2024/09/24 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
誰もいない風紀委員会本庁の会議室。
デスクの上で、無気力な表情のまま、ホログラムモニターに視線を向ける。
現場での仕事が終わっても、それだけで仕事が終わりじゃない。
自らの行った仕事は、最後までやる。
報告書の制作、資料の制作。元々事務仕事のが得意だ。

「そういえばさっき……あっちの部屋は騒がしかったな……」

直接見たわけじゃない。通りかかっただけ。
誰かが言い争ってる気もしたが、関わる気力もなかった
声からしてどちらも見知らぬ人物だ。
多分、白崎って人とレイチェルって人。
……だったと思う。どんな人達だったっけ。

「……いや……」

仕事に集中しよう。
仕事に集中してないと、気が滅入ってしまう。
邪念を紛らわすように、キーボードの打ち込んでいく。

橘壱 >  
魔法少女マリア。
落第街や一部地域における虐殺行為。
現在は消息不明だが、恐らく第三者が保護した状態。
怪人ギフターとも関わりが強く、
優先的に保護出来れば有益な情報が聞き出せる可能性あり。


……強力な魔術を使う少女だった。
機械の力(マシンスペック)のおかげで、
何とか対抗できていたが、結果此方が撤退する形になった。
その後動向は不明だったが、曰く保護されたの事。
他ならぬ元凶(ギフター)の言葉故、真偽不明。

「……僕が強ければ、もう少し何とかなったか……?」

虚ろな碧に乱反射するモニターの光。
無感情にひたすらキーボードに指をすべらせる。

橘壱 >  
不死姫エリザベト。
マリア同様無差別な殺戮行動を行っていたが、
橘壱の説得行動により無力化。
マリアとは異なり、強く人間性を残していた可能性あり。
橘壱が接触前に、数名の某の接触により精神的不安定の末、
結果として無力化することに成功した。
依代にされた男子生徒は保護され、現在は"治療中"。


……無尽蔵の力を扱う不死姫。
自分は戦闘行為には大きく発展しなかった。
だが、重火器を軽々と扱い、それを無尽蔵に使ってみせた。
被害報告も上がっている。壮絶な戦闘力だ。

「……死後の世界って奴は、わかんないけど……」

魂にやすらぎがあるといいな。
脳裏に過った別の考えを振り払い、
キーボードに指を滑らす。

橘壱 >  
"双炎舞踏(フラッシュバラージ)" 弟切 夏輝。
元風紀委員であり、連続殺人犯の逃亡者。
報告によれば、ギフターにより異能を授かったようだが、
どれだけ関わってるかは不明。殺人者である以上、捕縛対象。
【凶刃】追影切人と交戦後の消息不明。
恐らく、何処かへ身を潜伏していると思われる。


ピタリと、キーボードの指が止まる。

「…………」

逃亡者、弟切 夏輝。
かつては凄腕の風紀委員だったが、
今は立派な連続殺人犯であり逃亡者。
一度交戦したが、見事に惨敗。
捉えることも、何かに貢献出来た実感もない。

「……遭遇戦だったけど、いらなかったな、僕」

結局、あの監視対象が戦うのであれば無意味な戦闘だった。
いや、それでも風紀委員としても、一個人としても、
見て見ぬふりなど、出来るはずもなかった。
だとしても、徒労感とも言えるのか。
それを感じずにはいられない。
はぁ、とため息を吐いて椅子にもたれかかった。
見上げる天井の古ぼけた蛍光灯が、やけに眩しく感じる。

橘壱 >  
自らが無力であることが自己責任だ。
気持ちが逸ったのも間違いない。
だが、色々と綯い交ぜの感情が横切ってくる。
【凶刃】の戦闘データの一部は、見せてもらった。
文字通りの、死闘。監視下の下、制限の下、
あれだけの超人同士の激闘の一部をみた、殺し合いだ。

