギュラーが介在しない限りは問題なく警邏可能。
単独行動推奨。周囲に他の風紀委員がいることが行動の制限に繋がる可能性あり。

「自薦だけど一応…と」

リストを打ち込んでゆく。
自分の項に単独行動を推奨としたのは、本心だ。
言い方が悪いことは自覚しつつも、他に人がいる場合、多くのシチュエーションで足手まといになってしまう。
自分の周囲にアンコントロールな味方がいると、本体性能が落ちる。そんな合理的な理由だ。

伊都波 凛霞 >  
…桜 緋彩
桜華刻閃流の達人。
やや自制に難ありの部分が見られるも戦力は十分以上。

「機界魔人との一件があったから少し…だけど。
 今は少しでも動ける上位戦力が必要だしね…」

…神代 理央
戦力は今更言うまでもなく、面制圧で並ぶものなし。
何より落第街というエリアについての知見は誰よりも豊富。
その地理も含めて十全以上に向いた人材。

「彼も、昔より丸くなった感じがする。
 最近会ってないし忙しそうで申し訳ないけど~…」

…芥子風 菖蒲
怪異鎮圧、違反部活制圧、ダスクスレイ撃破。
実力に裏打ちされた風紀委員活動においての功績に不足なし。

「彼なら穴なく今回の事件にも対応できそう、だけど…」

とりあえずは、ピックアップ。
落第街に今発生している案件について、それくらいの戦力を想定している…ということ。

伊都波 凛霞 >  
知った名も、そうでない名も。
過去の功績や戦跡、データを洗いだし、まとめていく。

条件は「単独でも強力な異能者相手に力負けしない」こと

強力な異能者、を過去にあった異能犯罪の中でもトップクラスのものと想定すれば、
予想してはいたが、そう数は多くない。

「──とはいえ、半端な戦力で今の落第街に近づくには…」

危険が、多い。

レイチェルさんも新人の育成に力を入れてくれている。
そういったチームも機界魔人の事件で一定の戦果を上げてくれた、けれど…今回の事態は質が違う様に思える。
重要視するべきは、単体戦力(ネームド)の存在。
危険を承知で、孤軍奮闘においても負けることのないくらいの実力者が。

伊都波 凛霞 >  
妹の顔が頭を過る。
あの子も、今頑張っている最中だ。
けれど今回の案件に絡ませるには実力不足が過ぎる。
また病院送りにされる…だけなら運が良い、運が悪ければ───。

死亡者リストを眺め、小さく息を吐く。

この中に、自分の同僚や家族の名が連なるのを見たくはない。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル >  
凛霞が重い表情で思考を巡らせている中、
刑事課のオフィスの扉が開く。

「よう凛霞、お疲れさんだ」

風紀委員の制服に身を包んだその女は、
ゆっくりと伸びをしながらそのように声をかけた。

先ほどまで訓練施設で新人風紀委員の面倒を見ていたのだが、
それも終わったので自分のオフィスに帰ってきたのだ。

「顔にしんどいって書いてあるぜ」

伸ばした手の先に持たれていたビニール袋を机の上に置くと、
近場の椅子に腰を下ろした。
机上には、大量のネコマニャングッズ。
レイチェルの机である。
レイチェルと凛霞は、同じ刑事課の中でも同じオフィスに
配置されているのだ。

「気、張り詰めてばかりだといけねぇからな。
 残り物で悪いが、甘いもんでも食べな」

ビニール袋の中身は、学生通りで買ってきたドーナツだ。
訓練を頑張った新人の風紀委員達に奢った分の残りではあるが、
まだ幾つかあって、種類も選べそうだ。

伊都波 凛霞 >  
「あ、お疲れ様です。レイチェルさん。
 あはは…夏季休暇中の報告書類の数がすごくって」

勿論、それだけじゃないけど。
大量のネコマニャングッズに彩られた机に座する彼女を見やれば元気ですよとアピールするように笑顔。

「そうですね。でもさすがに気をはらないと向き合えない案件も多くて…。
 わ、ありがとうございます♪ちょうど甘味が欲しかったタイミングで…!」

ドーナツ。また監視担当の彼に差し入れしてあげたりもしようかな。
そんなことを思いつつ。

「訓練のほうは順調ですか?」

丁度よい頃合いかなとブレイクタイム。
はむ、とさっそくお礼をいいつつドーナツを頬張りながら、そんな問いかけ。

レイチェル >  
「だろうな。
 いつも夏頃になると、あれこれ起きやがる。
 付随して書類の数もまぁ、増える。
 (こっち)の戦場もなかなかハードだぜ」

凛霞の顔色を見やる。
凛霞も多くの経験を積んで、
現場で一線級の活躍をしている風紀委員。
頼りにはしているし、友人でもあるが、後輩は後輩。
無理をしていないか、顔を合わせれば
いつだって意識しているのだ。

