2024/12/19 のログ
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 早朝」にネームレスさんが現れました。
■ネームレス >
早朝。
深夜番と朝番とが交代する頃に、庁舎のエントランスを、颯爽と歩く者がある。
輝くような存在感。流れる血の髪が、その歩の残像のように揺れる。
なにひとつ臆面もなく、留置場から出口へ向かって。
身にまとう衣類は差し入れられた私物だ。
正規の学籍を持ったことで、正式に『資産』を得た。
不要なものは、あの劇場の閉館と時を同じくして処分した。
その多くは――水底の彼女の手に。
ノーフェイスの名さえ。
「♪」
鼻歌さえ歌うほどの上機嫌で。
視線を感じれば、どちらに類する感情であっても、にこやかに笑顔を向けて手を振った。
保護観察処分。
――何が変わったというのだろうか。
そう思われても致し方ないほどにしかし、この存在は偽らなかった。
ゆえに、負の感情も向けられよう。それも柳のように受け流し、まさに謳歌の有り様だった。
■ネームレス >
内面は、まるで煮えるマグマのようだったが。
(――……ずいぶん、時間がかかったな)
歌い続けたその日々が、明確にひとつ段階を上がった。
常世島に流れ着いて、三年とすこし。
世界にみずからを証明し、必然的に落第街を出るまでにかかった時間。
(まだ、もう少し遠回りだな……)
保護観察処分中は、仕事のための渡米も自由とはいかない。
期限と監視、更には公安と生活への届け出と認可が必要になる。
煩雑な手続きがつきまとうということは、まだ。進みきれていない。
委員会への従事も義務らしいし、履修登録も冬季休暇中に終える必要がある。
――はやく済ませて、前に進まなくては。停滞している時間が惜しい。
(…………)
どうしてと、ほんの僅かばかり――思う。
なぜ、自分がそこに行くのに、手続きをしなければならないのだ。
エントランスを、視界の端で見渡すだけでもいくらか目につく。
多くの異種族が――そこにいた。人間と扱われるべきとされる、地球人類以外が。
(ボクは……)
考えても、詮無いことだった。
くだらない感慨に、足をとられまいとして、それはすぐに吹き消えた。
世界は変わっている。地殻変動のように、生命体にはどうしようもない流れのなかで。
何を成すか、成し遂げるかが、人生だとわきまえて。
■ネームレス >
「―――あ」
立ち止まりは、しない。
が、視界の端に止まった。
魔導機ホログラム掲示板が表示した式典の告知だ。
"全世界《大変容》追悼式"と、"第三次世界大戦戦没者追悼式"。
――一方には、最初の一年を除いて、欠かさず足を向けている。
自分が詣でるべき墓は、そこではないのに。
(まだ、会えない……)
墓前にゆくためには、それこそ。
卒業する必要が、あるだろう。もっと多くの栄光を手にする必要があるだろう。
こんな不完全で未完成な自分では、そんな資格はないのだ。
満たされぬ餓えを感じながら、しかしほんの僅かな愁いが微笑によぎる。
足を進める。
公判の際にもくぐったが、あらためて外に出た。
■ネームレス >
正門を通り、そのまま敷地内の広場を往く。まっすぐに。
報道はいない。いてもつまみ出されるだろう。
それにまだ夜明けを前にした時間だ。遠くの空が白み始めていた。
「寒……」
冬風が頬を切るようだ。気に入りのマフラーに顔を埋めた。
獄中で着てたスウェットは化学繊維だったので、あまり合わなかった。
やっぱりこれがいい。
赤道近く、本来であれば温暖どころでない場所でありながら、
日本の四季を克明に再現したペーネロペー・システムがもたらす、
真に迫った寒気は、厚着をしていても身震いを喚起する。
「……本物みたいだ」
偽物、なのだろうか?
