2024/12/01 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」に大神 璃士さんが現れました。
■大神 璃士 >
風紀委員会本庁の事務室の一角。
デスクに向かってペンを走らせる人影がひとつ。
「…………。」
無言で書類作業に当たっている、シルバーメッシュのウルフヘアの男である。
書類の内容は、先日遭遇した窃盗犯……とは最早言い難い、要注意手配犯への
情報更新を行うべきであろう相手についての報告と危険度上昇の申請の書類。
それと、その件で破損してしまった制服についての始末書と経費申請だった。
「………………。」
無言でペンを動かす音だけが響く。
このデジタル化著しい時代に肉筆での書類作成か、と揶揄われそうな有り様だが、
そんな軽口を叩こうとする相手は生憎いなかった。
時折近くを通りかかる風紀委員の同僚も、小さく視線を向けた位で
そそくさと話しかけもせずに去っていく。
概ね、いつもの事だった。
寧ろ書類作業が捗るので、個人的には有難い程である。
■大神 璃士 >
「…………。」
書類の上をペンが走る音がやけに大きく響く。
苦ではない、が、積極的になれる作業かというと否だ。姿勢も固まって来てしまう。
一度ペンを置き、軽く首を回して休憩に。
固まっていた首が軽い音を立てる。
「…………。」
小さく息をついて、昨日の事件を思い出す。
まだ治り切ってはいない左肩の傷が少し傷んだが、どうせ明日には治る見込みだ。気にはならない。
(常世神、か……。)
数は多くなかった…と思う、が、確か同様の記述があった報告もある筈。
後で調べて補足に載せなくては、と思いつつ、考えるのは昨日の事件の事。
(………何のリスクもなく、異能を増やすというのは、脅威以外の何物でもないが。)
20世紀も始めの頃に発表されたという、「代償を払って願いを叶える」という
呪物にまつわる小説が頭を過ぎる。
確か――「猿の手」とかいうタイトルだった筈。
(神への願いに…「供物」や「贄」は付き物だ。
流石に「猿の手」程悪質ではない…とは思うが。)
代償もなしに願いを叶える神、などと都合のいいものはあるものか。
……個人的意見だが、答えは「否」だ。
「………………。」
デスクの隅の、マグカップ入りの茶に手を伸ばし、一口。
すっかり冷めて温くなっていた。
■大神 璃士 >
「………ふぅ。」
身体も解れたので、休憩は終わり。
改めて書類作業に戻る事にする。
始末書は兎も角、昨日の件については早い内に報告を出し、委員会内で注意を広めなくてはならない。
でなければ、委員から負傷者か…最悪、死人が出てしまう。
シルバーメッシュの髪の男は、相手を侮る事はしないタイプだった。
捕獲の為に力を絞る事はあっても、それは油断・慢心ではなく「ターゲットを生きて捕える為」。
……今回の件の相手は、下手をしたら生かしての捕縛は難しくなるかも知れない。
風紀委員としては、あまり気持ちのいい事ではなかった。
(それでも、だ。)
再び、書類の上をペンが走る音が響き始めた。
■報告書 >
-手配犯 梶田勝(ルーフラットを自称)についての報告-
11/20 PM20:10、落第街路地裏、違反部活「■■■」付近にて、女性に対し恐喝行為、
傷害行為(※未遂)に及ぼうとしていた所を巡回中の書類作成者が発見。
投降を促すも拒否、戦闘に突入する。
戦闘中、当該容疑者は複数の異能を運用して抵抗。
書類作成者による攻撃により両腕骨折の負傷(推定)を受けるも、
再生型と思しき異能の発動によって傷を治癒、現場より逃走する。
速度上、追跡は断念。帰投。
※11/20・20:■■の音声報告記録■■号も同時参照の事
・追記
戦闘中、当該容疑者は「常世神」という単語を数度発言。
既に報告にあった腕力強化型異能とは別種の異能2種を更に使用。
1:小型刃物・及び軽自動車の非接触移動・操作。サイコキネシス型の異能と考えられる。
2:身体再生型異能。正確な強度は不明ながら、両腕の骨折を瞬時に再生修復可能である事を確認。
いずれの異能も「常世神」への「要求」あるいは「助力」を
求めるような発言と共に運用を開始している。
「常世神」が関わった過去事案の参照の申請の許可、並びに
状況次第での当該容疑者の更なる異能の増加が懸念される事を報告する。
同時に当該容疑者の危険度向上、及び関係各所に対しての同事実の通達・注意喚起を申請する。
以下私見
当該容疑者が本当に「常世神」への願いによって異能を増やしたのか、
あるいは「そう名乗る詳細不明の超常存在」の影響かは不明ながら、
異能の種類の増大と同時に、何らかの代償を支払っている可能性は否定できない。
詳しい事情の聴取の為、出来れば捕獲が望ましいが、「代償」の存在及びその内容次第では
当該容疑者の生存の上での捕獲は難しいものになる可能性が高い事を私見ながら報告する。
書類作成者:大神 璃士
[承認待ち]
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁」から大神 璃士さんが去りました。