「ああ、それなりに順調だぜ。
 なかなかついて来れねぇ奴もいるが、
 そういう奴も必死にしがみつこうって気概がある。
 少なくともオレの見てる奴らはそんな感じだな。
 ま、ついて来れなきゃ無理してついてくる必要はねぇんだが、
 頑張りたいって言うもんだからよ」

ドーナツを頬張る凛霞。
レイチェルは口元を僅かに緩めて、そのように口にする。

伊都波 凛霞 >  
「増えるのが書類の数だけなら、まだ険しい顔もせずに済むんですけどね」

わずかに目を細めて視るのは、先程付箋を張っておいた死亡者リストだ。

「あ…こちらのリスト。データベースと紙書類の方の記述に差異があったので報告しておきますね。
 おかしいなあ…普段、そんなことあんまりないんですけど」

無論、深夜に侵入者による改ざんがあった…などは感づいていないが。
違和感があったものはしっかりと報告する。真面目である。

訓練が順調、と聞けば頬を綻ばせて

「育ってくれると嬉しいですね。
 努力が絶対に実ってくれる保証はないですけど、
 まずそういう気概がないと結果ってついてこないですから」

昨今軽視されがちな精神論も、案外捨てたものではない。
負けん気や気合、根性なんていう目に見えないものが開く道は意外と多いのだ。

「そうそう…落第街のギフターの案件について、警邏の方も迂闊な人選は危険そうです。
 十全に対処できそうな人材をピックアップしてリストしてありますので、後々目を通してもらっても良いですか?」

こういったものには多角的な視点も必要、意見なども聞ければ何よりである。

「昔なら、レイチェルさんの名前は真っ先に書けたんですけどね」

そう言って、苦笑する。
自身の直面した…彼女が異能を失った日の記憶は、まだまだ風化させることが出来ない。

レイチェル >  
「そうだな……」

凛霞が見ていた死亡者リストを見て、レイチェルもまた
静かに首を振った。
目を輝かせて日々頑張っている新人達。
彼らをはじめとした風紀委員達の人生がこの学園において、
羅列されるだけの文字にならないように。
レイチェルや凛霞をはじめ、多くの風紀委員達が協力し、努力している。

「ん、悪ぃな。オレの方で見れりゃ良かったんだが、
 今日は朝から訓練にかかりっきりでな。

 ……確かに珍しいな。
 意外とこういう、
 何でもないところに大きな穴が開いてたりするもんだ。
 
 付箋はつけてくれてるみたいだが……
 こいつはちょいと、記載担当者に確認するように依頼しつつ、
 上に報告入れておくぜ」

デスクワークが主戦場となってから、
日々書類仕事を行ってきたレイチェル。
凛霞の鋭い目もさることながら、
資料と向き合ってきた彼女の目も、
また伊達ではないということだ。

「いや、今時間があるし見ておこう。
 こういったことは早いに越したことはねぇからな」

そう口にして、丁寧にリストを見つつも、
口を動かして話を進めていく。

「そうだな、他にもこいつとこいつ、あとこいつ。
 オレから見て十分対処できそうな人材を追加で入れておくが、
 構わねぇな?」

確認をとりつつ、凛霞の方を見て、何名かの名を追加した資料を見せる。

「元々異能なしで魔狩人やってたんだ。
 異能なんざなくても十分立ち回れるつもりではあるが、
 まぁ……無理できない身体なのは確かなんでな」

強大な異能――時空圧壊(バレットタイム)の過剰使用によるバックファイアにより、
レイチェルの内側は今もまだ、ボロボロだ。

伊都波 凛霞 >  
「いえいえ。後進育成も大事なお仕事ですからね。
 ──よろしくお願いします。ただの記載ミスだといいんですけど」

どうやら、彼女も何らかの違和感を覚えたようだった。
こういった経験に裏打ちされた直感も、数々の案件を処理し続けてきた刑事課の強みの一つ。

即座にリストに目を通してくれる彼女。
こちらのする仕事にしっかり目の前で応えてくれる様が、信頼のおける先輩たる彼女の良いところ。

「助かります。
 データの上だけ、以上の眼がありますからね、レイチェルさんには」

こういった仕事の補填も本当に助かる。
自分以上の経験と実績、多くの風紀委員を見てきたその眼は確かという他ないのだ。

──彼女が現場に出れば士気があがるのは間違いない。
でもそれ以上に友人として、無理をして欲しくないという気持ちもある。
代償…とするにしても、風紀委員としての今の彼女の状態はあまりにも重い──。