「……バカバカしい

思わず口元が吐き捨てた。
彼等に対してではない、自分に対してだ。
異能者同士の争いは、時に簡単に命のやりとりに発展する。
此れが初めからそうだったかはさておき、そうなった。
ならば、非異能者である自分が何故加減をしているのか

理由は単純明快。
風紀委員会は、殺戮集団ではない。
決して軍隊でもない。秩序を維持する機関だ。
AssaultFrame(アサルトフレーム)は兵器。戦うための機械(マシン)だ。
だが、その兵器としての力を十二分に発揮すると言うことは、
本来の風紀委員会としての行動と、大きく外れる事になる。
そのためにその兵装は、鎮圧目的の非殺傷兵器の外付けだ。
それこそ破壊力の高い実弾兵装なんて、
使えて未開拓地の怪異やモンスターにしか使えない。

つまり、非異能者(じゃくしゃ)がわざわざ加減するのが、
おかしくってたまらない。いや、わかってる。
そうせざるをえないと、わかっていても、だ。

橘壱 >  
脳裏をぐるぐると回る。
良くない思考に陥ってるのはわかる。
そもそも、なんで此処にいる。
企業の宣伝活動のためだ。
そして、何故橘壱(じぶん)AF(へいき)に乗る。
そう、簡単だ。楽しいから
この兵器を自由に動かす瞬間、
鋼が駆動する瞬間に、生き甲斐を感じたからだ。

「…………」

色んな人間にほだされて、平和だの何だのに遵守してきた。
そう、忘れていた。いや、正確には抑えていた。
少年の本音。本来の戦う理由
本来の理念とはかけ離れた、最も自由(ワガママ)な理由が。

「──────……」


だったら尚の事、何を迷ってる必要があるんだ?

橘壱 >  
そう思った時にはもう指が動いていた。
報告書をはねのけ、自然と指がキーボードに滑っている。
見開いた碧は獣のようにギラついている。
そう、かつての自分。いや、本来の自分(ゲームチャンプ)としての己の目。
初めから目的はそうだろう。夢だってそうだろう。


この社会において、世界において、最も自由に振る舞うために例外(イレギュラー)


なら、躊躇う必要だってない。
そうだ。だって既に、風紀委員だって力を振るってるじゃないか
タイピングには自信がある。あっという間に文章は完成した。
報告書とは別。【兵器使用申請許可】の文面を、送るだけ。
大丈夫、通せば後は何とでもなる。上手くやれる。
結局、結果を出せばいいんだ。そうだろう。
なんだ、昔の自分は間違っていなかったんだ。
そう考えた瞬間、思わず口元が緩んだ。求めるままに──────……。

橘壱 >  
 
                    ──────……エンターキーに添えた指は、止まる。
 
 

橘壱 >  
「……いや、わかってる。それも正しいワケじゃない」

それは言い換えれば暴力、理不尽だ。
例え犯罪者相手でも、無闇に向けるものじゃない。
笑みに自然と、苦い色が混じった。
橘壱という少年の性根は、善性に根ざしている。
今の社会秩序に準じて、善性に基づく行動理念は、
決して彼の偽りではない。本音だ。

それと同時に、AFという兵器を駆り、
自在に兵器を操り、力を振るうカタルシスを良しとする自分がいる。
圧倒的な自己矛盾に、気づいてしまった。
口元を手で多い、力なく肩が落ちる。

「やっぱり僕は、酷い男なんだよ。鞘樹 美香……」

だって、エリザベトと戦いたい気持ちもあったのだから

橘壱 >  
どうすればいいかなんて、考えたって答えが出るわけじゃない。
どちらも本音であり、二律背反だ。迎合は出来ない。
もしかしたらあるのかも知れないが、
疲れ切った頭じゃ、思いつかない。

「……やめよう」

これ以上考えても、ただの負のスパイラルだ。
はぁ、と深い溜め息を吐いて首を振った。
書いておいた報告書と【申請書】を保存し、電源を落とした。
今は仕事をしても、きっと良いことにはならない。切り上げよう。

