2024/09/15 のログ
ご案内:「委員会街 総合共有格納庫」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
委員会街 総合共有格納庫。
此処には委員会所有の専用車両や兵器等が格納されている庫の一つだ。
この区画は主に風紀委員会のヘリや車両、兵器。
そして鉄道委員会の整備車両等が格納されている。
かなりだだっ広いだけの空間のはずなのに、物が物だけに手狭く感じる。
風紀委員橘壱は、よく此処に来ることが多い。

今、壱の目の前には円形の装置。
その周囲にはホログラムモニター発生装置に無数のキーボード。
所謂、自分専用の管理ラボのようなものだ。
そこには自らの愛機AssaultFrame(アサルトフレーム)Fluegele(フリューゲル)」が悠然と佇んでいた。
その傍らには、カプセルに閉じ込められた黒い破片。
正体不明機(アンノウン)と交戦し、その際に回収した一部だ。

頭部に包帯を巻いた状態。
それどころは、白衣の裏も傷だらけ。
度重なる交戦により、機体も自分もボロボロだ。
だが、休んでいる暇はない。一心不乱に、キーボードに指を滑らす。

ロベンツ・カーティマン >  
『精が出ますな。解析の方はどうですかな?』

そんな壱の隣から声を掛ける男性が一人。
茶色のちょび髭に茶髪の青目の英国人。
ロベンツ・カーティマン。鉄道委員会所属の学園関係者だ。
様々な機械マシンに精通し、鉄道委員会では古株値するベテラン整備士。
この島で暮らし、既に妻子を持つ出来る男だ。
モニターに映る様々な情報に目を滑らせていく。

『まだ入院中でしょう。良いのですか?』

橘壱 >  
「……あんまり良くはないけど、外出許可は貰ったよ。」

連戦に次ぐ連戦。
それもどれも実力者ばかりだ。
何度生死の合間を彷徨ったかわかりはしない。
おかげで、外出許可一つとるのに、
かなり医者にはきつーく言われた。
ほんのりと苦い笑みを浮かべながら、
キーボードを高速でタイピング。

「それよりもルームメイトのがちょっとね……。
 仕事上仕方ないし、言い訳もしようがないんだけどね。」

流石に何度も世話になってる手前、
あまり強く言うことは出来ないし、悪いのは自分。
怪我と入院の繰り返しで訳を破ったり、
ちょっとギクシャク。すぐに仲直りは出来るだろうけど、
今ちょっと顔を合わせるのは気まずい。

橘壱 >  
それよりも……コレ。
 正体不明機(アイツ)の一部何だけど、やっぱりただの機械(マシン)じゃないな。」

無数のホログラムモニターに映る解析結果。
今の技術基準に合わせても非常に高度であり、
何よりもその正体。此の破片と一つが機械ではなく
所謂ナノマシンの集合体。一粒一粒が絡み合い、
一つの機械(マシン)として機能している。

「此れ一つ一つの精度も凄いけど、
 集まれば集まるほどより高度な命令をこなせそうだ。
 自律プログラムも高度だ。集まれば集まるほど、より高度で精密な姿になる。」

「自然発生したモノとは思えないな。
 誰かが作った感じはするんだけど、何処で……。」

ロベンツ・カーティマン >  
「集合するほどにより集まり、自律的な人格。
 即ち、知性さえ持ち得る存在に成れる、と……。
 今は銃身の破片一つですが、これ以上集まると……。」

正体不明機(アンノウン)、黒い砂塵として機能する。
ある意味技術の頂点だ。自己増殖、自己回復さえ行える。
保管するのも危険な代物かもしれない。
世の中、禁忌とされる神秘はごまんとあるが、
人が生み出す技術もまた、それに該当することもある。
深刻な顔つきになるのは、壱の考えがなんとなくわかったからだ。

「念の為聞いておきますが、これをどうするおつもりで?」

橘壱 >  
Fluegele(フリューゲル)に組み込む。」

何の淀みもなく答えた。
表情一つとっても涼しい態度だ。

「……と言っても、このままじゃ使えない。
 解析自体も完全に済んでないし、このまま組み込んで
 Fluegele(フリューゲル)正体不明機(アイツ)になるのは、流石にね?」

恐らくだが、
此の自律プログラムを書き換える事は出来ない。
此れをそのまま制御することは無理だろう。
下手をすると、自分の愛機と融合し、
新たな正体不明機(アンノウン)誕生は笑えない。
ふぅ、と小さくため息吐きつつ、軽く伸び。
体の傷が痛み、軽く体が萎縮した。

「だから、コッチの企業と連携して、
 同じ機能のナノマシンを複製出来れば同じことが出来る。
 武器や機能の製造。自己回復……整備いらずにはなるかもね。」

ロベンツ・カーティマン >  
モニターを眺め、軽く顎を撫でる。

「……ですが、此等の迅速な行動、変化は機械ならではのもの。
 手動で行うという事は、機械(コンピューター)ではなく、(にんげん)が行うとなれば……。」

その負荷は、高度な命令となればより高負荷になるだろう。
人間の拡張性などというものは、機械と比べればたかが知れている。
恐らく、交戦データや再現性からしても、此れは機械だからこそ行えること。
機械(マシン)の処理性能と人間の脳はわけが違う。
神妙な顔つきのまま、流れるモニターから目を離さない。

「それに、少しは組み込むのでしょう、オリジナルを
 整備士としては、操縦士(パイロット)にリスクがあることは賛同しかねますが……。」

橘壱 >  
「……此れは、僕の勝手な考えだけど……
 結構、気に入ってるんだよ。正体不明機(アイツ)のこと。
 今後も戦うことはあるかもしれない。奇妙な友情、っていうか……」

「一緒に戦ってみたいんだよ、正体不明機(アイツ)と。
 それに、頭脳労働のが得意なんだよ。僕は。」

それこそ妙な縁さえ感じる。
理屈としては、愚かだろう。
でも、あれの事も受け入れて進みたい。
だから、命と同等とも言える愛機と共にさせたい。
勝手な考えなのは間違いない。僅かに微笑み、頷いた。

「この先、きっと僕は戦う事になるだろう。
 だから、僕も、Fluegele(フリューゲル)も強くならないとね。」

そのためなら、多少のリスクも承知の上だ。

ロベンツ・カーティマン >  
「……そうですか。
 私は忠告はしました。
 ですが、操縦士(パイロット)がそういうなら、仕方ありませんな。」

整備士はそのために尽力を尽くす。
事実、非異能者の彼が前線に立ち続けるなら
機械(マシン)のアップデートは必然だ。
非常識な世界であるからこそ、時に理屈ではないことは理解する。

「コズミックエレトクロニクス社にデータを送りましょう。
 何時凶悪な違反者が表立つかはわかりません。
 なるべく早急に、実践で使えるようにせねば……。」

橘壱 >  
「助かります。さて……少しは長くなりそうだ。」

その日、帰るのが遅れて医者に大目玉を食らったのは言うまでもない。

ご案内:「委員会街 総合共有格納庫」から橘壱さんが去りました。