「準備が整い次第、私も積極的に出ます。
 報告にあるだけでも橘くんがAFを用いた状態の交戦で撤退させられていますし、軽視は出来なさそうですから」

ふぅ、とブレイクタイムに一息。
ご馳走になった甘味のおかげで脳にまわすカロリーも十分。
並列化された思考の中で、落第街まわりの対応は無数にパターンが作られている。
そんな凛霞の眼は、どこか覚悟の決まった表情。
──冗長に事を行っていては、また自分の妹が被害に遭う。…そういった苦い記憶から、かもしれない。

レイチェル >  
「何もなく、ただの杞憂ならそれで良し。
 こういう報告、助かるぜ。いつもありがとな。
 ドーナツ、2個食べていいぜ」

ドーナツの箱を左手で示しながら、右手で人さし指と中指を立てて見せるレイチェル。

レイチェルが凛霞に信を置いているのは、まさにこういうところだ。
細やかなところでも違和感を覚えれば、きっちり相談をしてくれる。
そのお陰で、助けられたことが今までも何度かあった。

「お前ならそう言うだろうと思った。
 十分理解しているだろうが……まだデータも少ねぇことだ。
 深追いする必要はねぇからな。
 この件、急ぐ必要はあるが、焦る必要はねぇ
 焦りは良くねぇ結果を生むからよ」

レイチェルは、椅子の背もたれに肘を預けて、一息つく凛霞に目を向けた。
このようなことをわざわざ口にしたのは無論、彼女の覚悟を決めた顔から、
彼女の内心をそれとなく察したからであろう。

妹が事件に巻き込まれたばかりなのだ。こういったことに敏感になるのは当然だ。
判断力も、戦闘力も、共に信頼の置ける人物ではあるが、
ここで『頼んだ』『頑張れ』などとだけ伝えて見送るのは、少々心配であった。
特に妹が関わると、眼前の人物は少々箍が外れるきらいがあるのは事実だ。

「……お前も、そしてオレも。
 誰かを悲しませることがねぇようにしねぇといけねぇからな」

少しだけ目を伏せてから、レイチェルは死亡者リストを凛霞の方へ返すのだった。

伊都波 凛霞 >  
ありがとな。
その心温まる返しに笑顔で応える。
信頼してもらえるというのは、嬉しいこと。
だからそれに応えられるし、裏切ることがないよう懸命になれる。
おまけにドーナツが増えた。なんという僥倖。

ありがとうございますと微笑んで、
アイスコーヒーのおかわりとともにこれは頂こう。

「ご忠告ありがとうございます。
 こちらから仕掛けるでなく警邏、及び身の危険の排除に徹するつもりで、
 異能、魔術、格闘、剣戟、汎ゆる想定で向かいます、それと──」

「万が一、仲間を人質にとられると動けなくなるので、当面は単独で対応しようかと思います」

申し訳ない、とは思いつつも。
自分の横に並べる程の人材はそうそう都合がつかない。
──もっとも、仲間でなくとも誰かを人質にとられれば…という話ではあるのだが。
あえてその危険を増やす必要はない…という判断だ。
勿論落第街のエリア外に連絡のつく風紀委員を配備するなど、安全策も講じてはいるが。

「──誰かを悲しませる結果、を徹底排除するために風紀委員はいるわけですしね。
 それでも危険から逃げ続けていては、それも叶わない…。難しいなあ、って思いますよ。常々」

アイスコーヒーを淹れ直し、ドーナツ2つ目を頬張る。

「秋の風紀委員の慰安旅行、いつも楽しみにしてるんです。
 新しく増えた仲間のみんなとも、一緒に楽しみたいなって」

気兼ねなくそれを楽しむためにも、焦らず、急いで──問題は解決しなければいけない。

レイチェル >  
「そうだな。
 最悪、オレもサポートって形なら戦場に出ることはできるぜ。
 どうしても必要ってんなら、出るつもりだ。
 だから、やべぇと思ったら気軽に声かけな。
 