自分で言っていて少し笑えて、力のない笑みが零れた。
すこしぼんやりする。なんだかんだ、疲労が溜まっているのか。
ずっとうたっていない。強烈なフラストレーションが胃を騒がす。
やることは、山積みだ。
獄中、公安からの使者は訪れなかった。
事は動いていないとみていい。すくなくとも自分が動く必要のない局面。
であれば――、……
(まぁ、まず最初に――カフェにでも寄って、連絡取らないと)
さすがに明臣にも託しているし、大丈夫だろうとは思う。
おそらく、自分も『大丈夫だろう』と扱われている――筈だ。
久々に顔を見たくもある。そしてその機は、予想よりも更に早くに訪れる。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 早朝」からネームレスさんが去りました。
ご案内:「委員会街 早朝」にネームレスさんが現れました。
■ネームレス >
(乾くなー、やっぱり……)
留置場はしっかり人間として扱ってもらえる環境ではあった。
しかしもちろん、必要なぶんだけ、である。
システム・プロスペローをはじめとした気候制御システムは、
空気の乾燥さえも絶妙に再現しているようだった。
自室や控室の加湿設備もないため、どうしても喉に来る。
(ひさびさにハニー系のお茶でも楽しもうかな。
部員のコがカワイイお店がたしかこの近くに夜まで――)
自室まではずいぶん距離がある。
連絡などを行うために、夜勤組のために24時間営業している飲食系の部活で、
お茶でも飲んで温まろう――と、考えているところ。
「………ン?」
空は暗くとも、風紀委員会本庁の敷地はしっかりと照らされている。
だから、敷地の境目、委員会街へと出るための正門前になにかがいることは、
目視でも気づくことができた。切り取られたその影を、見紛うはずもなく――炎の目を瞠った。
ご案内:「委員会街 早朝」に緋月さんが現れました。
■緋月 >
その人影はいつから立っていたのか。
数分前か、十数分前か、あるいはつい今しがた現れたのか。
暗い赤色の外套が、冷たく乾いた風に靡いている。
後頭部で括られた、グレーの髪もまた同じく。
「……………。」
ゆらり、と視線が向けられる。
ごく普通の、いつものそれと変わらぬ、赤い眼の視線。
書生服姿の少女は、静かに口を開く。
「――どうでしたか、風紀委員会の留置所の住み心地は?」
その声も、特に普段と変わりはない。
知人に挨拶するような、そんな雰囲気。
■ネームレス >
「緋月……」
マフラーの内側で、小さくも、異常に通る声が名を呼ばわった。
――そう。
大きな転換点ではあった、けれど、道の途中。いつも通り。
この存在からすれば、そういった過程に過ぎなかったから。
それでも会えて嬉しいから、人目がなくなった途端失せていた表情に、
ある程度、自然な笑みが浮かんだ。
「Hello。おひさ。あいつからきいたの?今日だって。
うん、貴重な経験だった。ご飯も想像よりずっと美味しかったし。
毎日おフロ入らせてもらえないのと、歌えないのが不満だったかな」
いつもどおりに、へらへらと笑うのだ。
するり、ポケットから取り出したのはいつものオモイカネ8。
「ところで見て見て!これ。正規の学生証が入ってんだ。
しばらくは島にいる必要あるし、こんど学園探検しようと思ってて――」
■緋月 >
「ええ、まあ。」
聞いた相手については一言。簡潔な受け答え。
以前に「大事な届け物」を請け負った人物から、出所の日取りが決まったので
こうして出向いてきたのである。
「――まったく、相変わらず子供みたいに。」
ふぅ、と小さくため息。
少しだけ目が半目になる。呆れたような雰囲気の視線。
まるで新しいおもちゃを手に入れたような子供を思わせる雰囲気に、
軽く肩を竦めてみせる。
「……まあ、元気そうで何よりです。
これなら――――」
そこまで口を開いた瞬間、
す、と、まるで瞬間移動でもするかのように、その姿が見えなくなる。
否、その表現は適切ではない。
見えなくなったのは、視界を遮る程に、一瞬で、地を縮めたように移動されたから。
紅の麗人の視点に合わせて軽く跳んだ、その表情は――――この上もない、憤怒の其れ。
阿修羅か夜叉か、あるいは般若か蛇の能面か。
■緋月 >
「おかげで、遠慮なく、ぶん殴れます――ねっ!!」
その言葉と同時に、フィギュアスケートのスピンのようにぎゅるん、と体を捻り、
遠心力を掛けて―――― 一閃。
繰り出されるは、何の連絡も前置きもしなかった馬鹿者への――遠心力を乗せた、渾身のビンタ一発!