「……、……」

日常を楽しむ自分が、友人と知人に囲まれ幸せな自分がいる。
鋼鉄と硝煙に囲まれ、誰よりも自由に戦場を駆けて楽しむ自分がいる。
鋼の理性を持つが故に、後者を押し殺し、
社会秩序に傾く最も不自由な男

「……アイツ(ノーフェイス)が見てたら、笑われるかもな……」

失笑が、漏れた。

橘壱 >  
兵器で人を救うと豪語し、
その実は自らが楽しむ本音も持っている。
その結果が、アレと考えれば、妥当な苦しみだ。

「……いや、やめよう……よくない……」

このままではまずい。
理性があるゆえに自己判断。
籍を勢いよく立てば、携帯端末を手に取り電話を掛ける。

「……もしもし、イヴ?今部屋?
 ああ、うん。丁度帰るから、欲しいものがあれば……」

何気なしにルームメイトに掛ける電話。
何も感じさせないように、何時もの声音で日常に帰る。


……誰かに頼ってるつもりだけど、こんな事、誰に相談するんだよ。


胸中に抱えた自己矛盾をそのままに、部屋を出ていくのだった。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > 魔法少女マリアさん、本名、麻木真子さんがゴミ処理係の管轄下で逮捕されてから約二週間。

「ようやく、マリアさん逮捕の情報が風紀委員のデータベースで公開されましたね」

ゴミ処理係の仕事場のPCの前でイーリスが呟く。

Dr.イーリス > マリアさんの逮捕は複雑な事情もあって、上の判断で風紀委員会内での情報共有が遅らされていた。
主に、マリアさんが風紀委員を虐殺していた事もあって、風紀委員内でマリアさんに対する怨恨が高まっていた事。その虐殺行為がギフターさんによる洗脳が加えられていた事が挙げられる。
洗脳の証拠を揃えるまで、一部関係者以外で情報共有されれば風紀委員内で必要以上にマリアさんへの風当たりが強くなるだろうと判断された。

「……最終的には、ギフターさんによる洗脳とマリアさんの素の部分が混ざり合って虐殺を行っていました。逮捕された今も、反省の態度はありません。加えて初期の魔法少女の妄想として活動していた頃が洗脳された人格で、『純粋に人を殺すために活動していた時期』がマリアさんの素に近いです。洗脳による情状酌量は多少あっても、 危険人物なのは変わりありません……」

つまりは、悪堕ちしたと思われた人格こそむしろマリアさんの素に近かったという事だ。
ただし、マリアさんの反省の余地に関して、イーリスはマリアさんから相当な恨みを飼われている。イーリスと全く関わりのない者ならば、あるいは反省の余地が見いだせる可能性が無きにしも非ず。

Dr.イーリス > 「皮肉でございますね。私は、洗脳により生み出された虚構の自我を、命懸けで救おうとしていたとは……」

ため息を吐く。
それはもう、魔法少女のマリアさんは洗脳で純粋な心を植え付けられたのだろう。
イーリスは、モニターにマリアさんの調査結果を表示する。

「マリアさん(本名:麻木真子さん)は元々学園に通っていましたが、能力に飲み悩み違法薬物に溺れ、両親を殺害して自宅を破壊しその後行方不明……。実のところは、薬物で廃人となったところをギフターさんに助けられたと言ったところですね」

Dr.イーリス > 一方で、悲惨な経緯を辿ったマリアさんを、ギフターさんが善意も込めて助け、さらに善意で洗脳を施したというのは事実とも思える。
大前提として完全なる善意ではなくて、ギフターさんは自身の計画にマリアさんを利用したということは変わらないだろう。だが、悲惨な末路を辿る哀れな少女にギフターさん魔法少女という夢を見せていたようにも思える。

「夢を見せていただけで、妄想をただ抱かせて風紀委員をも殺害していたのですから、結局のところギフターさんの計画に加担させていたということですけどね」

完全な善意で夢を見せるなら、それこそ悪を退治する魔法少女にしてあげればいいだろう。
つまりマリアさんが魔法少女になったことについては、自身の思惑と善意が複雑に絡み合ったものなのだろう。