 そん時は、背中は絶対にオレが守ってやる」

少し前に、スナイパーライフルを用いての支援射撃という形で
久々に現場に出たことがあった。
退院してからというもの、一日たりとて、銃の訓練を怠った日などない。

以前のように前に立って剣を銃を手に長時間立ち回り続けることは難しいが、
それくらいならば、可能だ。

絶対に居なくならないこと。無理はしないこと。
約束をした者達の顔が浮かぶ。彼らを悲しませる訳にはいかない。
無論、眼の前の凛霞や、他の皆も。
だからこそこれが、譲歩できる最大の到達点だった。

「ゴタゴタが解決して、今年も皆でいけるといいな。
 気兼ねのない慰安旅行。最高じゃねぇか――」

レイチェルも凛霞も、共にこの学園の風紀を守る同僚であるが、今は主戦場が異なる。
刑事課の内だけでもそうなのだ。
外部の課であれば、また異なる戦場がそこにある。
そんな風紀委員達が、この時期に一つ、ささやかな希望として、
共に胸にいだける憩いのイベント。
レイチェルとて、無論楽しみだった。

「――その為にも、もう一踏ん張りすっか」

凛霞には笑顔を見せて、レイチェルは立ち上がる。

「そんじゃ、オレは依頼と報告に行って来るぜ。
 もし、ただの記載ミスだとしても、
 記載担当者の健康や勤務状況に難があれば、
 相談に乗ってやらねぇといけねぇかもしれないからな」

そしてそこに大きな穴が広がっていれば――
それは、風紀委員会として対処する必要があるのだろうが。

伊都波 凛霞 >  
「頼もしい限りです、でも──」

「あのエリアには、まだレイチェルさんのことを狙っている人物も少なからずいます。
 レイチェルさんを潰せば名が挙がる…と思っているのか、どうかはわかりませんが…」

その点だけは留意を、と言葉付け。
──彼女の見た目、そして纏う雰囲気は独特のものがある。
  それは単なる一、風紀委員が一朝一夕で纏えるようなものじゃない。
  彼女が現場に、戦場に出るという意味は、過去を抱えるあの街にとってはとても大きいのだ。

理解っているからこその、どうしても必要なら──という念押しなのだろうけれど。

「はい!絶対にみんなで温泉旅行に行きましょう!」

返すのは満面の笑み。
警察機構を兼ねる風紀委員。
学生主体のこの街では、秩序を守るのも主には学生である。
しかし、それでも十代の若者が大半を締める、少年少女達。
学生としての生活やイベントを謳歌することも、また義務の一つだろう。

立ち上がる彼女を見送る様、声を掛ける。

「よろしくお願いします。ドーナツ、ご馳走様でした」

常に同僚に気を配れる彼女、誇らしくもあり、憧れる。
過去を傘に着ることもなく、同じ目線で語らえる理想の先輩の背を見送って──。

「よぉし、じゃあ私ももうひとがんばり───」

俄然やる気が湧いてきた、とばかりにデスクに向かう。
この島での生活を楽しく、平和に。
多くの生徒達が思う理想を胸に、新しい秋を迎え風紀委員達は奮起するのだ──。

レイチェル >  
「無論、皆のことは信頼してる。
 だからこそ、さっきのは最悪の場合だ。
 それでも躊躇して取り返しのつかないことになるよりは、な」

数多の違反部活とやり合ってきたのだ。
己に恨みを抱いている人物、手にかけようとする人物。
そういった人物がまだ、あの街には存在しているのは分かっていた。

「そんじゃまた、な」

クロークを翻して、レイチェルは小さなオフィスの一室を出る。

影のあるところに必ず光はある。
まだ弱々しい光もあるが、影に呑まれる者が一人でも減るように願いながら。

委員の戦いは、今日も明日も、続いていく――。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」にジャスパーさんが現れました。
ジャスパー > 現在地:風紀委員庁舎前。入り口からは少し遠い位置
長く住んでいても、あまりここには来ないから、少し緊張している

ここに来たのは別に犯罪に巻き込まれただとか、困りごとがあるというわけではない
ただ、見ておきたかっただけだ
知り合った人たちがどういう場所で頑張っているのか
単なる興味というだけである

「うーん」

衝動的に来てみたが、やっぱり入れるわけもないが雰囲気は伝わってくる
ここは酷く『真面目』な場所だ
冷やかしだとか、個人的な自由で扉をくぐるのは失礼だろう

「がんばってんだなあ」

そんな感想を抱くことしかできない一般人である

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」からジャスパーさんが去りました。