■ネームレス >
「一日だけしか訓練施設使わせてもらえなくてさ、すっかり運動不足だよ~」
元気かといえば、めちゃくちゃ健康体だ。
それこそ体調を崩した姿は、試練のあとに倒れた時くらいで。
「迎えに来てくれたんだ。それじゃあどっかで買ってボクんちで朝ごはみゅッ」
――静謐の、冬の朝。
虫の音もない、厳粛な区画に、小気味の良い乾いた音が響き渡る。
「………?」
視えては、いた。
この存在は目だけに頼らない。空気の流れ、そこにあるもの。
音の世界に交わる者は、その動きをとらえることができていた。
「?」
とらえていたからなんだというのか。
反応しなかったし、できなかった。クリーンヒットに揺れた視界に、空よろしく星が散った。
じんじんと痛む頬のダメージは完全に意識の外からだった。
何をされたのかはわかる。ぶたれたんだ。
「???」
叩かれて変わった角度をふたたび正面に戻して、
痛みも衝撃も忘れて、きょとん、と目を丸くした。こんなことを考えながら。
――ぶたれた?なんで???
■緋月 >
まずは一発。
勿論、一発で気が済んだり晴れたりするわけがない。
混乱している不意を突いて、襟首を掴み上げ、自分と同じ目線まで引っ張り降ろす。
「――私、前に言いましたよね?
「伝えたい事があるならしっかり言葉にしてください」って!」
続けてもう一度、腕が振るわれる。
「「こっちは神仙か何かじゃないんです」、「裏を読む程機微に優れてる訳でもないんです」って、
同じ時に言いましたよねぇ!?」
更にもう一発。
「しっかり伝えたと思ったんですが…アレは私の思い違いでしたか!?
テレビ見てたら驚きましたよ、知った顔がアホみたいな笑い顔晒して風紀委員会に連行されてるんですから!!」
更に更にもう一発。
「一体何考えて…いや、そんな事訊くだけ時間が無駄か…。
「こうなる」予想か予兆位感じてたなら、せめて分かり易く釘を刺して置くのが普通ではないですか!?
それを、私に何も知らせずアホ面晒して――馬鹿ですか、バカなんですか? 死ぬんですか!?
いっそ私が今此処でぶった斬ってあげましょうか!!??」
ビンタビンタビンタビンタ。
お怒りの言葉と共に掌が空を切って飛ぶ。
ちょっと、手を振る時に出るにはおかしい風切り音が出てる気がする。
まあ、何が起こっているかと言うと。
こんな大事になる可能性を、たとえぼかしてでもある程度報せて置かなかった
馬鹿者への怒りの報復である。ビンタビンタビンタ。
■ネームレス >
「ふぇ」
気に入りのマフラーを引っ掴まれて、それでも文句も出てこない。
「いやだって朔に」
まくしたてられる言葉に、反射的に間の抜けた応対までしてしまう始末。
未だに星が巡っていたけども、言葉をきいているうちに、
なんとなく何に怒っているのか――そもそも怒っていること自体が――わかってきた。
「!?」
二度もぶった!?
「!!?」
三度も!?
「だって、犯罪者ならいつだって『そうなる』可能性あったろ……
ちょっ、と……緋月! 話、きいてってば――」
どうにか腕を翳して鋭いビンタをガード。コート越しでも痛い。
――最近、徒手空拳の戦法を学んでいると聞いたが、まさか自分にその研がれた牙が剥くとは。
そもそも捕縛ではなく補導――半ば出頭という形だったので、その理屈も通じない。
「ッ、……は。 ザケんなよ。 そもそもなんでいちいちキミに――ッ」
さすがに連撃に焦れてきて、噛みつき返そうとしたのだけども。
「痛った……! ……わかった、わかったってば!