Dr.イーリス > 「そうなりますと、マリアさんがギフターさんを敬愛するのは、洗脳以外の部分もきっちりあるのでしょうね」

ギフターさんとマリアさんの間で信頼関係もきっちりあったのだろう。何せ、ギフターさんは風紀委員を敵に回してすら、マリアさんを助けに行くとイーリスに脅したのだ。
冷たい言い方をあえてするなら悪党同士の友情。あえて冷たい言い方をした理由は、情状酌量の余地が小さいという事を意味する故。
単純に自らの意思ではなく洗脳による犯行なら、責任能力がなかったと言える。むしろそうなれば全ての罪はギフターさんが負うべき事になり、マリアさんが被害者なり得た。

「ギフターさんの情報を求めてマリアさんと司法取引をする意義自体はありますが、難しいかもしれませんね……」

マリアさんならおそらく、ギフターさんの情報を差し出すぐらいなら処刑される道を選ぶと思う。

Dr.イーリス > 「……今回の件は、本当に私の見通しが甘かったですね」

やることなすことほぼ空回り。
実のところ、マリアさんを確保する現場にイーリスは居合わせたというのみ。マリアさんを無力化したのは民間協力者(赫さんやエルピスさんといった他の『数ある事務所』メンバー)だ。
『数ある事務所』メンバーは訳ありな人の集まりなので、表向きにはイーリス以外の事務所メンバーが関わることなくゴミ処理係《フェイルド・スチューデント組》のみで確保したということで処理しているが。

Dr.イーリス > 纏めると、マリアさんに関して風紀員会で共有されている情報は主に以下の通り。

・約二週間前、ギフト保持者の中でも極めて強力な異業者の一角《魔法少女》マリアさんはゴミ処理係管轄下のもと、《フェイルド・スチューデント組》に確保された(ちょうど、マリアさんが姿を消した時期と一致)。

・マリアさんはギフト騒動の黒幕ギフターさんによる洗脳が施されていた(証拠収集済み)。ただし、初期の『魔法少女の妄想に囚われていた時期』は洗脳が強めだったが、後期の『人をただ殺害するために行動していた時期』は洗脳が弱まっており、素のマリアさんと洗脳された人格が混ざり合っていた。

・故に、素のマリアさんは洗脳された人格以上に危険思想だと思われる。洗脳による情状酌量は多少あっても、危険人物である事には変わりない。

・反省の態度は見られない(事件担当者のイーリスがマリアさんから相当な恨みを飼われている事も留意。イーリスと関わりのない者がマリアさんに反省を促せる可能性は否定しない)。 ギフターさんへの忠誠心も高い。

・洗脳された人格と素のマリアさんが混ざり合っているが、分離は不可能。

・情報公開が遅れた理由は、魔法少女をしていた時期のマリアさんが洗脳をされた状態で風紀委員をも殺害し回っていたため、風紀委員内で無用にマリアさんの風当たりが強くならないよう、事件担当者が洗脳の証拠を集めるまで公開すべきではないと判断されたため。

・マリアさんの本名は麻木真子さん。元々学園に通っていたが、能力に飲み悩み違法薬物に溺れ、両親を殺害して自宅を破壊しその後行方不明であるが、おそらく薬物で廃人となったところをギフターさんに助けられた。

・マリアさんを確保後、ギフターさんの聴取により、彼の発言から『マリアを助けるためなら手段を選ばない』と言った旨の風紀委員を脅す危険な発言が見られた。風紀委員各自、ギフト騒動の黒幕ギフターさんを要警戒。ただし発言者はマリアさんの中に巣食っていた彼の分身体。ギフターさんの本体が、分身体の発言を把握しているかは不明。分身体そのものは、ゴミ処理係《フェイルド・スチューデント組》組長のイーリスが消滅を見届けた。

ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」からDr.イーリスさんが去りました。