あやまる!謝るから顔はやめてぇっ!」
押し切られた。なんなら半泣きで本気目の悲鳴があがる始末だった。
1.5往復されたほっぺがジンジンと痛い。
■緋月 >
謝る声が上がれば、ようやくビンタの嵐は止む。
相変わらず襟首はふん捕まえており、捕まえている本人はそれこそ狼か何かのように息を荒げていた。
「――――あなたが居ない間、こっちは大変だったんですよ。
「大事な届け物」は任される、「先生」の容体は一変する。
本当に……重い物ばっかり、人任せにしていって…。」
ぐい、とちょっと乱暴に掴んだ襟元を引っ張る。
流石に前後はしない。その程度までは気が済んだようだ。
「……逃げる事くらい、あなたなら不自由でもないでしょうに。
それをしなかった…って事は、「任意」だった、って事でしょうが。
この色々大変な時に――ああもう…!」
がしがしと、ビンタをやめて頭を掻き毟る。
朝風呂上がりだったのか、少しだけ良い香り。
「……ホント、愛想尽かして何処かにいこうとか考えなかっただけ、自分が偉いと思いたいですよ!
あるいは自分も同じくらい馬鹿かもと!
――ちょっとでも反省してるんですか!?」
■ネームレス >
「ああ、うん……えっと……」
口角泡飛ばす勢いに、気圧されているのはそうだった。
ひりひりと痛む頬に対して、前傾した姿勢のまま、目を伏せて。
ひとつ、肩を上下させた。バニラの香りは、いまはしなかった。
なにが起こったのか、は――だいたいわかった。
届け物は明臣が持っていたものだろう。それ以上のハプニングはなかったと思われる。
だが、おそらく――そこではない。そうではない。
「緋月」
反省しているのか、といわれればそうだ。
とりあえず、話をきいて、とまっすぐみつめて、名前を呼んでみる。
なにを言うにも、とりあえず。
「不安がらせて、ごめん」
何かを任される、委ねられることに、そも不平を言う相手ではないと考えている。
ともすれば、あの教師との関わりは、彼女のほうがずっと強い。
怒りの理由をそれでも問うなら、自分が伝えずに――
自分もまた"何が起こるかわからない"側になっていたせい、だろうと。
「ごめんね」
■緋月 >
「――――――」
言い訳の無い、ストレートな謝罪。
それに対して、書生服姿の少女は一瞬だけ、泣きそうな顔になり、次の瞬間にはまた不機嫌な顔に。
そして、少しだけ視線を彷徨わせたかと思えば、
「……わかりました。今回は許します。」
まだ少し、文句言いたげな雰囲気であったが、それを呑み込み、そう返答。
掴んだままだった襟首を解放し、少し乱暴に手を取って立たせる。
「……ご飯。
食べに行きましょう。
――作るのも待つのも大変でしょうから、偶には何処かに食べに。」
言いながら、ぐい、と、袖を引っ張って歩こうとする、
――――当然、袖を引かれてる方は、何処かのお店に入った段階で
散々ぶたれた顔を晒す事になってしまうのだが。
■ネームレス >
喪失に慣れのない少女には、すこしばかり。
心配しないでというのは酷な話だった。
そこまでの信用は――まだ、出会って半年ほどだ――勝ち得ていないのだ。
想われるのは望むところだが、彼女の性能を損なわせたいわけではない。
「ありがと」
にひ、といつもの通り笑ってしまうのだけど。
手を引かれると、そのままついてく。
「――お腹すいてんだ?いいよ。なんでも奢ったげる。
ボクんちのが近いケド、それでも委員会街からだと距離あるしな」
万妖邸はもっと遠い。
つまり、その距離からわざわざ来てくれたということだ。
引かれている手とは逆のほうをポケットに突っ込み、うまいこと手袋を外す。
「来てくれてうれしいよ、緋月」
そのまま、背後から手をのばして。
寒風に煽られた手に、熱い手のひらをぺたり。
柔らかまんじゅうも、冷えて固まってしまったかもしれないので。
振り向かせて、前をゆくその顔を覗き見ようとはしない。
怒り狂った顔も、だったから。
「こんどは――キミが安心できるまで、ボクを摂取させたげる」
いつかと逆だ。
息は白く凍る。会わぬうち、随分冷えた。日本の冬はこんな感じらしい。
擬似的なものだとして、待たせた時間の長さが、遅れて肌に染みてくる。
■緋月 >
「……私が来なかったら、誰も迎えになんて来ないでしょう。
「届け物」を任せてくれた人だって、あなたの事を馬鹿呼ばわりしてましたよ。」
その人にはちょっと悪い事をしたか、と思いもしたが、それ位しないと
どれだけ迷惑かけたかをしっかり認識できない気がする。
なので、わざと意地の悪い言い方をした。
「………。」
手が温かい。
この島も、最近めっきり寒くなって来た――どうやら、様々な祀り事による再現らしいが――ので、
手を握られて、少しだけ、気持ちが和らいだような気がした。
それでも、紅の麗人の減らず口は相変わらずなので、もうちょっとだけ痛い目を見て貰う事に。
「――人がなるべく多い所がいいです。
温かいですし、人目につき易いですから。」
と、そんな事を口にする。
ビンタは割と力を入れてたので、叩かれた痕は暫くは消えないだろう。
もうちょっとだけ恥ずかしい思いをして貰おうか、という、みみっちい報復だった。
■ネームレス >
「んははは。明臣とは付き合い長いからね~。
ボクの説明の途中であわてて飛び出して道に迷うようなヤツなんだから、
きっとバカさ加減はどっこいだぜ。
キミを探すのに、相応に時間かかってたんじゃないか?」
どうやらきちんと頼み事はこなしてくれたらしい。
あとでしっかり報酬は払わねばなるまいか――……あげるものは決まった。
「――もともと待つのそんなスキじゃない。
だから、そのしんどさは、わかってたハズなんだケドさ。
もーしない。終夜、契りしことは――忘れませんってば」
だからって、緋月にお返ししていいことではないのに。
少しばかり悔やむ。不安がらせたことも、結局自分の至らなさも。
「え"っ。ちょっとー、デビュー間近のボクに恥かかせたいのかよー。
……たしかカフェがあるよ、いつも開いてるトコ。
軽食もあるから、そこいこーよ。夜勤疲れや朝食目当ての人がそこそこいる」
やだやだするほど空気が読めないわけじゃない、が――
そのまま背後から、ぼす、と肩に顔を埋めて、頬を寄せた。
迎えられるのも得意でない。でも、嬉しいのも――事実だ。
きっと冷たいはずである。マフラーと頬の境目で、こちらもまた顔は冷たく。
「ボクを見せつけたいなんて、過激な趣味に目覚めたじゃん?」
■緋月 >
「そんなでもないです。
――もし会いに行くなら、私程じゃないでしょうけど、拳骨を頭に一発位は覚悟した方がいいですよ。」
不穏な一言。
実際の所、可能性としては低いのだが、まあその位は脅しておいても許されるだろうかと。
このお馬鹿さんの反省がなるべく長引きますように、と少し邪な願掛けをしながら。
「ビンタ痕だらけの顔で、ちょっと位は恥でもかいて貰いたい、と思っただけです。
そっちの方が、印象に残る人が多くていいじゃないですか。」
恥かきついでに、そっちばかりが強い印象に残る人が多い方が良い。
そうすれば、「素顔」を知る人が少なくなるので気楽に二人で歩けるし、
他の人と一緒でも気が楽だろう、と。
散々心配をしたせいで、捻くれてしまった心配心であった。
そうして、二人でカフェに向かい、ここ最近の事情からお話を始める事に。
重要な話題は――家に帰ってから、の方がよいだろう。
そんなこんなで、少々長かった留守中に、書生服姿の少女に
溜まったお怒りと不満は解消されていくのだった。
ご案内:「委員会街 早朝」から緋月さんが去りました。
ご案内:「委員会街 早朝」からネームレスさんが去りました。